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IASB公開草案「子会社、共同支配企業及び関連会社に対する相場価格のある投
資の公正価値での測定(IFRS第10号、IFRS第12号、IAS第27号、IAS第28号及び
IAS第36号並びにIFRS第13号に関する設例の修正案)」に対する意見
平 成 27年 1 月 16日
日本公認会計士協会
日本公認会計士協会は、国際会計基準審議会(IASB)の継続的な努力に敬意を表すと
ともに、公開草案「子会社、共同支配企業及び関連会社に対する相場価格のある投資の
公正価値での測定(IFRS第10号、IFRS第12号、IAS第27号、IAS第28号及びIAS第36号並
びにIFRS第13号に関する設例の修正案)」に対するコメントの機会を歓迎する。
以下、公開草案の質問項目についてコメントする。
質問1―子会社、共同支配企業及び関連会社に対する投資についての会計単位
IASB は、IFRS 第 10 号、IAS 第 27 号及び IAS 第 28 号の範囲に含まれる投資について
の会計単位は、投資の全体であり、当該投資に含まれる個々の金融商品ではないと
結論を下した(BC3 項から BC7 項参照)。
この結論に同意するか。反対の場合には、どのような代替案を提案するか。
【コメント】
IFRS第13号「公正価値測定」(以下「IFRS第13号」という。)の用語の定義では、会
計単位は「IFRSにおいて認識の目的のために資産又は負債を集計又は分解するレベル」
(IFRS第13号付録A)、すなわち認識の単位とされている。本公開草案では、IFRS第10
号「連結財務諸表」、IAS第27号「個別財務諸表」及びIAS第28号「関連会社及び共同支
配企業に対する投資」の範囲に含まれる投資についての会計単位、すなわち認識の単位
は、投資の全体であるとされている。
一方、当該投資の測定は、個々の金融商品に活発な市場における相場価格が存在する
場合には、当該相場価格を調整なしで用いることとされており、結果として、本公開草
案では、認識の単位(投資全体)と測定の単位(個々の金融商品)が異なることとなる
提案が行われていると認識している。
これに対し、2013年7月に公表されたディスカッション・ペーパー「財務報告に関す
る概念フレームワークの見直し」
(以下「概念フレームワークDP」という。)では、会計
単位は通常はIASBが新基準又は改訂基準を開発する際に決定するものとされ(概念フレ
ームワークDP第9.38項)、また、認識と測定のための会計単位は、通常は同じであるが、
状況によっては、IASBは、異なる会計単位を認識ないしは測定のために使用すべきだと
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決定する可能性があるとされている(概念フレームワークDP第9.41項)。当協会では、
当該概念フレームワークDPに対するコメントとして、適切な会計単位が何であるべきか
については、頻繁に議論となるため、監査人として意見を形成する際に参考となるよう
な、個々の資源又は他の権利及び義務を一つの会計単位に集約するに当たっての考え方
を概念フレームワークにおいて検討いただきたい旨を要望した。
したがって、本公開草案を検討するに当たり、認識の単位と測定の単位についても、
基本的な考え方を、概念フレームワークの見直し等を通じてご検討いただきたい。
質問2―子会社、共同支配企業及び関連会社に対する投資についてのレベル1のイ
ンプットと会計単位の相互関係
IASB は、子会社、共同支配企業及び関連会社に対する相場価格のある投資の公正価
値測定は、相場価格(P)に保有している金融商品の数量(Q)を乗じた積、すなわ
ち、P×Q とすべきであり、調整は行わないことを明確にするために、IFRS 第 10 号、
IFRS 第 12 号、IAS 第 27 号及び IAS 第 28 号の修正を提案している(BC8 項から BC14
項参照)
。
この修正案に同意するか。反対の場合には、どのような代替案を提案するか。理由
を説明されたい(財務諸表利用者に提供される情報の有用性に関するコメントを含
む)。
【コメント】
相場価格(P)は、通常、他の分散する投資者にとっての価値を表しており、支配、共
同支配又は重要な影響力に対するプレミアムを含まない。このため、質問1に回答のと
おり、IFRS 第 13 号における認識の単位を、当該子会社、共同支配企業及び関連会社に
対する投資全体(会計単位)として考えた場合、公正価値と相場価格は必ずしも一致せ
ず、本公開草案の反対意見で述べられているように、例えば相場価格(P)×金融商品の
数量(Q)に、必要に応じて親会社、共同支配投資企業又は投資者にとっての価値と、他
の分散する投資者にとっての価値の差の調整を加えるなどの評価技法を用いることが
目的適合性を有する場合もあると考えられる。このため、質問1に回答のとおり、認識
の単位と測定の単位との整合性について再検討されたい。
また、本公開草案 BC14 項によれば、IASB は IFRS 第3号「企業結合」
(以下「IFRS 第
3号」という。)における支配獲得時の非支配持分の公正価値測定や、段階取得による
支配獲得時の既存持分の公正価値測定において、当該金融商品に活発な市場における相
場価格が存在する場合にも同様の修正、すなわち相場価格(P)×金融商品の数量(Q)に調
整を行わないことの明確化を検討したが、これらの考え得る修正は IFRS 第3号の適用
後レビューの一部として取り扱う方が適切として本公開草案の修正に含めなかったと
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されている。しかしながら、我々は本公開草案単独で修正を行うのではなく、IFRS 第
3号の取扱いも含めた包括的な検討を行うことが必要と考える。
質問3―相場価格のある企業に対応する CGU の公正価値の測定
IASB は、相場価格のある CGU の公正価値測定を相場価格のある投資の公正価値測定
に合わせることを提案している。相場価格のある企業に対応する CGU の処分コスト
控除後の公正価値に基づいて測定する回収可能価額は、相場価格(P)に保有してい
る金融商品の数量(Q)を乗じた積、すなわち、P×Q(調整は行わない)とすべきで
あることを明確にするために、IAS 第 36 号を修正することを提案している(BC15 項
から BC19 項参照)
。処分コスト控除後の公正価値を算定するためには、処分コスト
をこの基礎で測定した公正価値の金額から控除する。
この修正案に同意するか。反対の場合には、どのような代替案を提案するか。
【コメント】
質問2に対する回答と同様である。
質問4―ポートフォリオ
IASB は、IFRS 第 13 号について 1 つの設例を含めることを提案している。市場リス
クがほとんど同一で公正価値測定が公正価値ヒエラルキーのレベル 1 に区分される
金融資産と金融負債のグループへの同基準の第 48 項の適用を例示するためである。
この設例は、このような金融資産と金融負債のグループから生じる市場リスクに対
する企業の正味エクスポージャーは、対応するレベル 1 の価格に従って測定するこ
とになると説明している。
提案した IFRS 第 13 号に関する追加の設例は、IFRS 第 13 号の第 48 項の適用を例示
していると考えるか。反対の場合には、どのような代替案を提案するか。
【コメント】
同意する。
本公開草案で提案されている IFRS 第 13 号の追加的な設例は、市場リスクがほとんど
同一で公正価値測定が公正価値ヒエラルキーのレベル 1 に区分される金融資産と金融
負債のグループへの IFRS 第 13 号第 48 項の適用を例示していると考える。
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質問5―経過措置
IASB は、IFRS 第 10 号、IAS 第 27 号及び IAS 第 28 号の修正については、企業は、利
益剰余金(又は、適切な場合には、資本の中の他の内訳項目)の期首残高を修正し
て、子会社、共同支配企業又は関連会社に対する相場価格のある投資の従前の帳簿
価額と当該修正が適用される報告期間の期首現在の当該相場価格のある投資の帳簿
価額との差額を会計処理することを提案している。
IASB は、IFRS 第 12 号及び IAS 第 36 号の修正は将来に向かって適用することを提案
している。
IASB は、移行についての開示要求(BC32 項から BC33 項参照)も提案し、早期適用
を認めることも提案している(BC35 項参照)。
提案している移行方法(BC30 項から BC35 項参照)に同意するか。反対の場合、その
理由は何か、また、どのような代替案を提案するか。
【コメント】
公正価値の測定方法の変更を行う場合、IFRS 第 13 号 BC229 項に記載されているとお
り、変更は将来に向かって(会計上の見積りの変更と同じ方法で)適用すべきと考える。
以
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上