課題と展望 調査結果からみえる課題と今後の展望

 課題と展望
調査結果からみえる課題と今後の展望
1 「かかりつけ医」の有無について
かかりつけ医の有無について、男女ともに概ね年代が上昇するにつれてかかりつけ
医が「いる」と答える割合が高くなる傾向がみられている。一般的に年齢の上昇に伴
い、特に高齢者では、疾病罹患率や有病率が高くなることから、受診の機会が増える
ことによって、かかりつけ医を持つ人の割合が高くなったものと思われる。
一方、若年者について、特に20・30代では、かかりつけ医が「いる」と答える割合が
低く、その理由として、「その都度決めている」と答える人が最も多く、次いで「どこの病
院に決めていいのかわからない」、「健康だから必要性を感じていない」と答える人が
多かった。
若年者の場合、高齢者に比べて疾病の罹患率が低いこと、就労や育児等、時間的
ゆとりが持てず自身の健康を振り返る機会が少ないこと、転出入の機会が多いことで
地域の医療機関の把握に時間がかかることもあり、かかりつけ医をもつ割合が低く
なっていると思われる。
全国的にも、生活習慣病の増加や低年齢化が問題となっており、特に沖縄県や浦
添市においては、65歳未満の死亡率が高く、生活習慣病に起因する死亡や障害に
至る割合も高いことから、予防や重症化防止、早期発見や早期治療の観点からも、か
かりつけ医を持つことの意義は大きいと思われる。
メディカル・インフォメーションセンター(以下 MI)では引き続き、関係部署、関係機
関と連携し、若年層についても、かかりつけ医をもつことの意義について普及啓発を
行うとともに、常に最新の医療機関情報を収集し、市民に対しての情報提供をしてい
くことが重要となっている。
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2 「浦添市メディカル・インフォメーションセンター」について
MI の周知について、「知っている」と答えた人の割合は、15.4%、「知らない」と答え
た人の割合は、 82.4%に上っており、今回のアンケート調査においても、改めて MI の
周知率の低さが伺える結果となっている。
MI を「知っている」と回答した割合は低かったものの、「知っている」と答えた人について
は、MI を「利用したことがある」と答える割合が40%近くに上っており、仮に MI 周知率が2
倍以上に増加した場合は、利用者についても1.4倍の増加が見込まれ、今後、周知率の
向上が利用者増加の鍵になるものと思われる。
MI 周知にあたっては、パンフレットやポスターの配布のほか、 IT を利用した広報や健康、
医療に関するイベント会場等における広報活動も有効と思われるが、予算削減を背景に 、
より関心の高い年齢層にターゲットを絞るなどの対策が急務であり、費用対効果やニーズ
分析、マーケティング手法を取り入れた広報活動が重要となっている。
MI においては、医療機関の情報提供や健康・医療の普及啓発を目的に、「浦添市医
療・歯科診療機関一覧表」、「メディカル・ナビ」を発行しているが、周知率の向上および読
者等の拡大が課題となっている。
現在、「メディカル・ナビ」発行に関する予算はなく、庁舎内において、 A 4両面、白黒印
刷を行っており、読みづらいとの意見も寄せられていることから、今後、読者の拡大を図る
ためには、内容の充実とともに、カラー印刷や紙面を増やすことも検討課題となっている。
「浦添市医療・歯科診療機関一覧表」についても、予算削減に伴う発行部数の減少を余
儀なくされており、課題解決には、印刷製本費の捻出が避けられないことから、今後は企
業や医療機関、医師会とのタイアップや、広告収入を視野に入れた取り組みが必要と
なっている。
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3 「在宅医療」について
在宅医療について、「知っている」と答えた人は、62.4%に上るものの、実際に在宅医
療を利用したことがある人は1%未満、家族の利用についても5%未満であり、依然として
医療機関への通院、入院治療を中心とした医療サービスの利用が多くなっている。
市内の総合病院および療養病棟、介護保険施設は満床状態が恒常化しており、救急
搬送患者の受け入れや、転院先の確保に支障をきたしている状態であり、国の勧める在
宅医療の普及には期間を要するものと思われる。
本市においては、平成21年度に県内初となる「浦添市在宅医療ネットワーク」が創設さ
れ、訪問診療を行う医療機関や医師の紹介等を行っているが、その周知率は15.9%と
低く、活動内容についても市民にあまり知られていない状況となっている。
浦添市在宅医療ネットワークについては、これまでも MI を中心に、「広報うらそえ」や「浦
添市ホームページ」、「メディカル・ナビ」への掲載、パンフレット配布等の周知に努めてい
るが、今後は市医師会や医療機関、関係部署とも連携し、効果的な周知方法を検討する
などの工夫が必要となっている。
引き続き、国や県に対しても在宅医療の推進に向けての 要請を行うほか、在宅医療に
関するモデル事業の受託、多職種間(専門職種間)のネットワークづくり、医療、介護を含
めた包括的な支援体制の構築に向け、市医師会や地域包括支援センターと一体となり、
取り組みを強化することが重要である。
4 「看取り」について
自宅で最期を迎えたいと「思う」と答えた人の割合は34.6%、「思わない」が22.4%、「わからない」
が39.8%となっており、「思う」と答えた人の割合が「思わない」と答えた人の割合を上回る状況となっ
ている。性別による大きな差はみられなかったが、年代別では、20・30代の50%前後が、自宅で最期
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を迎えたいと「思う」と答える割合が高く、年齢が上がるにつれて、その割合が低くなる傾
向がみられている。
自宅で最期を迎えたいと「思わない」と答えた理由として、「介護をしてくれる家族に負担
をかけたくない」が86.5%と最も高く、2位の「経済的負担が大きい」、「症状急変時すぐ
に入院できるか不安」の37.5%を大きく上回る結果となっている。
続いて自宅で大切な家族を看取りたいと「思う」と答えた人の割合は52.2%となってお
り、性別による大きな差はみられなかったが、年代別の比較では、20代が73.0%と最も
高く、年代が上がるにつれて、その割合が低くなる傾向がみられている。
自宅での看取りについては、家族の介護負担や経済的な負担、症状急変時の対応へ
の不安が上位となっていることから、今後、24時間体制の訪問診療や訪問看護、訪問介
護サービス等の充実によっては、自宅で看取る人の割合が増加するものと予測される。
しかし、自宅での看取りについては、社会基盤の整備やサービスの充実だけではなく、
家族の理解が不可欠であることから、日頃から人生最後の迎え方や看取りについて、事
前に家族と話し合いを持つことや、書面で意志を伝えることも重要となっている。
看取りについては、平成23年度から市内医療機関や市医師会との共催による講演会を
開催しており、平成24年度は、350名収容のホールに約600名の来場があり、改めて関
心の高さが伺える結果となった。平成25年度も引き続き、看取りについての講演会の開
催を予定しており、今後も啓発活動を行う必要があると思われる。
5 「災害時」の対応について
避難指示が出た際の、単独避難について、避難「できる」と答えた人の割合は、男性で8
6.8%となっており、女性の73.7%に比べ13.1%高くなっている。男女ともに年代が上
昇するにつれて、単独非難「できる」と答える割合は低くなり、80代以上の高齢者では、単
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独での避難は「できない」と答える割合が50.0%と最も高くなっている。
避難指示が出た際に、近所に助けが必要な人がいると答えた人の割合について、性別
での大きな差はみられなかったものの、年代別の比較では、20代では「わからない」と答
える割合が67,6%と最も高く、一方、50~80代以上では、「わからない」と答える人の割
合は30%と低くなっている。特に70代女性では「わからない」と答える人の割合は18.25
と低く、避難時に近所に助けを必要とする人の有無については、女性高齢者が把握して
いる割合が高くなっている。
自然災害発生時の最寄り避難場所の把握について、男性に比べ女性が避難場所につ
いて把握している割合がやや高くなっており、特に40~60代の女性については70%前
後が「知っている」と答えており、男性50~60代の40%前後に比べて高くなっている。
居住地の海抜の把握について、「知っている」と答えた人の割合は、男女ともに40%前
後に留まっており、一方、「知らない」と答えた人の割合は、60%前後に上がっている。
年代別の比較では、男女ともに40代が50%前後と最も高くなっており、80代以上の高
齢者については、男女ともに80%前後が「知らない」と答えている。
災害対策については、平成23年3月11日の東日本大震災以降、その機運が高まって
おり、MI においても在宅医療ネットワークと共催で、災害時の対応、在宅療養患者の医療
機器の管理等について、勉強会を開催する等の取り組みを行っている。
本調査では、災害時に求めることとして、「医療機器や薬の管理」、「医療情報の共有
化」、「近隣住民の助け合い」等、多様な意見が寄せられており、課題解決には国や県、
自治体だけではなく、医療機関や介護施設、ボランティア等、市民の協力も不可欠な内
容となっていることから、今後も継続して会合を開くなどの取り組みが重要となっている。
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