ウナギの産卵生態の解明 ○塚本勝巳(日本大学), 三輪哲也・福場辰洋(海洋研究開発機構)・渡邊 俊・Michael J. Miller (日本大学)・沖野龍文(北 海道大学)・岡村明浩(いらご研究所)・佐藤優太(芝浦工業大学)・丸山奏子・水品亜由菜(北海道大 学)・坂本洋平・樋口貴俊・加来剛・竹内綾・宮尾萌莉(日本大学) ウナギの生態研究はすでに新しいフェーズに入った。1970 年代初頭から始まった産卵場調査は、マ リアナ沖における 2008 年の親ウナギ捕獲と 2009 年のウナギ卵採集成功によって完全に幕が引かれた。 その後は、2012 年よこすか航海と 2013・2014 年のなつしま航海を通じて、産卵生態解明の手がかりが 得られつつある。その過程で開発した UNA-CAM システムは(図 1 と 2, Fukuba et al. 2015)、ウナギ 目魚類(クビナガアナゴ)の撮影に成功した。また Deep Tow によるニホンウナギらしき映像の撮影 (Tsukamoto et al. 2014)、ポップアップタグを装着したウナギによる産卵前後の行動記録の取得(図 3)、魚群探知機によるウナギ画像の確認、なつしま船上の ORI ネット曳網によるウナギ卵の採集成功 (図 4)など、着々と成果が挙がっている。現在は、内部潮汐、地磁気異常、海底地形の微細構造解析、 カルマン渦形成状況などの物理環境条件と実際に産卵の起こる特異点の関係を検討している(図 4)。 さらに次の航海(NT15-X)では、最新の環境 DNA 解析法を導入することで、産卵地点をピンポイント で絞り込み、世界初の産卵行動の観察記録を行って、ウナギ産卵生態の完全解明を目指している。 図 1 UNA-CAM システムの囮ウナギ データ(水深・水温) 図2 UNA-CAM システム 明瞭な日周鉛直移動が認められた 図4 図 3 ポップアップタグで取得された親ウナギの行動 NT14-09 で得られたウナギ卵とプレレプトセァルスの採集 地点,および過去の親ウナギ捕獲地点(水産庁開洋丸 2008, 2009)と卵採集地点(白鳳丸 2009, 2011, 2012)
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