◆平成26年4月10日発行(毎月1回10日発行)第4巻第4号(通巻37号)発行:日本工業出版http://www.nikko−Pb.co.JP 生産加工技術を支える 加工技術 特別企画 「INTERMOLD2014」 出展製品ガイド 金型に求められる 最新加工技術 高付加価値金型を製作するには、 今、どのような技術が必要とされて いるのか。ここでは、まず日本にお ける金型づくりの現状を把握すると ともに、その具体的な将来像を展望 する。続いて、各種加工技術、材 料、計測、CAD/CAMなどについての 最新技術動向を紹介する。〔編集吉田 11402−13 0387−1053/14/¥500/論文/JCOPY 特集 金型に求められる最新加工技術 <総論>日本のものづくりと金型の展望 佐藤 声喜* 勝、生産プロセスの高度化による人件費割合の縮 小、離職問題などで最近の米国製造業は国内回帰 の傾向にあるとし、この傾向は本来のあるべき姿 「地産地消」への加速をもたらすとしている。今 1.はじめに 日本ものづくりの牽引役のトヨタ自動車豊田 幸男社長は、1月年初挨拶で「今年は攻め時」と 社内を鼓舞した。同じく日本自動車部品工業会 玉村会長は、「国内1,000万台確保でグローバル に拡大基調」と評した。しかし、円安などの外的 要因も大きく、決して楽観視はしていない。むし ろ特徴ある技術開発と生産性向上に対するヒト、 後グローバルに現地開発が加速し、オープンイノ ベーションと技術流出リスクの相反課題に直面し ながら「技術ガバナンス(統治)」がますます重 要になると指摘している。キヤノンは国内生産回 帰で5割引き上げる(1月8日付け日経新聞)とし モノ、カネへの投資で日本のものづくりの大きな た(図1)。 転換期と位置づける。本編では、時代の潮流と金 型・生産の今後のあるべき姿を論じたい。 筆者は、自動車メーカー、Tierl、Tier2、金 型メーカーなどの100社以上の技術コンサルタン トの経験から、これからのものづくりは、人件費 2.ものづくり企業の抱える課題 2.1製品開発と製造の潮流 差での利益追求ではなく、地域で求められるもの づくり、特に日本は、多様なグローバル市場ニー ズに対応できる「多品種、小ロット、短命」製品 に適した開発手法と製造手法への変革が必要と考 える。方策は、日本の高品質な標準部品と可変部 品の組み合わせの妙、すなわち日本の強みである 過去の技術資産をいかに標準化LDB化するか、 それを工程の上流で無駄のない設計・製造の工程 企画ができるかが焦点となると考える。そこにす べての技術資産を集約すべきである。国内空洞化 製品開発において東北大学柴田教授1)は、日本 流の「すり合せ型」の特注化指向からVWなどの 共通部品を基軸にした「組み合わせ型」の標準 化指向への転換が進んでいるとし、今後は、多 種多様なグローバルニーズへの対応とコスト競 争力との両立にむけて「特注化」と「標準化」 の両立を目指すべきとしている。他方、東京大学 元橋教授*2は、中国をはじめとする労働賃金の高 で落ちこんだ製造業、このままでは技術の空洞 化を招きかねない。目指すは、「技術の日本マザ *sATO,Seiki/㈱KMC 代表取締役 八束エ東レ 幕下こ轟・ 創始芝 的露 光摘 桐謬 201口 2n12 西暦 図1中国■アジア賃金比較と10年間の推移(JETRO資料) 8 機械と工具 特集 金型に求められる最新加工技術 ーセンター」の再建、地産地消に対応した「グロ ーバル技術統治システム」の構築が必要であり、 その技術資産、システムを使いこなし進化させる 「技術人材の育成」が求められている。 2.2 金型、部品生産の課題の実態 (1)金型への要望と実態 各自動車メーカーの要望は、品質面では HONDAが求める「一発完働」といわれる金型 TRYlでの量産品質達成、納期面では「金短30」 型構感型投かcAI漬:加工… 図2 金型の工数分布と対策の方向性 のような大物金型30日、中物20日、小物10日、 コスト面では「中国並み価格」を主要自動車メ ーカーが具体的なQCD値として目標に掲げてい る。しかしながら、実態としては達成できていな い。他方、金型のQCD値以上に求められている ことは、金型により生産される成形品、ダイカス ト・板金・ゴム・鍛造などの低価格生産であっ て、かつ高品質な部品と安定生産が金型に求めら れている。その要求に対して金型として重要な点 は、①金型製作からトライまでの初期品質・熟成 (玉成)、②量産移行時の立ち上げ、特に海外現地 立ち上げ品質、③量産時の生産停止を起こさない 金型品質・メンテナンスの3点である。 ①金型設計・製作からトライまでの初期品質・ 熟成 生まれの良い金型、いわゆる量産で問題を起 こさない素性の良い金型を目指して、金型設計か ら製造、トライを経て、初期品質を「一発合格」 まで引き上げる。金型としての課題は、毎回違う 製品の金型を製作することにある。どうしても過 去の経験が生かされず、毎回同じような不具合を 再発してしまう。特にトライ時に、さまざまな不 具合事象が発生するが、現場の型仕上げ職人に頼 り、量産立ち上げしてしまう悪癖が治らない。現 場でのトライ不具合履歴や原因、仕上げの修正 ロジックなど、重要な履歴が残らない。したがっ て、金型設計の源流に対するフィードバックがさ れず、CAM・製造工程も一向に進化しない。 また、工数が一番かかるのが、熟成や玉成と 言われる仕上げである(図2)。この仕上げ調整 品質が強みでもあるが終わりがない。改革の一丁 目一番地は、このトライ・熟成工程のナレッジ分 析にある。製品図・データに対して、最初の金型 構想検討がその後のすべてを左右するが、ベテラ ン金型設計者の能力任せで一向に改善されていな 2014年 4月号 い。そこにノウハウを集約すべきである。世界を リードし続けるには、金型初期品質(寸法、外観 合格率)を上げ、玉成プロセスで金型「補正一発 合格」する金型技術が必要だ。 図2は、ものづくりの改革の方向性を示し、 現場の不具合から改革すべきである。 ②量産移行時の立ち上げ、特に海外現地立ち 上げ品質 量産立ち上げで苦労しているのは、自社金型 工場でのトライでは合格したが、国内他工場や海 外現地工場では合格しないという大きな課題があ る。当然、工場設備条件が違うことや作業員が違 うので起こりうる不具合であるが、機差、環境差 のデータベースがない。またその差分を裁く基 準、仕組みがないのが要因である。 金型材料、熱処理一つとっても国内と海外で は素性が異なる。この辺りも設計の源流から条件 差を見越した金型設計が求められる。その源流で の部品品質企画に向けて、生産技術要件の集約と 判断基準化、そのDB化が求められる。図3はそ のDB要件の一例を示す。 ③生産停止を起こさない金型品質・メンテナ ンス 金型に対する最大の要求は、壊れないこと、 安定した品質が維持されることであるが、実際 は、生産数量が多い金型では定期的なメンテナン スが必要で、さらにダイカスト、鍛造型など高熱 で生産される金型は、数千ショットで更新金型も 製作される場合もある。問題は、その都度、部品 品質が動くことにある。残念ながら、量産になる と金型部門から部品製造部門へ金型が引き継がれ る(あるいは金型メーカーから生産会社)こと が多いため、その技術連関がそこで途切れてし まう。生産現場で起こっている重要な不具合や 9 取り出しロボット要件 澄箋諸芸・:二・▲ 軸脚山.ヽ、_… 瞞慧ここ.三豊.≡二重ニ:≡≡二登 30T 350T 成形機要件 クレーン要件 図3 会型における国内・海外生技要件 金型メンテナンス情報、生産設備との不具合連関 などが整理されず、金型源流にフィードバックさ れていない。重要なことは、製造における金型メ ンテナンス記録、部品生産中の不具合と生産ショ 電承システムとは、ベテランの設計手順、判 断基準、必要なインプット情報・データ、検討に 必要な標準書、規格書、ナレッジシートなどの技 術資料、過去の不具合データなどは当然各検討工 ットとの関係、設備保全記録と一連の履歴が記録 されることである。しかし、実際には、製造現場 で対策を取ってしまっていることが多く上流の生 程とリンクして瞬時に表示される。したがって、 産技術部への不満が多く、結果不具合対策が進ま ない。不具合・停止や記録にあらわれない現場対 応によるロスコストは生産コストの10から30% 内在しており、対策は急務だ。源流である開発部 門、生産技術部門、金型部門へのフィードバック と対策の循環を促す仕組みが必要となる。 本編では、金型設計製造、加工機・治工具な どの設備ハード面は別の機会で紹介することと し、ソフト面の解決策を提案する。 3.これからの金型と部品生産システム 3.1「ナレッジ電承」による新たな技術・知識 伝承 前述のノウハウの蓄積・継承には、従来の徒 弟制度的な技術伝承ではなく、ノウハウをデジタ ル化した技術の「電承」(デジタル伝承)が必要 だ。戦後一代で築いた社長にとって最大の課題が 事業継承である。熟練技術者はあと数年で定年、 伝承しようにも設計や加工は3D化・IT、自動化 などで最新化された状況になり、ベテランでも最 新技術と融合した伝承に苦慮しているのが現状で ある。そこで、IT化する次の経営者への技術伝 承としてこの「電承3)」システムへの期待が寄せ られている。 10 資料を探す手間や先輩を追いかけて聞く時間は無 くなる。その技術電承情報は、DB化されること でエンジニア間の技術共有とグループ検討を可能 とし、チーム設計や遠隔設計が実現できる。電承 により仕様チェックや検図なども設計・CAM・ 加工・製造含め、多角的にものづくり設計が進め られる環境が提供される。 電承の重要な機能として大きな狙いは「設計 の足跡を残す」機能、いわゆる検討過程、判断結 果を「ナレッジ電承」に記録させ、次の設計に役 立てるべく継承されることにある。後で資料をま とめようとか、振りかえるのはほとんど不可能 である。「人が考えたことをシステムが技術伝承 し、循環させる仕組み」を構築することで次世代 設計・製造が可能となる。 ナレッジサーバに蓄積された設計手順とその プロセスにリンクした過去設計実績、過去不具 合、規格・標準書、ナレッジシート、関連する 3Dデータなどがどこの地域でもネットワーク環 境さえあれば共有可能となる。設計プロセスの支 援画面からそのプロセスの詳細設計画面へ移行す れば知り得たい情報の閲覧が可能で、セルフチェ ック機能もあるので、上司は、ネットワーク上で 容易に確認することができる。 図4はナレッジ電承システム、図5は、ノウ ハウを集約し足跡を残すなどの機能画面、図6は 機械と工具 特集 金型に求められる最新加工技術 図4「ナレッジ電承」システム 過去機種の設計情報 詳細設計支援画面 設計ノウハウ・ナレッジ・不具 設計判断■決定(変更)理由 図5「ナレッジ電承」の機能画面 金型設計ナレッジ電承以外の電承モジュール群 サイマル電承 解析(CAE)電承 検図チェック電承 CAM用日工)電承 成形トライ電承 測定(CAT)電承 図6「ナレッジ電承」システムの応用 2014年 4月号 11 図7「ナレッジ電承」による教育風景  ̄三三三二妄三 言 ̄ 三き≡≡…≡二三二 ̄二.  ̄ 図8 管理対象となる主要業務プロセス 電承技術管理・DBSystem ネットワーク 各種ファイル 2Ⅰ)、3Dデータ・3D帳・…般帳票 JIS,規格書・自社規格・標準蕎 ナレッジデータ・不具合データ 図9「プロセス電承」システム構成図 「ナレッジ電承」の各工程に適用した電承モジュ ール事例を示す。 実は、その「ナレッジ電承」に記憶されたナ レッジDBこそ、都度進化する新技術を含んだ常 に最新化された教育ツールとして最適なものとな る。エンジニア・人材育成で悩む諸兄には、教育 マニュアルの更新の手間が無くなり、ベストな 仕組みである。図7は右手に3D−CADの設計画 面、左手にナレッジ電承によるノウハウ支援を受 けながら教育研修をしている様子である。ネット ワークを使えば、教育場所は、国内でも海外でも どこでもよい。 12 3.2「プロセス電承」によるプロセスと情報の 可視化 「プロセス電承」とは、金型設計からトライま での一気通貫の工程管理システムである。図8に 示す各主要プロセスに応じて「ナレッジ電承」 システムを配置し、必要なツール群を連携させて いる。図9にプロセス電承システムの構成図を 示す。重要なことはプロセスと技術データを一 元管理し、工程の「飛ばし」を無くして手戻り を撲滅することである。そのためのゲート管理 機能を搭載した。当然、多拠点、海外連携も可 機械と工具 特集 金型に求められる最新加工技術 <プロセス電承システム> 承認者 ポイシ′ト 夢蒜′タ窯元驚理箪′禦務め流猟 腋所職能∴轢葉櫨能 クライアント 図面閲覧・保存 文書検索 プロセス実行 ワークフロー管理 IN/0UT制御 ファイルの保存場所、履歴を管理 ファイル検索に必要な索引の管理 承認ゲート管理 承認 否認 待ち ユーザーの権限に応じて 参照可否、更新可否を制御 WizardSystem 加工工程表 不具合管理 図10 ゲート管理機能 能とする機能やセキュリティ機能も具備してい を作るビジネスモデルに対抗するには、旧来型の る。3DViewerとEXCELと組み合わせた「3D帳 票」、プロセス電承のDBから自動的に帳票が生成 される「自動帳票」、3D−CADの金型データと連 日本流職人一品金型製作ではなく、新たな人と仕 組みが融合した「プロセス電承」で次の時代をリ ードする仕組みへの変化が必要である。今でも、 動した「CAMレス機能」「不具合管理」「スケジ 他国に対し優位性がある高品質金型の経験と実績 ューラ」なども連携する。これからは、小ロッ をDB化し、プロセスを主体にしたものづくりへ の転換は重要だ。この仕組みを国内拠点間、海外 工場展開すれば、グローバルな金型製造・メンテ ト、短命、短納期対応が金型には求められ、人に よるプロセス管理には限界が出る。グローバルに は技術流出の観点から個人に属さない「プロセス 電承」の仕組みを日本のマザーセンターで進化さ せ、世界TOPの品質を維持、海外との工程連携 でコスト削減、並行作業による短納期化が図れ る。 韓国などの単一機能の企業群が適合して金型 2014年 4月号 ナンス管理体制、金型部品供給体制とデータの一 元管理で生産コスト・ロスコストを削減できる。 図9はプロセス電承システムのシステム構成 図を示す。 プロセス電承は、各工程に必要なナレッジ電 承や3D帳票、CAM電承などの自動NCツール、 13 不具合管理システムなどのツール群と連動して全 工程情報を一元管理ができ、各工場間・部門・人 が共有できるシステムである。 図10は、プロセス電承機能の一つで工程間の 仕様をチェックし、手戻りを無くし、責任ある工 程フローを実現するためのゲート管理機能であ る。業務フローの可視化が可能でスケジュールソ フトなどと組み合わせれば、工数管理、日程管 理、さらには、開発コスト管理も可能となる。 3.3「金型電子カルデ)」による不具合予知・ 予防 生産現場や金型設計・製造過程で不具合をと らえることは非常に難しい。特に生産中は業務に 追われ、金型設計・製造中も繁忙で「不具合シー ト」等へ記録する余裕がないのが現状である。特 に生産現場にPCを持ち込みEXCELシートへ「不 具合事象・不具合部位、原因など」を書式化する のは作業者にとって相当面倒である。また、金型 のメンテ記録、金型更新記録は、ほとんど生産現 場に埋もれて活用されていない。「金型電子カル テ」は、その課題を解決すべく、スマホやタブレ ットなどのカメラ機能、音声記録機能を活用し現 場で簡単に記録ができ、リアルタイムにデータベ ースに格納され、必要な「不具合シート」へ転記 図12 金型電子カルテの画面 系列的に管理も可能だ。 金型や部品認識には、QRコードを採用してい るが、RFIDやはかのバーコードなどの認証シス テムの活用も可能だ。成形機やプレス機、鋳・鍛 造機の生産ショットとの連携を図れば、どのタイ ミングで不具合があったか、金型メンテナンスは 何時か、更新型が何時適用されたのかといった実 態がつかめる。 図13は、金型認識のためのQRコードの適用例 される画期的なシステムである。現場巡視だけで で、金型銘板の事例とアルミ・真鎗・鋼材への は拾えない「生の声」を社長は見たり、闘いたり QRコード切削を示す。図14は、現場での不具合 伝達の写真、ムービー、現場の声の事例、図15 できる。現場は、不具合対策や改善を直接設計者や 関連部署にメール配信機能で訴えることができる。 図11はシステム概要、図12は実際に登録され る現場情報画面を示す。その生の「声、写真、 ムービー情幸凱 は、必要な生産技術部、金型製造 部、あるいは開発部などの関連部門も同期的に送 信され、対応部署が遠隔地でも、閲覧し不具合対 策を即座に着手できるシステムである。当然、時 14 は成形機などの生産数との金型履歴の連関グラ フ、図16は、月次不具合管理表を示す。このよ うな統計的管理指標は、各社各様の仕様があり、 PLMなどの全社基幹システムとの連携要求もあ るのでカスタマイズにて対応している。 また、金型の所在管理も重要だ。小ロット、 短命化すれば金型数も増え、サービスパーツ用に 機械と工具 特集 金型に求められる最新加工技術 QRコードによる金型銘板  ̄l妻三三去三苧 図13 金型に装着されるORコード銘板 加工動画 音声による伝達 不具合入れ子写真 図14 不具合と金型部品・部位の関係 成形部品Aの生産ショットと不具合暮メンテ記録 図15 生産情報と連携した不具合管理指標 は10年間の保管義務もある。所在管理、資産管 在管理の現場である。 理上もQRコードやRFIDによる所在管理機能は 金型の設計から製造、トライ、検収までの金 重要だ。図17は、増加する金型、治工具との所 型生まれ履歴、メンテ履歴、更新型履歴と不具 2014年 4月号 15 3.4 目指す姿 筆者は「スマートエンジニアリング(貿いも のづくり)」を提唱している。図18は、筆者が 提唱している安い人件費をあてにした三角形の生 産社会構造から知識創造を最大化し、ロボットな どの自動化で生産を効率的に行う逆三角形の生産 社会への移行とその循環サイクルの図である5)。 人間本来の知識創造社会こそ目指す姿だ。そのた めには、前述の人とITシステムを融合した新た なものづくりの仕組みと手法で、生産性の向上を 図16 不具合管理指標 治工具管理棚 L豊畳梁塵」L壷垂痙垂直] 図り、世界TOPのJAPAN品質(国内品質と海外 工場との同期化)が必要だ。日本の製造業復活と するため「電承」ソフト「金型電子カルテ」は、 生産工場、金型製造現場と源流である開発・金型 設計をIT活用で直結させ、社長、経営層にも生 の現場情報と管理指標を提示し、経営スピードを 上げることができるシステムであると確信する。 この変革が、日本のものづくり企業の生命線の 一つと考える。中国に進出して20年、古い技 術で運営・維持されてきたが仕組みの転換期で ある。 生産現場と金型・治工具管理 図17 金型の棚 合部位・事象、部品と生産ショットとの連関、廃 棄までをカルテとして持つことは、医療カルテと 同様、不具合・生産停止の予知・予防を促し、結 果、金型・生産のロスコストを削減し、利益を上 げる仕組みとなる。このようなシステムを海外 工場とシステム連携を図ることで地産地消に対 応した「金型・生産電子カルテ」となる。「ナレッジ 電承」「プロセス電承」と組み合わせ、競争力ある次世 代の「技術のマザーシステム」として期待される。 KMC流新日本型スマート(賢い)エンジニアリング 牒逆三角形ピラミッド社会・企業構造への転換遜 もう一度日本で儲かる金型・部品生産を真剣 に見直す時期にある。競争力のない仕組み・技術 で海外展開しても所詮滅びる。 4.おわUに 今日本は、生産が国内から海外へ移転し、生 産する場がなくなり、エンジニアの育てる場を失 い、海外への技術の兵鈷線が断裂し始めている。 同時に、技術の空洞化を引き起こしマザーセンタ ー機能の弱体化を招いている。しかしながら、日 本は世界一の品質・こだわり精神の開発と、それ を実現する世界最先端の生産技術開発の強みがあ る。今一度、原点に返り、中小企業育成、エ ンジニア育成を行いながら、JAPANブラン ピラミッド型モデル 逆三角形技術循環式モデル ドの金型、部品品質で世界のものづくりを リードする役割があることを忘れてはなら ない。 参考文献 1)日本企業のすり合せ能力 NTT出版2012 東北大学 教授 柴出友厚 2)日本のイノベーションシステムの特徴とオープイノベ ーションの潮流」東京大学教授 元橋 一之 3)電承は(株)KMC登録商標 旧・現行の開発製造スタイル 次世代のものづくりスタイル 図18 スマートエンジニアリング逆三角型社会 16 4)金型電子カルテは㈱KMC登録商標(申請中) 5)「プロセスとナレッジの融合によるデジタル開発システ ム」2009博⊥論文 佐藤声喜 機械と工具
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