2015年2月16日(No.3755) お客様用資料 岡三証券 グローバル金融調査部 鈴木 誠 Okasan Bond Report ~20年国債入札見通し~ <5年国債入札低調で売りが優勢に> 先週末の債券相場は、注目された5年国債の入札が低調な結果になったことで、 売りが優勢になった。下値では投資家の押し目買いも見られたが、今週の20年国 債入札への警戒感も強く、積極的な買いは手控えられた。現物債は各年限で利回 りの上昇が続き、10年国債利回りは0.415%(前日比+0.015%)で取引を終えた。 OKASAN SECURITIES CO.,LTD Global Monetary Research Dept. <米、独10年国債利回りは上昇> 先週末の米債券相場は、ギリシャ問題やウクライナ情勢への警戒感が和らぎ、 米国債への安全資産需要が減少したことで売りが優勢になった。欧米株式相場の 上昇が続くなかで、米10年国債利回りは2.05%(前日比+0.07%)に上昇した。 欧州債券市場では、景気の先行きに楽観的な見方が広がったことで、高格付け国 債は上値の重い展開になった。一方、ギリシャ問題への警戒感が後退したことで、 イタリア、スペインなど南欧諸国の10年国債利回りは低下した。独10年国債利回 りは0.342%(前日比+0.023%)で取引を終えた。 <今週も上値の重い展開が続こう> 先週末に行われた5年国債入札も低調な結果となり、相場の下値不安は払拭され なかった。1月の20年国債入札をきっかけに利回りの上昇基調が続いているが、今 週も下値模索の展開が続こう。日銀の国債買入れオペや投資家の押し目買いが予 想されることで大幅な利回り上昇は見込みづらいが、積極的な買い材料もあまり 見当たらず、今週も相場の上値は重くなろう。 今週まず注目されるのは、16日に発表される昨年10-12月期の実質GDP(1次 速報値)になろう。消費増税の影響で14年度は2四半期連続のマイナス成長になっ たが、10-12月期は前期比年率で3%を上回る成長が予想されている。原油価格の 下落を受けて来年度の国内経済は緩やかな回復が見込まれており、上値追いには 投資家もやや慎重になろう。ただ、しばらくは物価の鈍化基調が見込まれること で、大幅な利回り上昇にはつながらないだろう。 17-18日には日銀の金融政策決定会合が予定されている。原油価格下落による 物価の鈍化が見込まれることで、市場では根強い追加緩和への期待が残っている が、日銀はしばらく今後の景気動向を見極める姿勢を維持しよう。今回の会合で は現状の金融政策維持が決定されようが、債券市場では今回の会合での政策変更 期待はほとんどないと思われ、相場への影響は限られよう。 国債入札では17日に予定されている20年国債の入札結果が注目されよう。先週 から既に警戒感は強まっているが、前月の入札時から利回りは大きく上昇してお り、下値では投資家の押し目買いが期待できよう。一時的な相場の波乱要因にな る可能性はあろうが、利回りを大きく上昇させる材料にはならないだろう。 最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。 1 OKASAN SECURITIES CO.,LTD Global Monetary Research Dept. 日銀の国債買入れオペは、16日、20日の2回になろう。20年国債入札直後にオ ペがないことは懸念されるが、引き続き需給面から相場を支えよう。 海外市場では、引き続きギリシャ問題の動向に世界の金融市場が左右されよう が、しばらくは投資家も積極的には動きづらい状況が続こう。米国では18日に発 表される1月27-28日に行われたFOMC議事要旨が注目されるが、来週にはイエレ ンFRB議長の議会証言を控えており、米債券相場の方向性も定まらないと思われ る。 本日の債券相場は、先週末の米国市場の株高、債券安を受けてやや軟調に推移 しよう。20年国債入札への警戒感も上値を抑える要因となろうが、日銀の国債買 入れオペが下値を支えよう。やや軟調ながら狭いレンジでのもみい合いが続き、 相場の方向感は定まらないと思われる。 今週の予想レンジ:2015/3月限月 146.70~147.40円 新発10年国債利回り 0.370~0.440% 本日の予想レンジ:2015/3月限月 146.80~147.20円 新発10年国債利回り 0.390~0.430% Chart (%) 新発10年国債利回り一目均衡表(日足) 0.70 作成:岡三証券 2015年2月13日まで 0.60 0.50 0.40 0.30 0.20 0.10 7月1日 基準線 転換線 遅行スパン 先行スパン上限 先行スパン下限 9月1日 11月5日 15年1月13日 2 20年利付国債入札見通し ~超長期国債には根強い需要があろう~ (2015年2月17日実施、償還日:2034年12月20日) ◇投資戦略 積極的に上値を追う材料も見当たらず、相場の調整局面が続いているが、日銀 の国債買入れオペが続くなど、良好な需給環境に変化はないだろう。20年国債利 OKASAN SECURITIES CO.,LTD Global Monetary Research Dept. 回りも一時1.0%を下回る水準まで買い進まれたが、現状の利回り水準であれば投 資家の需要は見込めよう。ただ、目先は利回りの低下も見込みづらく、今回も必 要に応じて押し目買いを検討する程度にとどめたい。 ◇今回の入札環境 ・先週の5年国債入札もやや低調な結果になるなど、中短期国債の利回り上昇が続 いている。ただ、10年国債利回りが0.5%以下で推移するなかで、利回りが1%を 上回る国債への需要は根強いだろう。 ・公的年金の国債売りが続いていることや、30年、40年国債の増発が意識されるこ とから、しばらく超長期国債の上値は重くなろう。年度末を控えて利益確定売り や、戻り売りが利回りの低下を抑えよう。 ・今回の新発債は、昨年12月債との銘柄統合(リオープン)となり、クーポンは 1.2%になる。アンダーパーでの発行が予想されることで、幅広い投資家からの 需要が見込まれ、無難に消化されよう。 20年国債の入札結果 クーポン 応札額 落札額 % 億円 億円 平均落札利回り 最高落札利回り 応札倍率 テール 入札日 回号 2014年8月19日 149R 1.5 39,539 10,913 1.342 1.343 3.62 2 2014年9月17日 150 1.4 42,506 10,922 1.435 1.438 3.89 5 2014年10月21日 150R 1.4 39,119 10,899 1.318 1.323 3.59 8 2014年11月18日 150R 1.4 31,583 10,976 1.276 1.301 2.88 41 2014年12月18日 151 1.2 40,837 10,993 1.145 1.150 3.71 8 2015年1月22日 151R 1.2 35,684 10,951 0.905 0.912 3.26 11 % % 倍 銭 出所:財務省、R:リオープン 3 ◇投資家の押し目買いが続こう ・相場の調整局面が続いているが、良好な需給環 境を背景に利回りの上昇は限られよう。3月に は国債の大量償還も控えており、投資家の押し 目買い姿勢に変化はないだろう。 (%) 20年国債利回り推移 2.6 作成:岡三証券 2015年2月13日まで 2.4 2.2 2.0 1.8 OKASAN SECURITIES CO.,LTD Global Monetary Research Dept. 1.6 ・20年国債も一時1.0%を下回る水準まで買い進 まれた。中短期国債利回りの上昇が続いている ことで、利回りの低下はすぐには見込みづらい が、利回り水準の魅力は高まっている。 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 02年 04年 06年 08年 10年 12年 14年 ◇外国人の買いは期待できよう ・利回りが上昇したことで、これまでやや慎重 だった生保などの買いも期待できよう。上値を 積極的に追う環境ではないが、下値では国内投 資家の需要は増加しよう。 2014年度の国債投資家別売買差額 (超長期国債) (兆円) 4.0 出所:日本証券業協会「国債投資家別売買高」 2014年4月~12月の累計 3.0 2.0 1.0 ・国内投資家のやや慎重な姿勢は続こうが、今年 0.0 度は外国人の買いが目立っている。欧州債券利 回りの低下や、世界経済の先行き不透明感から、-1.0 -2.0 外国人の日本国債買いはしばらく続こう。 ◇利回り差は0.7%台が落ち着きどころに ・日銀の追加緩和を受けて、20年国債と10年国債 の利回り差は一時0.7%を下回った。相場が落ち 着きを取り戻せば、利回り差は0.7%台を中心に 推移しよう。 ・相場全体の不安定な動きが続いているが、下値 での投資家の押し目買いは徐々に強まろう。利 回り差がさらに大きく拡大する可能性は低いと 思われる。 ◇利回り低下はしばらく見込みづらいだろう ・世界経済の減速懸念など、先行きの不透明感は 残っており、相場の下値は徐々に固まろう。た だ、足元の利回り上昇を受けて、積極的に上値 を追う動きは限られよう。 ・30年、40年国債の増発や、公的年金の国債売却 への警戒感は今後も続こう。投資家からの下値 での需要は続こうが、上値は戻り売りや利益確 定売りに抑えられよう。 都市銀行 地方銀行 信託銀行 農林系 第二地銀 信用金庫 生損保 (%) 外国人 国債利回り差の推移(20年-10年) 1.1 作成:岡三証券 2015年2月13日まで 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 09年4月 (%) 11年4月 13年4月 15年4月 新発20年国債のクーポン推移 2.6 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 出所:財務省 2015年1月債まで 02年 06年 09年 12年 15年 4 年月 手数料およびリスクについての重要な注意事項 <有価証券や金銭のお預りについて> 株式、優先出資証券等を当社の口座へお預けになる場合は、1年間に3,240円(税込み)の口座管理料を いただきます。加えて外国証券をお預けの場合には、1年間に3,240円(税込み)の口座管理料をいただき ます。ただし、当社が定める条件を満たした場合は当該口座管理料を無料といたします。 なお、上記以外の有価証券や金銭のお預りについては料金をいただきません。さらに、証券保管振替機 構を通じて他社へ株式等を口座振替する場合には、口座振替する数量に応じて、1銘柄あたり6,480円(税 込み)を上限として口座振替手続料をいただきます。 お取引にあたっては「金銭・有価証券の預託、記帳及び振替に関する契約のご説明」の内容を十分にお 読みいただき、ご理解いただいたうえでご契約ください。 <株 式> 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700円を 下回った場合は2,700円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242% (税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支 払いいただきます。 外国株式の海外委託取引には、約定代金に対し、最大1.35%(税込み)の売買手数料をいただきます。外 国株式の国内店頭(仕切り)取引では、お客様の購入および売却の単価を当社が提示します。この場合、 約定代金に対し、別途の手数料および諸費用はかかりません。 ※外国証券の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における売買手数料および公租公課その他の賦 課金が発生します(外国取引に係る現地諸費用の額は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定 されますので、その合計金額等をあらかじめ記載することはできません)。外国株式を募集等により購 入いただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ・株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって 損失が生じるおそれがあります。 ・株式は、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、 株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。 ・また、外国株式については、為替相場の変動によって、売却後に円換算した場合の額が下落することに よって損失が生じるおそれがあります。 <債 券> 債券を募集・売出し等により、または当社との相対取引により購入いただく場合は、購入対価のみを お支払いいただきます。 ・債券は、金利水準、株式相場、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による債券価格の変動によっ て損失が生じるおそれがあります。 ・債券は、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、 債券価格が変動することによって損失が発生するおそれがあり、また、元本や利子の支払いの停滞もし くは支払い不能の発生または特約による元本の削減等のおそれがあります。 ・金融機関が発行する債券は、信用状況の悪化により本拠所在地国の破綻処理制度が適用され、債権順位 に従って元本や利子の削減や株式への転換等が行われる可能性があります。ただし、適用される制度は 発行体の本拠所在地国により異なり、また今後変更される可能性があります。 <個人向け国債> 個人向け国債を募集により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。個人向け国債 を中途換金する際は、次の計算によって算出される中途換金調整額が、売却される額面金額に経過利子を 加えた金額より差し引かれます(直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685)。 ・個人向け国債は、安全性の高い金融商品でありますが、発行体である日本国政府の信用状況の悪化等に より、元本や利子の支払いが滞ったり、支払い不能が生じるおそれがあります。 <転換社債型新株予約権付社債(転換社債)> 国内市場上場転換社債の売買取引には、約定代金に対し、最大1.08%(税込み)(手数料金額が2,700円 を下回った場合は2,700円(税込み))の売買手数料をいただきます。転換社債を募集等によりご購入い ただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。転換社債は転換もしくは新株予約権の行使対象株 式の価格下落や金利変動等による転換社債価格の下落により損失が生じるおそれがあります。また、外貨 建て転換社債は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 <投資信託> 投資信託のお申込みにあたっては、銘柄ごとに設定された費用をご負担いただきます。 ・お申込時に直接ご負担いただく費用:お申込手数料(お申込金額に対して最大3.78%(税込み)) ・保有期間中に間接的にご負担いただく費用:信託報酬(信託財産の純資産総額に対して最大年率 2.2312%(税込み)) ・換金時に直接ご負担いただく費用:信託財産留保金(換金時に適用される基準価額に対して最大0.5%) ・その他の費用:監査報酬、有価証券等の売買にかかる手数料、資産を外国で保管する場合の費用等が必 要となり、商品ごとに費用は異なります。お客様にご負担いただく費用の総額は、投資信託を保有され る期間等に応じて異なりますので、記載することができません(外国投資信託の場合も同様です)。 ・投資信託は、国内外の株式や債券等の金融商品に投資する商品ですので、株式相場、金利水準、為替相 場、不動産相場、商品相場等の変動による、対象組入れ有価証券の価格の変動によって基準価額が下落 することにより、損失が生じるおそれがあります。 ・投資信託は、組入れた有価証券の発行者(或いは、受益証券に対する保証が付いている場合はその保証会 社)の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等による、対象組入れ有価証券の価格 の変動によって基準価額が変動することにより、損失が生じるおそれがあります。 ・上記記載の手数料等の費用の最大値は今後変更される場合があります。 <信用取引> 信用取引には、約定代金に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700円を下回った場合は2,700円 (税込み))の売買手数料、管理費および権利処理手数料をいただきます。また、買付けの場合、買付代 金に対する金利を、売付けの場合、売付株券等に対する貸株料および品貸料をいただきます。委託証拠金 は、売買代金の30%以上で、かつ300万円以上の額が必要です。信用取引では、委託証拠金の約3.3倍まで のお取引を行うことができるため、株価の変動により委託証拠金の額を上回る損失が生じるおそれがあり ます。 ○平成49年12月までの間、復興特別所得税として、源泉徴収に係る所得税額に対して2.1%の付加税が課税 されます。 ○金融商品は、個別の金融商品ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なりま す。当該金融商品の取引契約をされる場合、その金融商品の「契約締結前交付書面」(もしくは目論見 書)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご契約く ださい。 ○この資料は岡三証券が信頼できると判断した情報に基づいて作成されたものですがその情報の正確性、 完全性を保証するものではありません。また、資料中の記載内容、数値、図表等は、本資料作成時点の ものであり、事前の連絡なしに変更される場合があります。なお、本資料に記載されたいかなる内容も 将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の 判断と責任でなされるようお願いいたします。 ○岡三証券およびその関係会社、役職員が、この資料に記載されている証券もしくは金融商品について自 己売買または委託売買取引を行う場合があります。 ○自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあり ます。 岡三証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第53号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 (平成26年10月改訂)
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