Vol.66 2014 年 2 月 発行責任者:地域医療連携室 『 インフラストラクチャー 』 内科医師 戸田 泰信 数年前から塩野七生著の『ローマ人の歴史』を少しずつ読んでいます。その中の一節に、「イン フラストラクチャー」はラテン語由来の造語であるが、古代ローマ時代にはその単語はなく、「人 間が人間らしく生きるために必要な大事業」と記されていたというくだりがありました。なかなか 考えさせられる視点と思います。一般的にインフラストラクチャーは道路、橋、上下水道、送電線、 ガス管、電話線、発電所、鉄道、空港、港湾など、巨大な土木工事を伴うもので、ややもすると人 間と対立するものというイメージがつきまといますが、この視点から考え直すとなかなか興味深い と思います。いわゆる公共事業も「人間が人間らしく生きるために必要」かどうかを考えて行えば よいのではないかと思われます。古代ローマ時代の話に戻りますが、その当時は巨大な構造物を建 設するだけではなく、ローマ帝国が崩壊するまではしっかりと補修も行われていたとのことです。 近年の高速道路のトンネル崩壊や線路の保守を行わずにごまかして脱線に至った事例を聞くと人 類は果たして進歩しているのか退行しているのか首をかしげたくなります。 さて、病院や医療制度も広義の「インフラストラクチャー」に入りますが、造りっ放しで補修も 受けずに使われているように思われます。補修には手間も資金もかかるのですが、政府はただでき るだけお金がかからなければよいと考えているように見えます(先日も高額な薬剤や医療機器につ いては新規の保険適応を制限する旨、報道がありましたし、高齢者の自己負担額の引き上げも検討 されています)。医療崩壊は現在も進行中であり、このままでは医療の面において人間らしく生き ることはますます困難となるでしょう。高位高官の人たちにはもっと真剣に考えて頂きたいもので す。 H25 年外来 QM 活動 「点滴室の改善」 神崎中央病院 外来 ○仲川英子 Ⅰ.はじめに 外来の点滴室は現在ベッド 4 台、椅子 3 川村登志子 村田真由美 その意見として ・幅の狭いベッドから手が出ていてその手 脚を利用しています。しかし、椅子 3 脚の に触れそうになる。 内の 1 つは混んだ時に対応できるようにと ・ベッドの間隔が狭くて処置がしにくい。 ベッドのすぐ足元に採血台と椅子を用意 ・ベッドの幅が狭いので処置トレイを置く したもので、とても狭い状況です。 場所がなくて困る。 患者さんはベッドが空いているのに「椅 ・ベッドが狭く柵もない為転落の危険性が 子が空くまで待っているわ」と椅子を希望 ある。 される方もあり現在の点滴室の利用状況 ・ポータブル心電計、車椅子、ストレッチ に疑問を感じていました。そこで、問題点 ャーが入りにくい。 をピックアップし、改善できることはない ・ベッド足元の椅子は座る人に失礼。 か取り組むことにしました。 ・奥に置かれた椅子での点滴は施行者の体 Ⅱ.実施 制が取りにくい。 1.イスとベッドの利用状況の調査 ・机と椅子の間隔が狭くて出入りしにくい 6月6日から7月3日までの4週間で、 ため車イスが利用しにくい。 曜日別・午前中の時間帯毎にイスとベッド ・入口のカーテンを開けると利用中の患者 の利用状況を調べました。イスの利用者は が全員丸見えになる。 126 名、ベッドの利用者は 121 名の延べ 247 ・カーテンを閉めず点滴をしている。 名でした。曜日別に一日の利用者数の平均 ・あの患者さんはこの椅子を使われるから をグラフで表すと、月曜日・土曜日が多い 私はこっちでいいよと患者間で暗黙の了 ものの、曜日によってバラつきが見られま 解がある。 した。時間帯別に見ると、9 時台が一番多 ・枕側の荷物が取りにくそう。 く、次に 10 時台となっています。 ・井戸端会議のように会話が飛び交い、安 この時間帯においてベッドが空いていて 静にしたい人には話し声が気になるので も椅子を待っている方が月曜日と木曜日 はないか。 にみられました。 などの意見があがりました。また、ベッド 2.看護師に対する意識調査 の幅が狭く転落の危険を感じるという意 処置室で勤務する看護師に対して、困っ 見も多くありました。そこで、 たことや、不便や危険を感じた体験がない 「点滴の待ち時間を減らし、 かを全員に記述式で意見を求めました。 患者・看護師共に使い易い安 全な環境」を目標に配置換えをしてみるこ ・両サイドのベッドが壁に付いた とにしました。 ことで転落の心配はやや緩和した。 ベッドとベッドの間隔も狭く、不便や ・ベッドサイドに籠があるので物 危険を感じる観点についてはベッド 4 台か が置けるようになった。 ら3台に減らすことで間隔を広げる事が ・ベッド間が広くなって動き易く心電計も できる。又、ベッドを減らして椅子の数を 入り易くなった。 3 脚から 4 脚に増やすことで、椅子の待ち ・点滴中の手が当たらなくなり、患者さん 時間を少なくできると考えました。そこで、 も出入りしやすくなった。 現在、椅子に対して手を置く学習机を利用 ・部屋の中央が広くなったため老人車が入 していましたが、これを取り除き、少し大 ってベッドまで行け、車椅子のままでも点 き目の手台を 4 台配置しました。 滴ができる。 今まで端のベッドの足元に椅子を 1 脚と ・開放感があり、明るい雰囲気になった。 手台を置いただけの設置はなくし、ベッド ・机がなく、高さ調節が可能になった手台 の頭側に置いていた荷物用の籠は、ベッド を動かしスムーズに出入りできる。 とベッドの間に置いて入口付近のスペー ・必要時、カーテンで個室化ができる。 スを広げ、車椅子やポータブル心電計が通 以上の改善点がみられました。しかし、ベ り易くなるよう配置しました。 ッドの数が足りない現実にもう 1 台増やす 3・配置換え後の利用状況調査 必要がありました。 利用者の方から「入り易くなった」「広 そこで、内視鏡室横の控室のソファーを くなった」と出入りに対する良い評価の声 ベッドに代えて4台目のベッドとして復 も聞かれる中、配置換え後 2 週間の利用状 活させることにしました。 況を調べました。 Ⅲ結果・まとめ ・ベッド利用者が 69 名、椅子利用者が 68 その後、必要時は控え室のベッドを使用 名とやはりほぼ同数でした。 することもあって、椅子 4 脚・ベッド 4 台 ・時間帯別でも 9 時台・10 時台の利用が多 で、椅子待ち・ベッド待ちする事もなくな く、曜日別でも月曜日と土曜日が多いのも りました。 変わりませんでした。 今も点滴室利用の方からは「車椅子から ただ、椅子待ちはなくなりましたが、ベ 移らなくてもよくなった」「老人車のまま ッド待ちする事が月曜日 1 件、木曜日 5 件 入れるようになってよかったわ」「座り易 おこりました。 くしてもらって良かったわ」という声を耳 このことは木曜日に内視鏡後のベッド にする事が多く、良い評価を頂いています。 利用があったことにもよると思われます。 ベッドの幅や寝心地、安全性については今 やはりベッドはもう 1 台必要であることが 後の検討課題となります。 わかりました。 4・配置換え後看護師対象意見調査 また、配置換え後に再び看護師に対して 点滴室の感想を記述式で意見を求めまし た。 ・イス待ちはなくなったが、ベッド待ちが ありベッド3台では足りない。 糖尿病教室のご案内 ※糖尿病の症状や正しい食生活について当院の内科医師・ 管理栄養士・理学療法士・薬剤師・臨床検査技師・看護師等による講演です。 毎月第 3 木曜日 11 時~ 1 時間程度。6 回シリーズで行っています。 途中の回からでもお気軽にご参加くださいませ。参加費は無料です。 木曜日に なりました! プチプレゼントをご用意してお待ちしています。 日時 : 2 月 20 日(木) 11:00~ 場所 : 当院 新会議室(2 階) 2 月 20 日(木) 3 月 20 日(木) 臨床検査技師 「検査で何がわかるの?(糖尿病検査データの見方)」 管理栄養士 「おやつと外食のベストチョイス!(選び方)」 看護師 「足のお手入れ(糖尿病で足を切らないために)」 管理栄養士 「これであなたも糖尿病食マスター!!」 診療科目:内科・外科・整形外科・皮膚科 耳鼻咽喉科・リハビリテーション科 人工透析センター・泌尿器科(休診中) 診療時間:午前診察 9:00~11:30 午後診察 13:30~16:00 診察日 :月~金 午前診察・午後診察 土 午前診察 ※ 日曜日・祝日は休診 〒529-1445 TEL 東近江市五個荘清水鼻町 95 番地 0748-48-5555 FAX 0748-48-5556 E-mail [email protected] URL http://kanzakihp.com <地域医療連携室> TEL 0748-48-5558 FAX 0748-48-5722 広報責任者:渡辺
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