「糖尿病患者の意識と行動」調査

2014 年 2 月 19 日
報道関係各位
~「糖尿病患者の意識と行動」調査『T-CARE Survey』結果発表~
約 7 割の人が合併症への不安を抱え、治療の重要性を認識しているにも関わらず
きちんと治療を続けていない人が 5 割程度
糖尿病患者が継続的に治療を続けるには
様々な側面からの総合的なケア・サポート『トータルケア』が重要に
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、糖
尿病という疾患だけでなく、糖尿病をもつ患者さまへの『トータルケア』の重要性に着目し、2013 年 10
月に糖尿病患者さま 3,437 名を対象に、意識と行動の実態を把握することを目的とした調査『T-CARE
Survey(ティーケア・サーベイ)』を実施しましたので、お知らせいたします。
昨年末に発表された厚生労働省による調査結果によると、
「糖尿病を強く疑われる者」と「糖尿病の可能
性を否定できない者」の合計はすでに 2,050 万人1に達しており、いまや糖尿病は我が国の国民病ともいわ
れています。また、今回の調査結果から、約 7 割の人が合併症への不安を抱え、治療の重要性を認識して
いるにも関わらず、きちんと治療を続けていない人の割合が 5 割程度いることが分かりました。糖尿病は
完治が困難な疾患であることから、糖尿病患者の方々の QOL(Quality of Life:生活の質)の維持と寿命
の確保を目的として、様々な面からのケアや対策が急務とされています。
横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学教授の寺内康夫先生は、今回の調査結果を受
けて、以下のように述べられています。
「糖尿病患者さんの急増を背景に、糖尿病合併症を発症する患者さんが増えています。そのような状況の
中、全身性の慢性疾患である糖尿病の管理では血糖値のみにフォーカスするのではなく、“合併症予防・治
療を念頭においた糖尿病患者さんのトータルケア”が重要です。医師や医療関係者、患者さんの家族や地域
の人々が糖尿病患者さんを様々な形でケア・サポートすることで、よりよい糖尿病診療につながります。」
塩野義製薬は、
『トータルケア』という新たな切り口で、糖尿病患者さま
の QOL 向上に貢献できるよう、
“Risk Care(リスクケア)”
、QOL の維持・
向上をめざす“Lifelong Care(ライフロングケア)”、“ Team Support(チ
ームサポート)
”
、“Community Support(コミュニティサポート)
”の 4 つ
をキーワードとして、さらに本調査の結果を踏まえた情報提供活動に取り組
んでまいります。
※T-CARE とは、
「塩野義製薬が考える“糖尿病患者さまのトータルケア”」を意味する名称です。
1
厚生労働省「平成 24 年国民健康・栄養調査結果」から
≪調査結果概要≫
1.「治療をきっちり実践」しているのは、2 人に 1 人
糖尿病の治療について、
「治療に必要なことはきっちりやっている。」と答えた人は 51.4%と、
「治療をきっ
ちり実践」しているのは 2 人に 1 人に留まっていることがわかりました。
治療に必要なことはきっちりやっている
51.4%
2.患者の心配事は、
「合併症への不安」が上位に
患者の心配事は、
「透析になるのが怖い」、
「網膜症になって失明するのが怖い」
、
「心筋梗塞になるのが怖い」
と合併症への不安が上位を占めました。
糖尿病に対する心配事
透析になるのが怖い
69.7%
網膜症になって失明するのが怖い
68.8%
59.8%
心筋梗塞になるのが怖い
0%
20%
40%
60%
80%
3.「看護師」
、
「薬剤師」
、
「管理栄養士」に「糖尿病疾患」について相談する患者は 3 割以下
患者の「糖尿病疾患」について、医師以外での相談相手は、
「看護師」、
「薬剤師」、
「管理栄養士」の順とな
りました。
糖尿病についての相談相手
27.6%
看護師
24.0%
薬剤師
12.8%
管理栄養士
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
4.糖尿病性神経障害の自覚症状有は、3 人に 1 人。しかし、診断者は 3%程度。
「手足の痛みや痛みを伴うしびれ」を感じる患者は 29.6%いるにも関わらず、糖尿病性神経障害の診断者
は 3.5%と、自覚症状を医師に伝えきれていない現状が明らかになりました。
糖尿病性神経障害の症状・診断者
29.6%
手足の痛みや痛みを伴うしびれ
3.5%
神経障害(診断者)
0%
10%
20%
30%
40%
5.家族のケアが得られていない患者が約 5 割
糖尿病治療において家族が、
「治療やケアに協力してくれる」(56.4%)、「治療やケアを一緒にしてくれる」
(40.3%)と、約半数が家族のケアを得られていない実態が明らかになりました。
治療やケアに協力してくれる
治療やケアを一緒にしてくれる
40.3%
56.4%
6. 「糖尿病になると普通の生活は送れなくなる」というイメージには、糖尿病患者と非糖尿病診断者に大
きなギャップ
「糖尿病になると普通の生活は送れなくなる」という問いに対して、
「そう思う」
「ややそう思う」と答え
たのは、糖尿病患者で 27.3%でした。一方、同時に調査を行った非糖尿病診断者での回答は 42.0%と、両
者の間に大きな差が認められました。
糖尿病になると普通の生活は送れなくなる
42.0%
非糖尿病診断者
27.3%
糖尿病患者
0%
10%
20%
30%
40%
50%
7.モチベーションを高める 8 つの因子が存在することが判明
今回の調査では、治療継続のために重要な治療モチベーションを高めるための因子を検証しました。
「患者
本人が治療の効果を認識・理解すること」
、
「自分の病状を理解すること」といった患者自身の疾患に対す
る意識に加えて、
「医師や家族が自分の気持ちを理解してくれる」といったように、
「医師」
「家族」といっ
た周囲との関係も、モチベーションに影響を与える因子として取り上げられました。
8.調査結果から糖尿病患者を 5 つのタイプに分類
今回の調査では、治療モチベーションに影響を与える因子や、併発疾患の状況といった項目を用いて、糖
尿病患者を 5 タイプに分類し、それぞれのモチベーション向上の視点を分析しました。各タイプは以下の
通りです。
「しっかり治療 模範タイプ」(52.5%)、
「治療に不満タイプ」(14.8%)、
「疾患放置タイプ」(13.2%)、
「すでに重篤化タイプ」(12.6%)、
「医師におまかせタイプ」(6.9%) の計 5 タイプ。
なお、調査結果の詳細データについては(URL)でご確認ください。
http://www.shionogi.co.jp/static/tcare_survey.pdf
【本件に関するお問い合わせ先】
塩野義製薬株式会社 広報部
大阪 TEL:06-6209-7885 FAX:06-6229-9596
東京 TEL:03-3406-8164 FAX:03-3406-8099