2014・15・16年度 内外経済見通し

2014年
10-12月期GDP
2次速報後
改 訂
2014・15・16年度 内外経済見通し
~ 世界経済の回復は勢いを欠くも、日米の成長ペース拡大 ~
2015.3.9
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日本経済 ~ 「トリプルメリット」の追い風、景気は拡大へ
○ 2014年10~12月期の実質経済成長率は2次速報で下方修正されたが、在庫投資が大幅に
下方修正される一方、個人消費が上方修正されており、中身としては悪くない結果に。2015年
1~3月期も景気は緩やかな回復基調を維持。ただし、年度前半の落ち込みで2014年度は
▲1.0%のマイナス成長
○ 2015年度は、雇用環境の改善が続く中、春闘での賃上げも追い風、個人消費が堅調に推移。
①日銀の追加金融緩和に伴う円安・株高、②緊急経済対策などの財政政策、③原油価格の
大幅下落という「トリプルメリット」の下、輸出回復や設備投資の増加も続き、景気拡大。
2015年度の成長率は+2.1%と予測
○ 2016年度は年度後半にかけ消費増税(2017年4月)前の駆け込み需要顕在化。個人消費や
住宅投資の伸びが高まることで、2016年度の成長率は+1.9%と2年連続の高成長を予測
○ 原油価格の大幅下落の影響で、コアCPI前年比(消費税率引き上げの影響を除く)は2015年度
中に一旦マイナス圏に低下。「 2年で2%」のインフレ目標は達成できない見込み。もっとも、賃
上げの動きが広がる中、エネルギー価格等の影響を除く基調的なインフレ率は着実に改善
1
1.2014年10~12月期2次QE概要 ~ 在庫投資が大幅に下方修正
○ 10~12月期の実質成長率(2次速報)は前期比+0.4%(年率+1.5%)と1次速報(前期比+0.6%、年率+2.2%)から下方修正
・ 在庫投資が大幅に下方修正。もっとも、在庫投資の下方修正は昨年末にかけて在庫調整が進んだことを示しており、今後の
景気にとってはプラス材料
・ 個人消費は上方修正されており、今回の2次速報は成長率こそ下方修正されたものの、中身としては悪くない結果
【 10~12月期実質GDP成長率2次QE 】
(前期比・%)
(前期比、%)
3
2014年
1~3
民間設備投資
国内総生産
(前期比年率)
2
実質GDP
成長率
公的需要
(前年比)
国内需要
1
国内民間需要
0
民間最終消費支出
民間住宅
▲1
▲2
民間在庫品増加
公的需要
民間
在庫投資
▲3
政府最終消費支出
公的固定資本形成
家計
(消費+住宅)
▲4
▲5
民間企業設備
外需
財貨・サービスの純輸出
輸出
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 (期)
2012
2013
(資料) 内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成
2014
(年)
輸入
名目GDP
GDPデフレーター(前年比)
4~6
7~9
10~12
1次QE
10~12
1.3
▲ 1.6
▲ 0.7
0.4
0.6
5.1
▲ 6.4
▲ 2.6
1.5
2.2
2.4 ▲ 0.3 ▲ 1.4 ▲ 0.8
1.5 ▲ 2.6 ▲ 0.7
0.2
(1.6) (▲2.7) (▲0.7)
(0.2)
2.2 ▲ 3.6 ▲ 1.1
0.1
(1.7) (▲2.8) (▲0.9)
(0.1)
2.2 ▲ 5.0
0.3
0.5
2.4 ▲ 10.3 ▲ 7.0 ▲ 1.2
5.9 ▲ 5.0 ▲ 0.2 ▲ 0.1
(▲0.5)
(1.4) (▲0.8) (▲0.2)
▲ 0.6
0.5
0.6
0.3
(▲0.2)
(0.1)
(0.2)
(0.1)
▲ 0.3
0.4
0.2
0.3
▲ 2.2
1.1
2.1
0.8
(▲0.3)
(1.1)
(0.1)
(0.2)
6.5 ▲ 0.3
1.5
2.8
6.9 ▲ 5.3
1.0
1.3
1.4
0.3 ▲ 0.9
1.0
0.1
2.2
2.0
2.4
▲ 0.5
0.3
(0.3)
0.4
(0.3)
0.3
▲ 1.2
0.1
(0.2)
0.1
(0.0)
0.1
0.6
(0.2)
2.7
1.3
1.1
2.3
(注)()内は国内総生産への寄与度。
(資料) 内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成
2
2.日本経済見通し ~ 「トリプルメリット」で景気回復。2016年度は駆け込み需要も顕在化
○ 「トリプルメリット」の恩恵の下、経済の好循環が再び回り始め、景気回復。2016年度後半は駆け込み需要も顕在化
・ 2015年度は、原油安の恩恵や日銀の追加緩和に伴う円安・株高もあり、景気拡大。実質成長率は+2.1%と予測
・ 2016年度は、2017年4月の消費再増税を睨み、後半にかけて駆け込み需要が顕在化。実質成長率は+1.9%と予測
【 日本経済見通し総括表 】
2013
2014
2015
2016
年度
実質GDP
内需
2014
7~9
2015
10~12
1~3
4~6
2016
7~9
10~12
1~3
4~6
2017
7~9
10~12
1~3
前期比、%
2.1
▲ 1.0
2.1
1.9
▲ 0.7
0.4
0.7
0.7
0.7
0.5
0.4
0.4
0.6
0.4
0.6
前期比年率、%
--
--
--
--
▲ 2.6
1.5
2.7
2.7
2.6
2.2
1.5
1.5
2.4
1.8
2.5
前期比、%
2.5
▲ 1.5
1.7
1.8
▲ 0.7
0.2
0.6
0.6
0.6
0.5
0.3
0.3
0.5
0.5
0.9
▲ 1.1
0.1
1.0
0.8
0.7
0.6
0.4
0.4
0.6
0.6
1.1
前期比、%
2.3
▲ 2.2
2.3
2.2
個人消費
前期比、%
2.5
▲ 2.9
1.9
1.8
0.3
0.5
0.5
0.5
0.5
0.4
0.3
0.2
0.4
0.6
1.7
住宅投資
前期比、%
9.3 ▲ 11.9
2.3
5.8
▲ 7.0
▲ 1.2
1.8
1.5
1.3
1.1
0.7
0.3
4.2
1.0
1.3
設備投資
前期比、%
4.0
▲ 0.0
3.2
3.3
▲ 0.2
▲ 0.1
1.7
0.8
0.7
0.9
0.8
0.7
0.8
1.0
0.9
在庫投資
前期比寄与度、%Pt
▲ 0.5
0.4
0.2
0.0
▲ 0.8
▲ 0.2
0.2
0.2
0.1
0.1
0.0
0.1
0.0
▲ 0.1
▲ 0.3
民需
前期比、%
3.2
0.8
▲ 0.0
0.5
0.6
0.3
▲ 0.6
▲ 0.1
0.2
0.1
0.0
0.1
0.2
0.2
0.2
政府消費
前期比、%
1.6
0.6
1.0
1.0
0.2
0.3
0.3
0.3
0.3
0.2
0.2
0.2
0.3
0.3
0.3
公共投資
前期比、%
10.3
1.8
▲ 4.2
▲ 1.6
2.1
0.8
▲ 3.9
▲ 2.0
0.1
0.0
▲ 1.0
▲ 0.7
▲ 0.3
0.0
0.2
前期比寄与度、%Pt
▲ 0.4
0.6
0.3
0.1
0.1
0.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
0.1
▲ 0.0
▲ 0.3
輸出
前期比、%
4.7
7.2
6.2
6.3
1.5
2.8
1.1
1.3
1.4
1.5
1.5
1.5
1.6
1.7
1.7
輸入
前期比、%
6.7
2.9
4.1
5.5
1.0
1.3
0.8
0.9
1.0
1.1
1.2
1.1
1.2
1.8
3.0
名目GDP
前期比、%
1.8
1.5
2.8
1.9
▲ 0.9
1.0
1.8
0.5
0.4
0.7
0.5
▲ 0.2
1.0
0.8
0.8
GDPデフレーター
前年比、%
▲ 0.3
2.5
0.8
▲ 0.1
2.0
2.4
3.4
1.3
1.2
0.7
▲ 0.2
▲ 0.7
▲ 0.0
0.2
0.2
前年比、%
0.4
2.1
▲ 0.2
0.5
2.3
2.1
1.3
▲ 0.3
▲ 0.3
▲ 0.3
0.1
0.2
0.5
0.7
0.7
公需
外需
内需デフレーター
(注)網掛けは予測値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成
3
日本:コアインフレ率は一旦マイナス圏に。ただし、基調的なインフレ率はプラスを維持
【 日本経済見通し総括表(主要経済指標) 】
2013
2014
2015
2016
年度
2014
7~9
2015
10~12
1~3
4~6
2016
7~9
10~12
1~3
4~6
2017
7~9
10~12
1~3
鉱工業生産
前期比、%
3.2
▲ 0.4
3.2
4.3
▲ 1.9
1.7
2.3
▲ 0.1
0.8
0.9
0.7
1.0
1.2
1.3
2.2
経常利益
前年比、%
20.9
8.4
12.5
9.3
7.4
12.1
10.8
18.2
17.6
7.7
8.8
7.3
8.6
9.3
11.6
名目雇用者報酬
前年比、%
1.0
1.9
1.7
2.1
2.4
2.1
1.1
1.6
1.8
1.9
1.3
2.1
2.0
2.3
2.1
%
3.9
3.5
3.4
3.3
3.6
3.5
3.5
3.4
3.4
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
3.3
新設住宅着工戸数
年率換算、万戸
98.7
87.9
90.2
95.1
86.1
88.0
88.6
89.5
90.2
90.6
90.9
95.4
95.8
97.1
91.6
経常収支
年率換算、兆円
0.8
7.2
14.7
13.1
2.3
9.9
12.3
13.7
13.5
19.4
12.2
11.0
12.7
18.9
9.9
国内企業物価
前年比、%
1.9
2.7
▲ 1.6
1.0
4.0
2.4
0.1
▲ 2.9
▲ 2.0
▲ 1.4
▲ 0.1
0.8
1.1
1.0
1.0
消費者物価(除く生鮮食品)
前年比、%
0.8
2.8
0.0
1.2
3.2
2.7
2.2
0.1
▲ 0.3
▲ 0.1
0.5
0.8
1.2
1.4
1.4
消費者物価(同上、除く消費税) 前年比、%
0.8
0.9
0.0
1.2
1.2
0.7
0.2
▲ 0.0
▲ 0.3
▲ 0.1
0.5
0.8
1.2
1.4
1.4
消費者物価(除く食料(酒類除く)
前年比、%
及びエネルギー、除く消費税)
0.2
0.5
0.5
0.7
0.6
0.5
0.4
0.5
0.5
0.5
0.5
0.7
0.7
0.8
0.8
0~0.10 0~0.10 0~0.10 0~0.10
0~0.10
完全失業率
無担保コール翌日物金利
%
0.04 0~0.10 0~0.10 0~0.10
0.03
0.07
新発10年国債利回り
%
0.69
0.53
0.44
日経平均株価
円
対ドル為替相場
WTI原油先物最期近物
0.50
0.50
0.65
14,424 16,200 19,400 20,300
15,562 16,705
0~0.10 0~0.10 0~0.10 0~0.10
0.35
0.45
0.50
0.50
18,000 18,900 19,000 19,600
0.60
0.60
0.65
0.65
0.70
19,900 20,100 20,300 20,400
20,500
円/ドル
100
110
123
128
104
115
119
121
123
124
126
127
128
128
129
ドル/バレル
99
81
58
65
97
73
49
55
58
59
60
61
64
66
68
(注)1.網掛けは予測値。実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2.経常利益は法人企業統計の全規模・全産業ベース(金融・保険、電気業を除く)。
3.完全失業率、新設住宅着工戸数、経常収支の四半期は季節調整値。新設住宅着工戸数は月次ベースの季節調整値を四半期平均した値(年率換算値) 。
4.金融関連の指標について、無担保コール翌日物金利は期末値、新発10年国債利回りは月末値の期中平均値、その他は期中平均値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」、経済産業省「鉱工業指数」、財務省「法人企業統計季報」、総務省「労働力調査」、「消費者物価指数」、国土交通省「建築着工統計調査報告」、
日本銀行「国際収支」、「企業物価指数」、「金融経済統計月報」、「外国為替相場」、日本相互証券㈱「主要レート推移」、日本経済新聞、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
4
3.世界経済見通し ~ 2016年にかけて緩やかに拡大
○ 予測対象地域計の成長率は、2015年は前年並みにとどまるも、2016年にかけて高まる見込み
・ 2015年は、米国や日本を中心に先進国の成長率が高まるものの、中国の成長鈍化や資源国の落ち込みが相殺
・ 2016年は、資源安によるブラジルやロシアなどの下押しの圧力が和らぎ、世界全体では成長ペース拡大
【 世界経済見通し総括表 】
(前年比、%)
暦年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
(実績)
(実績)
(予測)
(予測)
(予測)
(前年比、%)
2015年
2016年
(2月予測)
(%ポイント)
2015年
2016年
(2月予測からの修正幅)
3.3
3.3
3.3
3.3
3.6
3.3
3.6
日米ユーロ圏
1.1
1.1
1.5
2.1
2.2
2.2
2.2
米国
2.3
2.2
2.4
3.1
2.8
3.1
2.8
-
-
▲ 0.8
▲ 0.5
0.9
1.3
1.5
1.3
1.5
-
-
1.8
1.6
▲ 0.0
1.2
2.0
1.2
2.0
-
-
6.2
6.1
6.0
6.0
5.9
6.0
5.9
-
-
中国
7.7
7.7
7.4
7.1
6.8
7.1
6.8
-
-
NIEs
2.3
2.9
3.3
3.2
3.1
3.1
3.1
ASEAN5
6.1
5.1
4.6
5.1
5.0
5.1
4.9
-
インド(2011年度基準)
N.A.
6.4
7.2
7.6
7.9
7.6
7.9
-
-
(参考:2004年度基準)
4.8
4.7
5.2
5.6
5.9
5.6
5.9
-
-
オーストラリア
3.7
2.0
2.7
2.2
2.7
2.3
2.7
ブラジル
1.0
2.5
0.0
▲ 0.3
1.0
▲ 0.3
1.0
-
-
ロシア
3.4
1.3
0.6
▲ 4.5
0.5
▲ 4.5
0.5
-
-
日本(年度)
1.0
2.1
▲ 1.0
2.1
1.9
2.1
1.9
-
-
原油価格(WTI,$/bbl)
94
98
93
55
63
54
63
予測対象地域計
ユーロ圏
日本
アジア
-
-
▲ 0.1
0.1
-
-
0.1
▲ 0.1
1
-
-
(注)予測対象地域計はIMFによる2012年GDPシェア(PPP)により計算。予測対象地域計及びアジアを算出する際のインドの数値は2004年度基準を使用。
(資料)IMF、各国統計より、みずほ総合研究所作成
5
(参考)主要国の政治日程
2015年
国際
米国
欧州
日本
4月
5月
6月
9月
10月
12月
IMF・世銀春季総会
アジア開発銀行年次総会
G7首脳会議
国連総会
IMF・世銀年次総会
COP21
3月 債務上限引き上げ期限
5月 英国総選挙
10月 ポルトガル総選挙
12月 スペイン総選挙
4月 統一地方選挙
9月 自民党総裁選
3月 中国全人代
秋 中国5中全会
年末 ASEAN経済共同体(AEC)発足
アジア
2016年
4月
8月
9月
10月
12月
IMF・世銀春季総会
ブラジル夏季オリンピック開催
国連総会
IMF・世銀年次総会
COP22
11月 大統領選挙
年内 アイルランド総選挙
7月頃 参議院選挙
年初め
1月頃
3月頃
4月頃
5月頃
5月
9月
9月頃
秋
年内
年内
タイ上院下院選挙
台湾総統選挙
中国全人代(第13次五カ年計画採択予定)
韓国議会選挙
シンガポール議会選挙
フィリピン総選挙
オーストラリア上院下院選挙
香港議会選挙
中国6中全会
ベトナム共産党大会
インド上院選挙
(資料)各種報道等より、みずほ総合研究所作成
6
【経済予測チーム】
武内浩二
・米国/欧州経済
小野 亮
山崎 亮
吉田健一郎
・アジア経済
宮嶋貴之
玉井芳野
・日本経済
徳田秀信
大和香織
風間春香
坂中弥生
齋藤 周
松浦大将
・原油/為替
井上 淳
・金融市場
野口雄裕
大塚理恵子
(全体総括)
03-3591-1244
[email protected]
(総括)
(米国)
(欧州)
03-3591-1219
03-3591-1289
03-3591-1265
[email protected]
[email protected]
[email protected]
(総括)
(中国)
03-3591-1434
03-3591-1367
[email protected]
[email protected]
(総括)
(外需)
(政府・物価)
(企業)
(雇用・消費)
(住宅)
03-3591-1298
03-3591-1284
03-3591-1418
03-3591-1242
03-3591-1283
03-3591-1435
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
03-3591-1197
[email protected]
03-3591-1249
03-3591-1420
[email protected]
[email protected]
(国内金利)
(内外株式)
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