K-POPグローバル・マーケティング 10251GHU 角 田 夏 海 1.はじめに 私がこのテーマに決めたのは、単純に“K-POP が好きだから”である。好きだからこそ、深くまで調 べ、なぜ韓国のアーティストが日本で成功したのか、韓国の大きな事務所 SM エンターテインメント(以 下 SM)のマーケティング方法を中心に探った。そのうえで、今後の K-POP についても考察した。 2.SM エンターテインメント SM は、日本のジャニーズ事務所の育成方法を独自にアレンジした、「原石をダイヤモンドに育てる」 スターメイキングシステムを確立した。このシステムの基本は、練習生と呼ばれるアーティスト候補生 を発掘し、レッスン費用などの育成に必要な費用、その間の衣食住にかかる諸費用を全て事務所が負担 するということ。練習生の卵を孵化(インキュベイティング)させるように育てて行くという意味で、 「インキュベイティング・システム」と呼ばれている。SM 式システムから生まれたアイドルたちの成 功により、現在では K-POP 界のベーシックな育成システムを持っている。 SM では、アーティスト(またはグループ)ありきではなく、コンセプトありきのアーティスト発掘 を行っている。アーティストの開拓、育成は、まずスカウト、オーディションから始まる。通常は、何 か光るものを持っている人材をピックアップし、トレーニングしながらどのような形でデビューさせた らよいか考える。しかし、SM では最初にターゲットを想定し、そこに必要なアーティストの形態を明 確するところからスタートする。アジアや世界の音楽市場を見据えた戦略からコンセプトやビジョンを 綿密に組み立て、それぞれのプロジェクトにマッチする練習生を集めてデビューさせる。その策略によ り、ほとんどのアーティストが韓国本国に留まることなく、世界で成功を収めている。 韓国でもアイドルグループ創成期には、そこまでダンスが上手くなかったが、 「アイドルは金になる」 と分かるとアイドルの数は増加の一途をたどる。競争が激しくなると、やがて成功するグループと蹴落 とされるグループとで明暗が分かれていく。弱肉強食の世界で生き残るため、アーティストたちは「優 秀性」を求めてあらゆる努力をするようになる。その過程でプロ根性と頂点に立ちたいという野望が生 まれ、再び激しいレーニングを自らに課す。それが「高度なパフォーマンス力」を生んだ。韓国では、 歌やダンスが中途半端だと人気が出ない。日本のトップアイドルである SMAP や嵐、AKB48 は韓国の アーティストのように歌やダンスが高度とは言えない。日本人は“庶民的で親しみやすさ”を求めてい るからだ。歌やダンスが高度でなくても、トップアイドルになることができる。 3.今後の K-POP 今後の K-POP は、おそらく低迷していくだろうと思われる。実際に現在は日本において K-POP の需 要がほとんど無い。理由は多く挙げられるが、一つは飽きてきたことだ。では、今後 K-POP が日本市場 で生き残るにはどうしたらよいか。それには今日本で人気のある、東方神起、少女時代、BIGBANG、 KARA らの人気を、このまま人気を維持していくこと、そのうえで、さらに日本向けの曲調、ダンス、 見た目などを作り上げていくことが必要となるものと思われる。 【参考文献】 西森路代 (2011)「 K-POP がアジアを制覇する」 株式会社原書房
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