電子航法研究所発表会 2014年6月 GNSS障害時の代替システムの動向 June 6, 2014 ○毛塚 敦 Atsushi Kezuka 吉原貴之 斎藤享 Takayuki Yoshihara Susumu Saito 独立行政法人 電子航法研究所 Electronic Navigation Research Institute 1 本発表の内容 航空航法におけるGNSS障害の要因 代替システム構築における諸外国・ICAOでの動き DMEを用いた代替システムにおける測距誤差 シミュレーション まとめ、今後の予定 2 GNSSの脆弱性 携帯 データネットワーク 社会の依存度大(一極集中) 交通 金融システム 農業 GNSS信号の脆弱性 懸念 GNSS Homeland Security Presidential Directive‐7, The White House, 2003 GNSS: reliance and vulnerabilities, The Royal Academy of Engineering , London, 2011 内閣官房宇宙開発戦略本部,”GPSはじめ他国の測位衛星が使用不可能になるケースに関する考え方”, 2010 3 航空航法におけるGNSS障害例 システム障害(2014年, GLONASS衛星) 太陽フレア(電波バースト) 電離圏擾乱 RNP0.3 RNP-AR GBAS 演習(2007年, Sandiego) GPSジャマー (2009年, Newark空港) GPSリピータ GNSS障害時でも安全で効率的な運航を維持 するために代替システム(APNT)が必要 APNT: Alternate Position, Navigation, and Timing 4 APNT構築に向けた動き 2025年までの交通量の倍増に対しPBN, ADS-B, TBO, RNAV, CSPOを GPSにより可能にする (FAA APNT白書2012) 米国 FAAのマイルストーン ・Concept Requirements Definition in FY 2011 ・Initial Investment Analysis Approval by FY 2014 ・Final Investment Analysis Approval by FY 2016 ・Solution Implementation Starting in FY 2017 ・Subsequent In‐Service Management 目標 測位精度 Navigation Surveillance Accuracy(95%) Containment(10‐7) Separation NAC (95%) NIC (10‐7) En Route 4 NM 2 NM 8 NM 4 NM 5 NM 92.6 m 0.2 NM Terminal LNAV 1 NM 0.3 NM 2 NM 0.6 NM 3 NM 92.6 m 0.2 NM 欧州 DLR(ドイツ航空宇宙センター) によるLDACS-NAV開発 ICAO 航法委員会(ANC)によって、APNTがNSP (航法シス テムパネル)のジョブカードの一つに割り当てられる 5 DMEによる代替システム(APNT) 代替システム候補 測距 ① DME(測距装置) ② WAM ③ Psuedolite ④ LDACS-NAV 質問 応答 10km 370km(最大) DME DME TACAN p 測位 国内外にはDMEが 多数配置 DME 精度の改善が必要 DME (DME/DMEはRNP0.3不可) DME: Distance Measuring Equipment 6 WAMによる代替システム(APNT) TIS-B: Traffic Information Service Broadcast 代替システム候補 ① DME(測距装置) ② WAM ③ Psuedolite ④ LDACS-NAV Step1: ADS-B信号送信 Step4: TIS-Bにより航空機へ 位置情報送信 GBT Step2: WAMにより受信 ⇒航空機位置決定 Step3: 航空機位置情報 をGBTへ送信 GBT: Ground Based Transceiver 国内に適用するには、位置情報を航空機へ伝達する手段の検討が必要 7 Pseudolite(疑似衛星)による代替システム GBT: Ground Based Transceiver DME: Distance Measuring Equipment 代替システム候補 ① DME(測距装置) ② WAM ③ Psuedolite ④ LDACS-NAV PL Signal PL Signal PL Signal GBT/DME GBT/DME PL Signal GBT/DME GBT/DME 機上装備へのインパクト大 (標準化、認証、搭載コスト、メンテナンス) 8 LDACS-NAVによる代替システム 代替システム候補 ① DME(測距装置) ② WAM ③ Psuedolite TOA(信号到達時間)から測距 ④ LDACS-NAV GS TX Signal (forward link) GS GS GS GS GS: Ground Station 運用開始まで時間を要する(標準化,認証) 9 現行DMEの精度 APNTとしてDMEに着目 現行DME測距誤差 要因 誤差量 機上インテロゲータ 92.6m (質問機) (0.05NM) 地上トランスポンダ 37.0m (応答機) (0.02NM) 電波伝搬 マルチパス 74.1m 対流圏遅延 (0.04NM) Total 129.6m (0.07NM) 改善検討 ・ K. Li, et al. , Proceedings of the ION GNSS Conference, Portland OR, Sep. 2011 (※) 着目 ・ Matt Harris, et al., 25th ITM ION , sep.2011 ・ E. Kim, et al., 31st DASC, oct 2012 目標値 33.3m (※) 補正モデルを用いて大まかな補正は可能 気象・地形による誤差の変動分までは補正困難 気象現象等による測距誤差の変動を調査 測位92.6m 測距33.3m DME HDOP悪 (2.78) DME 10 気団による測距誤差変動解析モデル 寒気 Cold Air Mass 暖気 梅雨前線 Hot Air Mass 乱層雲 測距 DME局 測距 DME局 気象現象による測距誤差の変動調査 梅雨期(6月)のデータを使用 寒気団および暖気団の中でレイトレーシングを行い、 大気伝搬遅延による測距誤差変動を定量的に算出 11 ラジオゾンデによる寒気・暖気の気温・湿度・気圧 3 2 1 5 10 15 20 25 気温 [degrees] 高度 [km] 高度 [km] 3 2 1 0 0 10 Smith‐Weintaub’s equation 屈折指数 N=77.6 +64.8 +3.776×105 : 乾燥大気圧 = 気圧 ― : 水蒸気分圧= 飽和水蒸気圧 : 絶対温度 = 気温 + 273.15 17.269 t = 6.11× exp t + 237.3 ×湿度 [%] 高度 [km] 高度 [km] 4 0 6/26 12:00(UT) 6/21 6:00(UT) 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 20 40 60 80 100 900 940 980 気圧P [hPa] 湿度 [%] 6/19 0:00(UT) 4 6/18 6:00(UT) 8 6 4 2 0 0 観測点が寒気および暖気のデータを選択 100 200 300 屈折指数N 12 寒気・暖気における光線群 暖気屈折率 寒気屈折率 大気を層状に離散化 小 測距誤差 10,000m 大 ∆ 2 2 DME局 6/18 6:00 6/19 0:00 6/21 6:00 6/26 12:00 地平線 DME レイトレース結果 13 測距誤差変動の解析結果 150 6.18 6.19 6.21 6.26 6:00 (Cold) 0:00 (Cold) 6:00 (Warm) 12:00 (Warm) 100 50 0 195 190 25.8m 20.0m 12.3m 5.8m 0 50 100 150 200 250 300 350 測距レンジ(Line of Sight) [km] 測距誤差 [m] 測距誤差 [m] 200 185 180 25.8m 175 170 165 160 15 17 19 21 23 25 27 DAY (UT) 寒気と暖気での測距誤差の差(誤差の変動)は、最大で25.8m (370kmレンジ) DME測距誤差全体の目標値(33.3m)のうち伝搬に割り当てられる量に比べ て大きな誤差となる。 誤差改善検討が必要 14 まとめと今後の予定 GNSS障害時の代替構築に関する諸外国・ICAOの状況 FAAでのAPNT性能要件 候補となっている各種方式(DME, WAM, Psuedolite, LDACS-NAV) DMEによるAPNTに着目し、対流圏伝搬遅延の気団による変動量を調査 寒気・暖気の違いにより誤差が25.8m変動 測距誤差目標値33.3mのうち電波伝搬へ割り当てられる 許容誤差よりも大 今後の予定 国内における航法・監視の状況から国内におけるAPNTの性能要件抽出 諸外国が提案する方式の適用性を精査または新規APNTコンセプト提案 DME測距誤差改善のためのデータ提供 15 Thank you for your attention! 16
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