−資料− 北海道産野生キノコの アンジオテンシン変換酵素阻害活性 津田真由美 原田 陽*1 青山 政和*2 斎藤 直人 関 一人 兼俊 明夫*3 林 隆章*3 Angiotensin I Converting Enzyme Inhibitory Activities of Wild Mushrooms in Hokkaido Mayumi TSUDA Akira HARADA Masakazu AOYAMA Naoto SAITO Kazuto SEKI Akio KANETOSHI Takaaki HAYASHI Key Words:Angiotensin converting enzyme,enzyme inhibition,fungus,peptide アンジオテンシン変換酵素,酵素阻害,菌類,ペプチド 1.はじめに 高血圧症は生活習慣病の代表的なものの1つで,心 臓病や脳卒中などを招く原因となりやすい。高血圧 症の大部分を占めるといわれる本態性高血圧症では, レニン−アンジオテンシン系がその重要な因子と考 えられている。レニン−アンジオテンシン系におい て,アンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)は生体内 でアンジオテンシンⅠを血圧上昇活性のより強い活 性ペプチドであるアンジオテンシンⅡへ変換するこ とが知られている1)。ACE活性が阻害されると血圧が 降下することから,すでに数種類のACE阻害剤が血 圧降下薬として繁用されている。しかし,これらの 薬剤には副作用があり,また,作用時間が短いなど の問題もあることから,新たな薬剤の開発が望まれ ている2,3)。 これまで,植物4−8),食品9−14),キノコ15)でACE阻害 物質の検索が行われている。本報では,北海道産野 生キノコについてACE阻害活性を調べ,その活性物 質の性状を検討したので報告する。 〔J.HokkaidoFor.Prod.Res.Inst.Vol.14,No.2,2000〕 2. 材料および方法 2.1試料の調製 北海道内で採取した野生キノコと食用に人工栽培 されたキノコの136種類を試料とした。なお,薬用キ ノコであるチョレイマイタケとブクリョウは輸入品 を使用した。シイタケは林産試験場保存株Le77− 2016),ツバナラタケは林産試験場保存株HFP−Am82− 10とHFP−Am82−1417),マンネンタケは市販株Ga86− 118)を使用した。 含水率80∼90%の子実体に,70%アセトン溶液と なるようにアセトンを加え,一夜放置後ホモジナイ ろ ズした。抽出液を濾別後,残さをさらに試料の4∼5 倍量の70%アセトンで洗い,洗液を抽出液とあわせ て減圧濃縮した。濃縮物をジメチルスルホキシド (DMSO)に溶解し,試料溶液(濃度10,000μg/ml) とした。 2.2 ACE阻害活性の測定 ACEはウサギ肺から精製されたもの(シグマ社製) を,基質はhippuryl-L-histidyl-L-leucine(ペプチド研 北海道産野生キノコのアンジオテンシン変換酵素阻害活性 究所製)を,ACE阻害剤はカプトプリル(三共製薬) 3.結果および考察 を用いた。また,ウシ血清アルブミン(BSA)はシ 第1表にACE阻害活性試験の結果を示す。ノポリリ グマ社製を用いた。 ュウタケ科,タコウキン科,マンネンタケ科,キシ 試験管に0.5Mホウ酸緩衝液(pH8.3)を0.1ml, 1.6MのNaClを含有するBSA溶液(2mg/ml)を0.25 ml入れ,氷水中に移した。さらに,酵素溶液(0.08 Unit/ml)0.05ml,試料溶液および蒸留水を加えて 全量を0.47mlとし,反応混合液とした。40mMの 基質溶液0.025mlを添加して,酵素反応を開始させ, 37℃で30分間振とうした後,10μg/mlのカプトプリ ルを含有するアセトニトリル/メタノール/酢酸 メジ科,ヒトヨタケ科,スッポンタケ科などにACE 阻害活性が認められた。漢方で薬用キノコとして用 いられているチョレイマイタケとブクリョウには ACE阻害活性が認められなかった。 北海道内の別地点で採取されたアシグロタケでは 採取地によるACE阻害活性の差異は認められなかっ た。しかし,コショウイグチでは,旭川市近郊で採 (5:5:1)混液を1ml添加して反応を停止した。その 取した株の阻害活性は54%であったが,札幌市郊外 後,3,000rpmで5分間遠心分離して得られた上澄中 で採取した株には活性がなかった。同様にオシロイ の馬尿酸をHPLC法 で定量した。試料溶液の阻害度 シメジやツリガネタケ,ウスタケなども,菌株によ は,DMSOと蒸留水を添加したものを対照として求 つて活性に大きな違いが認められた。同じ種であっ めた。 ても,菌株の違いや生育条件によって活性が異なる 2.3ブナシメジの栽培 と考えられる。したがって,人工栽培が行われてい 4) 供試菌株として,市販5菌株を用いた。ダケカンバ びん るハタケシメジやブナシメジでも,野生株の選抜や (Betula ermanii Cham.)おが粉に,瓶当たり85gの 栽培条件の検討によって,より活性の高い品種を開 米ぬかを混合し ,水道水を加えて培地水分は63%と 発することが可能と思われた。 じゅうてん した。これを850 ml容PP瓶に充填して高圧殺菌 スクリーニング試験の結果,500μg/mlの抽出物 (121℃,30分間)し,培地とした。培養は温度22±1 濃度で50%以上のACE阻害活性を示した14種15検体 か ℃,相対湿度70±5%で行い,まんじゆう形の菌掻き 操作の後,原基形成初期までは16±1℃,相対湿度85 の抽出物について,ACEに対する50%阻害濃度(IC50 ±5%で,原基形成中期以降は16±1℃,相対湿度85 ウソクが最も高い阻害活性を示し,そのIC50は150 ±5%,照度3501x(12時間/日)の条件で栽培した。 2.4ACE阻害物質の分離 ブナシメジのACE阻害物質の検索は予備的検討か ら,水抽出物について行った。 ブナシメジの含水率を90%として,およそ10倍容 の蒸留水とともにホモジナイズした。その後,一晩 冷蔵庫内で撹拌して抽出し,遠心分離後,上澄を水 抽出物とした。水抽出物は蒸留水に溶解し,10倍容 値)を求めた。その結果を第2表に示す。キツネノロ μg/mlであった。ついでコウタケ,ハタケシメジ,マ ンネンタケ,ブナシメジ,コキララタケなどの順と なった。なお,マンネンタケは薬用キノコとして栽 培,利用されており,そのトリテルペンがACE阻害 活性を持つことが報告されている15)。これら14種の キノコの中でノポリリュウタケ,コウタケ,コカブ イヌシメジ,ハタケシメジ,ブナシメジ,コキララ のエタノール中に滴下して,エタノール可溶部と不 タケの6種は可食キノコである。代表的な合成ACE阻 溶部に分画した。エタノール可溶画分は溶媒分別を 害剤で,血圧降下薬として繁用されているカプトプ 行い,酢酸エチル層,2−ブタノン層,残さ(水層)に リルのIC50は0.4ng/mlと報告されている4)。キノコの 分画した。その後,さらに残さ画分をSephadex LH− 血圧降下作用は合成薬剤と比較してかなり低いと判 20(3×90cm)(溶出条件:50%エタノール,0.12ml/ 断される。しかし,これらの可食キノコは,副作用 min)によるゲルろ過クロマトグラフィーに供した。 が少なく,緩和な血圧降下作用が期待できる健康食 品として有望であると考えられる。 ACE阻害活性が認められ,生産量が多いブナシメ ジについて,その活性画分の検討を行った。第3表に ブナシメジ5菌株の栽培試験結果を示す。菌株間で, 〔林産試験場報 第14巻 第2号〕 北音 毎道 産 野 生 キ ノ コ のア ンジ オテ ンシ ン変 換 酵 素 阻害 活性 第1表  ̄b b l e l キ ノ コの ア ンジ オ テ ン シ ン変 換 酵素 阻害 活 性 . A C E i n h i b i t o 「 y A c t i v i t y o f M u s h 「 0 0 m S . F 慧 y Mushroom器4’F慧y Mushroom貰4 テン グ ノ メ シ ガ イ へラ タ ケ 1) G e og lo ssa c ea e 砂dgゐ〟Jαr∼ βガαVJdd Pers・ Fr. ズキ ン タ ケ ニカ ワ チ ャ ワ ン タ ケ L e o tla Ce ae 〃eo占〟なαrJ叩 〟rα(Fr. )Petrak ノポ リ リ ユ ウ タ ケ ノポ リ リ ユ ウ タ ケ り 〃e ルビJJαC rJ甲 d( S co p . )F r. H e lv e llac e ae シイ タ ケ ユ ) エビ咄 J川 ∫e(わd e ∫ (B e rk . )S ln g . n・ ヒラ タ ケ【〉 ± P /e以rO f〟5 0 ∫Jr eαJ椚 (J ac q . :F r.)K u m m e r 十十 (5 7% ) ナガ ェ ノチ ャワ ンタゲ 〉 〟椚αCr呼 〟∫ (p ers Fr)Karst.var.macropus ヌメ リ ガ サ アカ ヤマ タゲ ) H y g ro p h ora c ea e 伽roサム eco〃 J“ (Scop▲Fr) K um mer ++ (5 1 %) アケ ボ ノ サ ク ラ シ メ ジ 坤ノ gr叩 力or〟∫カg ‖iecker etB on シヤグマ ア ミガサ タケ n. qノ r() 椚 Jr和 e ∫C 〟/ e 〃Jα( P er s. F r . )F r チャ ワ ン タ ケ オオ チ ャワ ンタケ l) P ez iza c ea e P eヱJZ(J V ビ ∫ic 〃わ∫〟B u ll. ピロネマ キ ン ウス ペ ニ ミ ミ タ ケ P y ro n em ata ce ae 仇deα0乃0〃c(王 (Pers )Fuckel ヒメキ ク ラゲ ニカ ワ ジ ョ ウ ゴ タ ケ ‥ タカわg わ如 力eル e/ わヱ d e∫ (F r )M a rtln E x ld laC ea e オトメ ノカサ n. 範芸ご 諾至 γ 仙川 rg拗 ∫ (W ulf∴ n. 坤7gr (リカor〟∫r〟∫ ∫〟/ α (SchaefT Fr.)quさl. サクラ シメ ジl) フキ サ ク ラ ン メ ジ 〃p 〟 〔わrJ〃〟∫ (F r. )F r ± ヤギタ ケ ) ニカ ワ シ ョ ウ ゴ タ ケ 乱諾岩 石 鶴■ 三 怒。 壬 肱吉 tSchw■ ・ Fr) n. ア力わg ヱ 0 わ∫力eルビJ/ o Jd e∫ (F r. )M a rtln ヤギ タ ケ ラッ パ タ ケ ウス タ ケ 1) G o m p h a c ea e G o 叩, ん以 ▲ 一 刀oc c o∫〟∫ (S ch w . )S ln g n. 琵ぷ芸蛋器空 言 ぷ温皇 ㍊ir吉 t Schw : ウス タ ケ + (3 5% ) G o〝 甲力以∫ ガロcc o ∫ 〃∫ (S ch w . )S in g キシ メ ジ ホテ ィ シ メ ジ り T rtc h o lom ata ce ae C J伽 印加 c Jαl岬e ∫ (P ers・ F r. )K u m m e r 十 ホウキ タ ケ キホ ウ キ タ ケ R am ar laC e ae 伽椚αrgαメ〝Vα (F r )q u さ 1. ハナ ビ ラ タ ケ ハナ ビ ラ タ ケ S p a r a s s ld a c e a e 5 わαr d∫∫ J∫C rJ岬 αW u lf Fr カノ シ タ カノシ タ カヤ タ ケ = H y d n a ce ae 助d〃〟椚r甲α 〃血∽L Fr. C gヱ占占α(Pers∴Fr.)Kummer イボ タ ケ コウ タ ケ 1) J 払 rc( (わ〃d ) 岬r (〟〟 ∫ (B e rk . )S .Ito T h elep h o ra ce ae n. n. ホテ ィ シ メ ジ C 肋o q ノ わe(イ d V p ピ∫ (P crs ∴F r. )K u m m e r n. + (3 0 % ) ++ (6 6 % ) ± 〔 ’g J帥 α (P e rs : F r )K u m m er コカブイ ヌ シメ ゾ } コウタ ケ属 ++ ( 58 % ) n. ∫d rC O(わ〃 Sp . C ♪ αg r 〟〃∫(W チャ ハ リ タ ケ l th ∴ F r. ) K u m m er ハイ イ ロ シ メ ジ 砂d乃e仙椚CO〃Crビ ∫Ce〃∫ (P ers exSchw) n. テン グ タ ケ A m an ita c ea e カヤ タ ケ Il + C 〃e わ以/ αr J∫(B a t s c h :F r ) K u m m er B an k ウラ ム ラ サ キ ー ) ニン ギ ョ ウ タ ケモ ドキ ニン ギ ョ ウ タ ケ モ ドキ 】 ) エαC C d r J α 〟∽ e r力γ∫J e d (B u 11 . )M ± 」仏 d fre J/ 〟 ∫O V ヱ 〃〃 ∫ タコ ウ キ ン P o ly p o rac ea e アシ グ ロ タ ケ アo如 ) Ore仙 ∫占ddJ〟∫ (P ers. S. F . G ray )Im az . アシ グ ロ タ ケ 1) P o如 フ Orビル ∫占ddJ〟 ∫ (Pers. S. F u 汀 オオ ホ ウ ラ イ タ ケ = 〟βr α ∫∽J〟 ∫m α ズJm 〟∫H o n g o S c u t】g e ra C e a e G ray )lm az . ++ (5 4 % ) 0 〟de∽α札− Je/ Jα〆 αりp ゐ γJJd(Pers∴Fr. ) M o se r ln G a m s ++ (5 5 % ) ヌメ リ ツ バ タ ケ アミス ギ タ ケ カワ ラ タ ケ C o rわ J〃∫Vビ門 JC O Jo r(L ‥ F r. )q u さ1 シロ カ イ メ ン タ ケ 乃ノ () r J町 Ce ∫∫ α椚ム以C e〃∫ (L lo y d )Im a 乙 チョレイマ イ タケ(薬 用) コ ’ 計石宮 古 ぎ だ0′ γ クOr〟 = ∽占 e〃仙 (Pers ツリガネ タケ1− 凡 ・m e∫ノわ ∽e〃ねγ∼ 〟 ∫ (L Fr.)KICkx ツリガネ タケ F o 椚 g∫ノわ椚 e乃fd rヱ〟∫( L ∴ F r . )K ic k x G r妙/ α♪0〃do∫ α (D ICks∴Fr)S FGray + O rddJC(才Jα(Relhan Fr)Slng. オシ ロ イ シ メ ジ 11 上γ呼力γ肋 椚 CO 〃〃d 仙∽(S c h u m ∴F r )S lng . 十 (3 2 % ) オシ ロ イ シ メ ジ 仁り叩カメJ〟m CO 〃〃d 紬椚(S c h u m ∴F r )S ln g . + (3 0 % ) オシ ロ イ シ メ ジ + (4 7 % ) + (3 1% ) :± むノ 甲 妙仙 川 co〃〃α仙椚(Schum ・F r )S lI鳩 . n. ハタ ケ シ メ ジ エd ec d . 9 Je∫(F r Fr)Slng. ± ハタ ケ シ メ ジ エd ec α∫Je∫(F r Fr.)Slng 十 (4 5 % ) ブナ シ メ ジ 伽∫ ほ7g〟 ∫∽α r∽Ore〟 ∫ (Peck)Blgelow 諒蒜よ JZ。 禦∼ 昌 ’ 。 hw. ) Ryv。 t。 ilb。 マイ タ ケ 6 h n e l ツエ タ ケ 1) ± 十 (3 0 % ) n. 0 〝1 〟 C Jd α ( S c h r a d . : F r .) H アo J汐 O r〟 ∫αrC〟Jαrヱ 〟 ∫B a ts ch .F r アミ ヒ ラ タ ケ 1) P叩〃 α桝 0∫〟 ∫ F r. 十 (4 0 % ) ヒロ ヒ ダ タ ケ 1− サク ラタケ 坤ce〃 d ク〟 r〟 (Pers. : Fr ・)K um m er n. ++ (6 5% ) + (4 3 % ) ++ (6 0% ) + (3 4 % ) コザ ラ ミノシ メジ 〟e Jd 〃0 / e 〟C (7 m e/ αJe〟C(】 (P e rs∴ F r. )M u 汀 マス タ ケ t) 恕芸 子 ㌫冒 見 謡字 ¥ 諾(Fr) Murrillvar マンネ ンタケ ツガ ノマ ンネ ン タケ G an o d e m a ta c ea e G (J乃O d e / ′ ∽ α V αJ e ∫fd C 〟椚 B o u d l e r ムキ ク ケ 十 (3 8 % ) アd 〃e仙 ∫∫ e rO JJ〝〃∫ (P er s.F r . )K uh n . ++ (74 % ) ア∫e〟docJ加 cγ占e り′ dJゐ的 r∽J∫(B ull ± クロ サ カ ズ キ シ メ シ ハラ タ ケ + (3 7 % ) A g rlCa C ea e F r )S ln g ヒラ タ ケ P leu ro tac ea e 言忘 烹 ££左 漂ヲ 右 : . ) Karst 十 (3 8 % ) 言忘 孟 よ£左 漂苧 監? 妄 arst. + (3 3 % ) マンネ ンタケ G J〟C J血 椚(L e y ss ● F r )K a rst. ++ (7 7% ) イタ チ ナ ミハ タ ケ エビ 〃加 e 仙 ∫〃 r∫ 王 〃〃 ∫ (F r )K uh n e r シロ ン メ ジ ル7C 力0 わ椚αノ呼フ 0 〃JC 〃 m K a w a m u ra シモ コ シ r ロ 〟 r 〟 f 〃 ∽ (F + (3 3% ) 十 (3 5% ) r )G ll le t + (4 8 % ) 注:1)‥札幌市郊外で採取 した。その他の試料は旭川市近郊で採取 した。 ,2) :市販晩 3) ‥菌床栽培株,4)‥500 〃〆Ⅰ 舶に N o te :1):S am p les w ere c olle cte d in S ap p oro .T h e o th ers w ere c olle cte d in A sah ik aw a .;2 ):m u Sh roo m s p urch ased ;3 ):G ro w n 〔 J.H o k k a id o F o r.P ro d .R e s .In st.V o l. 14 ,N o . 2 ,2 0 0 0 〕 ー1 2 − 北海道産野生キノコのアンジオテンシン変換酵素阻害活性 おける阻害率(%)。阻害率20%未満をn,20%以上30%未満を±,30%以上50%未満を+,50%以上を++で表示。 at mushroom bed;4):ACE inhibitory activity at 500μg/ml,++:≧50%;+:30−50%;±:20−30%;n:20%>. 〔林産試験場報 第14巻 第2号〕 北海 道 産野 生 キ ノ コ のア ンジ オテ ンシ ン変 換 酵 素 阻害 活 性 第2 表 A C E 阻害 活 性 を示 した キ ノ コの IC 50 1 七 b le 2 .1C 50 fo「 A C E a c tiv ity o f M u s h「0 0 m S . 科名 キノ コ I C 5。 F a m ily Mushroom(〃g/mβ) ノポ リ リ ユ ウ タ ケ H e lv e lla c e a e ノポ リ リユ ウ タケ 〃eルeJJαCγ才 甲α (S co p . )F r. ナガ ェ ノ チ ャ ワ ン タ ケ 3 1 0 1) 5 0 0 】 ) 〟∽αCr甲 〃∫ (二 Pers. : F r. )K arst. v ar. m a cro pu s イボ タ ケ コウ タ ケ 1 8 0 1) T h e le p h o r a c e a e J 払rco d o 〃α甲 jリ αJ〃∫ (B erk . )S . Ito タコ ウ キ ン アシ グ ロ タケ 4 5 0 P o ly p o r a c e a e アoそ 岬 O re肋 5r∼ ) αd ∫ ㍑∫ (P ers∴S . F. G ray )Im az . 44 0 ‖ マン ネ ン タ ケ ツガ ノ マ ンネ ン タ ケ G an o d em G(フ〃O d e r 椚 α V ‘ プJe ∫gαC 〟∽ B o u d ie r atace ae マンネ ン タケ G. / 〃C才 血 椚(L(∋ y SS. : F r. )K arst. キシ メ ジ コカ ブ イ ヌ ンメ ジ T ric h o lo m a ta c e a e C Jよ わサムeタ(曙rα〃∫ (W ith∴Fr. )K um m er ハタ ケ シ メ ジ 与γqク砂 肋 椚d− 2Cα ∫ fe∫ (Fr∴ F r. )Sing . ブナ シ メ ジ 物∫ たgg〟 ∫∽ (汀∽Ore〟 ∫ (Peck) B igelow ツキ ヨ タ ケ 2 7 0 2 0 0 3 0 0 = 2 0 0 2 4 0 5 0 0 上α〝甲 Jero 7り , C− e∫ノ (甲0 〃∼ c㍑∫ (K aw am . )S in g . テン グ タ ケ タマ ゴ タ ケモ ドキ A m a n ita c e a e d 椚α〃如 ∫ 〟帥J〃ヴ〃∼ J/ eαIm ai ヒトヨタ ケ コキ ラ ラ タ ケ C o p rln a C e a e C 呼フ わ〃〟∫r αd i■ α〃∫(D e sm . : F r. )F r . 3 8 0 1) 2 5 0 1) イグチ コシ ョ ウイ グチ B o le ta c e a e C ゐαJc少0γ 〟 叩 ¢erα紘ば(B ull∴Fr. )B ataille スッポ ン タケ キツネ ノ ロ ウ ソ ク P h a lla c e a e 肋加 〟 ∫ (】 α〃わ己 〟∫ (H uds∴P ers. )Fr. 4 9 0 1 5 0 1) 注:1):札 幌市郊外 で採取 した。 そ の他の試料 は旭川市近 郊で採 取 した。 N o te : 1 ):S a m p le s w e re c o lle c te d in S a p p o ro .T h e o th e r s w e r e c o lle c te d in A s a h ik a w a ・ 栽培 目数 に 大 き な違 い は認 め られ な か っ た。 子 実 体 溶媒 分 別 残 さ画 分 が 高 か っ た 。 そ こ で , こ れ を 収量 は 菌株 1 と3が 142 g と多 く,品 質 A の割 合 も80? ム S ephadex L H − 2 0 に よ るゲル ろ過 ク ロマ トグ ラ フ ィー 以上 と高 か っ た。 によっ て 四つ の画 分 に分 けた。画 分 1(溶 出位 置 :160 ∼2 05 Il嘘 )お よび 画 分2 (溶 出位 置 :20 5∼2 53 m β) ブナ シ メジ 5 菌株 をそ れ ぞ れ 水 抽 出 し, 抽 出物 の A C E 阻害 活 性 を調 べ た。水抽 出率 とA C E 阻 害 率 を第 のA C E 阻 害率 はそ れ ぞ れ2 9. 4 % と53. 7 % で ,画 分2 の 3 表 に示 す 。いず れ の菌株 も水抽 出 率 は約 70 %(対絶 I C 5。 は4 70 〃g/ m βで あ った 。 ま た , 画分 3 と4 (溶 出 乾重 量 ) で ,A C E 阻 害 率 は30 ∼4 0% で あ っ た。 菌株 位置 :2 53 Inβ∼ )に は活 性 が認 め られ な か っ た。画 1 は ,供 試 菌 株 の 中で 最 もA C E 阻 害活 性 が 高 く,IC ■ 5。 分2 を薄 層 ク ロマ トグ ラ フ ィー (S ilica g e1 6 0 F 254, は6 0 1 〃g / m βで あ っ た 。 M E R C K )に供 した とこ ろ,数 個 のニ ン ヒ ドリン 陽性 物質 が 確 認 され た。 この こ とか らブ ナ シメ ジ のA C E 子実体 収 量 が 多 く,活性 が 高 か っ た菌株 1 の阻 害活 阻害 活性 物 質 は教 程 のオ リゴペ プ チ ドと推 定 され た。 性物 質 の検 索 を行 った。 そ の結 果 ,阻 害 活性 は エ タ ノール 可溶 部 で 認 め られ た。 さ らに, この エ タ ノー ー ル可溶 部 につ い て 溶 媒 分別 を行 っ た とこ ろ, 活性 は 〔 J.H o k k a id o F o r.P r o d .R e s .In st.V o l. 14 ,N o . 2 ,2 0 0 0 〕 −1 4 − 北海 道 産 野生 キ ノ コの ア ンジ オ テ ン シ ン変換 酵 素 阻 害活 性 第3 表 ブナ シ メ ジ市 販 株 の 子 実体 収 量 とA C E 阻害 活 性  ̄b ble3. Yield off 「ujtbodiesand ACE inhibitoryactivityof伽 由胎usm ∂ m OJ℃US (Peck) B ig e lo w . 栽培 目数 1) 品質 (%) 子実体収量(g ノ 瓶)1) 慧慧 ㌘二 蕪を 触 諾毛 3三 i。 S D a y s fb r A c u lt i v a t i o n 水抽出率 (%)2■ A C E 阻害率 (%)3J q u ality W ater ACEinhibitory B C extract activlty ( g /b o ttle ) 1 1 15 . 0 ±0. 0 1 42. 8 ± 15 . 1 8 5 15 0 7 1 . 7 4 1. 6 2 1 17 . 1±0. 6 1 16 . 4 ± 10 . 2 5 1 4 3 5 6 5 . 5 3 2 .5 3 1 15 . 0 ±0. 0 1 4 1. 9 ± 1 1. 0 8 1 19 0 7 2 .1 4 1. 3 4 1 14 . 8 ±2. 7 1 28. 8 ± 10 . 2 3 8 62 0 7 2 .1 3 1 .5 5 1 16 . 8 ±0. 7 1 2 1. 5 ± 14 . 9 7 3 . 7 2 9 . 4 0 60 4 0 注‥1):平均 ±標 準偏差 ,2):対絶 乾重量 ( (施),3):500 〃g/ m ゼでのA C E 阻害率 N o te ‥1)‥m e. an ± stan d a rd erro r ;2 )‥B a se d on ov en − d ried sam p le(% );3 ):A C E in h ib ito ry a c tlV ity a t 5 0 0 〃 g / m β. 4 . ま とめ 9 ) K in o sh ita,E . ,Y am ak o sh i,J.an d K ik u ch i,M ∴ βわ∫C ∼ . 北海 道 内 で採 取 した 野 生 キ ノ コお よび食 用 に人 工 βわ ′ ec カ,βわc ゐe 肌 ,5 7 , 1 10 7 −1 1 10(1 9 9 3 ) . 栽培 され てい るキ ノ コの70 % ア セ トン抽 出物 につ い 1 0)斉藤義 幸 てA C E 阻害 活 性 を測 定 した。 そ の 結果 , キ ツネ ノ ロ ほか3 孝一:日本農芸化学 会誌 ,6 6 , 1 0 8 ト 1 0 8 7(1 99 2 ). ウソク ,マ ンネ ンタ ケ,コ ウタ ケ ,ハ タ ケ シ メ ジ,ブ 1 1)N ak a m u ra ,Y リM asu d a,0 .a n d T ak an o ,T . :βわ ∫C 7. ナシ メ ジ, コキ ラ ラ タケ な どにA C E 阻害 活 性 が認 め βわ ′ ec カ.βわc 力e 椚. ,6 0 , 4 8 8− 4 8 9(1 9 9 6). られ た。後者 4 種 は 可食 キ ノ コで あ る こ とか ら,緩 和 1 2)関 な血 圧 降下 作 用 が 期待 で き る健 康 食 品 と して有 望 で 栄治 ほ か4 名 :日本 農 芸 化 学 会 誌 , 6 9 , 1 0 1 3 −10 2 0 ( 1 9 9 5 ). ある と考 え られ る。 そ して, ブ ナ シ メ ジのA C E 阻 害 1 3 )O k a m ato ,A .e 才α/ ∴ βわ ∫C 才 .βわ ′ ec / ‡ .βわ c/ 王 e∽ . ,5 9 , 活性 主 要 画分 のIC 5。 は47 0 〃g/ m βで ,阻害 活 性物 質 は 1 1 4 7 −1 1 4 9 ( 1 9 9 5 ). 数種 の オ リゴペ プ チ ドと推 定 され た 。 1 4)関 栄治 ほか4名 :日本農芸化学会誌 70,21− 2 7 ( 1 9 9 6 ). 文献 1 5)M origiw a, A. eJαJ∴ C ゐe肌 用 α〃乃.β〟J/ . , 34 , 3025− 1 ) 谷田 鳳 池上四郎,奥 彬 :有機医薬品化学, 3 0 2 8 ( 1 9 8 6 ). 1 6)富樫 化学 同人 ,237− 2 54(199 5) . 講演集 ,N o . 25 ,62− 65(1993) . 2 ) 猿 田享 男 ‥フ ァル マ シ ア, 27, 12 69−1272(199 1) . 1 7)富 樫 3 ) 木 全 心 一 :フ ァル マ シア ,29 ,779− 784(1993) . 4 ) 兼 俊 明夫 ほ か7名 :道衛 研 所 報 , 第42 集 ,5− 8, 巌 ,瀧 澤 南海 雄 :木 材 学 会 誌 , 4 1 ,2 1 ト 2 1 7 ( 1 9 9 5 ). 1 8)米 山彰造 ‥林 産試 だ よ り, 11月 号, 15− 18(1987) . ( 1 9 9 2 ). 5 ) 兼 俊 明夫 巌 ,瀧 澤 南海 雄 :日本 木材 学 会北 海道 支部 ( 原 稿 受 理 :1 1. 10. 15) ほ か8名 :道衛 研 所 報 , 第4 3集 , 1− 5, 一利 用 部 ( 1 9 9 3 ). 6 ) 高橋哲夫,佐藤隆司, 金島弘恭 :道衛研所報,第 4 3集 ,63− 64(1993) . −*1 きの こ部 生産 技 術 科 − −*2 きの こ部 主任 研 究 員 − −*3 7 ) K am eda,K .eJαJ∴ノb〟γ 〃αJ(オ肋 ′ 〟rα/ P ro血 cね, 50 , 成分 利用 料 一 北 海 道 立 衛 生研 究 所 − 6 8 0 −6 8 3 ( 1 9 8 7 ). 8 )Ueno, H. e′ α J∴わ〟 川α J仰 山和げ和血cね , 51, 357− 3 5 9 ( 1 9 8 8 ). 〔 林 産 試 験 場報 −1 5 − 第 14巻 第2 号〕
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