H27年度1月

H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井)
2014年の野菜づくりから
①
②
③
④
タネについて---――タネの選び方、性質、タネの寿命
苗について――――――つくり方、選び方(買いかた)
土づくりについて―――栄養分、肥料について、肥料効き方、やり方
病気、害虫について
① タネについて-タネの知識-
1)タネの寿命
品目によって異なるが、3~4年でも
発芽する長命なもの。梅雨を越すと
1年で発芽しない短命なものもある。
タネは貯蔵中でも少しずつ呼吸して
いるので夏の高温多湿を経過すると
消耗が激しくなり発芽率が極端に悪く
なるものもあります。
・寿命の短いもの(1~2年経つと発芽しない)
ネギ、タマネギ、ニラ、レタス、ゴボウ、ニンジン、ホウレンソウ、
ミツバ
・・・・・・・・・・・古いタネは使わない
・やや長寿なもの(2~3年)
ダイコン、カブ、ハクサイ、キクナ、エンドウ、スイカ、インゲン
・・・・・・・・残りのタネは貯蔵して翌年使用する
・長命なもの(3~4年)
キュウリ、カボチャ、ナス、トマト ・・・・・・・貯蔵して翌年使用
2)タネの保存のしかた
低い温度で乾燥したところ
コーヒーの空き瓶かお茶の缶がよい。
タネを紙袋に入れ名前を書いておく。
乾燥剤(生石灰)かシリカゲルを入れ、密閉して冷蔵庫に入れる。
または、比較的涼しいところに置く。
3)タネの発芽には光が必要か?
植物は種類によって光があったほうが発芽が促進されるものがあります。
これを好光性種子といいます。
好光性種子:シソ、セロリ、ニンジン、ミツバ、キクナ、インゲン、
レタス、ゴボウ、ツケナ
※好光性種子は非常に細かい種子が多く、播種する時は覆土をせず、
まいた後、上から薄く土をまいたり、敷きわらをします。そうすると
適当に光が届き、発芽がそろいます。
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反対に光に当たると発芽しにくくなるものもあります。これを嫌光性種子と
いいます。
嫌光性種子:ダイコン、タマネギ、ネギ、ニラ、カボチャ、スイカ、トマト、
ナス
※嫌光性種子は、まき穴やまき溝をつくり、タネをまいてからしっかり
覆土します。
②苗について
-苗の購入のヒント-
※春から夏にかけての作物の苗を買うときの注意
4月は一年の中でいちばん天候の変動の大きい月といわれています。
特に、寒の戻り、強風、大雨などであり、朝晩の寒暖の差もいちばん大きい
時期です。
園芸店、ホームセンターなどで4月中旬からすでに野菜苗を販売しているとこ
ろもありますが、その時に買ってすぐに植えつけると、まだまだ朝晩が冷えて、
全然大きくならなかったり、苗が枯れてしまうことがあります。
早い時期に店頭に出てくる苗は、温室や、ビニールハウスなどの施設で育てら
れているのが大半です。朝夕の気温の変化にも慣れていない「温室育ち」です。
全然大きくならないと、
「早く育ってほしい」という親心が働いて、肥料や水
をやりすぎる場合が多く見られます。それにより「肥あたり」を起こし枯らし
てしまうことも少なくありません。苗は人間でいえば「赤ちゃん」の状態なの
で、大事に育ててやらなければなりません。暖かくしてやらなければなりませ
ん。また、根の力がない時に、肥料をたくさん施しても、赤ちゃんに「ミルク
ならぬステーキを食べさせる」のと同じです。
5月になって、暖か
くなってから、苗を
植え付けると、土の
温度も上がって、
根もはやく元気に
なっていきます。
早く、植えつけて、
失敗するより、暖かくなってから植えつけた方が生育が
よくなります。
野菜苗を買う時期は、5月の連休まで待ちましょう!
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③土づくりについて
1)よい土とは
植物がよく育つ土をつくること
土の役割
植物体を支える
植物が根を十分に伸ばして水や
養分しっかり吸収する。
十分に体を大きくし、花を咲かせ
実を成らせる
根は表面の細胞(表皮細胞)から土の
すき間にある酸素を直接取り込む
土のすき間が狭すぎると空気が入りにくくなってうまく呼吸ができない
ある程度のすき間が必要
・・・・・・・ 団粒構造
・団粒構造
小さな土の粒子が集まって団子のような構造になったもの
団子と団子の(団粒構造)の間にはほどよい空気のすき間ができる 呼吸
団粒の中には肥料分や適度な水分を取り込むことができる
団粒と団粒を結びつける糊のようなものが必要になります。
(ミミズのいる土)
これが有機物(完熟たい肥や腐葉土)の役目をする
有機物の入った柔らかな土
・通気性
これらがよくなると作物が立派に育つ
・排水性
・保水性
・保肥性
2)栄養分
土壌の pH(ペーハー)と各種養分の
効き方と作物に適する pH
pH は0~14 まであり、pH が 7.0 を
中性といい、pH が 7.0 より小さいと
酸性、大きいとアルカリ性といいます。
土が極端に酸性になっていくと土壌中の
微生物の活性が低くなり、硝酸化作用
(窒素肥料分が微生物の力によって
アンモニア態窒素→硝酸態窒素になり、
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植物の作物の根から吸収される)が悪くなり、作物ができにくくなります。また、
土壌中の成分はpH によって水に溶けやすくなったり溶けにくくなったりします。
酸性が強くなるとアルミニウムやマンガン銅が水に溶けやすくなり作物が吸収
するが、これらの成分が多くあっても大丈夫な作物が酸性に強い作物といいます。
酸性に弱い作物はアルカリ性になると水によく溶けるカルシウムや
マグネシウムを多く必要とする作物です。
④病気、害虫について
1)植物の病気
植物の病気の原因は次のものがあります。
・カビ
高温、多湿、風通しの悪さなどによりカビが生えて、病気になります。
灰色かび病、うどんこ病、疫(えき)病、べと病、さび病など多くあります。
・細菌
大風に吹かれて作物に傷ができたり、雨に叩かれて土がはね返り、傷ができ
たところから細菌が植物体内に侵入して病気を引き起こします。
また、害虫が食害した傷口から、細菌が侵入して発病します。軟腐病、
青枯れ病などがあります。
・ウイルス
アブラムシが植物の汁を吸ったときに、アブラムシの体内にいるウイルスが
植物体に移り感染します。また、タバコモザイクウイルス病(TMV)はタバ
コを吸う人がトマトの作業を行ったときに手から移ることもあります。
ウイルス病にかかると有効な薬剤はないので、株ごと抜き取って焼却する
必要があります。ウイルスに感染しないように、ウイルスを媒介する昆虫
などを駆除する必要があります。
・害虫
作物を食害したり、吸汁したりして、作物をヒトが食べられなくします。
見つけ次第、補殺するか、薬剤を施用します。
(例)アブラムシの場合
薬剤散布も効果がありますが、アブラムシを寄せ付けにくくすることが
できます。
アブラムシは春先は翅が生えていて、空中を浮遊しています。作物の
あるところに降りて、そこで吸汁し、環境がよければ卵を産まないで、
直接、翅がないメスの幼虫を産みます(卵胎生)。生まれたアブラムシは
メスばかりで7日ほどで大人になり、交尾をしないでまた、直接メスの
幼虫を産みます。そして一カ所で爆発的に増殖します。
ただ、春先の翅の生えている浮遊しているアブラムシはキラキラする
ものを嫌います(逆に黄色いものに引き寄せられます)。
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そこで、キラキラ光るテープをうねに沿って張っておくとアブラムシの
飛来を防ぐことができます。
病期と害虫を防ぐため、コンパニオンプランツの栽培(キュウリ vs.ネギ等)や、
天敵動物(クモやテントウムシ)を利用します。
コンパニオンプランツ
(例:キュウリとネギ)
天敵:害虫を餌にして繁殖する虫です。
テントウムシ、
カマキリ、
ヒラタアブ、
寄生蜂、
クサカゲロウ
ハネカクシ、
クモ
などが自然界に
います。
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植物に必要な栄養
三要素
私たち人間に必要な栄養分にたんぱく質、脂肪、炭水化物のほかに各種ビタミン
があります。植物にも同じように必要な栄養素があります。
その代表的なものが窒素(N)、リン酸(P2O5)、カリ(K2O)です。これを三要素と
いいます。このほかにもマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、硫黄(S)、鉄(Fe)
なども必要とされます。特に三要素は最も多く吸収されるので、不足するとたち
まち栄養障害を起こします。それで、肥料として補給してやる必要があります。
光合成(炭酸同化作用)
窒素、リン酸、カリ、それと多くの微量要素は植物体では水に溶けて葉に送られ
ます。葉には葉緑素があり空気中に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して、
太陽の光と熱の働きにより炭酸同化作用を行います。その結果炭水化物(でんぷん
や糖類)を合成し、植物体の各部分に送り、生命活動を行います。また、動物の
生命活動に欠かすことのできない酸素(O2)を生産しています。
炭酸同化作用(光合成)の式
6CO2 + 12H2O + 光エネルギー → C6H12O6 + 6H2O +6O2
(ブドウ糖)
三要素のはたらき
窒素(N)
:植物のたんぱく質や葉緑素をつくる。葉の色を濃くしたり、葉や
茎を生長させます。
リン酸(P2O5) :細胞分裂を盛んにしたり、茎や葉を多くして果実の実りを良く
したり、花の色やつやを良くします。
カリ肥料(K2O):水に溶けやすい成分です。糖やでんぷん、たんぱく質をつくった
り、それらを移動、蓄積する働きがあります。また、植物繊維を
丈夫にしたり、根の肥大や耐寒力を増すためにも役立ちます。
その他の栄養素
カルシウム(石灰) :植物組織を強くし、葉緑素の生成、根の発育、有害物質の中和
マグネシウム(苦土):葉緑素の生成、体内物質の移動
硫黄、鉄、銅、亜鉛なども総合的に有効な働きをする
H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井)
H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井)
<市民農園講習会資料(H26.10)by 春井>
コンパニオンプランツとは
野菜と花、野菜同士、それぞれ生育を助け合うもの同士を「コンパニオン
プランツ(共栄植物)」といいます。生育の補助を行うことが出来ると
ともに、病害虫の害を減らすことにも役立ちます。
<材料>
トマト(ナス科)、ねぎ(ユリ科ネギ属)、パセリ(セリ科)、赤じそ(シソ科)、
サニーレタス(キク科)、みずな(アブラナ科)、ラディッシュ(アブラナ科)
植
物
バジル
相性の良い植物
胡椒, トマト, マリーゴールド
キャベツ、ニンジン、セロリ、トウモロコシ、
キュウリ、ナス、レタス、エンドウ、
豆類(蔓なし)
ラディッシュ、イチゴ、マリーゴールド
ニンジン、トウモロコシ、キュウリ、ナス、
豆類(蔓あり)レタス、エンドウ、ラディッシュ,
ビート
相性の良くない
植物
タマネギ
ビート、タマネギ
豆類(蔓なし)、キャベツ、タマネギ、セージ
アブラナ科
植物
豆類(蔓なし)、ビート、セロリ、タマネギ、
トマト、ハーブ類(シソ)、マリーゴールド、
ナスタチウム
ニンジン
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、レタス、セージ、
タマネギ、エンドウ、ラディッシュ、トマト、
セロリ
豆類(蔓なし)、キャベツ、タマネギ、
ホウレンソウ、タマネギ、トマト
トウモロコシ
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、キュウリ、
エンドウ、カボチャ、メロン
イチゴ
ディル
トマト
<市民農園講習会資料(H26.10)by 春井>
植物
キュウリ
ナス
レタス
メロン
タマネギ
パセリ
エンドウ
コショウ
ラディッシュ
ホウレンソウ
カボチャ
イチゴ
トマト
(メモ)
相性の良い植物
相性の良くない
植物
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、トウモロコシ、
レタス、タマネギ、エンドウ、ラディッシュ、
ナスタチウム、マリーゴールド、
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、カボチャ
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、
キュウリ、タマネギ、ラディッシュ、イチゴ
トウモロコシ、ナスタチウム、ラディッシュ
ビート、キャベツ、ニンジン、セロリ、キュウリ、
豆類 (蔓あり、蔓
レタス、コショウ、カボチャ、イチゴ、トマト
なし、エンドウ)
トマト
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、カブ、
トウモロコシ、キュウリ、ラディッシュ、
タマネギ
タマネギ
豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、キュウリ、ヒソップ
レタス、メロン、エンドウ、カボチャ
セロリ、ナス、カリフラワー
トウモロコシ、タマネギ、ラディッシュ
豆類(蔓なし)、レタス、タマネギ、カボチャ
キャベツ
キャベツ、ニンジン、セロリ、タマネギ、ミント
トウモロコシ、
フェンネル