最前線 450mm大口径化戦略 《米台韓の450mm大口径化戦略》 G450Cが良好な評価結果を公表 SEMI、450mm規格を19件発行 服部コンサルティング・インターナショナル 代表 服部 毅(本誌編集顧問) 米台韓Global 450mm Consortium(G450C)が、昨年前半に入手した450mm製造装置の性能評 価結果を明かした。初期段階の結果としては極めて良好で、G450Cは450mm化に際しての根 本的な技術障壁はないと判断している。一方、粛々と450mmスタンダード(標準規格)を開発 してきたSEMIは、今までに19件の規格を発行してきた。さらに17件を準備中で、注目のノッ チフリー・ウェーハの規格は年内に発行される見込みである。 ●450mm大口径化に技術的な障壁はない 米ニューヨーク州立大学(University of New York) ナノスケール理工学カレッジ(College of Nanoscale Science and Technology:CNSE)と米台韓の先進半 導体メーカー5社による450mm化推進コンソーシア ムGlobal 450 Consortium(G450C)に、450mm製 造・計測装置がすでに50台以上納入された(一部、 暫定的に会員企業や装置メーカー内に設置された ものも含む)。 CNSEキャンパス(ニューヨーク州Albany)のNanoFab Xビル内の450mmクリーンルーム(図1)で は、これらの装置の性能評価やプロセス開発が続 けられている。最近、G450C General Manager & CoordinatorのPaul Farrar氏(CNSE副学長兼務)は、 SEMI主催の会合で初期の450mm装置の評価結果を 発表した(図2(a)∼(f) )。未設置の露光装置を除 き、今までのところ、300mmから450mmへ移行す るに際して根本的な技術障壁はないとG450Cは判 断している。今後は、ニコン熊谷製作所でパター ニングしたウェーハを用いた評価へ移行する。 ●450mm装置の性能評価結果は良好 個々の装置の概略、初期の性能評価結果および 機構改善項目や努力目標などを図2に示す。 ①枚葉スピン洗浄・ウェットエッチング装置 (図2(a)) 本誌ですでに報告したように 1)、パーティクル (≧45nm)レベルや面内エッチング均一性とも市販 の 300mm 装置よりも良い結果が得られている。 450mm装置では、様々な工夫により、希フッ酸に よるSi酸化膜のエッチング均一性は±1.1%(3σ値) と、市販の300mm装置の±1.5%よりも良い。さら に微小なパーティクル低減、超微細回路パターン の倒壊防止、微少な金属汚染対策などの課題が残 されているという。 ②プラズマエッチング装置(図2(b) ) 面内エッチング均一性は±1.8%(3σ値)と良好 である。ウェーハエッジ近傍でのイオン密度分布 をフラットにする改善を検討中である。 ③CVDおよびCMP装置(図2(c)∼(d) ) 当初より良好な評価結果が出ている。パターン 付きウェーハを用いたステップカバレッジへの挑 戦が待ち受けている。 ④PVD装置(図2 (e) ) 成膜均一性は±5%未満にまで到達しており、さ らに装置改善の様々な検討が行われている。 ⑤縦型熱酸化装置(図2(f)) 100nm酸化膜成長時の膜厚均一性は±2.1%(3σ) 図1 450mmクリーンルーム (出所:CNSE) と良好だが、ウェーハエッジの一部にホットスポッ 58 Electronic Journal 2014 年 6 月号 最前線 図2 450mm大口径化戦略 (a)洗浄装置 (b)ドライエッチ装置 (c)CVD装置 (d)CMP置 (e)PVD装置 (f)熱酸化装置 450mm装置の初期性能評価結果 (出所:G450C) トが観察されるので、対策中。 この他、Cuめっき装置でも良好な結果が得られ ている。Farrar氏は、これらの初期的な結果につい て、「450mm化に際して根本的な技術限界はないと 判断する。今後はパターン付きウェーハでの評価 とともに、装置処理効率の向上に注力し、チップ 当たりのコスト低減の目標を必達しなければなら ない」と総括した。これらのデータは全て昨年採 られたものであり、現在はさらに改善が進んでい ると思われる。 ●SEMIは粛々と450mmスタンダードを整備中 SEMIは2007年以来、粛々と450mmスタンダード (SEMI規格)開発に取り組んでおり、すでに19件 の規格を発行している。今後、17件ほどが準備あ るいは審議中で、近い将来、規格化される予定に なっている。 Siウェーハのノッチフリー化は、450mmウェー ハの有効面積をわずかでも広げ、チップ当たりの 製造コストを削減しようとG450Cから提案された もので、SEMI内で審議されてきた。いよいよ、ノ ッチフリー・ウェーハの仕様が固まり、年内にも 規格を発行の見込みである。なお、従来の鏡面単 結晶Siウェーハ仕様に450mmウェーハ仕様を増補 改訂したSpecifications for Polished Single Crystal Silicon Wafers(SEMI M1-M1-0414)が今年初めに発行 されたが、これにノッチフリー仕様を増補してさ らに改訂されることになる。 ●ITRSが450mmロードマップを発表 国際半導体技術ロードマップ(ITRS)2013年版 の発行が大幅に遅れていたが、やっと4月になって 一部の章が欠落し未完成のまま発行された。その 後も更新が続いており、5月末現在の最新版による と、450mm生産時期予測については、今回初めて リスク生産と量産に分けた記述が採用され、以下 のように書き換えられている 2)。 ・450mmリスク生産(月産1000枚レベル)2016 年 ・450mm量産(月産10万枚レベル)2018年 参考文献 1)服部毅:Electronic Journal(2013.12)pp.60-61 2)http://www.itrs.net Electronic Journal 2014 年 6 月号 59
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