マルマラ海における長期海底地震観測

SeaJade:カナダ・カスカディア地震発生帯における海底地震観測 ○尾鼻浩一郎・小平秀一・山本揚二朗・高橋努・利根川貴志(海洋研究開発機構), Kelin Wang, Michael Riedel, Honn Kao(Geological Survey of Canada)Martin Scherwath, George Spence, Jesse Hutchinson, Ayodeji Paul Kuponiyi (University of Victoria) 寺田育正・西條暁里(日本海洋事業株式会社) 北米・太平洋岸のカスカディア地震発生帯は、南海トラフと同様に比較的若い海洋プレートの沈み
込みに伴う巨大地震発生帯であり、M9 クラスのプレート間巨大地震が発生したことが知られている。
沈み込み帯の巨大地震と津波の危険性は、日本とカナダの両国にとって大きな関心事であり、異なる
地震発生帯を比較研究することによって、これらの地震の基礎となる物理の理解が進むものと期待さ
れる。JAMSTEC では、Geological Survey of Canada 等と協力して、バンクーバー島沖合において約 3
ヶ月間の海底地震観測を 2010 年に実施した(Obana et al., 2015, in press)。その結果、殆どの地震
活動はファン・デ・フーカプレートとエクスプローラプレートの境界に相当する Nootka Fault Zone
で発生しており、それ以外の場所では陸上からの観測の結果と同様、殆ど地震が発生していない事が
示された。しかし、観測期間が約 3 ヶ月と限られており、この地域の地震活動を理解する為にはより
長期間の観測が必要である。そこで、2013 年から 2014 年にかけて海底地震計 35 台を用いた地震観測
を再度実施した。海底地震計はカナダ沿岸警備隊の調査船 John P. Tully で 2013 年 12 月に設置し、
2014 年 9 月に回収した。海底地震計による観測と同時に、陸上の定常的な地震観測網を補完するため、
臨時の地震観測点 8 点を設置している。陸上の定常的な観測網によると、2010 年の観測時と同様に殆
どの地震は Nootka Fault Zone に沿って発生している。今後海底地震計の解析を行う事で実際の地震
活動の検証を行うとともに、2010 年の観測では検出されなかった低周波成分に富んだ「スローな地震」
の検出を試みる予定である。また、観測期間中の 2014 年 4 月 24 日には、やや規模の大きな地震(Mw6.6)
が海底地震計観測網の北側で発生しており、海底地震計の記録を用いる事で、この地震に伴う余震活
動の詳細な分布を求める事が期待される。なお、本研究は JSPS 科研費 23253005 の助成を受けたもので
ある。 図:調査海域図。□:海底地震計、♢:陸上臨時観測点、×:定常観測点。○:陸上の定常観測網による震源分布(2014 年 1
月から 2014 年 10 月)。震源メカニズムは Global CMT による 2014/4/24 Mw6.6 の地震のモーメントテンソル解。