1PS-1101 平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 倒立二輪ロボットのパラメータ変動に対する安定精度の問題 東海大学大学院 工学研究科 東海大学 情報理工学部 ○野口 晃寛 平田 弘志 1. はじめに 3. 振子系の安定化 倒立二輪ロボットの代表的な例として, セグウェ イがある. このような不安定な制御対象は重量およ び慣性モーメントの変化が考えられる. そのため 制御対象のパラメータを既知で設計を行った制御系 の場合, 設計パラメータ不一致が起きてしまい安定 した制御が出来なくなってしまう. したがってこの ような問題は可能なら排除し, 適切なチューニング 機能を有する制御系を導入することが望ましいと考 える. よって本研究では VSS 適応制御と STC を使 用して, 対象の物理パラメータに変動が起きても対 応のできる制御系を考察する. 平衡点近傍で線形化した車輪型倒立振子の運動方 程式は次式となる. 2. 制御対象と基本パラメータ Y T Hsc i w H : det M / Bk Y T r sgn( ) T det M A 2 AEg Bk Bk Bk : r he f r 制御対象である実験機とモデル図を以下の Fig.1, Fig.2 に示す. y l 2 r J1 M1 : 車輪の角度 : 振子の角度 M1 :車輪の質量 M2 M 2 : 振子の質量 r : 車輪の半径 L : 振子の長さ x2 , y2 l : 振子の重心までの長さ J2 x1, y1 : 車輪の重心 x2 , y2 : 振子の重心 1 : 地面と車輪の粘性摩擦係数 2 : 車輪と振子の粘性摩擦係数 J1 : 車輪の重心周りの慣性モーメント x1 , y1 J 2 : 振子の重心周りの慣性モーメント : 車輪のトルク 1 x J 1 M1r M 2 r M 2 r cos sin 2 2 (1) (2) 微小なので無視している. 基本パラメータに関する線形関係式は 0 r c rs 0 sgn( ) ( ,,) rc gs 0 0 0 T 1 2 3 4 5 6 2 2 1 J 1 ( M 1 M 2 )r , 2 J 2 M 2 l M l , , , d 2 4 1 5 2 6 1 3 (3) (4) として表せる. ここで, ( ,,) は regressor 行列, は基本パラメータである.また,モータトルク 定数 k が不確定な場合を考慮して次式のように して使用する. i ( ,,) , i : i 0 T 1 2 3 4 5 6 1 1 / k , 2 2 / k , 3 3 / k / k , / k , / k 4 5 5 6 6 4 d sgn( ) det M A 2 AEg 1 1 i Bk Bk Bk k k (7) det M AD B 2 ここで振子の角度を安定にする設計を行う. e : r f , r : rf he, (h 0) , sc : r e he (8) と定義すると以下のように表わされる. (9) 1 k d1 k (10) 以上の仮定の下で VSS 適応制御則を以下に示す. T i Y ˆ k v sat ( sc / ), (k v 0) T ˆ : ˆ1 ˆ 2 ˆ 3 ˆ 4 ˆ 5 (11) ˆ 1Ys c , ( 0) (12) は目標角度 r f に追従する. 4. 車輪系の安定と有界な振子目標角を与える STC 式(3)から車輪系の方程式 B D 2 Eg T (5) (13) において VSS 適応則により, 振子角度は目標角度 に追従し, r f となり(14)式とおける. 2 与えられるとき, t で sc 0 となり振子角度 ただし g は重力加速度, d1 は車輪のクーロン摩擦で あり, k * i である.また,振子のクーロン摩擦は M ( ) C( ,) B D() ( ,,) 振子角速度について次式を得る. で対象行列とする.よって, 振子目標角 r f が安定に 1 d1 sgn( ) 2 J 2 M 2 M 2 r cos M 2 g sin 2 0 0 d1 sgn( ) k i (6) 2 0 0 ここで,k v は VSS ゲインであり, は適応則ゲイン Fig.1 実験機 Fig.2 モデル図 運動方程式は以下で表せる. 2 0 1 A B 0 B D 0 Eg 0 2 g D rf rf rf r M 2 rl M 2 rl (14) 基本パラメータを用いた状態方程式は 0 1 0 0 0 g /r rf 0 0 0 0 rf 0 0 1 2 5 M 2 rl 3r 2 0 0 1 2 r 1 r f 0 rf k 5 k 3 r 0 f 1 5 3r (15) k D 2 2 2 M 2 rl 3r k 3 r 3r となる. 振子目標角速度 rf を制御入力と考えた上記 のシステムにおいて, 制御器を調整する STC を実 施する. 1PS-1102 平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 簡易推定側を用いた車輪型倒立ロボットの適応安定化制御 東海大学大学院 工学研究科 東海大学 情報理工学部 1.はじめに セグウェイ等に代表される倒立二輪ロボット技術 には安定化制御や位置姿勢の制御が必要不可欠であ る. このような対象は, 重量・慣性が一定ではなく 変化がみられることがある. このように不安定な対 象では,安定度に大きな影響を及ぼす要因となるた め, 設計パラメータ不一致の問題は可能ならば排除 して適応的手法の導入を考慮すべきである. したが って本研究では, 左右の車輪が独立して動く車輪型 倒立ロボットを構成し, 振子の重量変化及び慣性モ ーメントの変化に対する制御系を考察する. 2.制御対象 実機写真とそれをモデル化した図を Fig.1 及び Fig.2 にそれぞれ示す. z zv y xv (r , ) (1)式である.この時, 0 としている. (1) ArS 2 ArC 0 , Cb (r , r)r 2 AJ2 SC AJ SC2 AJ3 2 R{El sgn(l ) Er sgn(r )} / 2 0 Gb (r ) 0 , Eb (q ) W R{El sgn(l ) Er sgn(r )} / 4 ArgS 0 2 m xv R/2 R/2 2 2 Db r W m / 4 , Qb u W R/ 4 W R/ 4 r 0 0 0 l 4.制御系設計 <4.1>振子系の安定化 (1)式を平衡点近傍で線形化し摩擦項 Ek を残すと 倒立振子の運動方程式は(2)式となる. H k f Gk Dk f Ek k Arxv AJ3 Arg 0 rxv J 3 rg 0 2m 0 Ar 0 , Gk , Dk 2 2 J4 0 0 W / 4 m R{El sgn(l ) Er sgn(r )} / 2 u1 xv Ek ,k , f u W R{El sgn(l ) Er sgn(r )} / 4 2 J Hk 1 0 (2)式から振子系方程式は (3) det M p1 p2 xv p3 sgn(l ) p4 sgn(r ) r u1 但し, det M J1J 3 Ar2 , p1 J 1 rg , p 2 r 2 m p3 RrEl / 2 , p 4 RrEr / 2 , l k il , r k ir ここで, 振子の角度を安定にする設計を行う. :振子回転角度, r f :目標角, e :誤差, r :参照速度 s c :切換関数を(4)式のように定義する. e : r f , r : r f he, (h 0) , s c : r e he (4) また, (3)の対象に対して不確定外乱 w を考慮する と次のように表わすことができる. T Y Hsc i w (5) (6) T i Y ˆ kv sat( sc / ) , kv 0 (7) 1 T ˆ k aˆ Ysc , ˆ [ˆ1 ˆ 2 ˆ 3 ˆ 4 ˆ 5 ] ここで,k v は VSS ゲインであり, は適応則ゲイン 制御対象の運動方程式は, Euler-Lagrange 方程 式を使用してシステマティックに導出される. ま た , 並 進 位 置 や 旋回 角度 を 含 む 式 に する た め T r : xv を使用し, 座標変換を施したものが 0 J1 Hb 0 AS 2 J 2 J 4 ArC 0 弘志 以上の仮定の下で,VSS 適応制御則を以下に示す. x Fig.2.2 モデル図 Hb (r )r Cb (r, r)r Gb (r ) Db r Eb (q ) Qb u 平田 廉 H : det M / C t , C t Rrk / 2 T Y [r xv sgn(l ) sgn(r )] T [ H p1 / Ct p2 / Ct p3 / Ct p4 / Ct ] yv Fig.2.1 実験機 3.運動方程式 ○藤田 (2) で対象行列とする. <4.2>振子目標角を生成する STC VSS 適応則により, 振子制御系が素早くスライ ディングモード制御に到達し, 振子角度 は目標角 度 r f に追従する.すなわち, (2)式の車輪系方程式 rxv J3 rg 0 (8) において r f とみなし を r f と置き換えると車輪 系方程式は(9)式となる. xv 0 r f 1rf (9) 但し, 0 : g , 1 : J 3 / r また, (9)式を状態方程式で表すと(10)式とおける. xv 0 0 0 xv 1 (10) rf 0 0 1 r f 0 rf r f 0 0 0 rf 1 上記の未知パラメータ系において、パラメータ 1 を逐次推定しながら制御器を調整する STC を実施 する。振子目標角速度 r を制御入力と考えた(10)式 のシステムにおいて,次の評価関数 J f J 0 T ( xT Qx rf Rrf )dt , (Q 0, R 0) , を最小にする Fo を制御周期毎に求め T rf Fo T x , Fo : f1 f 2 f 3 (12)式を更新する. xT : xv rf rf (11) (12) 1PS-1103 平成26年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 翅表面の圧力測定装置の作製 東海大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 東海大学 工学部 機械工学科 ○水戸部 橋本 充希 巨、落合 成行、砂見 雄太 昆虫は羽ばたき運動をすることで飛翔している.昆虫の飛翔の研究に関 して,羽ばたき時の空気力の測定などが行われており,羽ばたき時に大きな 17[mm] 1.はじめに 52[mm] 空気力を生成することがわかっている.しかし,この空気力生成のメカニズ ムは未解明な部分が多い.そこで,本研究では空気力に影響を与える要因の 1 つだと考えられる圧力に着目し,迎え角の変化による翅表面の上下面での 2 翅面積 67[mm ] 測定位置: 図 1.試験翅および測定位置 圧力を求めることを目的とし定常時における翅表面の圧力測定を行った. 2.実験装置および方法 アクリル板 パイプ 図 1 に作製した試験翅の形状および測定位置を示す.この試験翅はトン ボの後翅の形状を模倣している.また,本実験で用いた圧力センサは試験翅 に直接接続すると,試験翅が非常に厚くなることや,圧力センサが流れを阻 溝 接着 害してしまう可能性があるため,直接接続せずに圧力を測定できる試験翅 の構造を用いた.作製手順として,厚さ 1[mm]のアクリル板を所定の形状に 切削したものを 2 枚作製する.次に,試験翅表面上の任意の測定位置から 図 2.試験翅の構造 アクリルの端まで溝を作り,片方のアクリル板の測定位置に穴を開ける.こ 15 2枚のアクリルを接着したものを試験翅とする.この構造により, 10 試験翅表面にかかる圧力が測定位置に開けた穴から内部の溝を通 り外部で接続する圧力センサに伝わる.この試験翅を迎え角可変 装置に装着した後,2次元吸込み型風洞内に設置し,圧力センサ と接続する. 差圧⊿ P [Pa] の溝に図 2 に示す構造となるように,外形 1[mm]のパイプを挟み, 5 0 -5 -10 -15 実験条件として,風洞内に風速 2.85[m/s](Re=3000)の風を流し, -90 -60 -30 0 30 迎え角α[deg] 迎え角を-90[deg.]~90[deg.]の間で 10[deg.]ずつ変化させながら圧 力測定実験を行った.実験結果は,翅下面での測定値から翅上面で 15 の測定結果を示す.図 3 に示すように翼長方向における 3 点での 翅上下面の圧力差の分布は,迎え角を変化させても大きな変化が 見られず,ほぼ同じ傾向を示した.図 4 に示す翼弦方向の圧力差 の分布においては,迎え角が変化した際に,前縁部と後縁部にお 差圧⊿ P [Pa] 10 図 3 に翼長方向,図 4 に翼弦方向における翅上下面での圧力差 60 90 図 3.翅上下面の圧力差(翼長方向) の測定値を差し引き,翅表面の上下面での圧力差として示す. 3.実験結果および考察 翼端部 中心部 翼根部 5 前縁部 中心部 後縁部 0 -5 -10 -15 -90 -60 -30 0 30 迎え角α[deg] 60 90 ける圧力差に差が出ることがわかった.このことから,実際のトン ボの翅は翅表面の位置によってかかる圧力が違うと考えられる. 図 4.翅上下面の圧力差(翼弦方向)
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