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御中
平成26年7月29日
岡
山
大
学
ごみ焼却施設でのダイオキシン類の発生と処理効果を検証
概要:岡山大学環境管理センターの川本克也教授は、ガス化溶融炉(一般廃棄物焼却施設)
でのダイオキシン類の排出上の特性と排ガス対策の効果を解明しました。本研究成果は、
6 月 5 日に環境科学分野の国際専門誌『Environmental Science and Pollution Research』におい
て本誌掲載に先立ち、オンライン上で掲載されました。
ガス化溶融炉は、非常に高温の溶融工程を備えていることからダイオキシン類はほとん
ど生成しないと考えられていました。本研究では、ごみの燃焼状態が大きく変動するとダ
イオキシン類が生成されること確認するとともに、高度な排ガス処理技術により環境中へ
の排出は十分に抑制されることを具体的なデータで示しました。
<業 績>
岡山大学環境管理センターの川本克也教授は、過去 10 年余りの間に国内で普及した流
動床式ガス化溶融炉において、焼却する廃棄物の投入条件などを変更し、燃焼の状態を人
為的に操作することで、ダイオキシン類の生成と排ガス処理設備での除去に関する特徴
を詳細に解析しました。
今回明らかにした主な点は、下記の 2 つです。
① 投入される廃棄物の種類・性状が大きく変動すると、ダイオキシン類が生成されるこ
と。
② 上記の場合でも、高度な排ガス処理技術の適用によって、環境へのダイオキシン類の
排出は十分に抑制が可能なこと。
<補 足>
ガス化溶融炉とは、図 1 に示すように、従来の焼却炉と異なって、第 1 段階で廃棄物を
熱分解ガス化(温度は 500~600℃で空気を絶って行う、いわゆる「蒸し焼き」に近い)
し、次の工程で 1,300℃程度の高温で完全燃焼と灰分の溶融を行う方式です。溶融したも
のは、スラグとなって排出されます。
本研究では、流動床型のガス化炉を備える施設において、集じん用バグフィルター設備
の前後で排ガスの測定とばいじん(飛灰)の測定を行い、ダイオキシン類の濃度および量
的収支と複雑な組成をわかりやすく解析しました。
今回の調査設備では、フィルターにダイオキシン類の分解触媒が組み込まれているの
が特徴です。5 通りの実験を行い、とくにプラスチック類が通常より多いごみを焼却した
Run 5 では燃焼が不安定になり、焼却排ガスで通常時の 5 倍ものダイオキシン類の濃度と
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なりました(図 2)。しかし、バグフィルターでの粒子の捕捉と触媒分解とによって、処
理後のガスは通常時とほとんど変わらない濃度水準まで処理されていました。また、組成
パターンから、飛灰粒子への移行、ガスとしての排出をわかりやすく解析しました。
600ºC
750ºC
1,300ºC
MSW Fluidized bed
gasification
furnace
Melting
furnace
Secondary
combustion
chamber
White plume
prevention
air preheater
Gas
cooler
195ºC
190ºC 210ºC
Catalytic
SCR
Gas cooler
(De-Nox)
bag filter
370ºC
Combustion
air preheater
:Gas/ash
sampling point
Injection of lime
Fly ash
BF
Outlet : 0.54
Concentration (ng/g)
Inlet:69
2
Te
C
P e DF s
C
D
H Fs
xC
H DF
pC s
D
F
O s
C
D
F
C
D
Pe D
C s
D
H D
xC s
H DD
pC s
D
D
O s
C
D
D
Te
2
BF
1
0.5
Fly
ash
0
1.5
1
0.5
150
2
1.5
1
0.5
0
100
50
Te
C
D
Pe Ds
C
D
Hx Ds
C
Hp DD
CD s
D
O s
CD
D
0
Te
C
D
Pe Fs
C
D
Hx Fs
C
D
Hp Fs
CD
F
O s
CD
F
Te
C
D
Pe Ds
C
D
Hx Ds
C
D
Hp D
CD s
D
O s
CD
D
図 2.
0
1.5
0
Fly ash:55
Decomposition
Effluent gas
50
BF: バグフィルター
Run 1
Run 5
2 つの典型的な実験での排ガス、飛灰中のダイオキシン類の量と組成パターンの変化
(Run 1 は通常運転時。Run 5 はプラスチック類の焼却混合率を大きく増加させた場合)
発表論文はこちらからご確認いただけます
http://link.springer.com/article/10.1007/s11356-014-3104-4
発表論文:K. Kawamoto, H. Miyata : Dioxin formation and control in a gasification - melting
plant, Environmental Science and Pollution Research, 2014. In press. ( DOI
10.1007/s11356-014-3104-4 (2014))
Te
C
D
Pe Fs
C
D
Hx Fs
C
D
Hp Fs
CD
F
O s
CD
F
Fly ash
Decomposition : 14
Run 5
100
Concentration (ng/m 3N@12%O2)
BF
150
Te
C
D
Pe Ds
C
D
Hx Ds
C
D
Hp D
CD s
D
O s
CD
D
Fly ash : 4.0
2.5
Concentration (ng/m3N@12%O2)
0
Effluent gas
200
Concentration (ng/g)
20
Concentration (ng/m 3N@12%O2)
Decomposition
Te
C
D
Pe Fs
C
D
Hx Fs
C
D
Hp Fs
CD
F
O s
CD
F
40
Te
C
D
Pe Ds
C
D
Hx Ds
C
D
Hp D
CD s
D
O s
CD
D
Outlet : 0.38
60
Te
C
D
Pe Fs
C
D
Hx Fs
C
D
Hp Fs
CD
F
O s
CD
F
BF
Influent gas
80
Te
C
D
Pe Ds
C
D
Hx Ds
C
D
Hp D
CD s
D
O s
CD
D
Inlet :12
Concentration (ng/m 3N@12%O2)
Influent gas
Decomposition : 8.1
Run 1
測定調査を行ったガス化溶融方式焼却施設の構成
Te
C
D
Pe Fs
C
D
Hx Fs
C
D
Hp Fs
CD
F
O s
CD
F
図 1.
Stack
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<お問い合わせ>
岡山大学環境管理センター センター長・教授
川本 克也
(電話番号)086-251-8842
(FAX番号)086-251-8842
(URL)http://www.okayama-u.ac.jp/user/emc/index.html
川本 克也 教授