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2013 年 12 月 31 日~2014 年 1 月 6 日 ジャカルタ調査報告
青木武信(千葉大学客員教授)
2013 年 12 月 31 日から 2014 年 1 月 6 日までメガシティ・プロジェクトのレビュー班の
メンバーとジャカルタの居住環境にかんする調査をおこなう。ジャカルタの居住類型それ
ぞれの典型例といえる場所を選定し、見学、可能であれば住民にインタビューをおこなっ
た。以下、日を追って、調査の概要を報告する。
12 月 31 日
ジャカルタ郊外 Sentul の新興住宅地 Bukit Az-Zikra を見学。モスクを中心に、
「イスラ
ーム的雰囲気の街」をコンセプトとして開発された新興住宅街。ジャカルタ中心部からは
高速道路を使い約 1 時間。環境に配慮したモスクと住宅団地をめざしている。例えば、モ
スクでは、雨水を貯め、それを礼拝前に体を清める際に使用する設備を準備、また、生ゴ
ミからのたい肥作り、そのたい肥を使っての緑化運動をおこなっている。
写真1:Az-Azikra モスク正面入口
写真2:モスクからみた住宅地
写真3:Bukit Az-Azikra 住宅団地パンフレット
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写真4:Az-Azikra の住居
写真5:Hayu 氏宅
1月1日
(1) Pantai Kapuk
ジャカルタ北海岸沿いの高級住宅街の一つ、カプック海岸地区を見学。住宅街自体
はゲイテッド・コミュニティのため入ることができず、周辺の見学にとどまる。
写真6:地区の町内会(RW)事務所 写真7:ゲートの外にあるショッピングセンター
(2) Pantai Mutiara
続けて、同様のムティアラ海岸地区の高級住宅街を見学。各戸にボートをつけるマ
リーナが併設されている。写真を撮影しながら見学をしていると、その様子をいて
近づいてきた住宅街の警備員から、住民はプライバシーを邪魔されることを嫌って
いるので、写真の撮影は遠慮してほしいと、注意をうける。
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写真8:マリーナ併設高級住宅
写真9:すぐわきには高層アパートも
(3) Kosambi Baru
1980 年代に住宅街として開発されたジャカルタの西に位置するコサンビ・バル地区
を見学。オジェック(バイク・タクシー)溜りの運転手たちに、インタビュー。彼
らの一部は、両親がこの地区に農地を所有している農家であったが、1980 年代に土
地を開発業者に売却し、現在はオジェックを職業としているという。土地を売った
農家の多くはその金でメッカ巡礼を果たしたという。こうした話を聞かせてくれた
一人の男性は、農業よりも現在のオジェックのほうが自由気儘でよい、という。ま
た、建設中の住宅で作業中の、建設作業員にもインタビュー。報酬は平均して一日
約 10 万ルピアで、週ごとの支払いという。話を聞いた作業員は中部ジャワ北海岸
のスマラン出身 35 歳で、家族(妻、4 歳と 1 歳の子供)を置いて単身赴任(建築現
場で寝泊まり)
。同じ村の知人の誘いでジャカルタへ建築作業員として働きに出るよ
うになったという。
写真 10:コサンビ・バル地区
写真 11:地区内のオジェック溜り
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写真 12:建築中の住宅
写真 13:建築中の住宅の屋上で作業員の男性(左)と
(4) Taman Alfa Indah
ジャカルタ北西部 Joglo 地区に位置する住宅街 Taman Alfa Indah と Muman 氏宅
を見学。Muman 氏は日本で博士号を取得したインドネシア社会省の専門家スタッ
フ。
1 月 2 日 Depok
(1) Antropologi, FISIP, UI
インドネシア大学社会政治学部文化人類学研究室にて、アジ氏、ルスリ氏にジャカ
ルタの特徴、歴史的発展経過についてレクチャーを受け、今後の調査研究について
アドバイスを求め、ディスカッションをおこなう。アジ氏 (Aji Purwanto) はジャ
カルタの都市農業研究、ルスリ氏 (Rusli Cahyadi) はジャカルタ市内のチリウン川
流域の洪水被害多発地域研究に従事している文化人類学者である。
(2) Perumnas (Perumahan Nasional)
デポック市内の 1980 年代に建設された公務員官舎を見学。
写真 14:デポックの公務員官舎
写真 15:デポックの公務員官舎玄関
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1月3日
(1) Kebayoran Baru
インドネシア独立戦争時に開発が計画された比較的古い高級住宅街であるクバヨラ
ン・バルを見学。
(2) Mampang; Kampung Hijau, Ibu Siti
マンパン地区の「緑の集落」を見学。地域の緑化、環境改善運動の中心的人物であ
るシティ女史にインタビュー。
写真 16:
「緑の集落」シティ女史宅
写真 17:シティ女史(左)と隣人
(3) Kebun Jeruk; Indonesia Berkebun
クブン・ジュルック地区で NGO インドネシア・ブルクブンによる、都市農業・都
市緑化運動を見学、運動について中心メンバーにインタビュー。開発・建設途中の
住宅地で、野菜を中心に栽培。メンバーは活動を SNS で発信、運動の輪がそれに
より広がっている。
写真 18:Indoneisa Berkebun の活動とコンセプト
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写真 19:Indonesia Berkebun の活動(2) 写真 20:都市農園にてメンバーたちと
1月4日
(1) Kebun Pramuka
インドネシア大学のアジ氏の紹介で、プラムカ地区の都市農業を見学。アジ氏の指
導する学生で卒業論文のための調査をプラムカ地区で実施した Nyoman 君に案内
を頼む。周辺では、高層アパートの建設が進んでいる。
(2) Cikini
メガシティ・プロジェクトによるプロジェクト・サイトを見学。
(3) Depok; Bapak Aji
デポックの新興住宅地にあるアジ氏宅を訪問。新興住宅街とアジ氏宅内を見学。
写真 21:アジ氏宅
写真 22:アジ氏宅周辺
1月5日
(1) Pulomas; Rumah Kumboh
ジャカルタ北海岸プロマス地区の不法占拠地域を見学。再開発計画が進行中で、一
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部では住民の移転がすみ、公園が整備されている。移転計画も進行中だが、一部住
民が、移転を渋っている。移転を躊躇している住民によれば、移転先として用意さ
れている集合住宅は、設備も環境も申し分ないのだが、土地の買い取り価格が安い
のでためらっているという。
写真 23:Pulomas の不法占拠住宅
写真 24:手前は移転済みの住宅
(2) Ancol
同じく、北海岸アンチョール地区の不法占拠地域を見学。住民によれば 1960 年代
ころまでは、この地域には池があり、1977 年に大洪水がおこり、その後政府により
埋め立てがおこなわれた。そして、不法占拠による住居が次々と建ち、現在のよう
な街区になり、政府も現状を追認するようになったという。
写真 25:Ancol の不法占拠住
写真 26:Ancol の線路脇にある不法占拠住宅
(3) Kuningan
クニガン地区の高層住宅である Apartemen Rasuna を見学。28 階の Iwan 氏自宅
内部も見学。ラスナ・アパートメントは全 15 棟、平均 30 階、各回平均して 5 部屋。
Iwan 氏はコンサルティング会社経営。バンドンにも自宅を所有。週末はバンドン
の家で過ごすことも多いという。
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写真 27:Rasuna アパート
写真 28:川沿いの公園と Rsuna アパート
写真 29:28 階 Iwan 氏宅リビング
写真 30:28 階イワン氏宅からの眺望
1月6日
インドネシア共和国社会省社会開発調査研究所 (Puslitbang Kesos) にて、同研究所研究員
とジャカルタの抱える社会問題について、ディスカッションをする。最近の調査研究の成
果から、急速にグローバル化と経済発展に伴う社会変化にたいして、local wisdom を生か
した社会開発が求められているとの指摘が、同研究所研究員たちからなされる。
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