. 第 4 章多変量確率変数 . 宮﨑憲治 2014 年前期 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 1 / 20 Outline 1. 二次元確率ベクトル 2. 多変量確率変数 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 2 / 20 おしらせ 講義資料: http://www.t.hosei. ac.jp/~miya_ken/shutodai/ miya と ken の間はアンダーバー (_). しばらく授業内で電卓使用. スマ ホや携帯も使っても OK. (ただし, 本番の試験では使用不可) 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 3 / 20 離散型 2 つの離散型確率変数 X, Y について, それぞれ X = x1 , . . . , xr , Y = y1 , . . . , yc をとり, X = xi , Y = yj であるときの確率を pij = p(xi , xj ) = P(X = xi , Y = yj ) とあらわす, pij や p(xi , yj ) を同時分布の同時確率関数という. X と Y それぞれ単独の分布を周辺分布といい, 周辺分布の確率関 数を周辺確率関数といい, 次のように表す: pi· = p1 (xi ) = P(X = xi ) = p·j = p2 (yj ) = P(Y = yj ) = c ∑ j=1 r ∑ p(xi , yj ) p(xi , yj ) i=1 周辺確率関数を使って期待値と分散が求められる. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 4 / 20 離散型 確率関数を表にまとめたものを確率分布表という. x1 x2 .. . xr ∑r ∑c i=1 j=1 pij 宮﨑憲治 = 1, y1 p11 p21 .. . y2 p12 p22 .. . ··· ··· ··· yc p1c p2c .. . p1· p2· .. . pr1 p·1 pr2 p·2 ··· ··· prc p·c pr· 1 ∑r i=1 pi· = 1, ∑c j=1 p·j 第 4 章多変量確率変数 =1 2014 年前期 5 / 20 同時ベルヌーイ分布 次の同時確率関数および周辺確率関数を考える. P(X, Y) Y=0 Y=1 P(X) X=0 0.2 0.1 0.3 X=1 0.6 0.1 0.7 P(Y) 0.8 0.2 1 確率変数 X の期待値は E[X] = 0 × P(X = 0) + 1 × P(X = 1) = 0.7 で, 分散は V[X] = E[X](1 − E[X]) = 0.21 である. 確率変数 Y の期待値は E[Y] = 0 × P(Y = 0) + 1 × P(Y = 1) = 0.2 で, 分散は V[Y] = E[Y](1 − E[Y]) = 0.16 である. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 6 / 20 離散型 同時確率関数が周辺確率関数の積 p(xi , yj ) = p1 (xi )p2 (yj ) = pi· p·j で表せるとき, X と Y は独立であるといい, 独立でないとき従属で あるという. X と Y が独立でないとき, Y = yj を与えたときの X の 条件付き確 率関数p1 (xi |yj ) と, X = xi を与えたときの Y の条件付き確率関数 p2 (yj |xi ) を次式で定義する: p1 (xi |yj ) = p(xi , yj ) , p2 (yj ) p2 (yj |xi ) = p(xi , yj ) p1 (xi ) 条件付き平均E[X|Y = yj ], E[Y|X = xi ] をそれぞれ次式で定義する. E[X|Y = yj ] = r ∑ xi p1 (xi |yj ), E[Y|X = xi ] = i=1 宮﨑憲治 c ∑ yj p2 (yj |xi ) j=1 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 7 / 20 条件付き確率と期待値 前の例と同じ確率分布表を考える. P(X, Y) Y=0 Y=1 P(X) X=0 0.2 0.1 0.3 X=1 0.6 0.1 0.7 P(Y) 0.8 0.2 1 条件付き確率 P(X|Y) は以下の表にまとめられる. P(X|Y) Y=0 Y=1 X=0 0.2/0.8=1/4 0.1/0.2=1/2 X=1 0.6/0.8=3/4 0.1/0.2=1/2 条件付き期待値は, E[X|Y = 0] = 0 × P(X = 0|Y = 0) + 1 × P(X = 1|Y = 0) = 3/4, E[X|Y = 1] = 0 × P(X = 0|Y = 1) + 1 × P(X = 1|Y = 1) = 1/2 で ある. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 8 / 20 条件付き確率と期待値 前の例と同じ確率分布表を考える. P(X, Y) Y=0 Y=1 P(X) X=0 0.2 0.1 0.3 X=1 0.6 0.1 0.7 P(Y) 0.8 0.2 1 条件付き確率 P(Y|X) は以下の表にまとめられる. P(Y|X) Y=0 Y=1 X=0 0.2/0.3=2/3 0.1/0.3=1/3 X=1 0.6/0.7=6/7 0.1/0.7=1/7 条件付き期待値は, E[Y|X = 0] = 0 × P(Y = 0|X = 0) + 1 × P(Y = 1|X = 0) = 1/3, E[Y|X = 1] = 0 × P(Y = 0|X = 1) + 1 × P(Y = 1|X = 1) = 1/7 で ある. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 9 / 20 連続型 X, Y がともに連続型の確率変数で, 同時確率が ∫ P(a < X ≤ b, c < Y ≤ d) = b∫ d f(x, y)dxdy a c と書けるとき, f(x, y) を同時密度関数という. X, Y それぞれの密度関数 f1 (x), f2 (y) を周辺密度関数という. ∫ ∞ ∫ ∞ f1 = f(x, y)dy, f2 = f(x, y)dx −∞ −∞ 周辺密度関数を使って期待値と分散が求められる. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 10 / 20 連続型 同時密度関数が周辺密度関数の積 f(x, y) = f1 (x)f2 (y) で表せるとき, X と Y は独立であるといい, 独立でないとき従属で あるという. X と Y が独立でないとき, Y = y を与えたときの X の条件付き密 度関数f1 (x|y) と, X = x を与えたときの Y の条件付き密度関数 f2 (y|x) を次式で定義する: f1 (x|y) = f(x, y) , f2 (y) f2 (y|x) = f(x, y) f1 (x) 条件付き平均E[X|y], E[Y|x] をそれぞれ次式で定義する. ∫ ∞ ∫ ∞ E[X|y] = xf1 (x|y)dx, E[Y|x] = yf2 (y|x)dy −∞ 宮﨑憲治 −∞ 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 11 / 20 共分散と相関係数 2 つの確率変数 X, Y の平均と分散がそれぞれ, E(X) = µ1 , E(X) = µ2 , V(X) = σ12 , V(X) = σ22 であるとする. X, Y に対する平均周りの相互項の積の平均を共分散と言い, Cov(X, Y) または記号 σ12 で表す. σ12 = Cov(X, Y) = E{(X − µ1 )(Y − µ2 )} X, Y の共分散をそれぞれの標準偏差で割った値を相関係数とい い, Corr(X, Y) または記号 ρ で表す. Cov(X, Y) σ12 ρ = Corr(X, Y) = √ = 2 2 σ V(X)V(Y) 1 σ2 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 12 / 20 共分散と相関係数 共分散公式: Cov(X, Y) = E(XY) − E(X)E(Y) . 定理 4.1 . 相関係数について次が成り立つ 1. 相関係数の絶対値は 1 以下である. . . X, Y が独立の時, 相関係数はゼロである. 2 相関係数がゼロのとき, 無相関という. 独立なら無相関であるが, 無相関だからといって独立とは限ら ない. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 13 / 20 共分散と相関係数 以前の例とおなじ同時確率関数および周辺確率関数を考える. P(X, Y) Y=0 Y=1 P(X) X=0 0.2 0.1 0.3 X=1 0.6 0.1 0.7 P(Y) 0.8 0.2 1 確率変数 X の期待値 E[X] = 0.7 で, 分散は V[X] = 0.21 である. 確率変数 Y の期待値 E[Y] = 0.2 で, 分散は V[Y] = 0.16 である. E[XY] = 0 × 0 × P(X = 0, Y = 0) + 1 × 0 × P(X = 1, Y = 0)+ 0 × 1 × P(X = 0, Y = 1) + 1 × 1 × P(X = 1, Y = 1) = 0.1 であるの で, Cov[X, Y] = E[XY] − E[X]E[Y] = 0.1 − 0.14 = −0.04 である. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 14 / 20 無相関と独立 無相関だからといって, 互いに独立とは限らない. たとえば次の同時確 率関数および周辺確率関数を考える. P(X, Y) Y = −1 Y=0 Y=1 P(X) X = −1 0.1 0.1 0.1 0.3 X=0 0.1 0.2 0.1 0.4 X=1 0.1 0.1 0.1 0.3 P(Y) 0.3 0.4 0.3 1 このとき, E[X] = E[Y] = E[XY] = 0 であるので無相関である. しかしながら独立でない. 例えば, P(X = 1, Y = 1) ̸= P(X = 1) · P(Y = 1) である. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 15 / 20 一次結合の平均と分散 2 つの確率変数 X, Y の平均と分散, および共分散をそれぞれ, E(X) = µ1 , E(X) = µ2 , V(X) = σ1 , V(X) = σ2 , Cov(X, Y) = σ12 で あるとする. . 定理 4.1 . 2 つの確率変数 X, Y の一次結合 a1 X + a2 Y に対する平均と分散は以下 である. 1. E[a X + a Y] = a µ + a µ 1 2 1 1 2 2 . V[a1 X + a2 Y] = a2 σ 2 + a2 σ 2 + 2a1 a2 σ12 1 1 2 2 2 特に, X, Y が独立の時 V[a1 X + a2 Y] = a21 σ12 + a22 σ22 . 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 16 / 20 2 変量正規分布 2 つの確率変数 X, Y の同時密度関数が ] [ 1 1 √ f(x, y) = g(x, y) exp − 2(1 − ρ2 ) 2πσ1 σ2 1 − ρ2 ( ( ) )( ) ( ) x − µ1 2 x − µ1 y − µ2 2 y − µ2 g(x, y) = − 2ρ + σ1 σ1 σ2 σ2 であたえられる分布を2 次元正規分布という. X, Y の周辺分布は N(µ1 , σ12 ), N(µ2 , σ22 ) に従い, それらの平均と分 散は E(X) = µ1 , V(X) = σ12 , E(X) = µ2 , V(X) = σ22 である. 相関係数は ρ で共分散は Cov(X, Y) = ρσ1 σ2 である. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 17 / 20 2 変量正規分布 一般に, 無相関だからといって, 互いに独立とは限らない. 2 次元正規分布では, 独立であるということと相関係数がゼロ であることとは同値である. . 定理 4.3 (正規分布の再生性) . 独立な正規確率変数 X, Y の和 Z = X + Y は再び正規分布に従う: Z = X + Y ∼ N(µ1 + µ2 , σ12 + σ22 ) . (二項分布の再生性) X ∼ BN (n, p), Y ∼ BN (m, p) の和 Z = X + Y は 二項分布 BN (n + m, p) に従う. (ポアソン分布の再生性) X ∼ Po(λ), Y ∼ Po(µ) の和 Z = X + Y は ポアソン分布 Po(λ + µ) に従う. 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 18 / 20 多変量確率変数 n 個の確率変数 X1 , . . . , Xn の同時分布がそれぞれの周辺分布の積 で表せる時, X1 , . . . , Xn は互いに独立であるという. . 定理 4.4 . n 個の確率変数 X1 , . . . , Xn の平均と分散, および共分散をそれぞれ, E(Xi ) = µi , V(Xi ) = σi2 , Cov(Xi , Xj ) = σij であるとする. ただし σii = σi2 である. ∑ このとき, n 個の確率変数の一次結合 ni=1 ai Xi = a1 X1 + . . . + an Xn の 平均と分散は以下である. ∑n ∑n 1. E[ i=1 ai Xi ] = i=1 ai µi .2 V[∑n ai Xi ] = ∑n ∑n ai aj σij i=1 i=1 j=1 ∑ ∑ 特に, X1 , . . . , Xn が独立の時 V[ ni=1 ai Xi ] = ni=1 a2i σi2 . 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 19 / 20 多変量確率変数 . 定理 4.5 . n 個の確率変数 X1 , . . . , Xn は独立で同一分布に従う (i.i.d.) とする. こ の分布は平均 µ, 分散 σ 2 を持つとする. このとき, 和 n ∑ Xi = X1 + · · · + Xn i=1 の平均と分散は E ( n ∑ i=1 ) Xi = nµ, V ( n ∑ ) Xi = nσ 2 i=1 である. . 宮﨑憲治 第 4 章多変量確率変数 2014 年前期 20 / 20
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