医療系資格試験・認定試験 対策コース (1) (医師、歯科医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、MR、CRC、CRA、登録販売者 等) 【予想問題 1】 次のうちで、空気感染をするといわれているものの組み合わせは(1)~(4)のうちどれか。 a.結核 b.O-157 腸管出血性大腸菌 c.水痘 d.エボラ出血熱 e.ムンプス f.肝炎(A 型、B 型、C 型) g.エイズ h.インフルエンザ i.デング熱 j.麻疹(はしか) k.ボツリヌス l.風疹 (1)d.エボラ出血熱、i.デング熱、g.エイズ、k.ボツリヌス (2)j.麻疹、c.水痘、a.結核 (3)b.O-157 腸管出血性大腸菌、f.肝炎(A 型、B 型、C 型) (4)l.風疹、e.ムンプス、h.インフルエンザ 【正解】 (2)麻疹、水痘、結核 【解説】 主な感染経路 (1)接触感染(直接感染) 皮膚や粘膜の接触、医療従事者の手や聴診器などの器具、手すりなど感染者周囲の物体表面を介して の間接的な接触で病原体が付着し、その結果感染が成立するもの。 伝染性膿痂疹など皮膚疾患や流行性角結膜炎など眼科疾患。 疥癬、精液を介した性感染症等(梅毒、ヘルペスウイルス、エイズ HIV、子宮頸がん HPV など) 風疹、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス CMV、B 型肝炎 HBV 医療現場では多剤耐性菌(MRSA、VRE、PRSP…)の伝染の主要な経路である。 狂犬病、鼡咬症、エボラ出血熱、破傷風、ガス壊疽、エンテロウイルス、RS、赤痢など (2)介達感染 汚染されたものなどを媒介として感染するもの。 食中毒、ジフテリア、B 型肝炎、結核 TB など (3)飛沫感染 患者の咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引などによって飛散する体液の粒子(飛沫)は時に病原体を含ん でいるが、これが他人の粘膜に付着することで感染が成立する。 5μm 以上と大きく重いものは約 1m 未満しか到達しない。 風疹ウイルスを始め上気道炎症状を伴うウイルス感染症(エボラ出血熱、インフルエンザ、ジフテリ ア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)の多くや細菌性肺炎が代表的。ペスト、溶連菌、マイ コプラスマ、アデノウイルス、ムンプス、SARS の原因となったコロナウイルスもこの経路が主体。 1 (4)空気核感染(塵埃感染) 飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して 5μm 以下の軽い微粒子(飛沫核) となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、約 1m 以上の長距離を移動する。呼吸に より粒子を吸い込むことにより感染を生じる。埃と一緒にウイルスを吸い込む場合でもなる。 飛沫感染と飛沫核感染は病室管理上、区別する必要がある。飛沫核感染する、治療法のない強感染性・ 強毒性の病原体に感染した患者はフィルターをもった独立した排気経路のある陰圧室での隔離が理想 である。 麻疹(はしか) ・水痘(水ぼうそう) ・結核、コロナウイルス (5)唾液感染 唾液の中に生息する病原体が口移しやディープキスなどで唾液を介して感染が成立する。 臨床感染経 路分類論では歯垢感染と呼気感染は経口感染に入るが、唾液感染は入らない。 虫歯菌(ミュータンス菌) 、EB ウイルス (6)経口感染(水系感染、水系流行) 感染動物由来の肉や、糞便で汚染された水などの経口摂取により感染が成立する。 前者の例として BSE、後者の例として病原性大腸菌 O157、ブドウ球菌、好塩菌、ボツリヌス菌、サ ルモネラ、腸チフス、パラチフス、赤痢、コレラ、アメーバ赤痢、ポリオ、A 型肝炎 HAV、ワイル病、 角結膜炎など。 (7)ベクター感染(水平伝播) 他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するもの。 ① 病原体の生活環の一環として、ベクター内で発育、増殖し、そこから感染する(生物学的伝播) 蚊による日本脳炎やマラリア、 デング熱などの昆虫媒介感染症、シラミによる発疹チフスの媒介、 腸チフス、パラチフス、サルモネラ、コレラ、ポリオなど。 ② 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される(機械的伝播、機械的ベクター感染) 。 ハエによる病原大腸菌 O157 や赤痢菌の媒介、鳥インフルエンザの鶏舎間媒介。 (8)血液感染(交差感染) 注射や輸血、歯科治療といった医療行為の他、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、 血液中の病原体が感染を生じる。 HIV、B 型肝炎、C 型肝炎 HCV、クロイツフェルト・ヤコブ病、エボラ出血熱、デング熱。 大量の曝露があれば梅毒も考慮される。 (9)母子感染(垂直感染、垂直伝播) 胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染): 胎盤を通る血液を通じて感染。風疹ウイルス、ヒト免疫不 全ウイルス(HIV)、CMV など。 産道感染(経膣感染): 出産時の出血や皮膚の擦り傷を介して感染。B 型肝炎や HIV など。 母乳感染: HIV や成人 T 細胞白血病ウイルス ATL など。 2 【飛沫感染と空気感染の比較】 出典 http://www.anzen.mofa.go.jp/sars/pdf/k-6.pdf 飛沫感染は病原体が患者の唾液等の水分をまとっており、床や地上に落下する速度が速いため、他者 への感染率が空気感染よりも低くなる。空気感染は、病原体が水分をまとっていないため軽く、空気 中に長時間浮遊しているので他者への感染の成立が容易になる。 飛沫感染の場合、半径 1m 程度が他者への感染範囲となるため、マスクが有用である。 通常のドラッグストアで安価に販売されているサージカルマスクは、通称エチケットマスクともいい、 身を護るためではなく、他者にうつさない目的で使用される。N95 という 1000 程度の高性能のマス クは、逆に、身を護るために使用されるものであるが、長時間の着用は息苦しさを伴う。 N95 マスク 3 N95 とは、「直径0.3マイクロメートル(μm)の粒子を95%以上通さない」という規格。インフル エンザウイルスは、咳(せき)などのしぶきにくるまれ直径約5μm の粒になっているので、ブロッ クできる。 しかし、息苦しい。搬送業務で使っている関西の救急隊員は「長時間はつらい」と 打ち明ける。呼吸が楽なら、顔に密着していない証拠。防御効果は発揮できない。 出典:朝日新聞 中村通子氏 http://www.asahi.com/kansai/mini-rensai/OSK200905210009.html http://www.mmm.co.jp/hc/medical/pro/mask/faq/index.html マスクの脱着等については別途解説します。 出題&解説 中西国彦 4
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