仙台オフィス市場の現況と見通し (2015 年)

ニッセイ基礎研究所
2015 年 2 月 20 日
仙台オフィス市場の現況と見通し
(2015 年)
金融研究部 不動産市場調査室長
竹内 一雅
e-mail : [email protected]
1. はじめに
仙台のオフィス市況は東日本大震災の復興とともに大幅な改善が続いてきたが、2014 年半ばから
空室率の改善は止まり、横ばいで推移する状況が続いている。仙台市への転入超過数は縮小し、2014
年の賃貸面積の増加は 2011 年の 2 割程度となった。本稿では、仙台オフィス市場の現況把握とと
もに 2021 年までの将来予測を行う1。
2. 仙台のオフィス空室率・賃料動向
仙台のオフィス市況は東日本大震災以降、大幅な改善が続いてきた(図表-1)。三幸エステート
によると、各年 2 月の空室率は 2011 年の 20.49%から、2012 年 15.40%、2013 年 12.43%、2014
年 10.98%、2015 年 10.75%と低下してきた。ただし、2014 年の 3 月の 10.74%以降、改善スピー
ドは低下し、その後はほぼ横ばいでの推移が続いている。
市況の改善の中で成約賃料(オフィスレント・インデックス)も 2010 年下期を底とした回復傾
向にある(図表-2)
。2014 年下期は上期比▲11.0%の下落、前年同期比▲5.6%の下落であったが、
次期にはある程度の回復が考えられる。というのも、仙台の成約賃料は上期が高く下期が低いとい
う特徴があるからだ。ただし 2014 年は上期も前年同期比▲2.0%の下落であり、賃料回復の勢いが
弱まっているように思われる。
図表-2 主要都市のオフィス成約賃料
(オフィスレント・インデックス)
図表-1 主要都市のオフィス空室率
空室率
15,000
22%
大阪市
20%
名古屋
18%
札幌市
12,500
16%
仙台市
福岡市
14%
12%
仙台市, 10.75%
大阪市, 9.25%
札幌市, 8.57%
10%
8%
10,000
名古屋市, 8.47%
福岡市, 7.53%
6%
東京都心3区,
4.74%
4%
東京都区部,
5.05%
7,500
2%
0%
東京都区部
東京都心3区
(出所)三幸エステート
1
札幌市
福岡市
仙台市
大阪市
名古屋市
5,000
2014-H2
2014-H1
2013-H2
2013-H1
2012-H2
2012-H1
2011-H2
2011-H1
2010-H2
2010-H1
2009-H2
2009-H1
2008-H2
2008-H1
2007-H2
2007-H1
2006-H2
2006-H1
2005-H2
2005-H1
2004-H2
2004-H1
2003-H2
2003-H1
2002-H2
2002-H1
2001-H2
2001-H1
2000-H2
2000-H1
1999-H2
1999-H1
1998-H2
1998-H1
1997-H2
1997-H1
00/01 01/01 02/01 03/01 04/01 05/01 06/01 07/01 08/01 09/01 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01
(出所)三幸エステート・ニッセイ基礎研究所
2014 年の見通し結果は竹内一雅「仙台オフィス市場の現況と見通し(2014 年版)」不動産投資レポート 2014.2.24 ニッセイ基礎研
究所を参照のこと。
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仙台のオフィス市場の特徴として、2010 年以降、規模別の空室率格差がほとんどないことがあげ
られる(図表-3)
。2014 年の半ばから全体的に空室率は横ばいで推移しているが、特に大規模ビル
2では
2014 年は 9 月にイースタンビル3が竣工したこともあり、7 月の 9.78%から 2015 年 2 月は
10.57%へとわずかながら悪化が見られた。
三鬼商事によると、仙台ビジネス地区4の空室面積は 5 万 2 千坪と 2010 年のピーク(9.0 万坪)
から▲43%の大幅減となった(図表-4)
。空室は着実な減少を続けているがいまだ高い水準にある。
図表-4 仙台ビジネス地区の賃貸可能面積・
賃貸面積・空室面積
図表-3 仙台の規模別空室率
空室率
25%
20%
15%
50万坪
12万坪
45万坪
10万坪
40万坪
8万坪
35万坪
6万坪
30万坪
4万坪
25万坪
2万坪
20万坪
0万坪
10%
5%
0%
00/01 01/01 02/01 03/01 04/01 05/01 06/01 07/01 08/01 09/01 10/01 11/01 12/01 13/01 14/01 15/01
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
賃貸面積
2007
2006
2005
2004
賃貸可能面積
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
(注)大規模:基準階面積 200 坪以上、大型:同 100~200 坪未満、中型:同 50~
100 坪未満、小型:同 20~50 坪未満
(出所)三幸エステート
1996
平均空室率
1995
小型ビル
1994
中型ビル
1993
大型ビル
1992
大規模ビル
空室面積(右目盛り)
(出所)三鬼商事、
3. 仙台のオフィス需給と地区別動向
仙台ビジネス地区では、毎月、少ないながらも着実な需要(賃貸面積)の増加が見られる一方、
賃貸可能面積の増加は過去二年間でイースタンビルが竣工した 2014 年 9 月のみだった(図表-5
右図)
。年間の推移をみると(図表-5 左図)
、ここ数年、賃貸可能面積の増加規模が小さいことも
あり空室面積は減少を続けているが、賃貸面積の増加分は 2011 年以来、縮小が続いている5。
図表-5 仙台ビジネス地区の賃貸オフィス需給面積増加分
<年次>
<月次>
3万坪
2,000
1,500
2万坪
1,000
1万坪
500
0
0万坪
-500
-1,000
-1万坪
-1,500
-2万坪
-2,000
-2,500
2014.12
2014.11
2014.10
2014.9
2014.8
2014.7
2014.6
2014.5
2014.4
2014.3
賃貸面積
2014.2
2014.1
2013.12
賃貸可能面積
2013.11
2013.10
2013.9
2013.8
2013.7
2013.6
2013.5
2013.4
2013.3
2013.2
2014.12
2013
2012
2011
2010
空室面積
2009
2008
2007
賃貸面積
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
賃貸可能面積
2013.1
-3万坪
空室面積
(出所)三鬼商事
2
3
4
5
三幸エステートの基準による。大規模ビルは基準階面積 200 坪以上の賃貸ビル。図表-3 の脚注を参照のこと。
イースタンビルは基準階面積 273 坪、延床面積 9462 ㎡の大規模ビル。事務所・店舗、駐車場からなる。
三鬼商事の定義による。仙台の主要 5 地区(駅前地区、一番町周辺地区、県庁・市役所周辺地区、駅東地区、周辺オフィス地
区)からなる。
2014 年の賃貸面積の増加は+5 千坪と 2011 年(+2.0 万坪)の 23%にとどまった。
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仙台の賃貸面積の増加を新築ビルと既存ビルとに分けると、2014 年は新築ビルによる需要の吸収
がわずかながら見られたが、多くは既存ビルによるものであった(図表-6)。2011 年から 2014 年
の賃貸面積増加分のうち、既存ビルの比率は約 8 割を占めている。
仙台ビジネス地区のうち、2014 年に空室率が改善したのは駅前地区(▲1.9 ポイント)と一番町
周辺地区(▲2.2 ポイント)で、新築ビルの供給があった県庁・市役所周辺地区(+1.7 ポイント)
や駅東地区(+0.7 ポイント)
、周辺オフィス地区(+1.0 ポイント)では空室率が上昇している(図
表-7)
。周辺地区から都心への移転などの影響が現れたようだ。
仙台ビジネス地区で最も賃貸可能面積が大きいのが駅前地区(全体の 34.9%)で、次いで一番町
周辺地区(同 32.0%)
、県庁・市役所周辺地区(13.5%)
、駅東地区(14.1%)
、周辺オフィス地区(6.2%)
となっている(図表-8)
。駅東地区の空室面積は 22.9%を占め、県庁・市役所周辺地区(同 13.9%)
を上回っている。
2014 年における仙台ビジネス地区の賃貸面積の増加+4 千坪のうち、駅前地区の増加が最も大き
く(+3.0 千坪)
、それに次ぐのが一番町周辺地区(2.7 千坪)で、他の 3 地区の賃貸面積は減少とな
った(図表-9)
。同様に、空室面積は一番町周辺地区(▲3.4 千坪)と駅前地区(▲3.0 千坪)で減
少し、県庁・市役所周辺地区(+1.1 千坪)や駅東地区(+0.5 千坪)
、周辺オフィス地区(+0.3 千坪)
では空室面積が増加した。
図表-6 仙台ビジネス地区の新築・既存ビル別
賃貸面積増分
図表-7 仙台ビジネス地区の地区別
オフィス空室率推移
30%
2.5万坪
2.0万坪
25%
1.5万坪
1.0万坪
20%
0.5万坪
駅東地区, 17.94%
0.0万坪
15%
県庁・市役所周辺地区,
11.69%
仙台ビジネス地区, 11.06%
周辺オフィス地区, 10.28%
駅前地区, 9.79%
-0.5万坪
10%
-1.0万坪
一番町周辺地区, 9.29%
-1.5万坪
5%
-2.0万坪
-2.5万坪
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
県庁・市役所周辺地区
駅東地区
周辺オフィス地区
駅東地区
14.1%
図表-9 仙台ビジネス地区の地区別
オフィス需給面積増加分(2014 年)
-8,000
周辺オフィス
地区
6.2%
6.0%
-6,000
-4,000
-2,000
駅前地区
34.9%
5.5%
30.9%
県庁・市役所 13.0%
周辺地区
13.5%
外:賃貸可能面積
中:賃貸面積
内:空室面積
周辺
オフィス
地区,
-270
賃貸面積
13.9%
26.8%
一番町周辺地区,
-3,419
空室面積
32.6%
一番町周辺地区
32.0%
2,000
4,000
6,000
県庁・市役所
周辺地区,
109
駅東
地区,
-467
35.4%
22.9%
0
一番町
周辺地区,
-725
賃貸可能面積
13.0%
3|
2007
一番町周辺地区
(出所)三鬼商事
図表-8 仙台ビジネス地区の地区別
賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積構成比
(出所)三鬼商事
2006
2005
2004
2003
駅前地区
2002
2001
仙台ビジネス地区
2000
1999
1998
1997
1996
1995
全体増加
2014.12
2013
2012
2011
2010
2009
2008
既存増加-前年新築
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
新築
(出所)三鬼商事
0%
駅前地区
一番町周辺地区
県庁・市
役所周
駅前地区, 3,021
辺地区,
-969
一番町
周辺地区,
2,694
駅東
地区,
467
県庁・市
周辺
役所周
オフィス
駅前地区, -3,021
辺地区,
地区,
1,078
270
県庁・市役所周辺地区
駅東地区
(出所)三鬼商事
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周辺オフィス地区
8,000
4. 仙台の新規供給・人口見通し
仙台の今後のオフィス計画としては、2017 年と 2018 年にそれぞれ 1 物件あり、そのうち 2018
年は JR 東日本による仙台駅東口開発計画(業務棟)である(図表-10)
。それ以外の開発計画とし
ては6、ヨドバシカメラの仙台第一ビルやパルコ仙台新館(仮)、仙台駅東口開発計画の商業・ホテ
ル棟など商業施設が中心で7、今後もオフィス供給の少ない状態が続くと考えられる8。
仙台市の人口構造の特徴は若年層の多さである。
18 歳から 19 歳にかけて若者の大量流入があり、
それが特徴的な人口ピラミッドを形成している9(図表-11)
。15~29 歳の市内人口に占める比率は
19.3%に達し(2010 年)
、福岡市(19.5%)とともに主要都市で最も若者比率の高い都市である。
ただし仙台市では福岡市と異なり、20 歳をピークに一歳ごとに若者人口の減少が見られる。これは
高校卒業後に仙台に集まった学生たちが就職などで他都市や地元などに転出するためと考えられる。
2014 年の仙台市の転入超過数は 2,050 人だった。これは最近のピークである 2012 年の転入超過
数(9,284 人)の 22.1%(▲77.9%の減少)に相当する(図表-12)
。2013 年以降の転入超過数の
減少は、転入者数の減少に加え、転出者数の増加によるものだ(図表-13)
。東日本大震災直後に大
量に転入してきた人口の一部が市外へと転出し始めている可能性がある。
図表-10 仙台における大規模ビル新規供給計画
図表-11 仙台市と全国の人口ピラミッド
仙台市人口
(万坪)
2.5
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
100歳以上
95歳
90歳
予測
2.0
85歳
80歳
75歳
70歳
65歳
1.5
61歳, 16,199
60歳
55歳
61歳, 2,261,917
53歳, 12,216
53歳, 1,478,697
50歳
1.0
45歳
40歳
37歳, 17,585
35歳
30歳
0.5
20歳
27歳, 1,469,956
17歳, 9,493
15歳
10歳
0.0
37歳, 2,017,073
27歳, 14,382
25歳
17歳, 1,202,514
7歳, 9,114
2018予
2017予
2016予
2015予
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
5歳
7歳, 1,117,316
0歳, 9,156
500,000
0歳
0
0歳, 1,045,975
1,000,000
(出所)CBRE、三幸エステート、ニッセイ基礎研究所
1,500,000
2,000,000
2,500,000
全国人口
全国(下目盛)
仙台市(上目盛)
(出所)三鬼商事
図表-13 仙台市の人口移動
図表-12 主要都市の転入超過数
70,000人
15,000
60,000人
10,000
50,000人
5,000
40,000人
0
30,000人
-5,000
20,000人
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
仙台市からの転出者数
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
仙台市への転入者数
2000
1999
1998
1997
1996
1995
2014
2013
福岡市
2012
2011
2010
大阪市
2009
2008
2007
名古屋市
2006
9
2005
8
2004
7
2003
仙台市
2002
6
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
札幌市
(出所)住民基本台帳人口移動報告
1994
-10,000人
1993
-20,000
1992
0人
1991
10,000人
-15,000
1990
-10,000
転入超過数
(出所)住民基本台帳人口移動報告
加藤えり子「都市力アップが期待される仙台の開発動向」2014.8.21 ニッセイ基礎研究所、などを参照のこと。
また、仙台ではマンション開発が活発に行われており、今後も積極的な住宅開発が続くと思われる。
仙台では大量供給(1998~1999 年)後の市況低低迷・回復期に新規供給がほとんどなされず、ファンドバブル期の景気拡大にあ
わせた大量供給(2007 年~2010 年)で市況が悪化し、東日本大震災等から大規模な新規供給がストップする状況にある。
2010 年時点における 19 歳年齢人口の 17 歳年齢人口に対する比率は、全国では▲0.2%少ないが、仙台市では+61.1%もの超
過となっている。
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男女年齢別に 2013 年の転入超過数をみると、ほとんどの年齢層で転入超過が見られた(図表-
14)
。ただし、転入超過数がピークだった 2012 年と比べると 15 歳~19 歳を除く 0 歳~59 歳まで
の年齢層全てで転入超過数は縮小している。特に 25 歳~49 歳で▲3,352 人(転入超過数は 2012 年
+4,591 人、2013 年+1,239 人)の大幅な減少だった。2014 年はさらに減少幅が拡大していると考
えられる10。
国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、仙台市の人口は 2015 年に 106.1 万人 2020 年に
106.2 万人と今後もわずかに増加するとされている1112。一方、生産年齢人口はすでに減少が進んで
おり、2010 年の 71.4 万人から 2015 年には 69.1 万人、2020 年には 66.9 万人とされた。
図表-14 仙台市の転入超過数(男女年齢別)
<2012 年>
<2010 年>
363
194
274
264
43
1
36
13
60
11
59
51
71
34
70
23
30
110
45
83
105
0人
-51
-13
-36
-13
-54
-200人
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
5~9歳
10~14歳
-400人
0~4歳
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
-257 0~4歳
-228 30~34歳
-189
-332
-243 25~29歳
-145
-400人
310
24
7
53
10
10
24
25
25
56
11
48
44
20
12
24
38
29
52
25
19
27
47
54
54
0人
女
454
200人
295
200人
105
129
139
199
179
59
400人
759
402
458
400人
男
480
600人
600人
-200人
720
800人
654
800人
女
746
770
765
男
841
874
1,000人
1,000人
(出所)住民基本台帳人口移動報告
図表-14 (続き)
図表-15 仙台市の人口見通し
(2010 年基準)
<2013 年>
98.9
101.9
104.1
105.6
女
106.1
104.6
102.5
763
696
776
800人
男
106.2
120万人
1,000人
100万人
600人
54.8
34.8
32.4
30.6
28.9
27.0
23.8
9.2
9.8
10.5
11.4
12.4
13.2
16.3
14.1
19.5
13.7
-4
-21
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
12
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
5~9歳
10~14歳
0~4歳
11
20万人
-174
(出所)住民基本台帳人口移動報告
10
-17
-89
-50
-400人
59.6
29
52
26
42
38
53
5
8
40万人
0人
-200人
63.1
60万人
45
46
53
51
78
66
44
98
71
51
104
159
222
193
228
251
238
75
46
126
200人
65.2
66.9
69.1
71.4
394
72.2
80万人
400人
0万人
2005年
2010年
総数
2015年
2020年
生産年齢人口
2025年
14歳未満人口
2030年
2035年
2040年
65歳以上人口
(出所)国立社会保障人口問題研究所
今後、産業構造などが変わらなければ、再び 2010 年の転入超過構造に近づいていくと思われる。ただし、それ以前に、震災復
興に伴い大量に転入してきた従業者等の、復興事業の縮小による 20~40 歳代を中心とした大幅な転出超過(U ターン)の発生
が強く懸念される。
国立社会保障・人口問題研究所の将来予測は、青葉区、太白区、泉区に関して、震災後の転入超過数の急増を考慮したものと
なっている。「日本の地域別将来推計人口(平成 25(2013)年 3 月推計)について」参照のこと。
2015 年 2 月時点の人口は、仙台市によると推計人口では 1,073,942 人、住民基本台帳に基づく人口では 1,053,525 だった。
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5. 仙台のオフィス賃料見通し
仙台における今後のオフィス供給や人口流入、経済の成長見通しなどに基づくオフィス需給の見
通しから、2021 年までの仙台のオフィス賃料を予測した13(図表-16)
。
推計の結果、仙台のオフィス賃料は 2016 年(下期、以下同じ)まで+13.9%(2014 年下期比)
上昇した後、2017 年までほぼ横ばいで推移し、2018 年から下落に転ずると予測された。2020 年
(2014 年下期比で+3.6%)を底に再び上昇し、2021 年には同+4.0%に回復するという結果となっ
た。
当面の賃料上昇は、楽観シナリオでは 2014 年比+23.1%(2017 年)、悲観シナリオでは同+3.4%
(2016 年)であった。その後の賃料の底はともに 2020 年で、楽観シナリオでは 2014 年比+14.7%、
悲観シナリオでは同▲8.9%だった。2021 年の賃料水準は楽観シナリオで 2014 年比+17.1%、悲観
シナリオで同▲8.8%だった。
図表-16 仙台オフィス賃料見通し
10,000
予測
9,500
9,000
8,500
8,000
7,500
7,000
6,500
6,000
標準
楽観
5,500
悲観
5,000
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
(注)各年下期の賃料を記載
(出所)賃料の実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレ
ント・インデックス」
(出所)賃料の将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などを基にニ
ッセイ基礎研究所が推計
6. おわりに
東日本大震災後の仙台のオフィス市場は、震災復興事業などの影響から多数の企業の進出と人口
流入により活況を呈してきた。2012 年をピークに転入超過数がしだいに縮小する中で、オフィス賃
貸面積の増加分もそれに比例して縮小している。テナント移動を見ても、新規の進出や館内増床が
ある一方で解約や館内縮小も目立ちはじめ、周辺地区では賃貸面積の減少も見られるようになって
きた14。こうしたオフィス需要の増加分が縮小する状況にも関わらず、本稿の推計で 2016 年まで賃
料が上昇し 2017 年まで高い賃料水準が続くと予測されたのは、新規供給の少なさがオフィス需給
を均衡させる状態が続くためである15。
仙台のオフィス市況を牽引してきた震災復興事業であるが、集中復興期間が 2015 年度で終了す
13
14
15
推計で利用した経済成長率は以下の経済見通しを参照して設定した。ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2014
~2024 年度)~需要不足と供給力低下に直面する世界経済」(2014.10.16)Weekly エコノミストレター、ニッセイ基礎研究所、斎
藤太郎「2014~2016 年度経済見通し-14 年 7-9 月期 GDP2 次速報後改定」(2014.12.8)Weekly エコノミストレター、ニッセイ基
礎研究所。
全国的に主要都市のオフィス需要(賃貸面積)の増加が続く中で、仙台での賃貸面積増加分の縮小は特徴的といえる。
ただし空室率は賃料の下落以前に上昇を始めると予測された。
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るため、それ以降の復興事業の縮小は避けられない16。今後、復興事業に従事してきた従業者の仙
台市からの転出が進むようであれば、オフィス需要も減少に直面する可能性が高い。
2015 年 12 月 6 日には地下鉄東西線が開通することから、仙台駅を中心に人通りが増え、都心部
での商業販売の増加などにぎわいの拡大が期待できる17。仙台におけるオフィス市場の中長期的な
成長のためには、こうした都心部でのにぎわいの拡大や、大幅に増加する外国人観光客の受け入れ
増加、大学と連携した IT 系やコンテンツ産業など成長産業の育成18などは喫緊の課題と思われる。
何より、これまで卒業後に市外に転出していた大学生が卒業後に仙台で働き続けられる・働き続け
たいと思う仕組みづくりと魅力ある街づくりは特に重要なのではないだろうか。
16
17
18
復興庁 HP によると予算の大幅な拡大は予定されていないため、2016 年度以降の復興予算はこれまでの計画通り現行の数分の
一になる可能性がある。
ただし都心部のにぎわい増加が直接に短期的なオフィス需要を大幅に増加すると期待することは難しいが、オフィスビルの店舗
利用などが増加する可能性は考えられる。
仙台では大学の集積に比べて成長産業である情報・通信・IT 系のオフィステナント集積の小さい都市である。昨年レポート(竹内
一雅「仙台オフィス市場の現況と見通し(2014 年版)」)などを参照のこと。
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