観測所報告:アンテナグループ (45m電波望遠鏡の状況) 神澤富雄、御子柴廣、半田一幸、和田拓也 アンテナ関連のスケジュール(案) 概要 我々アンテナグループは、45m電波望遠鏡のアンテ ナ関連の仕事を行っている。大きな改修工事に関して は製造メーカに依頼する為の契約仕事、また、大きな 工事の隙間に埋もれた小さな仕事の実行、アンテナの 共同利用に向けた立ち上げ観測(ポインティング、ビー ムパターン、能率)などである。ここでは、ここ3年先ま でのスケジュールと、最近発生している案件について 報告する。 A) 駆動系の問題点 ミリ波較正システム・ビームスイッチシステム ビームスイッチシステム(1984,1991モータ改修) モータ 駆動アンプ 制御パネル 旧ミリ波較正システム(1982) モータ 駆動アンプ 制御パネル B)AZレール改修工事(現在進行中) 新ミリ波較正システム(1988) モータ 駆動アンプ 制御パネル #2 アンテナ駆動システム 伝送系ミラー切換えシステム(1986-1988) 副鏡駆動システム(X、Z1、Z2) #4ミラー 駆動アンプ 制御(PLC) 制御パネル 駆動アンプ モーター (1985) (1985) (2004) コリメーター駆動システム(AZ,EL) #3 制御パネル 駆動アンプ モーター (2004) (2006) (2006) 主鏡駆動システム(AZ,EL) #7ミラー #8ミラー 駆動アンプ 制御(PLC) #9ミラー レールを外し、モルタルをハツっ て天板をはずしている状態 #57ミラー #58ミラー 駆動アンプ ⑤-2制御(PLC) 更新 #59ミラー 制御パネル 駆動アンプ モーター (2004) (2007) (2007) 注:図中括弧は、製造年を示す 図は、45mでモーターによる制御が行われている項目を表したものである。赤 数字は製造から20年以上すぎている物の製造年である。これらの装置の部品 は、製造中止品がほとんどであり、故障した場合の修理が難しくなっている。 副鏡の駆動アンプとモーターに関しては更新する計画が進んでいるが、その 他の赤数字のシステム(ビームスイッチ、ミリ波較正、ミラー切換)も早急に更 新したい。 C) ホログラフィーの現状 1994年の部分改修では、レール7枚(全30枚)を 調整し、2000年の全面改修は、レール28枚を調 整した。それぞれの改修の前後で、レールの平 面からのズレ(凸凹)が改善している。今回の改 修工事は、2回目の全面改修と同じ内容で進め ているので、凸凹は1mm以下になると想定され、 今後10年以上は問題なく使えると考えている。 レールと天板を外し、その下の コンクリートをはがした状態、 見えているアンカーボルトはこ のまま使う。 D) 副鏡のトラブル 2012/11-‐12 副鏡のX駆動に伴ってYの位置がずれる問題があった。原因は、副鏡駆動 部に取り付けられているクロスLMガイド4台とY駆動用LMガイド1台(図1の 赤印)のボールが破損していたことによる。この結果Y方向はガタガタで位 置の再現性が無かった。これはAZ方向の指向の再現性を不安定にさせて いた。ボールの壊れているLMガイドの交換を行ったことで、Y位置は安定さ せる事が出来た。しかし、破壊の原因はY駆動に関係していると考えられ るので、念の為にY駆動は固定させて運用している。 大雪の前 測定日:2014/1/14 大雪の直後 測定日:2014/2/19 主鏡の骨組みに雪が入っている風 景雪は、ELを傾けた時の地側に多 く入っていた。 除雪した後 測定日:2014/3/4 除雪中の風景 ELを10°にして、下側から骨組みに 入り手作業で雪を外に出した 立ち上げた測定システム (上図)は、干渉計で使わ れていたシーイングモニ ターを流用した物である。 45mでは、冷却HEMT受 信機(H20)の信号をシー イングモニターに入力して いる。この為、H20のホー ンと伝送系を含めた鏡面 変形が測定される。 測定例を中央に示す。こ れは、2014年2月の大雪 で主鏡の骨組みの中に 雪が入った前後の測定で ある。雪の重みで大きく変 形したことが測定出来た。 今後、測定の妥当性と精 度を検証していく予定で ある。 図2. クロスLMガイド 下側のYの位置を制約 するガイドが破損。 図3. 外したLMガイド 少しのボールが残っ ていた 図4. 外に転がっていたボール 錆び付きがひどいので、かなり 前から破損していたと思われる 図1. 副鏡駆動系の構造図(副鏡の裏側から見た図) 赤で示した5カ所のLMガイドのボールが破損し大部分が外に飛び出し ていた。Y方向の位置を制約するLMガイドのみ破損していた。
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