メールマガジン2015年2月27日発行 第127号

JSCTS メールマガジン 2015 年 2 月 27 日発行 第 127 号
JSCTSメールマガジン
2015 年 2 月 27 日発行 第 127 号
<目 次>
■ 「重粒子線がん治療のこれまでとこれから」 HIMAC 20 周年記念講演会に参加して ....................................................... 1
飯沼 武
■「日本 CT 検診学会 夏期セミナー 2015」のお知らせ ................................................................................................................ 3
■ 第 41 回肺癌診断会のお知らせ ............................................................................................................................................................ 3
■ カンファレンス紹介 ............................................................................................................................................................................... 4
第 154 回東京チェストカンファレンス(TCC)
国立がん研究センター東病院 胸部 X 線読影会
■ スタッフ、その他募集 .......................................................................................................................................................................... 4
■ 編集後記 .................................................................................................................................................................................................... 5
「重粒子線がん治療のこれまでとこれから」
HIMAC 20 周年記念講演会に参加して
放射線医学総合研究所名誉研究員、日本 CT 検診学会名誉会員
飯沼 武(医学物理士)
はじめに
2014 年 12 月 5 日に、HIMAC 20 周年記念講演会「重
粒子線がん治療のこれまでとこれから」が開催されまし
た。放医研で重粒子線がん治療の臨床研究が始まった
のが 1994 年ですので 2014 年で 20 年目にあたり、今や、
重粒子線治療は日本発の技術として世界中から注目さ
れております。本稿ではその講演会の概要と、とくに
早期肺癌治療法として炭素線 1 回照射法の現状につい
て最新の情報をお伝えします。
講演会の概要
講演は以下の内容で行われました。まず、ポスター
をご覧ください。
第 1部:重粒子線がん治療のこれまで
「重粒子線がん治療の立ち上げ責任者として」
辻井博彦(放医研フェロー)
「重粒子線がん治療に期待したもの」
海老原 敏(国立がん研究センタ - 東病院名誉院長)
第 2 部:重粒子線がん治療の現状と展望
務めておられた辻井先生と外部からの評価委員会の委
「治療成果と将来展望」
員長であった海老原先生によるお話がありました。辻
鎌田 正(放医研粒子線医科学センター長)
井先生の講演では設計から建設に至るリーダーとして
「装置開発のこれから」
活躍された元放医研所長の平尾先生のことが詳しく述
野田耕司(放医研理工学部長)
べられました。筆者も直接、ご指導を頂いた方であり
第 3 部:パネル討論会 「重粒子線がん治療への期待」
懐かしい思い出であります。
コーディネータ:海堂 尊(作家)
また、海老原先生からは外部の委員として厳しい目
パネリスト:寺崎宗利(佐賀新聞客員論説委員)
/
で重粒子線がん治療を見ておられたことが詳しくお話し
中山優子(神奈川県立がんセンター)
/
されました。このような評価の結果が今日の素晴らし
根本建二(山形大学)
/鎌田 正(放医研)
い成績の基礎になっているのでしょう。
まず、第 1 部では、HIMAC の立ち上げから責任者を
第 2 部では、今、現役で活躍している放医研の鎌田
1
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先生が、重粒子線がん治療の 9,000 名にもなる治療成績
療となる可能性があります。
を部位別に解説されました。とくに重粒子線でなけれ
また、放医研では肝臓がんに関しても、2 回分割で治
ば治療し得ない難治がん、他の方法でも対処可能であ
療を行っており、短期照射のよい適応になっておりま
るが、きわめて短期間で治療可能となるがんなどの特
す。
徴を述べました。将来的には重粒子線ネットワークを
28 GyE の線量の初期のころは再発があったようです
構築され、他の重粒子線施設とともにデータベースを
が、 最 新の報 告によりますと、50 GyE の 22 症 例では
作り、治療成績の比較や標準化などに取り組まれると
観察期間中央値 15.1 か月で最長 39 か月の経過観察で、
のことです。野田先生は物理工学の立場からこれから
1 例が他因死されたとのこと、そして重篤な副作用は
まったく起こっていないとのお話でした。今後、症例
の積み重ねと追跡によって 5 年生存率と副作用の割合が
報告されることになるでしょう。楽しみです。
この 1 回照射法は本会の名誉会員でもある宮本忠昭
先生が開発されたものです。その当時、私も放医研の
現役でおりましたが、1 回照射にはびっくりし、反対し
ました。当時の放射線治療の常識からすると考えられ
ない発想だったからです。しかし、見事に成功しまし
た。この方法が普及することによって、高齢者にやさ
しい負担の軽い治療法が完成することでしょう。とく
に、CT 検診で発見される早期肺癌の人にとっては理想
的な治療法です。
の新しい回転ガントリーなどの開発についてお話しされ
ました。とくに、超電導のマグネットを利用した小型
の装置に注目したいと思います。
第 3 部のパネル討論会では、有名な海堂 尊氏の司会
のもとで、寺崎先生が現在、最も新しい重粒子線治療
装置として稼働を始めた佐賀 HIMAT のこと、中山先
生は現在、建設中の神奈川県の装置について、根本先
生は近い将来に山形大学に設置される装置についてお
話をされました。このように、まだ計画中の施設まで
を含めた討 論を鎌 田 先 生にうまくまとめていただき、
これからの日本における重粒子線がん治療のネットワー
クに大いに期待したいと思います。とくに、中山先生
と根本先生にエールを送ります。
終わりに
肺癌に対する重粒子線治療
重粒子線がん治療は日本発の放射線治療として、全
ここでは、鎌田先生がお話し下さった重粒子線によ
世界に広がろうとしております。今後も超電導電磁石
る肺癌の治療成績について解説します。
の開発などによって、装置の小型化やコストの低減な
放医研における炭素線による病期Ⅰ期の NSCLC の治
どが進みますので、もっと普及し、がん治療の重要な
柱の一つとなることは間違いありません。
療は 1994 年から始まり、最初は 18 回分割、6 週間、90
一方、低線量 CT 検診は最悪のがんである肺癌死亡
GyE から開始され、9 回分割、4 回分割と短縮され、最
近は 1 回照射となりました。まさに、究極の放射線治
療に近づきました。1 回照射法も 4 方向から照射され、
線量は 28 GyE から開始され、現在は 50 GyE になって
いるそうであります。
1 回照射は炭素線のブラッグピークをもつ線量分布の
よさと高い LET に象徴される生物学的な特性によって
可能になったもので、X 線や陽子線では副作用の点から
困難であると考えられ、炭素線による治療の大きな利
点と考えられます。すなわち、1 日で治療が終了し、外
来で行えるというまさに検診受診者にとっては夢の治
減少の現実的な対策として、禁煙とならぶ役割を果た
すことになることは確 実であると思います。 今 後も、
喫煙などのリスクに応じた最適な受診年齢や検診間隔
などの研究をすすめながら、早く日本の対策型検診と
して導入されることが期待されます。
この CT 検診と炭素線 1 回照射を含む高精度の放射線
治療をドッキングさせることが理想的な肺癌死亡減少
対策になると信じております。皆様のコメントをお願い
します。
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「日本 CT 検診学会 夏期セミナー 2015」の
お知らせ
12:00-13:00 ランチョンセミナー「大腸 CT 検査(仮題)」
13:00-13:55
第二部
低線量大腸 CT 検診「始めよう大腸 CT 検診∼検査技術
編∼」
1)
「大腸 CT 検査に必要な腸管拡張技術」
(演者調整中)
2)「大腸 CT 検査に必要な撮影技術」(演者調整中)
13:55-14:05 休 憩
14:05-16:45 第 19 回 読影セミナー 担当:柿沼龍太郎
(国立がん研究センター)
テーマ「肺がん CT 検診:観察研究の概要」
14:05-14:45
第一部
特別講演「PET/CT 検診」寺内 隆司(がん研有明病院)
14:45-14:55 休 憩
14:55-16:40
第二部
セミナー「観察研究の概要」柿沼龍太郎
1)「がん予防・検診研究センターの観察研究の概要」
(15 分)
2)「すりガラス様陰影の経過観察」(30 分)
3)「充実型肺結節」(30 分)
4)「検診 CT 画像の読影実践」(30 分)
16:40-16:45 各セミナー世話人挨拶 / 閉会
日時:2015 年 7 月 25 日(土曜日)
会場:主婦会館プラザエフ
(東京都千代田区六番町15 TEL:03-3265-8111)
アクセス:JR 四ッ谷駅麹町口 徒歩 1 分
東京メトロ南北線 / 丸の内線 四ッ谷駅 徒歩 3 分
2015 年夏期セミナー担当責任者:
柿沼龍太郎(国立がん研究センター)
プログラム
9:00-9:05 セミナー代表世話人挨拶
9:05-11:05
第 14 回 肺気腫セミナー 担当:福島喜代康
(日本赤十字社長崎原爆諫早病院)
テーマ「肺気腫に合併する喘息、間質性肺炎」
1)「喘息・COPD オーバーラップ症候群(ACOS)について」
瀬戸口 靖弘(東京医科大学第一内科)
2)「気腫合併肺線維症(CPFE)について」
石松 祐二(長崎大学第二内科)
3)「肺気腫と間質性肺炎の胸部 CT による評価」
福島 喜代康(日本赤十字社長崎原爆諫早病院)
11:05-11:15 休 憩
11:15-14:05
第 9 回 技術セミナー 担当:山口 功(大阪物療大学)
テーマ「研究から実践へ Part 2」
11:15-12:00
第一部
低線量肺がん CT 検診「線量管理システム(CADI)の進捗」
石垣 陸太(京都医療科学大学)
※ 詳 細は決まり次 第、 日 本 CT 検 診 学 会 HP(http://
www.jscts.org)にてお知らせいたします。
第 41 回肺癌診断会のお知らせ
持った若い医師たちが全国から 150 ∼ 200 名ほど集い、
当番世話人:黒崎敦子(公益財団法人結核予防会、複
少し先輩の医師たちが一生懸命講師役を務めながら行わ
十字病院放射線診断科)
れてきた会です。2 泊 3 日の泊まり込みで 3 食を共にしな
がら行われます。無論、コ・メディカル、企業の方々の
平成 27 年 6 月 25 ∼ 27 日、初夏の那須高原で第 41 回
参加も大歓迎です。応募をお待ちしています。
肺癌診断会を開催致します。今回のテーマは『マクロの
視点とミクロの眼』です。初日に「画像診断セミナー」
日時:平成 27 年 6 月 25 日(木)∼ 27 日(土)
で単純写真、CT、気管支鏡、病理の基本的な知識のま
会場:りんどう湖ロイヤルホテル
とめをしたのち、少人数に分かれての「エキスパートに
〒 325-0302 栃木県那須郡那須町高久丙 4449-2
よる読影講座」
、
「肺癌の病期診断(TNM 分類)
」
、
「肺
申込方法:
結節をきたす全身性疾患を学ぼう」の講演を通して虫眼
下記のウェブサイトからの事前参加登録よりお申込み
鏡で画像に迫るミクロの眼と全身を俯瞰して診断に迫る
下さい。
マクロの視点を併せ持った診断方法を身に付けて行きま
http://lcd.kenkyuukai.jp/
す。本会は、肺癌診断を極めたいという純粋な思いを
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お問い合わせ先:
② 実行委員長
① 第 41 回肺癌診断会運営事務局
花井耕造(複十字病院放射線技術科)
〒 113-0033 東京都文京区本郷 3-35-3 本郷 UC ビル 4F
TEL:042-491-4111 E-mail:[email protected]
※第 41 回肺癌診断会への参加は、肺がん CT 検診認定
技師更新講習会受講の 5 単位となります。
株式会社コンベンションアカデミア内
TEL:03-5805-5261 E-mail:[email protected]
カンファレンス紹介
どなたでも自由に参加できるカンファレンスを紹介します。
これ以外にもご存じのカンファレンスがありましたらご紹介下さい。
第 154 回東京チェストカンファレンス(TCC)
日 時:2015 年 3 月 11 日(水)
19 時∼ 21 時
場 所:東京逓信病院(管理棟 5 階・小講堂)
飯田橋駅下車 5 分 HP:http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/access/index.html
● JR「総武線」飯田橋駅西口 徒歩 5 分
●地下鉄「有楽町線・南北線」飯田橋駅 B2a 出口 徒歩約 6 分
●地下鉄「東西線・大江戸線」飯田橋駅 A4 出口 徒歩約 9 分
参加費:500 円
事務局:三澤(亀田総合病院附属幕張クリニック) <携帯> 090-1055-1917
備 考:当日、軽食をご用意致しております。
駐車場に限りがある為、公共の交通機関をご利用下さい。
今後の開催日は次の通りです。会場はすべて東京逓信病院を予定しております。
年間のスケジュールに組み込んでいただけますようお願いいたします。
・155 回 2015 年 5 月13 日(水) 19 時∼ 21 時
国立がん研究センター東病院 胸部 X 線読影会
日 時:毎月第 2 火曜日 午後 7 時 30 分より約 2 時間
場 所:千葉県柏市柏の葉 6-5-1 国立がん研究センター柏キャンパス内
臨床開発センター 3 階 セミナールーム 1
内 容:
(前半)
ご出席の先生から提示していただいた症例の読影・解説
(後半)様々なテーマでの症例呈示・講演等
参加費:無料
備 考:双眼鏡多数用意してあります。
U R L: http://www.ncc.go.jp/jp/ncce/professional/seminar/dokuei.html
連絡先:04-7133-1111(代) 事務局(内線 2384)寺園
案内請求:[email protected] まで。
スタッフ、
その他募集
国立がん研究センター中央病院 肺診断グループ
当グループではチーフレジデント、レジデント、短期レジデント、厚労省計画研修医、対がん協会奨学医、他施設から
の任意研修医を募集しております。気管支鏡検査・治療、胸部 X 線および CT 読影について指導致します。
興味のある方は下記にご連絡下さい。
国立がん研究センター中央病院 呼吸器腫瘍科
土田敬明 [email protected]
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JSCTS メールマガジン 2015 年 2 月 27 日発行 第 127 号
編集後記
すっかり春めいてまいりました。
偕楽園の梅は厳冬の影響で開花が遅れておりましたが、なんとかこの暖かさで開花してまいりそうな様子です。
さて、今回のメルマガでは飯沼武先生より「重粒子線がん治療のこれまでとこれから」HIMAC 20 周年記念講
演会に参加して」という玉稿を賜りました。今後の低線量 CT 検診発見早期肺がんの治療の方向性を指し示す興
味深い内容となっております。
4 月が近づき新生活をお迎えになられる方がたくさんおられることでしょう。
お体に留意され新天地でのご活躍をこころよりお祈り申し上げます。
(中川 徹)
JSCTS メールマガジン
2015 年 2 月 27 日発行 第 127 号
〒 102-0072 千代田区飯田橋 3-11-15 UEDA ビル 6F
(株)クバプロ内
NPO 法人 日本 CT 検診学会
発行責任者:金子昌弘
編集発行:
(株)クバプロ
TEL:03-3238-1689 FAX:03-3238-1837
E-mail:jscts-offi[email protected]
ホームページ:http://www.jscts.org/
肺がん CT 検診認定機構ホームページ:http://www.ct-kensin-nintei.jp/
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