総合理工学研究科報告 第8巻第2号 昭和62年 一209一 凝縮を伴う超音速ノズル流れにおける全圧損失の数値解析 川越茂敏*・権 純 範** 松尾 繁纏*・松 尾 一 泰* (昭和61年9月29日 受理) Numerical Analysis of Total Pressure Lρss in Supersonic Nozzle:Flow with Condensation Shigetoshi KAWAGOE, Soon Bum KWON, Shigeru MATSUO and Kazuyasu MATSUO Arapid expansion of moist air or steam in a supersonic nozzle gives rise to condensation and the total pressure of the flow is reduced by this nonequilibrium phenomenon. In the present paper a numerical method is presented for determining the total pressure loss due to condensation of steam expanding in a supersonic nozzle, assuming that the flow is one・dimensiona1, inviscid, steady flow and the steam is perfect both thermally and calorically. Based on the calculated results, the effects of degree of superheat of steam and the shape of nozz互e on the total pressure Ioss have been discussed. In the case of steam condensation, the Ioss in total pressure occurs in the nonequilibrium condensation region and the total pressure loss increases with an increasing degree of superheat of 層steam. Further, the higher the expansion rate of nozzle is, the larger the total pressure loss becomes. ’The values of the total pressure loss are about 3 to 8 percent in the present calculations. の効果が考慮されておらず,また文献5)では,この効 1. ま え が き 水蒸気や湿り空気などの凝縮性気体が超音速ノズル で急激に加速膨張する際に生ずる非平衡凝縮の過程 果が考慮されているが,実験結果との比較がなされて いない.このように凝縮による全面損失については実 験的にも,理論的にも明らかでない点が多い. は,エントロピーの増加を伴う不可逆過程であり,流 そこで著者らは,凝縮性気体として湿り空気を用い, れの中にこのような凝縮が起こると全野損失が生ず 円弧ノズルで膨張する際に生ずる非平衡凝縮過程にお る.凝縮に起因する流れの全圧損失に関して,これま ける全圧損失を実験的に求め,損失に及ぼす初期過飽 でいくつかの実験的1ト4〕および理論的4’5)研究が報告 和度やノズル形状などの効果を系統的に明らかにした されているが,実験的研究はいずれも全智損失が主目 戦さらに文献5)と同様の考え方のもとに凝縮過程に 的ではなく,系統的研究はなされていない.理論的研 おける全町損失を理論的に求め,実験値との比較を行 究としては,凝縮を伴う流れを凝縮によって生じた潜 い,計算法11)がほぼ満足できるものであることを示し 熱による加熱流れと考え,全圧損失を求める方法6》も た. あるが,相変化を伴う流れに対してこのような考えを 本論文は蒸気タービンとの関連から凝縮性気体とし 適用すると非常に大きな全圧損失が得られるη.従っ て水蒸気を用い,これが超音速ノズルで膨張する際に て正しい全圧損失を求めるには,相変化の際の不可逆 生ずる非平衡:凝縮による流れの全圧損失を文献11)の 効果を見積る必要があるが4・5〕,その際,凝縮によって 計算法を適用して求めた.さらに全圧損失に及ぼす諸 発生する凝縮核(液滴)の大きさが1nm程度8)と極め 因子の効果について考察し,湿り空気と水蒸気の全圧 て小さいことから,液滴表面における表面エネルギー 損失の差異について言及した. を考慮しなければならない5β,.しかるに文献4)ではこ 串エネルギー変換工学専攻 2.解析方法 綿エネルギー変換工学専攻 博士課程 ノズル入口のよどみ点状態における過熱蒸気の状態は 廓嚇エネルギー変換工学専攻 修士課程 圧力ρ。1と温度丁。1で表すことができる.従って圧力 凝縮を伴う流れの全圧損失の数値解析 一210一 ρOlにおける飽和温度を7もとすると過熱度∠7〕01は ∠7b1=7も1−7』となる.本論文では湿り空気との比較 ムー i2π)万夢(号ア(寄)万・x・(一4影夢σ)(7) を行うために過飽和度S。1(=蒸気の圧力ρ。1/その温 ここでN,1∼,σ,μ,ρ‘及び々はそれぞれアボガドロ 度における飽和蒸気圧ρ、)も用いることにする.上記 数,一般ガス定数,表面張力,水蒸気の分子量,液滴 の水蒸気が超音速ノズルで膨張し,凝縮する際の流れ の密度及びボルツマン定数で,液滴の臨界半径γ。.は について考える.計算に際し,次の仮定をする.(1) 次式1ので表わされる. 流れは一次元・定常・断熱流れとする.(2)粘性効果 一一 を無視する.(3)気相と液相の速度差を無視する.(4) qT llぞ伽 (8) 液相のしめる体積は小さい.(5)気相と液相の温度差 また表面張力σは,無限平面をなす液面の表面張力σ。。 は考慮する. と表面張力係数ηを用いて次式より求めた. 2.1 基礎方程式 σ=ησ。。 流れの基礎方程式は次のようになる. 2.3二三の成長 質量保存の法則 舌(ρπ孟)一・, (1) 液滴の半径をγとすると,液面の成長速度47/読= π4γ/砒は次式で表わされる. 譲一蕩(βひ一β‘) 運動量保存の法則 ・聲+髪一・ (9) (2) エネルギー保存則 (10) ここでξは凝縮係数,β。15),β‘15)は単位面積に単位時 間当り入射する蒸気分子数で;ξβ。=ξρ。/踊は 畷+警一・ (3) 凝縮分子数,ξβ‘=ξρノ 2πR。7’‘は蒸発分子数を示す. なおρ‘は弾琴と周囲の気体が平衡状態であると仮定 ここでρ,%,ρ,ぬ,凶及びκはそれぞれ水蒸気中に した時の液滴表面における飽和圧力でHelmholtzに 液滴を含む噴霧流の密度,流速,圧力,エンタルピー, よれば次式で表される. ノズル断面積及びスロートからノズル中心軸に沿う距 ρ‘=ρ。。(T∂exp(2σ/(ρ‘1∼〃T‘γ)) (11) 離を示す.また五を蒸発潜熱gを液相の質量比(液 相の質量/気相と液相の全質量の和),0‘を液相の比 熱,TとT‘をそれぞれ気相と液相の温度とすれば,噴 霧流の単位質量当りの全エンタルピーぬ。1は次式で表 ρ。。(:τ’‘)は温度丁‘の無限平面における飽和圧力であ る. 次に水蒸気のthermal accommodation coefficient 16}をα,とすれば,液滴に対するエネルギー保存則は せる. 次式のように書ける15). 編1一 q+伽1T一・五+・G(TrT)一・・n・・ ÷角箒畷一応(1一β‘T‘/βか7’) (4) 一1ぐ(1一ξ)βひαひ(T‘/T−1) ここでCρ。1はノズル入口のよどみ点状態における比 熱である.状態方程式は水蒸気を完全ガスと仮定し, 水蒸気のガス定数を1∼。とすれば,次のように簡単に 書ける. 1)=ρ(1−9)酒∼〃7、 一筆(γ五12・LLγ一1)/R7 (12) ここでγは蒸気の比熱比で,1(=(γ+1)/(γ一1)/2で ある. (5) 2.4 エントロピーと全圧損失 2.2核生成率と液滴の臨界半径 混合気体のエントロピーは次式5・9》で計算した. 凝縮に伴って単位時間,単位体積当りに発生する凝 ・一(1−9)瓦1・(蜘ρ)+・(÷表券)(13) 縮核の数!12》は次式で与えられる. 右辺の最後の項は微小液滴の表面におけるエントロ 1=1−Z, (6) ゼー1ηである.なお凝縮によって生序た液滴自身のエ ここでrはaccommodation coefficient12)で,古典 ントロピーは液相の質量比gが小さいので無視した. 理論の核生成率Z,には次のVolmer13)の式を用いた. またエントロピーの基準としてノズル入口のよどみ点 総合理工学研究科報告 第8巻第2号 昭和62年 状態を選んだ.凝縮による局所全圧ρ。は次式4・5)で求 一211一 ても計算を行った.これらのノズルの膨張率と形状を それぞれ図1(a),(b)に示す.Fig.1(a)の円弧ノズル められる. 廃一s壽01−1・釜 の膨張率Pはスロートにおける3000/sより増加し, (14) 途中でノズルN2のPより大きくなる.なお曲率半径 ここでs。1は基準エントロピーである.計算には R*は約700mmとなる. Fig.1(b)のノズル形状はノ Runge−Kutta−Gill法を用い,スロートより計算を始め ズル中心軸より上半分のみが示してある.ノズルのス る.スロートにおける状態量は流れがスロートで ロート高さがはいずれも48mmの一定とした(ハー チョークすると仮定して求めた. フノズルのスロート高さは24mm). 計算の際,凝縮係数ξ,表面張力係数η,accom− 2.5 供試ノズルと計算条件 modation coefficient r及びthermal accommoda− 本計算では,凝縮現象に及ぼすノズル形状の効果を 明確にするため,ノズル内の任意の位置における流れ tion coefficientα.は,本計算における静圧分布が文 の膨張率P(=一1/カ・orρ/4’=一z4/カ・or1)/砒)が流路を 献18)の実、験結果と一致するようにそれぞれ0.036, 通じて一定に保たれるようにGyarmathyの方法18)を 1.1,10−5及び0.2に選んだ.蒸気は圧力ρ。1= 用いてノズル形状を定めた.用いたノズルは膨張率戸 101.3々P。の一定とし,過熱度∠:τb1を5∼25Kの範囲 が3000/s(ノズルN1)と6000/s(ノズルN2)の2種 で変化させた(過飽和度SD1=0.44∼0.84). 類とし,参考のためノズルスロートにおける膨張率 君々が3000/sで円弧ノズル(ノズルN3)の場合につい 3.解析結果と考察 3.1凝縮による全戸損失 ノズルN1で過熱度∠%が10K(7h=283.15K) 切8 =こ る と20K(T。1;293.15K)の場合の計算結果の一例を 7 Fig.2(a),(b)に示す.図の横軸はいずれもスロートか ’〔』6 らの距離んで,縦軸にはそれぞれ局所静圧ρ,全町ρ。, Nozzle N2 液相の質量比8,蒸気のエントロピーの増加量∠s,過 Nozzle N3 飽和度S,核生成率1及び液滴の平均半径アが示して ある.なおFig.2(a)の静圧ρと全圧ρ。は,ノズル入 4 Nozzle N1 口のよどみ点状態における圧力ρ。1で無次元化してあ り,図には乾き水蒸気の場合の理論線も破線で示して 20 100 50 150 200 」3 ㎜ (a) いる.図の各曲線上の点A,B及びCはそれぞれ凝縮 開始点,非平衡凝縮の終了点19)及び全圧の急激な減少 が終了し,全期がほぼ一定とみなせる点を示す.Fig. 2(a)よりいずれの過熱度の場合も,静圧比ρ/ρ。1は点 Nozzle N3(circular nozzle) Nozzle N2Q5=6000 1/s, Aまでは乾き水蒸気の曲線に沿って減少し,点Aより ずれはじめ点Bで極大値を有する変化をする.点A ∼B間が非平衡凝縮領域19)である.全圧比ヵ。/ρ。1は点 Aまでは1で,凝縮が始まると減少し,点B以後わず Nozzle N1(P=3000 1/s) Vap。Urρ。1,7。l ミ ミ Flow かに減少して点Cでほぼ一定となる.点A∼C間の全 霊降下量が凝縮による全圧損失とみなすことができ Center → 1ine of nozzle .⊥一 (b) る.すなわち水蒸気の全圧損失はほぼ非平衡凝縮領域 で起こるといえる.Fig.2(a)より全圧損失は過熱度 ∠:τも1が大きい方が大きい(過飽和度S。1が小さい方 が大きい).これは湿り空気の全圧損失が5。1の増加と Fig.1、 Expansion rate and configuration of noz− zle (a)Expansion rate of nozzle (b)Nozzle configuration ともに増加するのと全く逆の現象であり,この理由に ついては後述する. Fig.2(b)より液相の質量比gはいずれの∠7b、の 凝縮を伴う流れの全圧損失の数値解析 一212一 0.8 場合も点Aより増加するが,点Cにおける値は∠T。1 Nozzle N1(P=30001/s) @ kPa P。1=10L3 ミ が変っても余り増加しない.水蒸気のエントロピーの 画 増加量、4εは点Aより急激に増加し,点Cにおける値 0.6 B c A 0.4 は∠71。1が大きい方が大きい.∠εがこのように増加す 叫、=20K ム?。1騙10K るため式(14)に従い全圧比ρ。/ヵ。1はFig.2(a)のよ うに減少する変化をする.またFig.2(b)の過飽和度 C ` A 0.2 、 steam Dry A △7。3・10κ 、一一一 嚇 a c 1.00 ミ こ ゥ9・20K B O.95 c Sは点Aで最大値を有し,その値は∠71。1が大きい方 が大きい.さらに核生成率/は点Aの最大値より凝縮 が始まると減少し,示威の半径アは図に示すように増 加する変化をする. 以上の状態量の変化より水蒸気の全圧損失の理由に 0 、。8・90 50 100 150 記 ㎜ ついて考察する.上述のように水蒸気の場合は脈圧損 失は,大部分非平衡凝縮領域で起こる.これは水蒸気 (a) の場合の全寮損失が,凝縮核が生成される際の不可逆 0.10 Nozzle N1(力窩3000 的な仕事や,凝縮開始点における高い過飽和度を経て 1/s) P。二=101.3kPa 軌 平衡凝縮へ移行する際の非平衡効果に強く依存するこ ム701寄10 K△7。ド20 K 0.05 とを示している.そして加熱度∠71。1が大きいほど全 CB B 圧損失が大きいのは,上述の損失に及ぼす二つの効果 A A 0 C 30 K △701 =20 B c C 20こ:, B △?。、=10K 10 A A 2 のうち後者の影響が∠7〕。、が大きいほど大きくなるた めと思われる. 湿り空気の場合,S。1が大きいほど全圧損失は大き くなるが,S。1に対する湿り空気と水蒸気のこの違い は,湿り空気の場合,全面損失は非平衡凝縮領域のみ 0 15.0 ム70星=エ0 Ki△?。、・20 A 図 望 ならず,その後の領域でも起こり,その傾向はS。1が KA 大きいほど大きくなるのに対し,水蒸気の場合,上述 のように全圧損失はほぼ非平衡凝縮領域で生ずるのが 7.5 原因と思われる. B E B 10’。マ O B る B<沖= A 7 マ 1020 Ei A 1馬 0.5 A B 0 10旦。 ゆ 50 100 いずれもスロートからの距離んで,縦軸には水蒸気の エントロピーの増加量∠s,全圧比ρ。/ρω,及び全圧損 B 、。10σ 0 張率Pが3000/sと6000/sの場合について調べた.そ の結果をそれぞれFig.3(a),(b)に示す.図の横軸は △2。1=201K A 3.2動圧損失に及ぼす諸因子の効果 全圧損失に及ぼす過熱度∠T。1の効果をノズルの膨 △?。夏=10K 150 鍔 mm 失に影響を及ぼすと考えられる液相の質量比g,過飽 和度Sが示されている.図の曲線上の点A及びCは (b) それぞれ凝縮開始点及び土圧減少の終了点を示す.い Fig.2 Calculated results for steam with、471。1= 10Kand 20K (a)Static and total pressure distribution along center line of nozzle (b)Flow property distributions along center line of nozzle ずれの図においても凝縮が始まると(点A),エントロ ピー∠s及び質量比8は零より増加し,過飽和度Sは その最大値より,油圧比ρ。/ρ。、は1よりそれぞれ減少 する変化をする.図よりいずれの膨張率においても, 全圧損失は過熱度∠:τ1。1が大きいほど大きいことがわ かる.この場合,液相の質量比gの点Cにおける値は 」T。、に対しておずかに増加するのに対し,過飽和度 Sの点Aにおける値は大きく増加している.従って, 総合理工学研究科報告 第8.巻第2号 昭和62年 mozzle . N1(P=3000 △70L P ‘ 5K 30 1/s) P。1=101.3kPa △701 Nozzle N2(P=6000 P = 5KP。1寓101.3 kPa 翌 20こ, Q : 10K R .15K S .20K T :25K Q : ●:A 3 4 2 こ 0.95 } 20 一 Q 10 0 .α、 5 ⇔ ミ 2 . 。:c 1 0 1 2 3 4 30 ●:A 。:C 1.00 40望 > 逡髭1 S ・20K T :25K 10 5 50 @寓 1/s) 3 . 署 1 一213一 2 3 4 5 ぐ=コ 1 ミ 軌 混 0.05 一 1 3 2 0.05 O.95 5⇒ 4 1 0 0.90 2 3 4 5 ⇒ O.90 り 0 15 10 10 5 2 1 3 4 5 5 0 0 50 100 0 200 150 1 2 3 4 5 150 100 50 0 oじ mm 200 α: mm (b) (a) Fig.3 Effect of degree of superheat on flow properties (a)Calculated results for P=3000/s (b)Calculated results for Pニ・6000/s 前述のように全圧損失に及ぼす過熱度∠7b、の効果を 考える場合,液相の質量比gより高い過飽和度からの 非平衡効果がより強く寄与するものと考えられる. Fig.3の全圧比ρ。/ρ。1曲線から点A∼c問の全圧 ρ。、・101・3kPa =0・08 ミ こ ぐ 0.06 損失∠ρ。を求めることができる.その値をノズル入口 のよどみ点圧力ρ。1で無次元化した値∠ρ。/ρ。1を過飽 0、04 OlN。zzleN1(戸・30001/s) 和度∠T。1に対してFig.4に示す.図のパラメータは ノズルの膨張率で,図よりいずれのノズルの場合も損 禔F Nozzle N2〔戸=6000 1/s) O.02 「: Nozzle @ 失∠ρ。/ρ。、は∠7blとともに直線的に増加することが わかる.本計算範囲(∠T。1=5∼25K,ρ。、=101.3々P。) 00 10 1/5) 30 △7。!K における土圧損失∠ヵ。/ヵ。1は3∼8%である.また図よ り膨張率が大きいほど損失∠ρ。/ρ。1は大きい.これは 20 N3(戸=3000 at throat) Fig.4 Effect of degree of superheat on total preSSure loSS ノズルの膨張率が大きいほど凝縮開始点における過冷 却度が大きく,従ってより強い非平衡凝縮の効果を受 けるためと思われる,図よりノズルN2の二二損失は の場合,Fig.1(b)からわかるように膨張率Pはス 5K≦∠7h≦25Kの範囲でノズルN1に比べ2%ほど ロートより急激に増加してN2の膨張率6000/sを越 大きい.従って,膨張率が2倍になれば全圧損失は2% える.従ってその全圧損失∠ρ。/ρ。1はFig.4からわか ほど増加するといえる.なおノズルN3(円弧ノズル) るように,途中でノズルN2のそれより大きくなる. 凝縮を伴う流れの全圧損失の数値解析 一214一 4. 結 論 水蒸気が超音速ノズルで急激に加速膨張する際に生 ずる非平衡凝縮の過程を数値解析し,次の結論が得ら れた. (1)非平衡凝縮過程における不可逆効果を見積り, 参 考 文 献 1) Daum, F. L, AIAA J.,1−5(1963),1043. 2) Pouring, A. A., Phys. Fluids,8−10(1965),1802. 3)Abraham,0.,ほか3名, Phys. Fluids,24−6(1981), 1017. 4)Deych, M. YE,ほか3名, Heat Trans.一Sov. Res., エントロピーの増加量から水蒸気が凝縮する際の流れ 1−2(1969),135. の全圧損失を求めた. 5)池口・ほか2名,機講論,No.770−5(1977),103. (2)水蒸気の全圧損失は,その大部分が非平衡凝縮 領域で起こり,損失量は初期加熱度∠T。1が大きいほ ど,すなわち初期過飽和度S。、が小さいほど大きい. この現象は湿り空気の凝縮による全圧損失がS。1が大 きいほど大きくなるのと全く逆の現象で,両者におけ るこの違いを,全圧損失が起こるそれぞれの領域の違 いに基づいて説明した. (3)水蒸気の凝縮による全圧損失は∠7「。1が大きい ほど大きいが,これは左τblが大きいほど凝縮開始点 における過飽和度が大きく,より強い非平衡効果が起 こることから説明される.計算より得られた全中損失 6)Wegener, P. P. and Mack, L, M., Adv. in App1. Mech.,5(1958),373, Academic Preass. 7)Strehlow, R. A.著,水谷幸夫訳:基礎燃焼学, (1968),135,森北出版. 8)池田,ターボ機械,2−1(1974),84. 9)Sugawara, M, and Oshima, N., Proc.12th Int. Symp, on Combustion,(1966),1193. 10)権,ほか4名,機論,52−480,B(1986),2860. 11) 権,ほか3名,機講論,No.868−1(1986),37, 12) Barschdorff, D., Phys. Fluids,18−5(1975),529. 13)Volmer, M., Kinetik der Phasenbildung,(1939), 21,Steinkopff. 14)Wegener, P. P., Nonequilibrium Flow, Part 1, (1969),163,Marcel Dekker, は∠7’01=5∼25Kでノズルの膨張率Pが3000∼ 15)Hill, P. G, J. Fluid Mech.,25−3(1966),593. 6000/sの範囲で3∼8%である. 16)Wachman, H. V., ARS. J.,32(1962),2. (4)ノズルの膨張率Pが大きいほど脳圧損失は大 きく,Pが2倍になれば全圧損失は2%ほど増加する. Pが大きいほど全判損失が大きいのは,結論(3)と同 様の理由による. 17)Defay, R,ほか2名,Surface Tension and Adsorp・ tion,(1966),47. Longmans。 18)Gyarmathy, G, and Meyer, H., VDI−Forsch.,508 (1965),1. 19)松尾,ほか5名,機論,51−466,B(1985),1952.
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