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2014 年 5 月 22 日
タッチパネルセンサー用透明導電性フィルム
世界市場に関する調査結果 2014
-低抵抗化ニーズへの対応進む透明導電性フィルム市場-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて世界の静電容量方式のタッチパネルセンサー用透明導電性フィル
ム市場の調査を実施した。
1.調査期間:2014 年 1 月~3 月
2.調査対象:タッチパネルメーカー、透明導電性フィルムメーカー、その他部材メーカー(OCA メーカー、ハード
コートフィルムメーカー、引出線材料メーカー他)
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<タッチパネルセンサー用透明導電性フィルムとは>
本調査におけるタッチパネルセンサー用透明導電性フィルムとは、静電容量方式タッチパネルのフィルムセン
サーで使われる透明導電性フィルムを指し、ITO(インジウム・スズ酸化物)フィルムと、Ag NW(ナノワイヤー)や
Ag メッシュ、Cu メッシュなどの非 ITO 系フィルムを対象とした。
【調査結果サマリー】
‹ ITO 系透明導電性フィルムの世界市場規模は 2 ケタ成長が続くと予測
タッチパネルセンサー用 ITO 系透明導電性フィルム(以下、ITO フィルム)の世界市場は、静電容量
方式タッチパネル需要の拡大とともに 2011 年、2012 年と前年比倍増以上の拡大が続いていたが、
2013 年はスマートフォンやタブレット端末市場の成長率低下や、フィルムセンサーで使われる ITO フィ
ルムが 1 枚へとシフトしていることなどから伸び率は鈍化した。それでもフィルムセンサー市場そのもの
は拡大しており、2014 年の ITO フィルム世界市場規模は前年比 125.2%の 2,968 万㎡(メーカー出荷
数量ベース)の見込みとなり、2014 年以降も 2 ケタ成長が続くものと予測する。
‹ 低抵抗対応が求められる領域では、非 ITO 系透明導電性フィルムが拡大
これまでフィルムセンサー材料として使用されていた ITO フィルムは視認性や骨見え(センサーパタ
ーンが見える)の問題から表面電気抵抗値 100Ω/□(ohms per square)までが限界とされており、これに
替わる新たなセンサー材料として銀(Ag)系や銅(Cu)系フィルムの採用が拡大してきた。非 ITO 系透
明導電性フィルムメーカー各社は、低抵抗化やフレキシブル対応、引出線とセンサーの一体成形によ
るユーザー企業の生産プロセス簡略化など、ITO フィルムの課題を補う性能を付加価値としてアピー
ルしている。
‹ 2014 年のタッチパネルセンサー用透明導電性フィルム世界市場の
5.7%が非 ITO 系となる見込み
ノート PC やオールインワン PC など大型製品を中心に、ITO に替わる低抵抗な透明導電性フィルム
として、銀(Ag)系、銅(Cu)系などの非 ITO 系透明導電性フィルムが使用されるようになった。非 ITO
系透明導電性フィルムの本格的な量産が始まった 2013 年の世界市場規模は 80 万㎡に止まったが、
2014 年は 180 万㎡の見込みである。これは、ITO フィルムも含めた 2014 年のフィルムセンサー用透明
導電性フィルム世界市場全体 3,148 万㎡(いずれもメーカー出荷数量ベース)の 5.7%を占める見込み
である。
◆ 資料体裁
資料名:「2014 年版静電容量方式タッチパネル・部材市場の徹底分析」
発刊日:2014 年 3 月 31 日
体 裁:A4 判 298 頁
定 価:150,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2014 年 5 月 22 日
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況
静電容量方式タッチパネル(以下、タッチパネル)のフィルムセンサーには、これまで主に ITO(インジ
ウム・スズ酸化物)フィルムが使用されてきた。2012 年のタッチパネルセンサー用 ITO 系透明導電性フィ
ルム(以下、ITO フィルム)世界市場規模は、大手メーカーのタブレット端末の出荷拡大に合わせて前年
比 229.1%の 1,693 万㎡(メーカー出荷数量ベース)と大幅に成長した。しかし、2013 年の同市場は、従
※
来 ITO フィルム 2 枚使いであったフィルムセンサーの部材構成が ITO フィルム 1 枚使い へとシフトした
ことなどから、伸び率は従来よりも鈍化し、前年比 140.0%の 2,371 万㎡(メーカー出荷数量ベース)とな
った。2014 年以降も、フィルムセンサーで使われる ITO フィルムが 1 枚になる傾向は続くものと見られ、
需要の鈍化傾向も続くと考えるが、フィルムセンサー市場そのものは拡大しているため、タッチパネルセ
ンサー用 ITO フィルムの需要は今後も前年比 2 ケタ増で推移するものと予測する。(図表 1 参照)
一方で、ノート PC やオールインワン PC など大型製品を中心に、ITO フィルムに替わる低抵抗な透明
導電性フィルムとして、銀(Ag)系、銅(Cu)系などの非 ITO 系透明導電性フィルム(以下、非 ITO 系フィ
ルム)が使用されるようになった。本格的な採用が始まったのは 2013 年後半からであり、2014 年のタッチ
パネルセンサー用非 ITO 系フィルム世界市場規模は 180 万㎡(メーカー出荷数量ベース)の見込みで
ある。これは、ITO フィルムも含めた 2014 年のフィルムセンサー用透明導電性フィルム市場全体 3,148
万㎡(メーカー出荷数量ベース)の 5.7%を占める見込みである。(表 1 参照)
※参考資料:静電容量方式タッチパネル・部材市場に関する調査結果 2013(2013 年 7 月 11 日発表)
http://www.yano.co.jp/press/press.php/001117
2. 注目すべき動向
2-1.ITO フィルムは低抵抗化、薄肉化が進展
現在、タッチパネルセンサー用 ITO フィルムの表面電気抵抗値(以下、抵抗値)は、150Ω/□(ohms
per square)前後がスタンダードである。タブレット端末など 7~10 インチ程度のサイズであれば問題なく使
用できるが、ノート PC など 14~15 インチ以上のものや、オールインワン PC など 20 インチを超えるサイ
ズでは、タッチの検出精度や反応スピードの問題により 100Ω/□以下の低抵抗化が求められる。ITO フィ
ルムは視認性や骨見え(センサーパターンが見える)の問題から 100Ω/□までの対応が限界とされており、
それ以下の低抵抗性能が求められる ITO フィルムには ITO 膜厚を厚くする必要がある。しかし、ITO 膜
厚を厚くすると、フィルムの透明性(全光線透過率)が低下するという課題があり、ITO フィルムメーカー
各社では高透明、低抵抗を併せ持つグレード開発に取り組んでいる。
また、スマートフォンやタブレット端末のスリム化に伴い、タッチパネルの薄型化も進展している。その
ため、センサー材料である ITO フィルムも薄肉化が求められている。フィルムセンサー用 ITO フィルムの
厚みは、以前は 100μm のものが使用されていたが、2013 年後半には 50μm 品がスタンダードとなり、
2014 年に入り 23μm 品の量産も一部始まっている。
2-2.非 ITO 系フィルムは大型サイズ・低抵抗領域での採用が本格化
Ag NW(ナノワイヤー)フィルム、Ag メッシュフィルム、Cu メッシュフィルム等の非 ITO 系フィルムは、ノ
ート PC やオールインワン PC をはじめとする大型サイズのアプリケーションなど、主に抵抗値 50Ω/□以下
のセンサーが必要とされる用途での採用が多い。ただ、Ag NW フィルムや Ag メッシュフィルムはスマート
フォンやタブレット端末など中小型サイズのアプリケーションでも採用されており、サイズを問わずに使用
できるという点がユーザー企業から評価されている。
抵抗値は、Ag NW フィルムが 50Ω/□、銀塩タイプの Ag メッシュフィルムが 50Ω/□、インプリントタイプ
の Ag メッシュフィルムが 30~40Ω/□、Cu メッシュフィルムが 20~30Ω/□程度と、ディスプレイサイズが
23 インチ程度のオールインワン PC にも十分に対応可能であり、さらには大型の電子黒板やデジタルサ
イネージなど、静電容量方式タッチパネルの新たなアプリケーションとしての採用も期待される。
最も参入メーカーの多い Ag NW フィルムは、基材に Ag NW 塗液をコーティングするものであり、ウェ
ットコートの技術・設備を有するメーカーにとって参入しやすい反面、Ag NW 塗液のサプライヤーが限ら
れており性能面での差別化がしにくい。
また、Ag メッシュフィルムや Cu メッシュフィルムは、センサーと引出線の一体成形が可能でセンサーの
生産プロセスを簡略化できるというメリットがある。ただ、Ag メッシュフィルムは銀塩系、インプリント系とも
に透明導電性フィルムメーカーがセンサーパターニングまでした状態で出荷するが、Cu メッシュフィルム
は ITO フィルムや Ag NW フィルムと同様に透明導電性フィルムメーカーがベースとなる透明導電性フィ
ルムを生産し、センサーメーカーがセンサーパターニングを行うという生産プロセスの違いがある。
現時点では非 ITO 系フィルムを使用したセンサーにスタンダードと言えるものは無い。ユーザー企業
サイドでは、それぞれのフィルムの抵抗値や電極パターンのインビジブル(不可視)性、生産コストなどを
比較しつつ、最終的に自社の設計に最もマッチしたフィルムを選んでいると考える。
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2014 年 5 月 22 日
図表 1. 静電容量方式のタッチパネルセンサー用
ITO 系透明導電性フィルム世界市場規模推移と予測
2011年
前年比
市場規模
739
2012年
前年比
273.7%
1,693
229.1%
2013年
前年比
2,371
2014年見込み
前年比
140.0%
2,968
(単位:万㎡)
2015年予測
前年比
125.2%
3,703
124.8%
万㎡
5,000
4,000
3,000
抵抗膜方式
2,000
1,000
-0
2011年
2012年
2013年
2014年見込み
2015年予測
[矢野経済研究所推計]
注 1: メーカー出荷数量ベース
注 2: 2014 年は見込み値、2015 年は予測値
表 1.静電容量方式のタッチパネルセンサー用透明導電性フィルム世界市場
非 ITO 系フィルムと ITO フィルムの市場規模比較
非 ITO 系フィルム
AgNWフィルム
(構成比)
Agメッシュ
メッシュフィルム
(構成比)
Cuメッシュ
(構成比)
合計
(構成比)
ITOフィルム
2013年
40
(単位:万㎡)
2014年見込み
前年比
80
200.0%
(50.0%)
(44.4%)
40
70
(50.0%)
(38.9%)
一部
30
-
(16.7%)
80
180
(100.0%)
(100.0%)
2,371
2,968
175.0%
225.0%
125.2%
[矢野経済研究所推計]
注 3: メーカー出荷数量ベース
注 4: 2014 年は見込み値
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