稲作経営事例調査全体版2(高付加価値化・販路開拓) [PDF 606KB]

付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
(市町村:山辺町 水稲作付面積
117.9ha
法人)
14
【要約】
町内の12名の大規模稲作農業者を構成員とする法人が、消費者に高く評価され
る米づくりを目指し、食味を重視した米づくりを行い、独自に売り先を開拓して
いる。現在4社の卸売業者に直接販売し、平成25年度の全品種の平均販売単価は
13,704円/俵で、概算金プラス1,000円/俵程度の取引価格である。
【背景・具体的データ】
600
米出荷数量(t)
400
200
0
H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25
年度
図
卸売業者等への米出荷数量の推移
1 生産面の取組み
(1)法人独自の栽培暦を作成し、バラツキのない品質の均一化を図っている。
(2)毎年、全組合員の圃場毎に食味分析を行い、翌年の施肥設計と肥培管理等
に反映させ、組合員の栽培技術の高位平準化を図っている。
(3)稲の病害に対する抵抗力を高めるため、発酵微生物資材を使用している。
(4)消費者の安全安心志向に対応するため、特別栽培米の認証面積の拡大を図
っている。
2 販売面の取組み
(1)卸売業者を圃場に招聘し、栽培方法や取組みを見てもらい、生産への理解
を深めてもらう。
(2)消費者の評価やニーズを知るため、卸売業者と共に毎年5~6店舗ずつ、
法人の米を扱っている小売店(東京、名古屋等)を訪問し、生産者として
のこだわりや、再生産可能な価格を伝えながら、情報収集を行っている。
3 取引数量、価格
・平成25年産米の卸売業者等への販売数量538t、販売額123百万円。平均販売
単価13,704円/俵で、近年は概算金プラス1,000円/俵程度で推移している。
・平成26年産の取引価格は、概算金プラス1,500円/俵に当たる10,000円/俵程
度で全量契約取引が成立している。
【特記事項】
1
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
(上山市 水稲作付面積
約9ha
任意組合)
15
【要約】
7名の生産者で組織された特別栽培米生産組合が、平成20年から農協および米卸
業者を通して山形市内のホテルに米を契約販売している。組合では、土づくり資
材の施用などの適切な栽培管理だけでなく、その後の乾燥調製についても一括で
行うことで、品質・食味の高位安定化を図っている。出荷先のホテルは、組合が
生産する米が高品質・良食味米であり、かつ、入荷時期や年次によるバラツキが
ないことを高く評価し、継続的に契約取引をしている。
【背景・具体的データ】
1.経緯:村山総合支庁でホテルや飲食店等の地域農産物の購入意向調査を行っ
たところ、山形市内のホテルから、生産者の顔が見える美味しい地元の
お米を使いたいとの声があった。そこで、当課が農協と協議し、良食味
米生産への意識が高い当該生産組合を紹介した。
2.用途:ホテル内の朝食、夕食、宴会など全てにおいて使用
3.取組内容
(1)
ケイ酸資材、堆肥の連年施用
(2)
特別栽培(減農薬、減化学肥料)による生産
(3)
農協のライスセンターにおける一括乾燥調製
(4)
1.95ミリ網による選別
(5)
農協の低温倉庫における保管および必要に応じた量の精米、配達
(6)
ホテルのお客様、従業員が参加する稲刈り体験等の交流事業
4.価格:平成25年産米については、農林水産省発表の相対取引価格に比べて
3割程度高い
5.平成26年産米契約数量:つや姫5t、はえぬき2t
【特記事項】
2
付加価値
16
「つや姫」高付加価値化による高収益性販売の取組み
寒河江市
水稲作付面積
21ha
個人
【要約】
・「つや姫ビラージュ(村)」での活動を通じて生産したブランド米を、「さが
えのつや姫」として販売することにより、産出額の拡大を図っている。また、
「つや姫」の栽培団地化を図り、高品質生産に取組み「厳選つや姫」として通常
の「つや姫」より高く農協に販売して収益性を高めている。
【背景・具体的データ】
・市街地周辺の水田集約による団地化を図った「つや姫ヴィラージュ(村)」の取組みを
推進しており、「つや姫」のブランド力を高めている。特にたんぱく質含有率6.7%以下
の「厳選つや姫」を高い割合で生産し、JAに通常の「つや姫」より1,000円/60kg高く
販売し収益性を向上させている。
・団地化による生産規模の拡大と独自パッケージ(さがえのつや姫)による直接販売の展
開により産出額の拡大を図っている。また、他の農産物についても、当農場のシンボル
である「四季ふぁーむ・さがえ」のブランドとして販売を拡大し、消費者の認知度アッ
プを図りながら、有利販売を進めている。
・平成24年度に山形県創意工夫事業で規模拡大と独自ブランド販売を狙い、農業機械(コ
ンバイン・乾燥機等)を導入し、大規模化による低コスト生産を図っている。将来的に
は農業法人を立ち上げ、経営の中核となりうる農業志向者の常時雇用を行い、市街地で
のモデル的な大型水稲の法人経営の確立を目指している。
・さらに、地域の若手農業者の作業受託組織と連携して、今後増えることが予想される水
稲作業受託を拡大し、農地の荒廃を防ぐことで、地域農業の基盤強化や地域環境の保全
にも貢献している。
表 水稲栽培面積及び内訳
水田面積
(ha)
21
つや姫
7
はえぬき
7
内 訳(ha)
酒米
飼料米・加工米
3
3
コシヒカリ・糯米
1
【特記事項】
・寒河江地域は他の地域に比べ水利費(土地改良区賦課金)、一般的地代が低コストなた
め、水稲栽培には有利となっている。
3
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組みと中山間地域での工夫
西川町
法人
17
【要約】
・地域農業を維持させるため、中山間地域で大規模稲作経営を営んでいる。
・需要に合った米を生産するとともに、直接販売を行うことにより、収益の確保
に努めている。
【背景・具体的データ】
・産米はすべて直接販売を行っている。
・粳米は固定客に販売しており、業者等の取り引きはしていない(概算金単価の
約2倍)。このため、米価の値下げ要求は無い状況である(地域の農地が維持で
きる適正価格で販売することに努めている)。
・ヒメノモチは業者に加工依頼し、切り餅として販売している。また、道の駅に
おいて、通年使用してもらっている(概算金単価の2倍以上)。
・飼料米は近隣の畜産農家に1キロ当たり20~40円で販売している(約12,600円
/10a)。
・朝紫は、町外の法人に約7割出荷し、米粉としてシフォンケーキ等に使用してい
る(概算金単価の3倍以上)。
【特記事項】
○経営面積
水稲+そば
○水稲作付面積
11.0ha
4
付加価値
18
高付加価値化・販路開拓等の取組み
河北町
法人
【要約】
・新規販売先を開拓するとともに、契約栽培や業者販売を主とし、収益の確保に努
めている。
・農業機械の知識習得により、冬期間にメンテナンスを行い、出費軽減に努めてい
る。
【背景・具体的データ】
・土づくりは、籾殻牛糞堆肥を1.5t/10a程度施用している。
・水稲の約7割は特別栽培米(はえぬき、ひとめぼれ、わたぼうしは一般栽培)。
・水稲の35%程度は契約栽培米で、概算金(60kg)と比較し、3~5千円は高く販売
している。
残る65%程度は業者販売で、概算金(60kg)と比較し、5~800円高く販売してい
る。
このため、今年産米は昨年産米と比較し、1千円程度低下したものの、14,000円程
度で販売している。なお、若干量はネット販売(ミルキークイーン等)も行っ
ている。
・販売先の確保は、東京で開催される見本市や商品市等で行うようにしている。
・肥料、農薬の購入や耕起、代かき回数の低減等コスト低減に努めているが、限界
に来ている。なお、農業機械を自ら冬期間にメンテナンスすることで長期使用
出来るとともに、すべて業者に修理等するより年約50万円程度節減することが
出来ている。
【特記事項】
○経営内容
園芸+水稲
○水稲作付面積
13.1ha
5
付加価値
19
高付加価値化・販路開拓等の取組み
河北町
水稲作付面積
25ha
法人
【要約】
水稲25haを中心とした法人。米は全体の6割を直接販売することで市場の影響
を受けずに安定した価格で販売。
機械の大型化によるコスト節減、肥料農薬の入札による経費節減を実施。
【背景・具体的データ】
・後継者の就農を機に平成20年度から法人化。役員2名と社員2名、常時雇用1名、
臨時雇用最大8名で水稲(25ha)、大豆(14ha)を中心とした大規模経営を実践。
・米は全体の6割程度を直接販売。平成5年から長年かけて顧客を増やしてきた。
直販のうち4割が業務用(旅館、ホテル、地域の食堂等)。特別栽培などこだわ
りの栽培を実践し、一定の食味を確保する一方で、収量もある程度確保し、値頃
感のある価格で販売。米価が下落している本年は前年よりやや価格を下げて販売
しているが、市場価格の変動によらず概ね安定した価格で販売出来ている。
直接販売
約1,000俵
前年との価格差-800~1,000円/俵
Ex.系統販売だった場合(概算金-2,500円/俵)
⇒約 900,000円の減
⇒約2,500,000円の減
⇒約1,600,000円の減収を回避
・主食用の他に酒米も約6ha栽培。精米業者と契約し安定した価格で販売。
・既存の機械・施設や技術を活用し、育苗や作業受託等、他の人の分を受け入れる
ことで安定した収入が得られている(水稲育苗の受託約2,800枚、作業受託(田
植、稲刈、耕起等)延べ10ha)。
・コンバインや田植え機等、機械を大型化・集約し、定期的に更新することで修繕
費等の経費を低減。また集約することでオペレーター数も少なく出来る。
・肥料農薬も入札や大量購入により価格を抑えて購入。良い苗を植えることで肥料
や農薬の成分数を減らしている(通常より600円/10a程度低減)。
【特記事項】
地域や地主との信頼関係で農地が地域内で集約してきた。地域を守っていくこと
も重要と考え、今後地域の小さい農家がやめたら受け入れていくが、地域を出てま
で拡大はしない。
6
高付加価値化・販路開拓等の取組み
付加価値
20
高鮮度「雪むろ米」販売への取り組み
村山市
JA
【要約】
・M農協では、平成15年度より本州最大級の雪室の運用を開始し、県内や愛知
県周辺のスーパー等に地元産の高鮮度「はえぬき」の出荷を開始。
・当初は、雪室保存の有効性(鮮度保持、省エネルギー等)の認知度や「はえぬ
き」の県外知名度の低さから、価格は通常流通品と同額。
・平成23年度より、様々な方面から注目されている県産トップブランド品種
「つや姫」の厳選品(タンパク値6.8%以下(乾物換算))を貯蔵し、高鮮度
「みちのく雪むろ米・つや姫」として出荷を始め、市場から高評価を得る。
・現在では京阪神等の大都市圏の市場で取り引き量が増加。
【背景・具体的データ】
〈雪室の効果〉
1.電力に依存せずに庫内温度を約5℃、湿度を約75%に保つことが可能。
2.自然冷熱エネルギーの利用により、適度な湿度を保ち、古米臭の原因とな
る脂肪酸の上昇を抑制し、購入者へ新米並みの香りと食味の提供が可能。
3.時代のニーズに応えるエコ貯蔵。
〈市場の反応〉
平成16~24年産
品種:はえぬき、
販売先:愛知県周辺
平成23~25年産
取り引き量:3,000t前後
価格差:一般流通米と格差なし
品種:はえぬき、つや姫
販売先:東京都、大阪府、愛知県辺
取り引き量:はえぬき 1,200t前後
つや姫 平成23年産
70t
平成24年産 150t
平成25年度
80t
一般つや姫との価格差: 約3,000~4,000円 高い
【特記事項】
アンケート結果(H23、東京都 本県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」)
通常貯蔵米と雪室貯蔵米(品種不明)を268人が食べ比べ
「雪室米がおいしい」という回答
66.5%
雪室に対するイメージ
「環境にやさしい」37.0%
「みずみずしい」 27.8%
7
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
鮭川村・戸沢村・大蔵村(JA山形もがみ)
21
【要約】
「うまい米横綱決定戦」と称する「つや姫」と「はえぬき」の品種について
の食味コンクールを開催し、その上位8名(横綱1名、大関1名、関脇1名、入
賞者5名)の米について、㈱神明に全量引き渡すことを条件に通常取引価格にプ
レミアムを付けて販売し、生産者にプレミアム分を上乗せして精算している。
【背景・具体的データ】
26年産米の横綱となった米については、1俵当たり概算金に5,000円の加算
金がつけられる予定。
横綱ランクの米は、10a当たりの収入は、9俵/10aとすると一般の米より
45,000円収入増となる。
【特記事項】
8
付加価値
22
高付加価値化・販路開拓等の取組み
高畠町
水稲作付面積5ha
個人
【要約】
事例の生産者は、有機栽培に長年取り組み、全国食味コンクール連続受賞な
ど、対外的な評価も高く、独自の販路、顧客を持っている。コシヒカリ、つや姫
を中心にJAS有機栽培米や特別栽培米(農薬7割減、化学肥料9割減)を生産
し、高価格帯で販売を行っている。
その他、販売の取り組みとして、食味コンクール受賞者で集まり、共同でプレ
ミア米として、メディアを活用しながら(インターネット、TVショッピング、通
販)販売を行っている。
【背景・具体的データ】
1 事例の生産者は仲間とともに環境問題を契機に、無農薬米や有機栽培に取り
組み、更にお米の味をおいしくするため、栽培技術の研讃を重ね「全国食味コ
ンクール」に出品。試行錯誤の末、無農薬米の安定供給に成功する。その数年
後の平成15 年にはコンクールにて金賞受賞、以降連続して金賞を受賞し、「名
稲会」に殿堂入りする。
常にチャレンジ精神とおいしいお米の追求を忘れず、小売の現場にも出向
き、販売者と消費者の生の声を聞きながら自立した農業者を目指し、栽培と安
定した経営に努力されている。
現在ではおいしい米作りを広めるため、各生産地を駆け巡りお米作りの生産
者の前で講演。その傍ら、お米屋さんや百貨店をめぐり拡販に努めている。
<経営概況>
水稲作付面積:5ha(JAS有機栽培米、特別栽培米)
※生産調整については100%実施
2
販売はメディア等を活用しながら、生産者の実績を踏まえたブランド戦略を
展開している。
<平成26年販売価格(一部例)>
有機コシ
5kg
6,480円~10,000円
(JAS有機栽培)
コシヒカリ
5kg
4,752円~
(特別栽培米)
【特記事項】
9
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
(市町村:飯豊町
水稲作付面積
24ha
個人)
23
【要約】
米の販売のための法人を仲間と立ち上げ、個人消費者、米穀店、飲食店など
に販売している。様々な需要に応えるため、つや姫、コシヒカリ、はえぬきな
ど8種類の品種を栽培している。個人の顧客へ毎月のチラシ送付を20年近く継続
しているほか、首都圏にある町のアンテナショップでの出張販売や消費者交流
も行っている。
栽培面では、堆きゅう肥や米ぬかを使用し、特別栽培(減農薬・減化学肥
料)を実践しており、色彩選別機の導入やもみでの低温貯蔵により品質を確保
している。また、規模拡大によりスケールメリットを活かしている。
【背景・具体的データ】
平成26年産米の販売価格(個人消費者向け
・はえぬき(精米)
30kg当たり
・コシヒカリ(精米)30kg当たり
消費税別)
12,000~14,000 円
(参考:他の集荷業者の概算金、消費税込)
30kg当たり
4,250円
・コシヒカリ(玄米)30kg当たり
4,500円
・はえぬき(玄米)
【特記事項】
個人消費者の顧客は高齢化により減少傾向にある。また、業務用向けは、今回
の米価低下によって価格を下げざるを得なかった。今後は個人消費者向けは食味
に、業務用などは収量の向上にそれぞれ重点を置いていく。
平成25年産米の独自販売実績は、3割強であった。
10
付加価値
高付加価値販売の取組み
白鷹町
No.11
水稲作付面積
53ha
法人
24
【要約】
特別栽培米、エコファーマーの取組み等で「安全・安心」をPR。大口の顧
客であるレストランや病院などを対象に、米を一定価格の年間契約で販売して
おり、価格の変動の影響を受け難い。また、個人の顧客を対象に、年間契約で
購入される方には、餅などのプレゼントを行っている。購買層を広げるため、
新規に知り合いの方を紹介して頂いた場合には、紹介者に餅などをプレゼン
ト。農地を団地化し作業効率のよい大規模経営なので、販売価格を比較的廉価
に設定し、顧客を集め薄利多売で収益を確保している。
【背景・具体的データ】
当該法人の平成26年産米の販売価格(消費税込)
・つや姫(玄米)
30kg当たり
10,700円
・はえぬき(玄米)
30kg当たり
7,700円
・コシヒカリ(玄米)30kg当たり
8,400円
(参考:他の集荷業者の概算金、消費税込)
・つや姫(玄米)
30kg当たり
6,250円
・はえぬき(玄米)
30kg当たり
4,250円
・コシヒカリ(玄米)30kg当たり
4,500円
【特記事項】
・平成25年度販売実績では、全量完売された。
11
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
飯豊町
水稲作付面積
No.12
40ha
個人 11 名
25
【要約】
平成17年3月、JGAPに7名の生産者が取り組みを始め、平成18年に穀物分
野では日本初となるGAP認証を受けた。栽培品種は「はえぬき」で、生産さ
れた米は農協に出荷されている。(単価は一般米と同額)
平成24年12月に日本GAP協会の主催で香港への米輸出商談会が現地で行
われ3名が参加。その場で知り合った輸入を手掛けるクボタの現地子会社と知り
合いになり、その仲介により輸出に取り組み始めた。
【背景・具体的データ】
生産履歴を記帳するだけでは消費者に安全を伝えることはできず、農業生産
のリスク管理をする時代であると考えた。JGAPに取り組むことで「安全」
に対して責任が持てる生産物が出荷できる上に、安全が「安心」につながると
考えた。
1、JGAPの取り組み状況(H25年産米)
(1)栽培者数および栽培面積 :11経営体、約40ha (約240t)
(2)販売状況:販売単価は、一般米と同額。
(3)認証関連経費:経営体当たり約10万円(認証、農薬分析、旅費等)
2、米(はえぬき)の輸出状況(H25年産米)
(1)輸出先:香港、シンガポール
(2)輸出量:約7t
(3)販売単価:1万1,000 円/俵
3、今後の展開
(1)新たな輸出先開拓と輸出規模拡大
(2)採算がとれる米価水準の確保
【特記事項】
現在、日本米のプレミアムの市場はなくなっており、今後は海外の顧客
ニーズにあった品質と価格の米をいかに作り、提供するかが求められて
いる。
12
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
(鶴岡市 水稲作付面積
13ha
法人)
26
【要約】(200~300字程度)
当該法人では、水稲13ha、大豆8ha、ナス30aの経営を行っている。平成6年から特
別栽培米を生産し、直販、インターネットによる販売を行っている。平成15年に法
人化し、鶴岡市を中心に、市外、県外への米の生産・加工・流通・販売までを夫婦
2人と臨時雇用で担っており、収益性の高い水田経営を確立している。
【背景・具体的データ】
平成 5 年の大冷害をきっかけに、翌年から消費者の求める安心なものを作りた
いと特別栽培の実施、直販を始め、コミュニティ新聞にチラシを入れたところ、
多数の問い合わせがあり、200 件の顧客ができた。現在でもきめ細やかなサービス
を提供しており、例えば、顧客の米がなくなったときにもすぐに対応する等、顧
客からの信頼を築いている。
水稲の品種構成は、つや姫 7.2ha、はえぬき 1.5ha、コシヒカリ 1.1ha、ササニシ
キ 1.1ha、もち米 1.1ha である。生産量の 90%は個人販売、10%を東京の米販売業
者に卸している。個人販売の内訳は、地元鶴岡市が 30%、市外、県外が 70%であ
る。また、多くは電話による受付け、固定客であるが、4 年前から 35%ほどは楽
天を通じてネット販売を行っている。
米の販売価格は、生産量によらず毎年一定(500 円/kg)にしており、販売を開
始した平成 6 年からから変わっていない。このことも安定した顧客を得ている大
きなポイントである。ホームページの作成、パッケージデザインの発注、クレー
ム処理、というニュースレターの作成と発行等、販路開拓に余念がなく、口コミ
やお中元、お歳暮商品として広がりを見せている。
【特記事項】
13
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
(市町村:庄内町 水稲作付面積 1000ha
農業協同組合)
27
【要約】
A農業協同組合は、組合員798戸、水稲作付面積約1,000haの米を主力とした農業協
同組合である。
長年、土づくりと担い手の育成を大切にし、環境に優しい米づくりに取り組ん
できた。
水稲作付面積1,000haのうち、8割が特別栽培である。
このうちカントリーエレベーターのサイロ1基分(約50ha前後)を、日本生活協同
組合連合会と契約し、付加価値化して販売している。
【背景・具体的データ】
A農業協同組合は、以前から「ちばコープ」と提携し、特別栽培米の契約栽培
を行ってきた。
「ちばコープ」が他の生協と合併し、「コープみらい」となり、米の仕入れが「日
本生活協同組合連合会」に一本化されたこと等により、平成23年からは「日生協
型特別栽培米」として販売している。
他の特別栽培米とはガイドライン表示が異なるため、別の認証区分で認証を受
けている。
販売は全農を経由しているが、一般的な「はえぬき」と比較し、加算金700円
/60kgを加えて組合員に代金を支払っている。
日生協型特別栽培米「はえぬき」栽培面積の推移(ha)
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
55.1
64.2
51.4
38.2
【特記事項】
14
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
遊佐町
水稲作付面積 1,246ha
個人
28
【要約】
この米は、堆肥施用を基本にした土づくり、農薬8成分の特別栽培米等である。
価格は、安全安心な農作物生産は、手間がかかりコストが上昇するが、消費者団
体と生産原価を考慮して価格を取り決める「生産原価保障方式」により、安定し
た経営が図られている。
平成25年は、1,246haが作付けられ、103,754俵が生産され、1俵16,000~15,500円
で販売された。
【背景・具体的データ】
最初は、農協と消費者団体との提携から始まり、その後、農協の下部組織の部
会の取組みとなり、現在に至っている。
農法・価格・ブレンド方法・食べ方等全般にわたり消費者と創りあげて来た。
生産者と消費者の「顔の見えるつながり」は、環境保全型農業に対する理解と
関心を増進する活動であり、部会設立以来継続して実施している。消費地への交
流、農業体験ツアー、消費者団体の会員を対象にした援農活動を実践しながら、
農業への理解を深めている。
平成25年産一般米平均販売価格(はえぬき)
60kg当たり販売価格
13,700円
平成25年産部会米販売価格
60kg当たり販売価格
15,500円(113%)
【特記事項】
15
付加価値
高付加価値化・販路開拓等の取組み
酒田市
水稲作付面積
17.8ha
個人 23 名
29
【要約】
酒田市にある任意組織では、減農薬・減化学肥料栽培を実施し、安全・安心・
おいしい米の生産に取り組み、農業の生産性向上、地域農業の活性化を目指して
いる。この主旨に賛同した個人の生産者により組織されている。
販売先より産地指定を受けるよう、販促活動を通じ、消費者の顔が見える取引
の確立と、高品質良食味米を生産し、売れる米づくりを目指している。
毎年、会独自で食味コンクールを実施しており、食味向上に向けた意識が高
い。高付加価値化した米で産地との信頼関係を築き、高値販売をしている。
【背景・具体的データ】
平成14年に発足。会の構成員は現在23人。地域の若手農業者も構成員に入
っている。
品種:はえぬき10.1ha。ひとめぼれ7.7ha(平成26年度)。合計17.8ha。
特別栽培米認証を受けている。化学農薬使用成分回数8成分。
首都圏のスーパー等と直接販売契約を結び(主に精米5kg袋)、現地のスーパー
で適宜販促活動や新米試食販売活動を行っている。他にも卸会社が水稲作付ほ場
を視察に来るなど、消費地や卸との交流活動が盛んである。
首都圏のスーパーとの信頼関係の構築により、高値での取引が行われている。
年次変動はあるが、一般米と比較して60kg当たり300~500円が加算されている。
平成25年より新たに酒田市内の飲食店と取引を開始し、地道に販路を獲得し
ている。
【特記事項】
16