第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 第 3 章 取り組みの基本方向 本章では、環境理念としての望ましい環境像を達成するための具体 的な取り組みについて示しています。 それぞれの取り組みについて実現の程度や効果について評価するた めの指標を掲げています。 14 第3章 Ⅰ‐1 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 生息域と生き物 【現況と課題】 (1)取手市は、市域の 16%以上を河川区域が占めています。利根川沿いの戸頭地区・ 小文間地区や小貝川の岡堰下流部を中心に、河川敷には河畔林*1や河畔の草地が 広がっており、豊かな生態系を形成するとともに、景観上の特徴ともなっていま す。これらの河畔林は、河川改修などにより減少、消滅に向かうおそれがありま す。 (2)市の西部には取手台地、東部には小文間台地があり、入り組んだ谷津田*2や斜面 林*3がみられます。取手市の樹林の多くを斜面林が占めています。斜面林は開発 などによってかなり減少したものの、谷津田の周辺などに比較的良好な林も残っ ています。 (3)歴史的文化財でもあるお寺や神社が市内各地にあり、それに付随して社寺林*4が 分布しています。社寺林には、巨木や古木も多くみられます。また、小文間にあ る面足神社には、この地域では貴重となっている極相林*5が残っています。 (4)市内の農家などにみられる屋敷林*6は、生け垣や農地、斜面林などと相まって特 徴的な景観を形成していますが、開発や都市化の影響で減少しつつあります。 (5)樹木には、酸素を供給するという生物の生命維持にとって不可欠な働きのほかに、 大気中の二酸化炭素を固定し、地球温暖化を抑制する働きや、大気汚染物質を吸 着するといった、大気の浄化にも貢献する働きもあります。 (6)取手市には、猛禽類を含む多くの鳥類の生息が確認されています。これは豊かな 自然環境があることを示していますが、生息地や営巣地、また、餌となる小さな 生き物や昆虫の減少によってこれらの生物も減少しつつあります。 (7)魚類をはじめとする水生生物は、水質の変化や生息場所の減少などにより、その 種類や数が減少していますが、フナやメダカが見られる小川や沼、ホタルが見ら れる小さな水路など、わずかですが貴重な自然が残っています。 (8)利根川河川敷などに残っている自然やみどりをこれ以上減らすことなく、また、 *1 河畔林:河川沿いの、洪水などの影響を受ける不安定な立地の河原に成立している樹林のことをいいま す。 *2 谷津田:丘に挟まれた小さな谷間・湿地で、谷底には水が流れている環境を谷津とよび、そこにある水 田を谷津田とよびます。 *3 斜面林:河岸段丘沿いの斜面や丘陵地の斜面などに成立している樹林のことをいいます。 *4 社寺林:神社・仏閣などの敷地内で、まとまって残されている樹林のことをいいます。信仰上の理由も あり、長期間改変が行われず、その地域の自然植生を残している所が多いのが特徴です。 *5 極相林:長い年月を経て、最終的に安定に達した状態を極相といいます。極相に達した森林のことを極 相林といいます。 *6 屋敷林:民家の敷地内で、まとまって残されている樹林のことをいいます。 15 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 失われたみどりを取り戻すために、市民、事業者、市が協力して取り組んでいく 必要があります。 【目標像】 水と自然-希少な生き物がつくる豊かな自然との共生 【施策の体系】 計画目標 Ⅰ-1-1 みどりの保全 Ⅰ -1-2 野生 生物の 保 護とその生息地の保全 Ⅰ -1-3 野生 生物のデ ータの収集・提供 取り組み Ⅰ-1-1-1 斜面林の保全 Ⅰ-1-1-2 等の保全 社寺林・屋敷林や巨木・古木 Ⅰ-1-1-3 河畔林や河畔の草地の保全 Ⅰ-1-1-4 度の拡充 保存緑地・保存樹木等指定制 Ⅰ-1-1-5 活動 遊休農地を活用した環境保全 Ⅰ-1-2-1 希少種の保護 Ⅰ-1-2-2 野生生物の生息地への配慮 Ⅰ-1-2-3 水路と道路の自然化 Ⅰ-1-3-1 動植物の生息状況調査の実施 16 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【取り組み内容】 Ⅰ-1-1-1 斜面林の保全 イニシアティヴ:M 優先順位:B (1)保存が必要な斜面林については、現行の保存緑地等指定制度以外の保全区域指定 制度を検討します。 (2)保全すべき斜面林の土地所有者に対して、経済的な支援の拡充を検討します。 達成目標 短期:現行制度以外の制度での一箇所以上の指定を行うこと Ⅰ-1-1-2 社寺林・屋敷林や巨木・古木等の保全 イニシアティヴ:M 優先順位:B (1)保全すべき社寺林・屋敷林、また巨木・古木等について、その価値を広く市民に PR して市民の理解を図ります。 (2)保全すべき社寺林・屋敷林、巨木・古木について、保全指定を行うための制度を 整備します。 (3)市民や市民団体が行う保全活動を支援するシステムも検討します。 達成目標 短期:現行の保存緑地等指定制度以外の保全制度について結論を出すこと Ⅰ-1-1-3 河畔林や河畔の草地の保全 イニシアティヴ:M 優先順位:C (1)利根川河川敷などの自然環境として良好な河畔林や河畔の草地について、引き続 き保全していきます。 達成目標 短期:河畔林や河川敷の草地が良好に保全されていること 17 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ-1-1-4 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 保存緑地・保存樹木等の指定制度の拡充 イニシアティヴ:M 優先順位:B (1)市条例にもとづく保存緑地、保存樹木等の指定制度*7について、斜面林、社寺林、 屋敷林、及び巨木・古木等、既指定緑地、指定樹木等の現況調査を実施します。 (2)指定状況を確認し、指定の見直しを行います。 (3)指定対象の所有者または管理者に対する経済的な支援を検討します。 達成目標 短期:指定件数が継続して保持されていること Ⅰ-1-1-5 遊休農地を活用した環境保全活動 イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)市が遊休農地の情報を収集し、地域の担い手が遊休農地を活用できるよう支援し ます。 達成目標 短期:遊休農地の活用率を改善すること Ⅰ-1-2-1 希少種の保護 イニシアティヴ:M 優先順位:C (1)希少な動植物について、その生育地の保全・保護に努めます。 (2)保護施策の実施にあたっては、名称や生息地・生育地を公表しないなど、密猟や 乱獲の防止のための情報管理等に十分な配慮を行います。 (3)アライグマなどの害獣の捕獲を行います。 達成目標 短期:希少種の生息地の保護が継続されており、情報管理がなされていること *7 保存緑地・保存樹木等の指定制度:取手市緑の保全と緑化の推進に関する条例に基づき、市街地の樹林 や大径木を所有者の協力を得ながら保全する制度です。 18 第3章 Ⅰ-1-2-2 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 野生生物の生息地への配慮 イニシアティヴ:M 優先順位:C (1)野生生物の生息地情報を市が一元管理します。 (2)開発許可にあたり野生生物の生息地への影響について検討します。 (3)「けもの道」のような開発の影響を緩和するための有効な施策の検討を行います。 (4)公共施設の計画・設計にあたっては絶滅危惧種等の生息地の保全に配慮します。 (5)野生生物の保護のため、鳥獣保護区拡大の有効性について検討します。 達成目標 短期:上記事項が実施されていること Ⅰ-1-2-3 水路と道路の自然化 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)水路、道路の整備にあたっては、自然用水路、透水性アスファルト等、生物の生 息や環境に配慮した工法あるいは資材を用いた施工方法を、検討すべき施工方法 の一つとします。 達成目標 短期:上記項目が実施されていること Ⅰ-1-3-1 動植物の生息状況調査の実施 イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)動植物に関心のある市民や団体に希少・貴重な動植物の生息状況の調査を委嘱す るための制度を検討します。 (2)希少・貴重動植物に関する情報は市が一元管理し、情報公開の方法を工夫して市 民に公開し、希少種に関する市民の理解と関心を高めるようにします。 達成目標 短期:制度の検討結果が得られていること 19 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ‐2 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 水環境と大気環境 【現況と課題】 (1)市内を流れる一級河川としては、利根川、小貝川、相野谷川、西浦川、北浦川が あります。生活排水は浄化処理された後、市南部は利根川に、中央部は相野谷川 に、北部は小貝川に、東部は利根川又は小貝川に、それぞれ流入しています。特 に、河川敷を含め市域の約 16%の面積を占める利根川と小貝川は、親水空間とし て市のシンボル的な存在となっています。市の南部に位置し、利根川の旧河道で あった古利根沼は、県内でも有数の景勝地です。 (2)利根川、小貝川、相野谷川、古利根沼において、環境基準*8が指定されている項 目(pH*9、BOD*10、SS*11、DO*12、大腸菌群数*13 )と COD*14の測定を実施しています。平 成 25 年の測定結果では、一部河川の BOD 濃度が環境基準を満たしていませんが、 経年による値の変化をみても、いずれの河川でも大きな水質変化はありません。 古利根沼では河川よりも BOD の値が高い傾向にあり、経年による水質の改善も確 認できていません。 (3)上水道の用水として利用している利根川の水質も、良いとはいえない現状にあり ます。 (4)コンクリートの三面張り水路など、人工的に改修されている河川、水路が多く、 身近に親しめる水辺が少なくなっています。 (5)利根川や小貝川に流入する排水路の水質は改善を図る必要があります。 (6)茨城県大気汚染常時監視測定局が取手市役所に設置されており、二酸化硫黄*15、 窒素酸化物*16、浮遊粒子状物質*17、光化学オキシダント*18、PM2.5*19の測定を行って います。 (7)平成 25 年度の測定値では、光化学スモッグが基準値を超え注意報が発令された日 数は 2 日間でした。また、PM2.5 は基準値を超える日は 1 日もありませんでした。 *8 環境基準:環境基本法に定められているもので、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に関わる環境上の条 件について、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準です。 *9 pH(水素イオン濃度) :水が酸性であるかアルカリ性であるかを示す数値です。pH7 が中性で、それより数値が大き ければアルカリ性、小さければ酸性です。 *10 BOD(生物化学的酸素要求量):Biochemical Oxygen Demand の略で、微生物が、水中の有機物等を二酸化炭素や水な どに分解するために必要とする酸素の量のことをいいます。河川の有機系汚濁物質の程度を示す代表的な指標です。 *11 SS(浮遊物質量):Suspended Solids の略で、水中に浮かび、漂っている粒径 2mm 以下で濾過される物質のことをい います。 *12 DO(溶存酸素量):Dissolved Oxygen の略で、水中に溶けている酸素の量のことです。不足すると水中生物は生息し にくくなります。 *13 大腸菌群数:大腸菌群数は、大腸菌及び大腸菌と性質が似ている細菌の数のことをいい、水中の大腸菌群数は、し尿 汚染の指標として使われています。 *14 COD(化学的酸素要求量) :Chemical Oxygen Demand の略で、化学物質が、水中の有機物を二酸化炭素や水などに分 解するために必要な酸素の量のことをいいます。BOD とともに湖沼や海域の有機系汚濁物質の度合いを示す代表的な指 標で、この数値が大きいほど汚れていることになります。 *15 二酸化硫黄(硫黄酸化物) :ものの燃焼によって発生する大気汚染物質で、高濃度になると呼吸器に悪影響を及ぼすと 言われています。環境基準が定められています。 *16 二酸化窒素(窒素酸化物) :ものの燃焼によって発生する大気汚染物質で、高濃度になると呼吸器に悪影響を及ぼすと 言われており、環境基準が定められています。紫外線により光化学反応を起こし、光化学オキシダントを生成します。 *17 浮遊粒子状物質:大気中に浮遊している微粒子で粒径が 10μm 以下のものをいいます。ディーゼル自動車や工場など から排出されるほか、自然界からも発生します。慢性呼吸器疾患を引き起こすほか、微粒子に含まれる様々な有害物質 による影響が懸念されており、環境基準が定められています。 *18 光化学オキシダント:空気中の窒素酸化物や炭化水素などが太陽からの紫外線を受けて、光化学反応を起こして生成 するもので、環境基準が定められています。オゾン(O3)が主成分の強酸化性物質で、光化学スモッグの原因となりま す。 *19 微小粒子状物質(PM2.5):大気中に浮遊する粒子状物質のうちでも特に粒径の小さいものをいいます。(粒径 2.5 マ イクロメートル以下の微小粒子状物質で髪の毛の太さの 30 分の 1 程度) 。PM2.5 は非常に小さいため、肺の奥まで入り やすく、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。 20 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【目標像】 きれいな水と快い風があるまち 【施策の体系】 計画目標 取り組み Ⅰ -2-1 河川 の水質 汚 濁の防止:生活排水対策 Ⅰ-2-1-1 公共下水道の整備促進 Ⅰ-2-1-2 合併処理浄化槽の普及促進 Ⅰ -2-2 河川 の 水質 汚 濁の防止:面源系対策 Ⅰ-2-2-1 農薬・化学肥料の適正使用 Ⅰ-2-2-2 ゴルフ場の農薬使用に関する 協定の継続 Ⅰ-2-3-1 継続 定期的な河川等の水質測定の Ⅰ-2-3-2 地下水の監視 Ⅰ -2-4 安 全 で お い し い飲み水の確保 Ⅰ-2-4-1 上水道用水の高度処理 Ⅰ-2-5 親水施設の整備 Ⅰ-2-5-1 辺の整備 親水広場など自然性の高い水 Ⅰ-2-6 水源地の保全 Ⅰ-2-6-1 水源地の保全、回復 定期的な大気観測の継続と周 大気の監視 Ⅰ-2-7-1 知 Ⅰ-2-7-2 定 市民の手による大気の簡易測 Ⅰ-2-3 Ⅰ-2-7 水質の監視 21 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【取り組み内容】 Ⅰ-2-1-1 公共下水道の整備促進 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)年度別の下水道整備計画等に基づき、下水道整備事業を推進し、下水道の普及を図 るよう、取手地方広域下水道組合に働きかけていきます。 達成目標 短期:公共下水道普及率が増加していること Ⅰ-2-1-2 合併処理浄化槽の普及促進 イニシアティヴ:V 優先順位:A (1)現行の補助制度を基本として、合併処理浄化槽*20の設置を促進します。 (2)浄化槽の設置者に PR、啓発を行い、浄化槽の適正な維持管理を図ります。 (3)高度合併浄化槽の設置を支援し、義務付ける制度を検討します。 (4)NPO 等と協力して浄化槽の定期的な点検を行う制度を検討します。 達成目標 長期:公共下水道の計画がない地域における合併浄化槽普及率 100% 短期:制度の検討に結論を得ること Ⅰ-2-2-1 農薬・化学肥料の適正使用 イニシアティヴ:V 優先順位:A (1)農薬*21、化学肥料の情報提供と啓発を行います。 (2)環境保全型農業支援制度を検討します。 達成目標 短期:情報提供と啓発が行われていること 短期:制度の検討に結論を得ること *20 合併処理浄化槽:し尿と生活雑排水を一緒に処理する浄化槽のことです。 *21 農薬:農業用の薬剤で、殺菌剤、殺虫剤、殺鼠(さっそ)剤、除草剤、植物の生長促進剤や発芽抑制剤な どをいいます。 22 第3章 Ⅰ-2-2-2 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 ゴルフ場農薬使用に関する協定の継続 イニシアティヴ:V 優先順位:A (1)ゴルフ場の農薬使用に関する協定を継続します。 達成目標 長期:協定が継続されていること Ⅰ-2-3-1 定期的な河川等の水質測定の継続 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)河川や樋管、雨水幹線等の水質検査、地点、時期の見直しと調査を継続します。 また、国交省・周辺自治体などの調査地点・調査時期等にも配慮します。 (2)河川等の水質の検査にあたり、市民団体等と協力して実施する枠組みを検討しま す。 達成目標 短期:河川等の水質の検査が継続的に実施されていること 短期:検討に結論を得ること Ⅰ-2-3-2 地下水の監視 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)定期的な地下水の水質検査を継続します。 (2)井戸水使用者の安全確認を啓発します。 達成目標 短期:地下水の水質検査が継続的に実施されていること 23 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ-2-4-1 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 上水道用水の高度処理 イニシアティヴ:M 優先順位:B (1)県南水道やこれに水道水を供給している茨城県企業局に働きかけ、上水道用水の 全量高度処理をすすめます。 達成目標 中期:上水道用水の全量高度処理が実施されていること Ⅰ-2-5-1 親水広場など自然性の高い水辺の整備 イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)市民が散策できる親水空間を計画します。 (2)ゆめみ野公園内の親水空間ゾーンを、市民や市民団体と協力して引き続き適切に 維持管理していきます。 (3)相野谷川畔にある水の公園を、市民と協力して親水機能を維持するように管理し ていきます。 達成目標 中期:親水広場の整備箇所数 Ⅰ-2-6-1 1 箇所以上 水源地の保全、回復 イニシアティヴ:V 優先順位:A (1)市民団体による利根川・小貝川の水源地の環境保全活動を支援する制度を検討し ます。 達成目標 短期:制度の検討に結論を得ること 24 第3章 Ⅰ-2-7-1 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 定期的な大気観測の継続と周知 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)茨城県の定点観測に、継続して協力します。 (2)光化学スモッグ発生の注意報・警報発令時及び微小粒子状物質(PM2.5)の注意喚起 時には、速やかに市内に周知する体制を維持、強化します。 達成目標 短期:継続して定点観測が行われていること Ⅰ-2-7-2 市民の手による大気の簡易測定 イニシアティヴ:V 優先順位:A (1)公共施設を測定場所として提供するなど、市民による大気の測定を支援します。 達成目標 短期:市民の手による大気汚染の測定が実施されていること 25 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ‐3 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 まちなみ 【現況と課題】 (1)取手市は東京都心から約 40km に位置し、JR 常磐線や国道 6 号といった主要な交 通網が通っており、茨城県南部の玄関口となっています。 (2)1980 年代以降、人口の伸びは緩やかになって最近では微減傾向にあり、高齢化が 進んでいます。 (3)市民の意識としては、良好な住環境、みどりが多いことなどが取手市のプラスイ メージとして共有されています。逆にマイナスイメージとしては、文化施設が少 ない、車中心の道路、商店街の衰退などが挙げられます。 (4)取手市としての個性や特徴を示す、シンボル的存在がなく、特色がはっきりしな い印象があります。起伏の多い住宅地や市街地は防災上の観点から規制・管理す る必要があるのでマイナスのイメージがありますが、電線等の地中化、植栽の統 一、歩道の整備等、景観や環境に配慮した再開発を行えば、取手市のイメージア ップにつながります。 (5)市街地においても再開発や道路の整備・拡張、また建物の建て替えなどによって、 古くからのまちなみや景観が大きく変化しつつあります。 (6)一戸建ての住宅地などにおいて、最近、空き家が増えており、適正な管理がされ ていないために生活環境上の問題となる事例が発生しています。 26 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【目標像】 歴史と生活が調和した環境と景観のまちなみ 【施策の体系】 取り組み 計画目標 Ⅰ -3-1 調和 のと れた まちなみづくりの推進 Ⅰ -3-2 身近 なま ちな みに対する意識の向上 Ⅰ -3-3 人に やさしい まちづくりの推進 Ⅰ-3-1-1 地区計画・建築協定の導入 Ⅰ-3-1-2 広告看板の規制 Ⅰ-3-1-3 景観の保全に向けた検討 Ⅰ-3-2-1 道路や坂に愛称をつける Ⅰ-3-3-1 空き地、空き家の適正な管理 27 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【取り組み内容】 Ⅰ-3-1-1 地区計画・建築協定の導入 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)新規開発地区においては、地区計画*22の導入を推進します。 (2)地区計画や建築協定*23についての普及啓発に努めます。 達成目標 短期:新規開発地区において地区計画が導入されていること Ⅰ-3-1-2 広告看板の規制 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)看板の設置に関する法令の遵守の徹底を図ります。 (2)市及びボランティアによる定期パトロールにより、違法な看板の発見と撤去を徹 底します。 (3)市内の公共案内看板を再点検し更新を図ります。 達成目標 中期:看板が適正に設置管理されていること 短期:公共案内看板の再点検、更新が行われていること Ⅰ-3-1-3 景観の保全に向けた検討 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)保全すべき景観やその価値について、地域の実態に基づきその保全に向けた検討 を行います。 達成目標 短期:取手らしさをあらわす景観の保全や、あるべき都市景観について、検討が行 われていること *22 地区計画:都市計画法に定められたまちづくりの一手法で、いくつかの街区などからなる比較的小規模 な地区を単位として、地域の住民と市町村が協力して、地区の特性に応じたまちづくりのルールを定める ものです。 *23 建築協定:地域の住民の合意によって、建築基準法の基準以上の建築ルールを取り決め、それをみんな で 守りあっていく制度です。 28 第3章 Ⅰ-3-2-1 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 道路や坂に愛称をつける イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)道路や坂に愛称をつけるガイドラインについて検討します。 (2)ガイドラインを運用し、市民の意見を取り入れた上で道路や坂に愛称をつけます。 (3)それらの道路や坂には愛称を示す表示を行います。 達成目標 短期:ガイドラインを作成すること 中期:主要道路や坂について愛称が付けられていること Ⅰ-3-3-1 空き地、空き家の適正な管理 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)空き地の管理が適正でないために生活環境の悪化をきたすことがないよう、所有 者・管理者に対し条例に基づいて適正な管理を求めます。 (2)一戸建ての持ち家等が空き家になる場合、所有者に対し適正な管理を行うよう啓 発します。 (3)中心市街地の空き家について、担当部署と協議して、有効利用を促進する方策を 検討します。 達成目標 中期:空き地、空き家について、適正な管理がなされていること 短期:中心地市街地の空き家有効利用方策について結論を得ていること 29 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ‐4 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 まちなみのみどり 【現況と課題】 (1)取手市には都市公園*24は 153 箇所(81.3ha)と数は多くありますが、利根川河川敷 にある取手緑地運動公園(約 26ha)がその面積の多くを占めています。都市公園の 多くを占める街区公園*は 138 箇所あり、近隣公園*25は 6 箇所あります。 (2)市の人口 1 人あたりの公園面積は、7.4 ㎡です。これは、茨城県平均の 9 ㎡、全 国平均の 10 ㎡を下回る値です。 (3)市民アンケートなどによると、多くの市民は取手市について緑が豊かであるとい う印象を持っていますが、まちなかの緑に限れば多いとは言えません。 (4)取手市における緑に関する計画としては、 「取手市緑の基本計画(平成 10 年 3 月) 」がありますが、それ以降策定されていません。 (5)市民レベルでは、ベランダ園芸や緑の生け垣づくりなど、積極的に緑化を推進 する気運があります。 (6)公園や街路樹などの維持管理と美化を図るため、公園や道路等を「子供」に見 立て、市民がこれらの施設の「里親」になって、定期的に草刈りや清掃などをボ ランティアで行う「公共施設の里親制度」 が 2001 年 10 月から実施されています。 現在、町内会・婦人会・企業・任意団体等が登録をして、活動が行われています。 【目標像】 道路・公園・公共施設、街なかにも家庭にも、緑あふれるまち *24 都市公園:都市公園法に基づき、国や県、市町村が所有権を取得した上で、整備管理する公園のことを いいます。 *25 街区公園・近隣公園:都市公園の一種。都市公園には規模や目的に応じていくつかの種類に区分されま すが、地域の住民が利用する身近な公園は「住区基幹公園」に分類されます。住区基幹公園は、その規模 によって、小さいものから「街区公園」 「近隣公園」 「地区公園」に区分され、街区公園は、誘致距離 250m 以内の住居者を対象とし、面積 0.25ha を標準とします。なお、近隣公園は、誘致距離 500m 以内で標準 面積は 2.0ha、地区公園は、誘致距離 1km 以内で標準面積は 4.0ha となります。 30 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【施策の体系】 計画目標 Ⅰ-4-1 公園・緑地と街 路樹の整備 取り組み Ⅰ-4-1-1 市民のニーズに沿った公園・ 緑地の整備 Ⅰ-4-1-2 公共的スペースの緑化 Ⅰ-4-1-3 緑化植物の植栽、管理等のガ イドラインの作成 Ⅰ -4-2 市民 がみ どり を自ら育てていく仕組 みづくり Ⅰ-4-2-1 「公共施設の里親制度」の発展 Ⅰ-4-2-2 コミュニティガーデンの推進 Ⅰ-4-2-3 みどりのリサイクルの推進 31 第3章 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 【取り組み内容】 Ⅰ-4-1-1 市民のニーズに沿った公園・緑地の整備 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)公園の整備・再整備にあたっては、対等なパートナーとして地域住民と協議し、 地域住民との協働により、維持管理を含めて整備します。 達成目標 短期:地域住民との協働による公園の整備、再整備、維持管理が行われているこ と Ⅰ-4-1-2 公共的スペースの緑化 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)近隣市民や事業者の意見を聴取して調整を図り、樹種、照明等に配慮しながら、 公的施設の緑化を進めます。 (2)公的施設、集客施設について市独自の緑化率規制の在り方について検討します。 達成目標 中期:公的施設・事業所の敷地の緑化割合に継続的に改善がみられること 短期:市独自の規制の在り方について結論が得られていること Ⅰ-4-1-3 緑化植物の植栽、管理等のガイドラインの作成 イニシアティヴ:M 優先順位:A (1)公園、道路や公共施設の緑化・植栽について、樹種の選定、植栽方法、剪定・施 肥・病害虫防除などの管理方法等に関するガイドラインを作成します。 達成目標 短期:ガイドラインが策定され、適用されていること 32 第3章 Ⅰ-4-2-1 取り組みの基本方向 Ⅰ 自然生物の生息域・生活環境 「公共施設の里親制度」の発展 イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)公共施設の里親制度の対象施設を道路、公園以外の施設にも拡充します。 (2)同制度の運用にあたって、環境面からの効果が得られるようガイドラインを策定 します。 (3)市内で市等が管理する土地、建物内に公共施設サービスを充実させるためのアド プト(養子縁組)協定策定について検討します。 達成目標 短期:ガイドラインを策定していること 短期:アドプト協定について結論を得ていること Ⅰ-4-2-2 コミュニティガーデンの推進 イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)緑にあふれ、潤いのある街並みをつくるため、コミュニティガーデン活動を支援 します。 (2)市は、コミュニティガーデンに適した場所に関する情報を提供します。 達成目標 中期:コミュニティガーデンの活動が行われていること Ⅰ-4-2-3 みどりのリサイクルの推進 イニシアティヴ:V 優先順位:B (1)インターネットを利用し、不要になった樹木、庭木等の情報交換の場を提供しま す。 (2)広報紙や公共施設の掲示板等を活用して、情報の提供を行います。 達成目標 特に設けない 33
© Copyright 2024 ExpyDoc