選 考 委 員長 講 評 豊田合成株式会社 愛知環境賞 連絡先 特別賞 Aichi Environmental Award 2015愛知環境賞 選考委員会委員長 受賞 の ポイント 架谷 昌信 豊田合成株式会社 http://www.toyoda-gosei.co.jp/ 清須市春日長畑1番地 052- 400 -1055 省エネルギー(低炭素)社会の実現に向けた 青色LEDの事業化 青色LEDの事業化・量産化に成功し、低消費電力・長寿命の特長を有するLEDを世界的に普及させるとともに、我が 国にノーベル物理学賞をもたらすことにも側面的に貢献したことは、省エネルギー社会の発展に大きく寄与するもの と高く評価された。 概要 2005年から愛知環境賞の選考委員会委員長を務めさせていただき、早いもので今回で11回目 となりました。今回は46件の応募がありましたが、 「 技術・事業」 及び 「活動・教育」 の両部門とも 例年以上にレベルが高いものが多く、厳正な審査の結果、金賞2件、銀賞、銅賞、中日新聞社賞、 名古屋市長賞各1件、そして優秀賞8件のあわせて14件の表彰を決定しました。これは、 10周年 の前回と同じ過去最多の件数となります。さらに、今回の選考委員会では、 ノーベル物理学賞の LEDは小型、低消費電力、長寿命といった特徴を有するため近年では パソコンやスマートフォンなどに用いられる液晶バックライトや照明の 光源において急速にLED化が進むなど、ますます、その適用分野が広 がり、社会から 「LED=省エネ」 と期待されています。 当社は本年度ノーベル賞を受賞されました赤﨑教授、天野教授のご指導 受賞対象となった青色LEDの事業化に成功した豊田合成㈱に対して特別賞を授与することも のもと1986年から青色LEDの研究を開始し世界で初めて開発に成功、 満場一致で決定しました。受賞されました皆様方に対しては、心からお祝いを申し上げます。 1995年には事業化を開始しました。青色LEDを活用した当社のLEDは また、残念ながら、今回は選外となった事例についても、その取組内容については大いに評価で 世界トップレベルの性能を有し、今後も高輝度、高効率等にさらに磨き きるものが多数あり、今後、さらに創意工夫を重ねられ、実績を積まれた上で、またご応募いた をかけ省エネルギー (低炭素)社会の実現に向け貢献して参ります。 青色 LED だければ幸いです。 毎年の応募内容を見ると、その時々の時代の世相を感じ取ることができます。総じて言えば、 先駆性・独創性 近年は、環境に関する取組を企業の利益につなげていく、経済活動と環境活動とが一体化した 取組が顕著に増加してきていると感じています。多くの企業では、生産プロセスにおける省エネ 化や省資源化、 そして製品の環境性の向上などにより、 環境負荷の低減とコスト縮減を同時に達成 することを目標としており、同時に、 こうした取組を外部に積極的に発信する企業も増えています。 かつては、環境活動と企業の経済活動は相反する面も多かったのですが、最近は、大企業ばかり 照明用途の他に IT、車載、医療、植物育成など様々な分野で開発 ①照明分野…蛍光灯、電球、ダウンライト、スポットライトなどさまざまな照明光源や用途に合わせた製品を量産して います。これにより、店舗、街路灯、一般照明まで幅広く採用されています。 ②IT分野…急速に普及が進むスマートフォンやタブレットPCといったタッチパネル式のIT機器は画面に保護シート でなく、中小企業でも環境負荷低減に資する技術や取組を生産や流通の過程に組み込んでいる が施されているためバックライト光源も一般パソコンより更に高輝度なLEDがもとめられ、当社では高輝度と低消費 ケースが多く、 こうした傾向は、国民の生活スタイルや日本の社会システムにも好影響を及ぼし 電力を両立させた高効率LEDを量産しています。 ています。 ③自動車分野…1台のクルマには数十点の照明部品が搭載されています。これらをLED化することによって 「長寿命」 1970年のいわゆる公害国会において公害防止に関する法令の抜本的な整備がなされてから、 「低燃費(重量レス)「 」 デザインの自由度アップ」など多くの効果が期待でき、当社では様々な車載用LEDを量産 しています。 企業や団体が様々な努力を積み重ねた結果、 日本では、 かつてのような甚大な公害問題は、今日、 見られなくなりました。 しかし、海外に目を向けると、 まだまだ開発途上国などでは、工場・自動車 等による大気汚染、生活排水による水質汚染、有害廃棄物の投棄による土壌汚染などの公害が 環境負荷低減効果(例) 極めて深刻な状況に陥っており、 これらの問題を抜本的に解消するためには、自国の努力はもと より、先進国からの環境技術の供与が不可欠な状況となっています。今回の環境賞の応募事例 の中には、エネルギー使用の効率化や排水の浄化、廃棄物の再利用化等を促進する先進的な 普及・啓発活動として当社の社内照明のLED化を推進 ①2011年度から5年計画を3年に前倒しして、現在設置してある ②2013年度から計画的に現在設置してある国内全事業所の 環境技術が数多く含まれております。わが国のものづくりの中心である愛知県において、 こう 国内全事業所の蛍光灯約7万本をLED照明に切り替えCO 2 水銀灯などの高天井照明約3000台をLED照明に切り替え した取組が日々行われていることは誠に喜ばしいことです。今後はこれらの優れた環境技術が 排出量を1,810t-CO 2 /年削減しました。 CO 2 排出量を1,700t-CO 2 /年削減する予定です。 国内だけでなく、広く世界に普及していくことを願ってやみません。そして、これらの技術を 最後になりましたが、 2015愛知環境賞に応募いただいた企業・団体の皆様、選考に携わって いただいた有識者の方々、さらには表彰式等の運営に関わっていただいた経済界の皆様方に CO2 約 30% 削減 蛍光灯 LED CO2 排出量 愛知環境賞が担う役割の一つであると考えています。 排出量 携えた愛知県の環境ビジネスが、国境を越えて全世界に羽ばたけるよう後押ししていくことも、 約 60% 削減 水銀灯 LED 心から感謝申し上げます。 2015年2月 蛍光灯型LED照明 5 2015 愛知環境賞 稲沢工場 高天井LED照明 平和町工場 2015 愛知環境賞 6
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