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さとうみ科学館 ニュースレター「Marine
ニュースレター「Marine Life」
Life」
● H26.
H26.12.15
12.15 ●
[ Vol. 152 ]
【カキ殻付着生物調査】
12月9日(火),市農林水産課が行っている「カキ作
業場での稚ナマコ採取調査」に同行させてもらいました。
これは広島県と江田島市が合同で行っている調査で,垂
水揚げされたカキ殻は、カ
キ作業場で洗浄され、まず
付着物が取り除かれます。
下式のマガキ養殖場から水揚げされたカキ殻等に付着し
ている「稚ナマコ」を採取し,再放流することで資源増
産につなげる取組として行われているものです。ホタテ
ガイ殻を付着板とした垂下式のマガキ養殖場には,たく
さんの付着生物が生育することが知られているため,今
回稚ナマコ調査に同行させてもらい,どのような生物が
いるのか見学・調査させてもらいました。
養殖場から水揚げされたカキ殻は,カキ作業場の洗浄
機へと運ばれ,まずはカキ殻に付いている付着物が取り
除かれます。この付着物の中にナマコなどの付着生物が
含まれているため,この付着物を調査します。ベルトコ
ンベアー上を運ばれていく付着物の中から生物を採取し
ナマコ以外にも,
いろんな生き物が
いるでしょう~!
(稚ナマコは水産課の方に!),館に持ち帰った後,大ま
かに分類しながら種分けし,いくつかをサンプルとして
農林水産課の方と付着生物調査
液浸標本にしました。まだ調査結果をまとめているとこ
サンプルを、
グループ分け、
種分けします。
ろですが,今回の2事業所(各2時間調査)でのカキ殻
付着生物調査では,事業所Aで82種以上,事業所Bで
102種以上の生物種を確認することができました。垂
下連には予想以上に多くの分類群・生物種が付着してお
り,カキいかだ全体が1つの生態系として成立している
ようでした。
今回の調査からは,
「磯」をイメージさせるような種が
養殖場所の違い,季節的変化などを調査することで,付
着生物たちの生態やカキ養殖の特徴そのものも,あらた
めて知ることができるのではないかと思いました。
種 分 けし た サン プ
ル は 、ホ ル マリ ン
固定して標本に!
多く採取されましたが,いかだ(垂下連の水深など)や
今回,水揚げシーズンのお忙しい中,見学・調査に協力していただいたカキ養殖の事業所の方々,県ならびに
江田島市農林水産課の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
11月22日,今年は特別編として実施した「自然・科学体験教室」。「音を科学する」という
テーマで実験やものづくりをしたり,みんなで協力しながらゲームをしたり,昼ごはんを作った
りと,あっという間のデイ・キャンプでした。そんな今回の体験教室を盛り上げてくれたのが,
「江
田島市ジュニアリーダーズクラブ」の中学生たちです。そのほとんどが,小学生の頃,体験教室
の参加者だったリーダーたち。ある時は「イニシアティブゲーム」の指導者として,またある時
は班付きリーダーとして,小学生のサポートをしながら自分たちもプログラムを楽しむ,そんな
成長した姿に,頼もしさを感じました。ジュニアリーダーのみなさん,ありがとうございました。
そして,また協力してくださいね!
アクアギャラリーで飼育している「フクレユキミ
ノガイ」が,「巣」のようなものを作っています。
二枚貝です。殻長2cmほどで,殻は白いのですが
きわめて薄く,生きている時は全体がオレンジ色に
巣のようなもの
フクレユキミノガイは,ミノガイ科に属する小型の
見えます。これは,軟体部の色が鮮やかなオレンジ
色から朱色をしているからで,外套膜の縁には多数
す。水中では体を立てたままで殻を軽く開け,触手
を出していますが,危険を感じるとホタテガイのよ
ちゃんと
中にいますよ
の触手ものび,とても特徴的なデザインをしていま
うに,殻を勢いよく閉じながら海水を噴出して移動
します。日頃は岩の下などに潜り込んでいますが,
集めて「巣」のようなものを作り,その中でくらし
ているようです。砂壁は弾力性が高く,まるで砂で
できた毛布のようです。飼育するからこそ気づく
「発見」の 1 つです!!
石との間に
張られた糸
どうやら,糸のようなもの出し,自分の周りに砂を
海辺の生き物 教材シリーズ 111
夢のマイホーム の巻
海辺にくらす小さな生き物たちは,海藻の中や石の下にかくれるなどして天敵から身を守ります。
なかには自分で「自分の家」をつくり,そこでくらす生き物たちもいます。今回はそんな「夢のマイ
ホーム」を持つ,「ゴカイのなかまたち」を紹介しましょう。
★ 泥の中から「えんとつ」が!
★
ゴカイのなかまには,
「棲管(せいかん)
」とよばれる管状のすみかをつくり,そのなかで生活し
ているものがいます。ツバサゴカイやドロケヤリは,干潟の泥の中に革のような材質の管を作って
生活しています。棲管の先端は泥の表面から突き出ているので,居場所がよくわかります。
【掘り出したツバサゴカイ
掘り出したツバサゴカイの棲管】
ツバサゴカイの棲管】
【ドロケヤリの棲管】
【ツバサゴカイ】
ツバサゴカイ】
ツバサゴカイは,砂の中に U 字状の管を作り,その中で生活しています。
棲管の両端は砂の上に1mぐらいの間隔で出ています。
★ 岩の表面は「住宅地」! ★
ウズマキゴカイやヤッコカンザシは,岩の表面に石灰質の管をつくってくらしています。また岩
場では,泥を分泌液で固めた管の中でくらすケヤリムシなどもよくみかけます。
【ヤッコカンザシ】
ヤッコカンザシ】
◆
【ウズマキゴカイ】
ウズマキゴカイ】
【ケヤリムシ】
ケヤリムシ】
他にもあるよ!! Let’s Try ! ◆
他の生き物といっしょに生活することで「マイホーム」を持つ
生き物たちもいます。二枚貝の殻内やゴカイの棲管(巣)に入り
込み,そのまま一生をすごすカクレガニのなかまなどは有名です。
貝が吸い込んだエサを分けてもらう(横どり?)など,どちらか
というと「寄生」に近い「片利共生」といわれる生活スタイルで
すが,食事付きのマイホームを手に入れるなんていいですね。
イタヤガイに共生していたカギヅメピンノ
イタヤガイに共生していたカギヅメピンノ
◆ 第122回自然観察会 ◆
年明け最初の観察会は,毎年恒例の早朝観察会を行います!この時期は,早朝に潮が引く時期で
あり,暗闇の中で,普段ではめったに見ることのない生き物たちをたくさん見つけることができま
すよ。冬場なので,防寒対策をしっかりして,みんなで早朝の海へ行きましょう!Let’s Go!
日
時:平成27年1月25日(日)
時:平成27年1月25日(日)
午前5:00~8:00
午前5:00
5:30
7:00
(干潮 6:50 +18
+18cm)
cm)
集合時間:午前5:00
集合場所:さとうみ科学館
8:00
観察場所:釣附海岸
観察場所:釣附海岸奥
附海岸奥(大柿町深江)
申し込み:平成27
申し込み:平成27年1月22
平成27年1月22日
年1月22日(木)まで
(木)までに
)までに
事務局へお申し込み下さい。
☆当日の日程☆
集合・移動
観察開始
観察完了
(さとうみ科学館へ移動)
休憩(温かいもので一服)
解散
元気がある人は生き物の分類
☆準備物☆
○長靴 ○軍手 ○防寒具 ○タオル
○できるだけ明るいライト
【注意】小学生は,必ず大人の人と一緒に参加して
ください。
潮見表 1月の観察に適した日時 (干潮時刻と潮位)
1月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
曜日 木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
時分 0:21 1:20 2:10 2:53 3:33 4:10 4:44 5:16 5:47 6:18 6:52 7:28 8:13 9:13 10:45
cm
62
43
25
12
4
2
4
11
23
38
58
82
109
134
149
時分 12:59 13:58 14:46 15:27 16:04 16:39 17:12 17:44 18:16 18:50 19:26 20:09 21:03 22:16 23:36
cm
136
125
115
106
100
95
92
90
91
93
96
101
105
102
87
1月
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
曜日 金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
時分
0:43 1:38 2:28 3:15 4:00 4:43 5:26 6:07 6:50 7:33 8:23 9:29 11:12
1:03
cm
63
34
7
-16
-32
-37
-30
-11
18
56
97
134
155
60
時分 12:19 13:26 14:19 15:05 15:49 16:31 17:13 17:55 18:37 19:21 20:09 21:08 22:26 23:53 12:49 13:53
cm
146
131
113
94
77
63
52
46
45
51
61
73
81
75
151
135
cmの数字が小さいほど,よく潮が引きます。
潮位30cm未満(網掛けにしている日)が調査に適しています。
事務局だより
広島県の暦象と潮位(日本気象協会中国センター)から
江田島市教育委員会学校教育
田島市教育委員会学校教育課
学校教育課 大柿自然環境体験学習交流館
●フェスティバル開催!・・・11
●フェスティバル開催!・・・11月16日,江田島青
!・・・11月16日,江田島青
少年交流の家にて,
「フェスティバル江田島 2014」が
2014」が
開催され,さとうみ科学館も,
開催され,さとうみ科学館も,タッチ
も,タッチングプールを
タッチングプールを
設置した『しおだまり』コーナーをはじめ,
「トリッ
設置した『しおだまり』コーナーをはじめ,
「トリッ
クアート」展示や「トコトコシオマネキちゃん」
クアート」展示や「トコトコシオマネキちゃん」づ
展示や「トコトコシオマネキちゃん」 づ
くりのコーナーなどを
くりのコーナーなどを出展
コーナーなどを出展しました。また,県主催
出展しました。また,県主催
の「中山間地域振興リレーシンポジウム」では,
「『体
感』でつなぐふるさとの未来」というテーマで,
感』でつなぐふるさとの未来」というテーマで,西
原館長とフリーマガジン「Bridge
原館長とフリーマガジン「Bridge」発行者の岡本礼
Bridge」発行者の岡本礼
教さんによるトークショーも行われました。
教さんによるトークショーも行われました。
●年末年始のお知らせ・・・年末は12月26日(金)
年末年始のお知らせ・・・年末は12月26日(金)
まで,年始は1月5日(月)からの開館となります。
まで,年始は1月5日(月)からの開館となります。
●投稿・情報大募集・・・みなさんからの投稿をお待ち
しております。次号 Vol.153
Vol.153(
.153(1月15日号)原
月15日号)原
稿締切は,1月13日(火)です。
稿締切は,1月13日(火)です。
〒737-2214
広島県江田島市大柿町深江1073番地1
TEL:(0823)57-2613
FAX:(0823)40-3100
メール: satoumimail@ y a h o o . c o . j p
H P :『 さ と う み 科 学 館 』 で 検 索
◆事務局スタッフ◆
館
専
支
門
〃
援
長:西原
員 :沖
:西塔
員 :木村
直久
知哉
由真
さつき
(友の会会員 シニア 152名
ジュニア 105名)
◆あとがき◆
とがき◆朝,家の外を見てびっくり!真っ白な雪景色が広がっていました。ところ
朝,家の外を見てびっくり!真っ白な雪景色が広がっていました。ところが,
家の外を見てびっくり!真っ白な雪景色が広がっていました。ところが,さとうみ科学館
が,さとうみ科学館の
さとうみ科学館のグラウンドには,
グラウンドには,まったく雪が積も
には,まったく雪が積も
っていない・・・同じ島の中でこうも違うとは!
っていない・・・同じ島の中でこうも違うとは!江田島の広さを実感
同じ島の中でこうも違うとは!江田島の広さを実感しました。本年も大変お世話になりました。みなさん,よいお年を!
江田島の広さを実感しました。本年も大変お世話になりました。みなさん,よいお年を!(西塔)
しました。本年も大変お世話になりました。みなさん,よいお年を!(西塔)