採択番号 10B1008 単分散シリカナノ粒子をベースとした革新的高機能光触媒体の開発 Development of highly functionalized photocatalyst materials using nano-structured silica particles 横井俊之 a,阿部 竜 b Toshiyuki Yokoia, Ryu Abeb a 東京工業大学資源化学研究所, b 北海道大学触媒化学研究センター a Tokyo institute of technology,ChemicalResources Laboratory, b Catalysis Research Center, Hokkaido University 背景と研究目的: 酸化タングステン(WO3)は光触媒や酸 化触媒として注目されている[1]。触媒性能 向上の為,結晶性の向上ならびに高表面積 化が求められている。 一方、塩基性アミノ酸存在下、テトラエ トキシシラン(TEOS)の加水分解・縮重合 反応を行うことで、12 nm 単分散球状シリ カナノ粒子(Silica nanospheres, SNSs)のコロ イド結晶を調製できる。さらに 8~600 nm の範囲で粒子径制御も可能である[2]。SNSs コロイド結晶は触媒担体以外にも鋳型とし て応用可能である。本研究では、種々のサ イズの SNSs を鋳型として用い,三次元細 孔構造を有するメソポーラス WO3 を調製し、 光触媒性能を評価することを目的とした。 実験: 鋳型となる SNSs(粒子径:14,50,100, 200 nm)はシード法により調製した[2]。 SNSs 粒子間隙に WO3 前駆体であるメタタ ン グ ス テ ン 酸 ア ン モ ニ ウ ム (NH4)6(H2W12O40)水溶液を含浸し、蒸発乾固 させ焼成した。この過程を数回繰り返した 後、HF 水溶液によりシリカを除去すること で最終生成物を得た。 結果および考察: XRD 結果より、生成物は単斜晶構造を有 する WO3 であることを確認した。また、 SEM 像、N2 吸脱着測定から規則的に 3 次元 配列した細孔を有していることが確認でき、 用いたシリカ粒子径の大きさに対応した粒 子径 14 nm ,50 nm,100 nm,200 nm の 3 次元細孔を有する規則性の高いメソポーラ ス WO3 が調製できた(Fig. 1)。 Pt を担持したメソポーラス WO3 は細孔 径に関わらず、全てのサンプルで可視光領 域での有機物の分解反応において高い活性 200 nm Figure 1. SEM image of 3D mesoporous WO3 replicated from SNSs 50 nm in size. を示した。 今後の課題: 今回、SNSs を鋳型に用いることで高表 面積を有する WO3 の調製に成功した。表面 積化に伴う顕著な触媒性能の向上には至ら なかった。この原因として、直接法で調製 した WO3 と比較して結晶性が低いことが考 えられる。結晶性の向上と高表面積化によ り光触媒の更なる高性能化が期待できる。 参考文献 [1] M. Sadakane K. Sasaki, H. Kunioku, B. Ohtani, W. Ueda, R. Abe, Chem. Commun., 6552 (2008). [2] T. Yokoi, J. Sakuma, K. Maeda, K. Domen, T. Tatsumi and J. N. Kondo, Phys. Chem. Chem. Phys., 13, 2563 (2011). 論文発表状況・特許状況 [1] Mizukami,T. Yokoi, J. N. Kondo,R. Abe, T. Tatsumi , Environmental Chemistry 537, PACIFICHEM2010 -the International Chemical Congress Pacific Basin Societies, Hawaii, USA 12/15-20, 2010. [2] T. Yokoi, A. Mizukami, J. N. Kondo, R. Abe, T. Tatsumi, JSPS A3 Foresight Seminar Present Status and Future Prospects of Mesoporous Materials, Tokyo, 9/3, 2010.
© Copyright 2024 ExpyDoc