Competition Law at a Glance 特別号– 2014 年 5 月 競争法の執行における国際協力:そのトレンド及び 国際的に事業を展開するに当たっての留意点 2014 年 4 月 29 日、CADE(経済擁護行政委員会)がコロンビア、日本及び韓国の競 争当局との間でそれぞれ締結した 3 つの国際協力協定がブラジルの官報(Diário Oficial da União – DOU)で公表された。 上記各協定の基礎となる覚書は、モロッコのマラケシュにおいて本年 4 月 22 日から 25 日までの間に開催された国際競争ネットワーク(ICN)1の第 13 回年次総会中に署名 されたものである。 上記各協定は、クロスボーダーの M&A 及びジョイントベンチャー取引(ブラジルに おいて「集中行為」と呼ばれるもの)の審査、並びにブラジルと海外の競争当局の間の 協力を要するような国際カルテルの捜査の迅速化及び改善を図るための国際的な情報交 換の促進及び強化を目的とするものである。 2013 年には、複数の集中行為の審査において CADE 及びヨーロッパ委員会が協力を 行った。これらの審査の対象となった取引には、国際的なテクノロジー企業である Syniverse2による MACH の買収案件や、Ahlstrom Corporation 及び Munksjö AB3の特殊 紙事業の統合案件が含まれる。両取引において、CADE は、これらの行為から生じ得る 反競争的効果を減殺するようなコミットメントを含む合意を取引の各当事者と行うとい う成果を上げている。 CADE の Vinicius Marques de Carvalho 総裁は、関係国の競争当局間において審査を 同時進行で行うことができたこと、また、取引に対して課すべき制限を統一的に議論す ることができたことから、これらの案件において競争当局間の協力が有意義なものであ ったことを強調している。このような国際的な協力は、2012 年 5 月に施行されたブラ ジル競争法下における M&A 取引の事前審査制度の導入により、特にその重要性を増し ている。 1 2 3 国際競争ネットワーク (International Competition Network – ICN) は、2001 年 10 月に創設され、競争関連の 問題に関し国際的な統一を図るとともに、競争に特化した独立の意見交換の場を設けることを目的として、世界の競 争当局が参加するものである。 Syniverse Holdings, Inc. による WP Roaming III S.A.R.L. (“MACH”) の支配権取得に関する集中行為第 08700.006437/2012-13 号。2013 年 5 月 22 日、条件付きで CADE が承認。 新 会 社 設 立 を 通 じ た Ahlstrom Corporation 及 び Munksjö AB の 事 業 の 統 合 に 関 す る 集 中 行 為 第 08700.009882/2012-35 号。2013 年 5 月 22 日、条件付きで CADE が承認。 Competition Law at a Glance 特別号– 2014 年 5 月 国際協力協定は、国際カルテルをはじめとする反競争的行為の捜査の場面においても 非常に重要である。たとえば、これらの協定により、現在捜査の迅速な実行の大きな障 害の 1 つとなっている外国法人や非居住者に対する通知の手続をより実効的に行うこと が可能となる。これに加え、国際協力協定により、同一の事案について、異なる法域に おいてもより一貫性のある判断がなされることが期待できる。CADE によれば、CADE は、ブラジル国外に住所を持つ法人や個人が関係する 20 以上の案件について捜査を進 行中である。 上記の新協定のうちの 2 つがアジアの競争当局と締結されたことからは、アジアとの 関 係 を 強 化 し た い との CADE の 意 図 が 窺わ れ る 。 CADE の Vinicius Marques de Carvalho 総裁は「CADE はアジア各国の競争制度を学びたいと考えている」と述べてい る。 CADE は、現時点において、13 カ国(ロシア、エクアドル、ペルー、中国、フランス、 ポルトガル、カナダ、チ 、アメ カ合 国、アル ンチン、コロンビア、日本及び韓 国)及び、Mercosul( 同 場)との間で国際協力協定を結 でいる。 リ リ 衆 南米南部共 市 執 分野 推 く 向 具体 相 ゼ 世界 趨勢 繰 返 併 ん 競争法の 行 における国際協力の強化は 的な であり、CADE は、国際協 力を し進めてい 意 を有していることを り し強調している。 回の新協定は、 上記のような 的な協力行為や、国際的な捜査や合 審査における CADE の 在 の 増大とも まって、企業が国際 を 定するに当たって考 すべき らかな進 とい うべきである。 戦略 策 ピ ・ ウ セ 号 執筆 参 慮 律 務 今 明 存 感 展 プ ィ ・ ソ Competition Law at a Glance は、 ネイロ ネト法 事 所の競争法 ラクテ ス ルー による 行 である。パートナーである Leonardo Peres da Rocha e Silva、及 び Cristianne Saccab Zarzur、カ ン ルである Lilian Barreira Spina、並びにア シエ に 加した。 イトである Marina Curi Penna が本 の グ プ 発 物 -2- Competition Law at a Glance 特別号– 2014 年 5 月 担当者及びお問い合せ先 競争法プラクティス・グループのパートナー Rodrigo Carneiro de Oliveira [email protected] T:+ 55-11-3247-8561 Leonardo Peres da Rocha e Silva [email protected] T:+ 55-61-3312-9488 Cristianne Saccab Zarzur [email protected] T:+ 55-11-3247-8631 José Alexandre Buaiz Neto [email protected] T:+ 55-61-3312-9461 Renê G. S. Medrado [email protected] T:+ 55-11-3247-8797 競争法グループのカウンセル Lilian Barreira Spina [email protected] T:+ 55-11-3247-8740 ジャパンデスク Yuka Ono (大野友香) [email protected] T:+ 55-11-3247-8419 -3-
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