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ニッセイ基礎研究所
2015 年 2 月 24 日
名古屋オフィス市場の現況と見通し
(2015 年)
金融研究部 不動産市場調査室長
竹内 一雅
e-mail : [email protected]
1. はじめに
名古屋駅周辺では 2015 年~2017 年にかけて大規模賃貸ビル 5 棟が相次いで竣工する。現在、名
古屋のオフィス市況は需要の増加から改善が進んでいるが、これら大規模ビルの完成がオフィス市
況を悪化させるのではないかとの懸念もある。本稿では名古屋オフィス市場の現況把握とともに、
2021 年までのオフィス賃料の将来予測を行う1。
2. 名古屋のオフィス空室率・賃料動向
名古屋のオフィス市況は改善が続いている(図表-1)
。三幸エステートによると、2015 年 2 月の
空室率は 8.47%で、直近のピークである 15.00%(2010 年 6 月・8 月)から 6.58 ポイントの低下
だった。最近は大規模ビルの新規供給が少なかったことも空室率の低下につながった。
市況が改善する中で成約賃料は大幅に上昇している(図表-2)
。三幸エステートと共同で開発し
ているオフィスレント・インデックス(成約賃料指数)によると、2014 年下期の成約賃料は 10,370
円/坪(前期比+4.2%、前年同期比+11.6%)と 4 半期連続の上昇だった。一方、平均募集賃料は下
落が続いている2。これは、供給が少ない中で好立地の優良ビルの評価が高まる反面、競争力の弱い
ビルでは今後の大量供給を見込んだ賃料引き下げが続いてきたためと考えられる。
図表-2 主要都市のオフィス成約賃料
(オフィスレント・インデックス)
図表-1 主要都市のオフィス空室率
空室率
15,000
22%
大阪市
20%
名古屋
18%
札幌市
12,500
16%
仙台市
福岡市
14%
12%
仙台市, 10.75%
大阪市, 9.25%
札幌市, 8.57%
10%
8%
10,000
名古屋市, 8.47%
福岡市, 7.53%
6%
東京都心3区,
4.74%
4%
東京都区部,
5.05%
7,500
2%
0%
東京都区部
東京都心3区
(出所)三幸エステート
1
2
札幌市
福岡市
仙台市
大阪市
名古屋市
5,000
2014-H2
2014-H1
2013-H2
2013-H1
2012-H2
2012-H1
2011-H2
2011-H1
2010-H2
2010-H1
2009-H2
2009-H1
2008-H2
2008-H1
2007-H2
2007-H1
2006-H2
2006-H1
2005-H2
2005-H1
2004-H2
2004-H1
2003-H2
2003-H1
2002-H2
2002-H1
2001-H2
2001-H1
2000-H2
2000-H1
1999-H2
1999-H1
1998-H2
1998-H1
1997-H2
1997-H1
00/01 01/01 02/01 03/01 04/01 05/01 06/01 07/01 08/01 09/01 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01
(出所)「オフィスレント・インデックス」を基にニッセイ基礎研究所が作成
2014 年の見通し結果は竹内一雅「名古屋オフィス市場の現況と見通し(2014 年版)」不動産投資レポート 2014.2.27 ニッセイ基礎
研究所を参照のこと。なお、2013 年下期の賃料は昨年のレポートから見直されているので注意されたい。
平均募集賃料は 2015 年 2 月に 8,022 円/坪でまだ下落が止まらない状況にある。三幸エステート「調査月報」参照のこと。
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オフィスビルの規模に関わらず空室率は着実に低下している(図表-3)
。2015 年 2 月の大規模ビ
ル3の空室率は 5.84%で最近のピーク
(2010 年 10 月の 12.81%)から▲6.97 ポイントの改善だった。
リーマンショック後の名古屋のオフィス市況では、大型ビルの空室率の変動幅が他の規模より大き
く(ピークからの改善幅は▲8.89 ポイント)
、市況の影響をより強く受ける傾向がみられる。
三鬼商事によると、名古屋ビジネス地区4の空室面積は 7.1 万坪で、2010 年のピーク(12.2 万坪)
から▲42.0%の大幅な減少だった(図表-4)
。これは、同期間に賃貸面積が+4.6 万坪の大幅増加だ
ったことに加え、賃貸可能面積が▲0.6 万坪の減少と供給が少なかったためだ。ただし、空室面積は
まだ高い水準にあり、これが募集賃料の停滞の背景にあると思われる。
図表-4 名古屋ビジネス地区の賃貸可能面積・
賃貸面積・空室面積
図表-3 名古屋の規模別空室率
空室率
20%
15%
100万坪
14万坪
90万坪
12万坪
80万坪
10万坪
70万坪
8万坪
60万坪
6万坪
50万坪
4万坪
40万坪
2万坪
30万坪
0万坪
10%
5%
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
賃貸面積
2006
2005
2004
2003
2002
賃貸可能面積
(注)大規模:基準階面積 200 坪以上、大型:同 100~200 坪未満、中型:同 50~
100 坪未満、小型:同 20~50 坪未満
(出所)三幸エステート
2001
2000
1999
1998
1997
平均空室率
1996
小型ビル
1995
中型ビル
1994
大型ビル
1993
大規模ビル
1992
00/01 01/01 02/01 03/01 04/01 05/01 06/01 07/01 08/01 09/01 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01
1991
1990
0%
空室面積(右目盛り)
(出所)三鬼商事
3. 名古屋のオフィス需給と地区別動向
名古屋ビジネス地区では 2013 年初頭からオフィス賃貸面積の増加が賃貸可能面積の増加を上回
ることが多く、その結果、空室は着実に減少してきた(図表-5 右図)
。空室面積は 2014 年 11 月ま
で 14 ヶ月連続で減少しており、名古屋における最近のオフィス需要の強さを示している。年ごとの
推移を見ても、2014 年の空室面積は▲2.0 万坪の減少と、1991 年以降で最大の減少となった(図表
-5 左図)
。
図表-5 名古屋ビジネス地区の賃貸オフィス需給面積増加分
<年次>
<月次>
6万坪
8,000
5万坪
6,000
4万坪
4,000
3万坪
2,000
2万坪
0
1万坪
-2,000
0万坪
-4,000
-1万坪
-6,000
-2万坪
-8,000
2014.12
2014.11
2014.10
2014.9
2014.8
2014.7
2014.6
2014.5
2014.4
2014.3
賃貸面積
2014.2
2014.1
2013.12
2013.11
賃貸可能面積
2013.10
2013.9
2013.8
2013.7
2013.6
2013.5
2013.4
2013.3
2013.2
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
空室面積
2008
2007
2006
2005
賃貸面積
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
賃貸可能面積
2013.1
-3万坪
空室面積
(出所)三鬼商事
3
4
三幸エステートの定義による。大規模ビルとは基準階面積 200 坪以上のビルをいう。その他大型ビルは同 100~200 坪未満、中
型は同 50~100 坪未満、小型は同 20~50 坪未満のビル。
三鬼商事の定義による。名古屋の主要 4 地区(名駅地区、伏見地区、栄地区、丸の内地区)からなる。
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2014 年は名古屋ビジネス地区内で主要賃貸ビルの新築がなかったため、賃貸面積の増加分全てが
既存ビルで吸収された(図表-6)
。既存ビルにおける+1.9 万坪の賃貸面積の増加は、1991 年以降
で最大の規模だった。名古屋では新築ビルの供給が需要の増加をもたらすことが多かったことを考
えると、2014 年のオフィス需要は過去に例のない強さだったといえる。特に、館内増床や、拡張移
転に加え、自社ビルや郊外(ビジネス地区外)からの移転なども多く、これらが賃貸面積の増加に
大きく貢献した。自社ビルや郊外からの移転は、名古屋ビジネス地区のオフィス市場にとっては新
規進出と同等の意味を持つため、館内増床や拡張移転を上回る大きなインパクトを持っていると思
われる。なお、自社ビルなどの建て替えなどによる移転も多く見られるようだ5。
地区別の空室率は、名駅地区で 4.77%とファンドバブル期(2006 年の 4.62%)に近づいてきた
(図表-7)
。ビジネス地区の 4 地区全てで空室率の低下が見られるが、2014 年は特に伏見地区と栄
地区での低下が大きく、丸の内地区では相対的に減少幅が小さかった。
図表-6 名古屋ビジネス地区の新築・既存ビル別
賃貸面積増分
6万坪
図表-7 名古屋ビジネス地区の地区別
オフィス空室率推移
18%
5万坪
16%
4万坪
14%
3万坪
12%
丸の内地区, 11.41%
2万坪
10%
1万坪
伏見地区, 8.53%
栄地区, 8.05%
8%
0万坪
名古屋ビジネス地区,
7.53%
6%
-1万坪
名駅地区, 4.77%
4%
-2万坪
2%
-3万坪
0%
2014.12
2013
栄地区
2012
2011
2010
伏見地区
2009
2008
名駅地区
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
名古屋ビジネス地区
全体増加
(出所)三鬼商事
1997
1996
1995
1994
1993
1992
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
既存増加-前年新築
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
新築
1991
-4万坪
丸の内地区
(出所)三鬼商事
名古屋ビジネス地区で、現在、最も賃貸可能面積が広いのは栄地区(構成比は 31.8%)で、次い
で名駅地区(同 30.5%)
、伏見地区(同 27.3%)
、丸の内地区(同 10.5%)となっている(図表-8)
。
2014 年に名古屋ビジネス地区全体で賃貸可能面積は▲1.0 千坪の減少、賃貸面積は+20.0 千坪の
増加だった。賃貸面積は栄地区で最も増加し(+7.1 千坪)、次いで伏見地区(+6.4 千坪)、名駅地区
(+4.8 千坪)
、丸の内地区(+0.6 千坪)の順だった(図表-9)
。
図表-8 名古屋ビジネス地区の地区別
賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積構成比
図表-9 名古屋ビジネス地区の地区別
オフィス需給面積増加分(2014 年)
-25,000
-20,000
-15,000
-10,000
-5,000
0
5,000
10,000
15,000
20,000
丸の内地区,
10.5%
15.8%
栄地区,
31.8%
名駅地区,
30.5%
19.3%
33.9%
伏見地区,
-75
31.4%
外:賃貸可能面積
中:賃貸面積
内:空室面積
31.5%
栄地区,
-957
賃貸可能面積
10.0%
名駅地区, 伏見地区,
4,816
6,394
賃貸面積
31.0%
27.0%
空室面積
丸の内
地区,
-615
栄地区,
-8,021
伏見地区, 名駅地区,
-6,469
-4,816
伏見地区, 27.3%
名駅地区
(出所)三鬼商事
5
伏見地区
栄地区
丸の内地区
(出所)三鬼商事
三鬼商事名古屋支店へのヒアリングなどによる。
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丸の内
栄地区,
地区,
7,064
615
25,000
各地区ともに空室面積は減少しているが、最近のピークからの減少率には大きな差がある(図表
-10)
。すでにみたように名古屋ビジネス地区全体の空室面積は▲42.0%の減少だが(図表-4)、地
区別で最も減少率が大きいのが名駅地区(▲58.4%)で、次いで伏見地区▲45.3%、栄地区▲29.3%、
丸の内地区▲26.3%だった。なお、名駅地区における空室面積の減少率の大きさには、賃貸可能面
積の減少も大きく寄与している。
図表-10 名古屋ビジネス地区の地区別賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積
<名駅地区>
<伏見地区>
35万坪
3.5万坪
30万坪
3.0万坪
30万坪
4.5万坪
4.0万坪
25万坪
3.5万坪
25万坪
2.5万坪
20万坪
20万坪
3.0万坪
2.0万坪
2.5万坪
15万坪
15万坪
1.5万坪
10万坪
1.0万坪
5万坪
0.5万坪
0万坪
0.0万坪
2.0万坪
10万坪
1.5万坪
1.0万坪
0.5万坪
0万坪
0.0万坪
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
貸室面積
2005
2004
<栄地区>
2003
賃貸可能面積
空室面積(右目盛り)
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
貸室面積
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
賃貸可能面積
5万坪
空室面積(右目盛り)
<丸の内地区>
35万坪
4.0万坪
3.5万坪
30万坪
12万坪
1.8万坪
1.6万坪
10万坪
1.4万坪
3.0万坪
25万坪
8万坪
1.2万坪
2.5万坪
20万坪
1.0万坪
2.0万坪
6万坪
0.8万坪
15万坪
1.5万坪
4万坪
0.6万坪
10万坪
1.0万坪
5万坪
0.5万坪
0万坪
0.0万坪
0.2万坪
0万坪
0.0万坪
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
貸室面積
2004
2003
2002
賃貸可能面積
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
空室面積(右目盛り)
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
貸室面積
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
賃貸可能面積
0.4万坪
2万坪
空室面積(右目盛り)
(出所)三鬼商事
4. 名古屋の新規供給・人口見通し
名古屋では 2015 年から 2017 年にかけて名古屋駅周辺で 5 棟の大規模賃貸ビル6の竣工が続く
(図
表-11)
。2014 年の新規供給面積が 700 坪にすぎなかったのに対し、2015 年は 45,400 坪、2016
年は 4,700 坪、2017 年は 25,900 坪という大規模な供給が予定されている。2015 年の供給量は一年
間としては 1992 年以降で最大となる。
住民基本台帳移動報告によると、2014 年の名古屋市の転入超過数は 4,442 人(前年比▲787 人の
減少)で、主要都市では仙台市に次いで転入超過数が少なかった(図表-12)。近年の名古屋市の転
入超過数の動向は景気との連動性が高いと思われるが7、名古屋市の人口規模、経済規模と比較する
6
7
2015 年に大名古屋ビルヂングと JP タワー名古屋、2016 年に新・第二豊田ビル(仮)、2017 年に JR ゲートタワーとグローバルゲー
トの竣工が予定されている。レポート発行時点で、JR ゲートタワーのオフィス入居開始時期は 2016 年 11 月と公表されているが、
現地ヒアリングによると不動産仲介会社を含めた不動産関係者の認識は 2017 年竣工で一致していることから本稿ではオフィス
竣工時期を 2017 年として記載した。なお、JR ゲートタワーの商業施設を含めた開業は 2017 年 4 月となっている。本稿の将来予
測においても竣工は 2017 年として推計している。
2 年前の実質 GDP 成長率との相関が高い。昨年のレポート(竹内一雅「名古屋オフィス市場の現況と見通し(2014 年版)」不動産
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と転入超過数は決して多くはない。
男女年齢別に名古屋市の転入超過数をみると、最も転入超過数の多い 20~24 才において男性が
女性を上回っている(図表-13)
。主要都市でこの年齢層の転入超過数で男性が女性よりも多いのは
名古屋市のみである。2013 年は 30 代以上の年齢層の転出入はほぼ拮抗しているが、リーマンショ
ックの影響の残る 2010 年には 30 歳代以上のほぼ全年齢層で転出超過だった。
国内の他の都市と同様、名古屋市でも生産年齢人口(15~64 最人口)は減少が続いている(図表
-14)
。2014 年の名古屋市の生産年齢人口は 142 万人(前年比▲1 万 2 千人の減少)だった。今後
も生産年齢人口は減少が予測されており、都心部への都市機能の集積が進む中で、中期的にはオフ
ィス需要の減少とともに人手不足問題の深刻化も懸念される。
図表-11 名古屋における大規模ビル新規供給計画
(万坪)
5.5
図表-12 主要都市の転入超過数
15,000
予測
5.0
10,000
4.5
5,000
4.0
3.5
0
3.0
-5,000
2.5
2.0
-10,000
1.5
1.0
-15,000
0.5
-20,000
2014
2013
2012
2011
2010
大阪市
2009
2008
2007
名古屋市
2006
2005
2004
2003
仙台市
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
札幌市
福岡市
(出所)住民基本台帳人口移動報告
図表-13 名古屋市の男女年齢別転入超過数
(2013 年)
2,658
3,000人
1995
2017予
2016予
2015予
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
(出所)CBRE、三幸エステート
1994
1993
0.0
図表-14 名古屋市の生産年齢人口(15~64 才)の
現況と見通し
160万人
男
女
2,500人
1,978
予測
150万人
2,000人
1,500人
140万人
1,000人
357
571
486
532
469
500人
130万人
16
11
11
30
5
23
47
16
21
11
30
0人
-34
-1
-17
-33
-85
-35
-235
-79
-60
-13
-17
-113
-1
-57
120万人
110万人
2025
2020
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
5~9歳
10~14歳
0~4歳
-1,000人
-189
-70
-122
-229
-278
-376
-500人
(出所)名古屋市資料をもとにニッセイ基礎研究所が設定
(出所)住民基本台帳人口移動報告
5. 名古屋のオフィス賃料見通し
名古屋における今後のオフィス供給や人口流入、経済の成長見通しなどに基づくオフィス需給の
見通しから、2021 年までの名古屋のオフィス賃料を予測した。
推計の結果、名古屋のオフィス賃料は、
(標準シナリオによると)2014 年下期から 2015 年(下
期、以下同じ)にかけて横ばいが続いた後に下落が進み、2018 年を底に再上昇すると予測された(図
投資レポート 2014.2.27 ニッセイ基礎研究所)を参照のこと。
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表-15)
。2015 年にかけてわずかながら下落が予測された理由のひとつに、実績値である 2014 年
下期の賃料水準が、実際の需給関係と比べて少々高めに出ていると考えられる点もある。
標準シナリオによると、名古屋のオフィス賃料は 2014 年下期をピークに、2015 年までほぼ横ば
い(2014 年下期比▲0.4%の下落)で推移した後に、2018 年まで下落(同▲11.2%)し、その後 2021
年には同▲3.6%へと上昇するという結果となった。
楽観シナリオでは 2015 年に+4.0%(2014 年下期比)上昇した後に下落に転じ、2018 年の同▲
2.0%を底に上昇し、2021 年は同+7.7%となった。悲観シナリオでは、2018 年までに▲23.1%(2014
年下期比)の下落の後、2021 年は同▲16.9%まで穏やかな回復が続くと予測された。
図表-15 名古屋オフィス賃料見通し
12,000
予測
11,000
10,000
9,000
8,000
標準
楽観
悲観
7,000
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
(注)各年下期の賃料を記載
(出所)賃料の実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」
(出所)賃料の将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などを基にニッセイ基礎研究所が推計
6. おわりに
名古屋のオフィス市況は堅調な回復が続いている。館内増床や拡張移転、統合集約などの動きに
加え、コールセンターなどの新規需要もあったようだ。自社ビルや郊外からの転入も多く、これら
は名古屋の賃貸オフィス市場にとっては需要の純増分として、市況の回復に大きく寄与したと考え
られる。
本稿では、オフィス賃料は 2015 年にかけてわずかに下落した後に大量供給の影響等から 2018 年
まで下落すると予測したが、一方で現在の名古屋オフィス市場の需要の強さを確認する結果でもあ
った。今後も自社ビルや市外からの借り換え需要の拡大、館内増床、新規の進出などが現在以上の
勢いで続くのであれば、賃料は本稿の予測よりも大きく上昇する可能性がある8。
本稿で用いた賃料指数は成約賃料を基にしたものであり、現時点ですでにかなりの回復をしてい
る。一方、募集賃料は底ばいを続けるなど、なかなか回復が見えてこない。これは、成約のある好
立地の優良ビルと競争力の弱いビルとの格差が広がっている可能性を示していると思われる。格差
8
ただし、2015 年から 2017 年にかけて名古屋駅前で供給される 3 棟の大規模ビルは名古屋の平均賃料をかなり上回ると予想さ
れる。賃料負担力を考慮すると、これらのビルに入居できる企業は限られるため、もし市内賃貸ビルからの移転面積が多くなった
ときに、二次空室を抱えることとなった移転元の大規模ビルが早期に賃料の大幅引き下げを行う場合(あるいは新規大規模ビル
自身が賃料引き下げを行う場合)、前回の大量供給時(2007 年~2009 年)の後半のように全体の賃料水準を下押しするきっか
けとなり、それが賃料の引き下げ競争を引き起こす可能性がある。現在の需要増を見る限り、遠からず空室は埋まると思われる
ので、もし大規模ビルが空室を抱えたとしても当面の大幅な賃料引き下げを避けることは中期的な収益確保につながるのではな
いかと思われる。
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の解消には起業の増加を含めた全体的なオフィス需要の拡大に加え、建て替えや他用途への転換な
ども必要となるかもしれない。
名古屋のオフィス市況は、大規模開発の竣工や製造業の活況などから、業務・商業の拠点として
の魅力がさらに高まると期待される9。今後は、女性や海外を含めた他地域からの安定的な人口流入
を図るとともに、不況時にも人口が転出せずに定住を選択できる、あるいは選択したくなるような、
これまで以上に魅力的な街づくりと活力のある多様な業種の集積を期待したい10。
9
大量供給時に想定どおりに全体の需要増加が進まない場合、地区間の競争力格差が再び拡大する可能性がある。その場合、
各地区はそれぞれの強みをさらに伸ばし需要を拡大するために、個別のビルの努力だけでなく、これまで以上にそれぞれの地
域や名古屋市およびビルオーナー同士の連携などによる街づくりを含めた新たなアイデアと試みが必要になるかと思われる。
10
なお、三幸エステート「オフィスレントデータ 2013」によると、名古屋市の業種別のオフィス需要において、情報・通信・IT 産業の
構成比は 10%にとどまり、東京都区部の 20%、大阪主要 3 区の 17%、札幌市の 23%、福岡市の 15%を大きく下回っている。
昨年レポートに図表を掲載。
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