2010年に基本構想を発表したものの、地域住民の反対でいったん暗礁に 乗り上げた大手前開発が、再び動き出した。同開発の方向性について話し合 う大手前開発基本計画協議会(冨高国子会長)が先ごろ、佐伯市に提案する 大手前開発基本計画の提案書案をまとめており、これを受けて市は、市議会 への議案提出など必要な手続きを経て、年度内にも基本計画としたい考え。 一時は住民を巻き込んだ論争に発展した大手町開発だが、今後は実施段階 に入っていく。 は、敷地面積は約1・4㌶とされ、 とで 億円と見積もられていた。 ここまで順調だった同再開発の 前途に、暗雲がたれ込め始めたの 8棟が火事で焼け、焼け跡も撤去 は隣接する大手前商店街の店舗 部分が 当初4階とされていたマンション 仕様を決める基本設計の段階で、 が2年前。再開発上の具体的な されてさら地のまま放置されたこ 事業費も約 億円上乗せされた 階に書き換えられ、総 とから、再開発の気運が高まって を受けて再開発事業に取り組む の再 開 発を盛り込み、国の補助 そこで市は、改 正中心市 街 地 活性化の基本計画に大手前地区 いた。 人の署名が集まったことから、市 票条例の制定を要望する約2万 きだ」という声が上がり、住民投 の是非について住民投票を行うべ ことから、一部住民から「再開発 10 13 はされなかったものの、西嶋泰義 ことにした。これが 年度のこと。 側もこれを重視。条例案の議決 その前年に発 表した基本 構想で 10 82 Zaikai Kyushu / FEB.2015 施設は公共施設(延べ床 面積 約 4100平方㍍) 、店舗・住宅(同 約3100平方㍍) 、立体駐車場 (同約5800平方㍍)などを建 設するほか、約4000平方㍍の 広場も設けることになっていた。 また、施設 内には行政の出 先 機関や多目的ホール、会議室など を設置するほか、商業施設も入る ことになっており、総事業費は約 億円と同市にとっては一大プロ 本整備交付金や合併特例債など 地域住民の反対運動で 凍結の憂き目から復活 佐伯市の中心部に位置する大 手町区で民間主導による再開発 充て、さらに保留床も売却するこ も前のこと。 年、大手スーパー 店街の核だった店舗が閉鎖、 年 に解体されたことに加え、 年に 05 08 10 10 寿屋の経営破たんに伴い、中心商 02 負担額は、国土交通省の社会資 話が持ち上がったのは、 年以上 ジェクト。ただし、市の実質的な 50 年度内にも 〝基本計画〟 の策定へ着手 年度内に基本計画が 策定される見込みの大 手前開発 佐伯市 「中心市街地開発」 大きく前進 大分 大手前開発のイメージ 一度は移転も検討された 佐伯商工会館 を決めた。 市長は「いったん凍結する」こと 設を整備するというもの。ホール 広場、バスターミナルの3つの施 行い、今年度内に基本計画とし、 ク・コメントなど必要な手続きを 年度には実 の規模は、老朽化が進んでいる佐 施設計を策定して、早ければ 年 度の完成を目 度に基本設計、 といっても、市としては全く再 開発をあきらめたわけでもなかっ 年 度に着工、 る一方、 学識経験者9人による「新 開発計画市民会議」を発足させ 公募で選ばれた 人で「新大手前 ジュール案をまとめた。市民から 計画の策定に向けた手続き、スケ 年6月に新たな基本構想と基本 とを踏まえ、再度市民の合意を得 市民の合計形成が不十分だったこ の大手 前停留所を移 設し、五叉 放する。バスターミナルは、現在 りなどイベントができるように開 展示室などを設置、広場は春祭 一部にあることから、今後の協議 文化会館の代替施設とする案も 1つ積み残された問題に、商工会 から要望があった子育て支援施設、 提案書案が基本計画に格上げさ の中で収容数が増減する可能性 議所の移転問題がある。 特産品販売所、図書館、学習室、 れるのはほぼ間違いないが、もう もある。複 合施設は、市民 会 議 佐伯商工会館が完成したのは 年で、建て替えの時期に差し掛 とから、よほどのことがない限り、 民参加による合意形成を行ったこ 今回は、計画凍結から1年間、市 指す」と青写真を描いている。 るべく県とともに準備を進め、 大手前開発計画協議会」を立ち 伯文化会館の建て替えも念頭に た。市は、基本計画の策定の際に、 800席が想定されているが、同 17 16 上がったのが今回の基本計画の提 市民会議は全8回、協議会は 全9回の会議を行った結果、出来 映させるようにした。 位 置づけで、総 事 業 費は概 算で に対して、今回は公共工事という ちなみに、前の計画が、地権者 による市街地再開発事業だったの け替える。 路に面して複雑なバス入り口を付 ることを提案していただが、保留 留床(約800平方㍍)を買い取 経緯があり、市も再開発ビルの保 討委員会をさせ議論を進めていた 商議所内で新商工会館の建設検 とから、前回の基本構想の際には、 かっており、駐車場も不十分なこ る。中心市街地活性化基本法に り、市の実質負担は2〜3割にな からの交付金などで賄うことにな の提供をするかしなければならず、 工会館を処分するか、会員に資金 床を買い取るためには、現在の商 年度末、 判断を先送りしてきた経緯がある。 また合併特例債の期限も は、 「現在も検討委は存続してい 基づく交付金の期限は 提案書案の基本コンセプトは、 「いつでも気楽に集まれる憩いの まで延長されており、辛くも間に 20 14 年度 (長峯 泰介) 討していない」と話している。 この件について、同商工会議所で 場所」「佐伯ブランドの発信拠点」 るが、大手前への会館移転は、検 市民参加の意見集約で 開発の方向性を再検討 63 案書案だ。 億円。このうち、7〜8割を国 上げ、市民の声を開 発計 画に反 13 合った格好だ。 などで、市が保 有する旧寿 屋跡 市まちづくり推進課では、 「市 地(約7000平方㍍)を中心と したエリアに、ホール・複合施設、 議会などへの議案提出やパブリッ Zaikai Kyushu / FEB.2015 83 20 15 74 76
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