平成 26 年 春号 和歌山県JA花き情報 JA わかやま花卉研究会 第 328 号(8) させるため、JA の育苗施設(JA わかやま 花壇苗グループの取り組み グリーンステーション)でプラグ苗と培 JA わかやま 営農生活部営農指導課 楫本智司 土をセットで供給し、生産者がその後の 管理を行い、品質を統一して市場中心に 1 はじめに JA わかやまのある和歌山市は比較的少 雨で温暖であり、また流通面において関 西市場から近く、農業生産に恵まれた環 境となっています。管内は水稲および野 出荷しています。 秋から冬はパンジー・ビオラ・葉牡丹、 春から夏はジニア・コリウスといった定 番品目を中心に、多種多様な品目を生産・ 出荷している点が特徴です。 菜が主要品目であり、花き類の生産は少 ないですが、花壇苗やバラ等の品目が栽 培されており、各生産者が向上心を持っ て生産に取り組んでいます。今回は、花壇 苗グループについて紹介します。 ペチュニアとベゴニア 出荷を待つパンジー 2 花き研究会花壇苗グループに ついて 約 20 年前のガーデニングブームにあわ マリーゴールド せて当 JA による働きかけのもとで栽培 がスタートし、現在は 7 人で年間約 70 万 3 生産の現状と課題 ポットを栽培しています。生産者の栽培 昨年度の花壇苗の売上額は約 27,000 千 管理を省力化するとともに、品質を安定 円であり、ここ数年徐々に減少傾向とな _____________________________________________________________________________________ 平成 26 年 春号 第 328 号(9) 和歌山県JA花き情報 っています。原因としては生産者の高齢 研修会を実施し、栽培技術の向上や新技 化による生産力の低下が考えられますが、 術の習得を目指しています。 特に長引く景気の低迷による販売単価の 下落が大きく影響しています。このため、 いかに市場での販売単価を押し上げるか、 昨年 7 月には、夏期の高温対策に焦点 をしぼり、栽培講習会を開催しました。 ここ数年、夏期は異常な高温となり、発 また多様な販売チャネルの確保が必要と 芽不良や苗立枯病の発生、苗の徒長など なっています。また、夏期の異常高温によ 深刻な問題となっていました。この講習 り育苗管理が年々難しくなってきており、 会では遮光や灌水の方法、わい化剤の上 この問題をどう克服していくかも大きな 手な使用方法など、高温時の栽培管理技 課題となっています。 術を知ることができ、生産者が担当者に 4 課題に向けた取り組み 近年、花壇苗の販売情勢に変化が生じ 積極的に質問を投げ掛けていました。 今後の栽培管理の上で大いに役立つ研 修会であったと考えています。 ており、市場ではセリ取引から相対取引 に移行し、消費者ニーズは少量多品目へ と変化しつつあります。このため、市場を 通じて消費者ニーズの動向を確認し、種 苗会社を通じて新品種の情報を得ること で、時代を先取りした生産に取り組んで 5 今後の展開 JA わかやまでは一昨年、 新育苗施設 「グ リーンステーション」を設置しました。 この新育苗施設の機能を最大限発揮し、 います。また、販売チャネルの確保を目的 良質な苗を生産者へ供給し、生産者の育 に、JA わかやまの直売所での販売強化を 苗管理をさらに省力化するとともに、産 進めています。 地の維持拡大に寄与していきたいと考え 栽培面においては、関係機関を招いて ています。また、施設を有効活用し、新品 種や栽培管理技術などの試 験を行い、得られた有益な 情報を生産者に提供するこ とで、生産者の所得向上を 図り、面積の拡大による産 地化を進めていきたいと考 えています。 _____________________________________________________________________________________
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