発表スライド - 薄膜物性研究室

.
長い一様矩形導管の幾何学的平均自由行
程とコンダクタンス
.
09ES027 斎藤 優丞
環境化学科 薄膜物性研究室
January 28, 2014
このスライドは斎藤君のパワポファイルを LATEX+Beramer で再現したもので,もとのスライドとは若干異なっています.
. 研究の背景
管の中を気体が流れる際に生ずる抵抗を排気抵抗と呼び,
この逆数をコンダクタンス C と表す.
C = Co K
Co : 開口コンダクタンス
K : 気体分子の通過確率
(1)
.
しかし,通過確率 K の値が正確に求めることができないと
.されている
. 研究の背景
管の中を気体が流れる際に生ずる抵抗を排気抵抗と呼び,
この逆数をコンダクタンス C と表す.
C = Co K
Co : 開口コンダクタンス
K : 気体分子の通過確率
(1)
.
しかし,通過確率 K の値が正確に求めることができないと
.されている
➠
.
モンテカルロ法で分子の通過確率を求めてコンダクタンス
に換算する方法が研究されている.
.
. 研究目的
円形導管については詳しく研究されているが,他の形状の導管は
あまり研究されていない.任意の断面形状についても通過確率の
数値計算結果を合理的に説明することができるだろうか?
. 研究目的
円形導管については詳しく研究されているが,他の形状の導管は
あまり研究されていない.任意の断面形状についても通過確率の
数値計算結果を合理的に説明することができるだろうか?
➠
.
円形に次いで重要とされる矩形導管について,通過確率
をモンテカルロ法を用いたシミュレーションによって求め,
検証する.
.
. モンテカルロ法による計算方法
b
.
散乱の諸定数
.
壁での散乱位置:(xi , yi , zi )
散乱の方向余弦:(α, β, γ)
散乱分子の軌跡の方程式:
x − xi
y − yi
z − zi
=
=
α
β
γ
.
.
次の散乱位置 (xf , yf , zf )
.
壁面上にあるという条件:(略)
軌跡上にあるという条件:

 xf = xi + αk
yf = yi + βk

zf = zi + γk
a
y
x
z
O
(xf , yf , zf )
通過
x
(α, β, γ )
.を連立して求める.k は定数
(xi, yi, zi)
. 余弦則とその発生
.
余弦則
.
面に入射してきた分子は入射
方向とは無関係に反射し,表
面に対する法線と角 θ をなす
方向の単位立体角内に乱され
.る確率は cos θ に比例する.
.
余弦則乱数の発生
.
一様乱数を U とおき,その平
方根を散乱角の余弦として発
生させる.
√
cos θ = U
(2)
.
θ
. 計算理論:近似式 (1)
一次元の拡散現象として解析した場合のコンダクタンス C ∗ は,
C∗ =
A¯
v ∗
λ ∝ λ∗
3L
(3)
開口コンダクタンスが Co = A¯
v /4 で与えられることに注意すれ
ば,通過確率 K は以下のように表されることになる.
A¯
v 4 ∗
4λ∗
λ ∝ λ∗ = Co
= KCo
4 3L
3L
4λ∗
∴ K=
3L
C∗ =
(4)
円形導管では (4) が成り立ち,K の値が求まる.円形断面以外の
導管においては 1 に近い補正係数 α を用いて,
K=α
4λ∗
3L
(5)
. 計算理論:近似式 (2)
矩形断面導管の 2 辺が a, b である
場合の幾何学的平均自由行程 λ∗
L
4A
H
A : 断面の面積
λ∗ =
H : 断面周長
4ab
2ab
=
=
2(a + b)
a+b
a
(6)
b
. 計算結果
表 1. 管長 L,辺の長さ比 a/b をパラメータにした通過確率 K への補正係数 α の計算値
a/b
0.10 L
1.00
0.67
0.50
0.33
0.20
0.13
100
1.079040
1.094368
1.119752
1.175509
1.263769
1.361650
1.437460
200
1.097228
1.108477
1.136711
1.190205
1.274805
1.376316
1.469160
500
1.102050
1.120070
1.137403
1.184952
1.295156
1.362798
1.468191
1000
1.102013
1.112807
1.148850
1.188817
1.291838
1.392608
1.449113
1500
1.113272
1.130483
1.148310
1.201006
1.286887
1.395357
1.444286
2000
1.113670
1.131848
1.149555
1.205644
1.307475
1.387666
1.440175
表 2. 報告値に対する誤差
a/b
L
1.00
0.67
0.50
0.33
0.20
0.13
0.10
100
-2.79
-3.15
-2.63
-2.04
-2.79
-2.75
-0.18
200
-1.15
-1.90
-1.16
-0.82
-1.94
-1.69
2.03
500
-0.72
-0.88
-1.10
-1.25
-0.37
-2.66
1.96
1000
-0.72
-0.17
-0.10
-0.93
-0.63
-0.53
0.63
1500
0.29
0.04
-0.15
0.08
-1.01
-0.33
0.30
2000
0.33
0.16
-0.04
0.47
0.58
-0.88
0.01
. 数値計算結果の比較
1.5
0.10
0.13
0.20
0.33
0.50
0.67
1.00
1.45
1.4
1.35
a/b
α
1.3
1.25
1.2
1.15
1.1
報告値
1.05
1
0
200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
L
. 結論
. シミュレーション結果を比較したところ,長さ L が長
くなるにつれて通過確率への補正係数 α は報告値に近
づくことが分かった.
1
. より精度の高い結果を得るには長さを長くすることや
試行回数を増やすことが必要になると考えられるが,
試行回数が以上になると処理能力の限界になってしま
う.試行回数を増やすこと以外で如何にして精度の高
い結果を出せるようになるかが今後の課題になる.
2