No.2015‐05 Weekly Market Focus 債券市場 円貨資金証券部 アナリスト 古川麻由子 今週のサマリー 今週のサマリー 本邦長期金利は 本邦長期金利 は 高 ボラ ティリティのなか大幅 ティリティのなか 大幅 上昇 10 年債利回りは前週後半以降 0.2%台後半で推移していたが、 3 日の 10 年債入札がテール 45 銭と 2003 年以来の不調な結果と なり、0.3%台後半へ急上昇。その後も 5 日の 30 年債入札を警戒 して金利は上昇し、5 日には約 2 ヶ月ぶりに 0.4%台をつけた。30 年債入札を無難に終えると金利上昇は一服し、10 年債利回りは 0.3%台前半で越週した。 長期金利 は 落 ち 着 きど ころを探 ころを探る展開 来週のア 来週のアウトルック のアウトルック 日銀の国債買入れによる良好な需給への信頼は崩れておらず、 金利上昇基調に転換するとは考えにくいものの、このところの大 幅な変動によって積極的な買いは手控えられやすい。13 日に 5 年債入札を控え、落ち着きどころを探る展開が見込まれる。 来週の 来週のポイント 予想物価上昇率 を 表 す 指標に 指標に注目 今週はグローバルな「原油安トレード」に一旦調整が入り、原 油先物は約 1 ヶ月ぶりに 1 バレル 50 ドル台となった。しかし、 日銀が中間評価で示した経済・物価見通しの前提(55 ドルから の緩やかな上昇)は依然下回っている。日銀の物価見通しが実現 するには、原油価格下落の経済へのプラス効果がもたらす物価上 昇だけでなく、予想物価上昇率が大きく上昇する必要がある。 岩田日銀副総裁は 4 日の記者会見で、夏以降の原油価格を「予 想もしなかったような下落」と表現し、2%の物価安定目標につ いて「私がこのぐらいにできるだろうと思っていた 2015 年の 4 月とかその辺りには間に合わない」と達成時期の後ずれを認めた。 一方で、 「原油価格の下落に対する対応は今のところ 10 月の追加 緩和で十分であると考えている」と、追加緩和期待を牽制した。 その理由として予想物価上昇率のサーベイ調査を挙げ、「BEI は ずっと低下しているが、広い意味での予想物価上昇率は下がって いないと思われる」と説明した。 9 日公表の消費動向調査(1 月分)は消費者の予想物価を表す サーベイ調査のひとつだが、前月に、物価が「上昇する」との回 答割合が低下した。予想物価上昇率が下がり続ければ、再び追加 緩和期待が喚起され金利低下を促す可能性があるため、こうした サーベイデータにも注目したい。 1 2015 年 2 月 6 日 Weekly Market Focus 経済指標 国内 ~ 12 月の現金給与総額は %と 10 ヵ月連続の 現金給与総額は前年比+1.6% 前年比 月連続の増加 12 月の現金給与総額は、前年比+1.6%と 10 ヵ月連続で増加した。内訳を見ると、基本給等を表す所 定内給与が同+0.3%と 2 ヵ月ぶりに増加したほか、冬のボーナスなどの特別給与が同+2.6%と、夏に続き 大幅に増加した。2014 年を通してみると、現金給与総額は同+0.8%と 4 年ぶりの増加となった。中でも所 定内給与は、同+0.0%と 2005 年以来 9 年ぶりに下げ止まった。 労働者1人当たりの現金給与総額の推移 (前年比、%) 3.0 特別給与 2.5 所定外給与 2.0 所定内給与 1.5 現金給与総額 1.0 0.5 0.0 -0.5 -1.0 -1.5 -2.0 12 13 (年) 14 (注)従業員5名以上。 (資料)厚生労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 (経済調査室) 海外 ~ 米国の 米国の 1 月の ISM 指数は製造業が 製造業が低下する 低下する一方 する一方、 一方、非製造業が 非製造業が小幅上昇 米国の 1 月の ISM 製造業指数は、前月比▲1.6 ポイントの 53.5 と 3 ヵ月連続で低下した。指数を構成 する 5 指標のうち、新規受注(同▲4.9 ポイント)、生産(同▲1.2 ポイント)、入荷遅延(同▲5.7 ポイント)、 雇用(同▲1.9 ポイント)の 4 指標が前月比悪化した。他方、ISM 非製造業指数は同+0.2 ポイントの 56.7 と小幅ながら 2 ヵ月ぶりに上昇した。 製造業・非製造業ISM指数の推移 65 (%) 60 55 50 45 40 非製造業ISM指数 製造業ISM指数 35 30 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) (資料)全米供給管理協会統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 (経済調査室) 2 2015 年 2 月 6 日 Weekly Market Focus マーケットデータ 14年3月末 14年9月末 1/30(金) 2/2(月) 2/3(火) 2/4(水) 2/5(木) 0.044 0.029 0.071 0.071 0.073 0.075 0.076 全銀協日本円TIBOR (3ヵ月物,%) 0.21182 0.21000 0.17273 0.17273 0.17273 0.17273 0.17273 円金利先物 (期近限月,ポイント) 99.800 99.805 99.835 99.835 99.840 99.835 99.835 債券先物 (期近限月,円) 144.62 145.84 148.13 148.01 147.38 147.30 147.33 日本国債 (10年物,%) 0.642 0.531 0.278 0.289 0.366 0.381 0.361 円金利スワップ(対LIBOR)(10年物,%) 0.825 0.656 0.484 0.490 0.538 0.559 0.546 日経平均株価 (225種,円) 14827.83 16173.52 17674.39 17558.04 17335.85 17678.74 17504.62 ドル/円 (東京17:00現在) 102.98 109.42 117.90 117.59 117.23 117.54 117.32 ユーロ/ドル (東京17:00現在) 1.3758 1.2685 1.1336 1.1316 1.1332 1.1467 1.1384 米国FFレート (%) 0.06 0.07 0.06 0.12 0.12 0.11 - 米国国債 (10年物,%) 2.718 2.489 1.641 1.664 1.792 1.751 1.820 16,457.66 17,042.90 17,164.95 17,361.04 17,666.40 17,673.02 17,884.88 101.58 91.16 48.24 49.57 53.05 48.45 50.48 1,283.40 1,210.50 1,278.50 1,276.20 1,259.70 1,263.80 1,262.00 無担保コール (翌日物,加重平均,%) NYダウ工業株 (30種,ドル) WTI原油先物 (ドル/バーレル) 金先物 (ドル/オンス) (注)為替レートは日本銀行の公表値を参照 (資料)Bloomberg、Reuters等より三菱東京UFJ銀行作成 日米長期金利の推移 為替と株価の推移 125 (円/ドル) (円) 19,000 18,000 120 17,000 115 16,000 110 15,000 105 14,000 100 95 14/1 13,000 12,000 14/4 14/7 14/10 15/1 対ドル為替レート(左目盛) 日経平均株価(右目盛) (資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成 (年/月) (資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成 3 2015 年 2 月 6 日 Weekly Market Focus マーケットカレンダー 最近の 最近の材料 2/3 2/6 火 金 国内 マネタリーベース(前年比) 景気先行指数 景気一致指数 結果 1月 37.4% 12月速報 105.2 12月速報 110.7 1/30 金 2/2 月 2/3 2/4 火 水 2/5 木 2/6 金 2/10 2/11 2/12 火 水 木 2/13 金 2/17 火 2/18 水 2/19 木 海外(米国) 実質GDP(前期比年率) シカゴ購買部協会景気指数 ミシガン大学消費者信頼感指数 個人所得(前月比) PCEコア・デフレータ(前年比) 建設支出(前月比) ISM製造業景況指数 製造業受注指数 ADP雇用統計 ISM非製造業景況指数 非農業部門労働生産性 貿易収支 結果 1月 1月確報 12月 12月 12月 1月 12月 1月 1月 4Q速報 12月 2.6% 59.4 98.1 0.3% 1.3% 0.4% 53.5 -3.4% 213K 56.7 -1.8% -$46.6B 今回 1月 1月 1月 12月 12月 1月 1月 12月 1月 2月速報 2月 2月 1月 1月 1月 2月 前回結果 252K 17K 5.6% $14.081B 0.8% $1.867B -1.0% 0.2% -2.5% 98.1 9.95 57 1089K -0.3% -0.1% 6.3 4Q一次速報 今後の 今後の材料 2/9 月 2/10 2/12 火 木 2/16 月 2/18 2/19 水 木 国内 国際収支-経常収支(季調済) 貸出動向 銀行/信金計(前年比) 消費者態度指数 景気ウォッチャー調査 先行き判断DI 第三次産業活動指数(前月比) 国内企業物価指数(前月比) 機械受注(前月比) 実質GDP(前期比年率) 鉱工業生産(前月比) 日銀金融政策決定会合 貿易収支(通関ベース) 全産業活動指数(前月比) 景気先行指数 景気一致指数 今回 12月 1月 1月 1月 12月 1月 12月 4Q速報 12月確報 前回結果 ¥914.5B 2.6% 38.8 46.7 0.2% -0.4% 1.3% -1.9% 1.0% マネタリーベース 80兆円/年 1月 -¥665.2B 12月 0.1% 12月確報 105.2 12月確報 110.7 海外(米国) 非農業部門雇用者数変化 製造業雇用者数変化 失業率 消費者信用残高 卸売在庫 月次財政収支 小売売上高(除自動車、前月比) 企業在庫 輸入物価指数(前月比) ミシガン大学消費者信頼感指数 ニューヨーク連銀製造業景気指数 NAHB住宅市場指数 住宅着工件数 PPI 最終需要(前月比) 鉱工業生産(前月比) フィラデルフィア連銀景況調査 国債入札 2/3 火 2/5 木 今週の結果 10年利付国債入札 30年利付国債入札 2/13 金 2/17 火 入札倍率 2.68 2.67 発行 今後の予定 5年利付国債入札 20年利付国債入札 (株)三菱東京 UFJ 銀行 円貨資金証券部 ※本資料は信頼出来ると思われる各種データに基づき作成しておりますが、当行はその正確性、安全性を保証するものではあり ません。また本資料はお客様への情報提供のみを目的としたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する 最終決定はお客様ご自身の判断でなさいますようお願い申し上げます。本誌面の全部または一部を無断で複写、複製することを 禁じます。尚、当方の都合で、誌面の全部または一部を予告せずに変更させて頂くことがございますので、予めご承知下さい。 4 2015 年 2 月 6 日
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