気孔 コンダクタンスの計測 とモデリング

水 文 ・水 資 源 学 会 誌 第8巻2号(1995) 水
文
・
水
資
源
学
J. Japan Soc. Hydrol. & Water
Vol. 8. No.2
(1995) PP.
会
解
説 221
誌
Resour.
221-230
気孔 コン ダク タ ンス の計 測 とモ デ リング
京都 大学農学部 小 杉 緑 子*
I. は じ め に
Ⅱ. 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の 導 入
気 孔 コ ン ダ ク タ ンス,な
植 物 と環境 との相互 作用 は主 として光 合 成 と蒸 散
の過程 でお こ り,こ れ らの過程 は共 に葉 の気孔 とい
い し気 孔 抵 抗 は気 孔 に よ
る物 質 交 換 過 程 の 制 御 を 量 的 に 表 現 し た も の で,植
物 ― 大 気 間 の 二 酸 化 炭 素 お よ び 水 蒸 気(潜 熱)の
フ
う同一 の経路 を通 じて行 われ る.こ のた め,植 物 に
よ る気 孔開 閉 を表す パ ラメー ター で あ る気 孔 コ ンダ
ラ ッ ク ス を 説 明 す る 際 に 用 い られ る パ ラ メ ー タ で あ
ク タ ンス な い し その 逆 数 で あ る気 孔 抵 抗 は,大 気
一植 物 間の二 酸化 炭素 ,水 蒸気,さ らに熱 交換過 程
一 般 に,完
る.
全 水 面 か らの 潜 熱 フ ラ ッ ク ス は 次 の バ
ル ク式 で 表 さ れ る.
を解明 す る上 で非 常 に重要 なパ ラメー タで あ る.
(1)
気孔 に よ る大気 一植 物 間の物 質交 換過 程 の制御 に
関 す る研 究 は,植 物学,水 文学,気 象学 の3つ の研
究 分野 で それぞ れ異 な る視 点 に よ るアプ ローチが な
され て きた.植 物 学 的 な興 味 は気孔 が様 々 な環境 条
件 に対 して どの ようにふ る ま うか,ま た その生物 的
化 学的 メ カニズ ム を解 明 す る ことに あ る.そ こで対
象 は個葉 上 での気 孔 その もの を取 り扱 う ことにな る
こ こで,lE:潜
度, Cp:空
熱 フ ラ ッ ク ス(W/m2),
ρ:空 気 の 密
気 の 定 圧 比 熱, γ:乾 湿 計 定 数, es(To):
表 面 温 度 に お け る飽 和 水 蒸 気 圧,
気 の 水 蒸 気 圧, γa:空
e:一
定高での大
気 力 学 的 抵 抗(s/m)で
あ る.
これ に 対 し て,植 物 の気 孔 を 介 した 蒸 散 に よ る 潜
熱 フ ラ ッ ク ス は 次 式 の よ う に表 され る.
水 文学 的視点 で は,水 循環 過程 の重 要 な構成 要素 で
(2)
あ る蒸散 の メ カニ ズム を解 明 し,流 域単 位 での蒸 散
量 の推定 精度 を上 げ るうえで気 孔 コンダ クタ ンスの
理解 が重 要視 されて い る.気 象学 の分 野 で はGCMな
どの広範 囲 での気 象予 測 モデ ル に植 生 の影響 を加 味
す るこ とで よ り精 度 の高 い予測 を得 る こ とが必要 と
なっ て きて い るが,こ の際 に も気孔 コ ンダク タ ンス
は重要 なパ ラ メー タの一 つで あ る.
こ こで, γc:群 落 抵 抗(s/m)で
あ る.ま
た,
To-Ta
間 の 飽 和 水 蒸 気 曲 線 の 変 化 率 をTaに お け る傾 き△で
近 似 し て(2)式 中 のes(To)を
消 去 し,さ
ら に顕 熱 の バ
ル ク式 お よ び エ ネ ル ギ ー 収 支 式 を連 立 さ せ て,表 面
温 度Toを 消 去 した 形 と して(3)式(Penman-Monteith
式)が 導 か れ る.
本 稿 で は この よ うな3つ の分 野 での気 孔 コンダ ク
(3)
タ ンスへの ア プロー チが どの よ うに な され て きたか
とい う観 点 か ら,気 孔 コ ンダ ク タ ンスの計 測 とモデ
リングの現状 を概 説 し,気 孔 コ ンダ クタ ンスの モデ
ル 化 にお ける諸 問題 を検討 したい.
こ こ で, Rn:純
(W/m2),△:水
放 射 量(W/m2),
G:地
中伝 導 熱 量
蒸 気 飽 和 曲線 の 傾 き, es(Ta):一
定
高 で の 大 気 の 飽 和 水 蒸 気 圧 で あ る.
(2)式 あ る い は(3)式 に お け る群 落 抵 抗γc (Canopy
Resistance)が,群
*京都大学 農学部 林学科砂防学研究室 〒606―01 京都市左 京区北 白川追分町
落 全 体 を一 枚 の 葉 とみ な すbig leaf
222 解
説
modelで
J. Japan
の 植 生 に よ る抵 抗 を 表 し て お り,個 葉 レ ベ
ル で は 気 孔 抵 抗(Stomatal
Resistance)と
呼 ばれ る も
Soc.
Hydrol.
&
数(8.314Nm/mol
Water
K),
Resour.
P:大
Vol.
気 圧(101300N/m2)で
さ らに,二
群 落 コ ン ダ ク タ ンス,気
は次 式 の よ う に 表 す こ とが で き る.
酸 化 炭 素 フ ラ ッ ク ス(純 光 合成 速 度)A
気 孔 開 度 を表 す よ り分 か りや す い 指 標 とな る.
(7)
ま た,個 葉 レベ ル で は一 般 に 熱 で は な く水 蒸 気 フ
ラ ッ ク ス と し て蒸 散 速 度 を 表 す が,こ
の場合 次 式が
よ く用 い ら れ て い る.
(4)
こ こで, E:蒸
散 速 度(mol/m2/s), Wi:葉
飽 和 水 蒸 気 分 圧, Wa:大
面上での
気 の 水 蒸 気 分 圧, gbw:水
こ こ で, Ca:大
気CO2濃
度, Ci:細
胞 間 隙CO2濃
gsw水
散 に 関 す る 葉 面 境 界 層 コ ン ダ ク タ ン ス,
gsc:CO2拡
散 に 関 す る 気 孔 コ ン ダ ク タ ンス で あ る.
gbcお よ びgscに つ い て は 次 式 が 成 り立 つ と さ れ て い
る(Caemmerer
and Farquhar,
1981).
(8)
蒸
蒸 気拡 散 に関 す る気 孔 コ ンダ ク タ ン ス
(mol/m2/s)で
あ る.気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス お よ び 蒸 散
速 度 の 単 位 を, m/sお
よ びW/m2に
変 換 す る場 合 の 変
換 式 は 以 下 の よ う に な る.
度,
gbc:CO2拡
(9)
気 拡 散 に 関 す る葉 面 境 界 層 コ ン ダ ク タ ン ス(mol/m2/
s)
(1995)
あ る.
の で あ る.群 落 抵 抗 な い し気 孔 抵 抗 の 逆 数 を と る と
孔 コ ン ダ ク タ ンス とな り,
8, No.2
な お,一 般 にgbwな い しgswの 意 味 で, gbな い しgsと
の み 表 記 す る こ とが 多 い.以
下 では この表記 を用い
る.
Ⅲ. 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の 計 測
気 孔 コ ン ダ ク タ ンス の計 測 は3つ の 視 点 か ら行 う
(5)
こ とが で き る.す
方 法,個
こ こ で,ρa:空
気 の モ ル 濃 度(mol/m3),
Fig. 1
R:気
な わ ち,気
孔 開 度 を直 接 観 察 す る
葉 上 で の フ ラ ッ ク ス か ら気 孔 抵 抗 な い し気
(6)
孔 コ ン ダ ク タ ンス を 算 定 す る 方 法,お
体定
の フ ラ ッ ク ス か ら群 落 抵 抗 な い し群 落 コ ン ダ ク タ ン
Photograph
of stomata observed with SUMP
method
(a) Cinnamomum
camphora
(b) Quercus serrata (Unpolished data)
よ び樹 冠 上 で
水 文 ・水 資 源 学 会 誌 第8巻2号(1995) ス を算 定 す る方 法 の3つ
解
で あ る.
(1991)な ど数 々 報 告 さ れ て い る が,以 下 に 森 林 お よ
気 孔 開 度 を直 接 観 察 す る 方 法 に は 直 接 法,ス
法,浸
透 法 な どが あ る.直
説 223
ンプ
接 法 は 葉 を採 集 して 気 孔
を そ の ま ま 顕 微 鏡 で 観 察 す る 方 法 で あ る.ス
ンプ法
び樹 木 で の 観 測 結 果 を中 心 に,気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス
の振 舞 い に つ い て 概 説 す る.
Fig. 2は 京 都 大 学 演 習 林 本 部 試 験 地 に お い て 数 種
は 葉 の 鋳 型 を と っ て 顕 微 鏡 で 観 察 す る 方 法 で あ る.
常 緑 広 葉 樹 を対 象 に行 っ た 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の 測
浸 透 法 は浸 透 性 の 違 う数 種 類 の 染 色 液 を用 い て,葉
定 結 果 で あ る.測 定 に は携 帯 式 光 合 成 ・蒸 散 測 定 装
の 染 色 具 合 い で 気 孔 開 度 を計 測 す る 方 法 で あ る(加
藤 ら, 1981).
置 を用 い,晴 天 日 を 選 ん で 夜 明 け か ら 日没 まで ほ ぼ
一 時 間 毎 に 計 測 を行 っ て い る
.こ の 測 定 結 果 か らわ
Fig.
か る よ う に 気 孔 コ ンダ ク タ ン ス は,
1に ス ン プ 法 に よ る ク ス ノ キ お よ び コ ナ ラ の
気 孔 写 真 を 示 す.こ
の 方 法 で 気 孔 の 大 き さ,数,分
① 樹 種 毎 に 若 干 の 違 い が あ る
布 お よび 開 合幅 な どの 情 報 を 得 る こ とが で き る.気
② 日変 化 をす る
孔 開 度 に つ い て の お お まか な情 報 も得 ら れ る.一 般
③ 季 節 変 化 を す る
に気 孔 は葉 の裏 側(背 軸 側)に 多 く分 布 し,木 本 植 物
と い う特 徴 が あ る.日 変 化 は や や 午 前 中 に ピ ー ク の
の 多 くで は 葉 の 裏 側 に の み 存 在 す る.気 孔 密 度 は104
あ る 山 形 と な り,真 夏 な ど で は 日中 低 下 が 見 ら れ る.
∼105個/cm2程
季 節 変 化 で は 夏 や 秋 に大 き く冬 や 春 先 は 小 さ い値 と
度で あ る.
個 葉上 で の気孔 コンダ クタ ンス を測定 す る方法 は
な る.
ポ ロ メ ー タ ー 法 と呼 ば れ る.こ
Fig.
の 方 法 は,葉
ないし
3は 拡 散 型 ポ ロ メ ー タ ー を 用 い て 樹 高 約4m
植 物 全 体 を チ ャ ンバ ー に挟 み 込 ん で 一 定 の 風 速 を 与
の ア ラ カ シ ・シ イ ・タ ブ ノ キ ・ク ス ノ キ の 複 数 葉 を
え,水 蒸 気 量 の 変 化 か ら蒸 散 速 度 を 計 測 し,前 述 の
対 象 に7月
(4)式か ら気 孔 コ ンダ ク タ ン ス を 算 出 す る も の で,比
光 合 成 有 効 光 量 子 束 密 度(PAR),横
較 的 容 易 に個 葉 上 で の 気 孔 コ ン ダ ク タ ンス が 計 測 で
ク タ ン ス を と り,す べ て の観 測 点 を プ ロ ッ ト し て い
き る.こ の 方 法 に よ る 測 定 結 果 は,例
る.こ
の で はRoberts
et al (1990), Turner
え ば最 近 の も
Diurnal
stomatal
and
seasonal
conductance
・12月 と測 定 した 結 果 で,縦
軸に
軸 に気 孔 コ ン ダ
の 観 測 結 果 か ら気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス は 光 条 件
(1991), Bakker
Fig. 3
Fig. 2
・9月
changes
of
of Quercus
glauca, Cinnamomum camphora
and
Pasania edulis
(Observed using LI-6200, Li-Cor. Redrawn
from Y. Kosugi et al 1994a)
Relationships
between
stomatal
conductance
PAR
and
Quercus
of
glauca, Castanopsis cuspidata, Ma
chilus thunbergii
and Cinnamomu
camphora
(Observed using LI-1600, Li-Cor. Redrawn
from Y. Kosugi et al 1994b)
224 解
説 J.
に 大 き く支 配 され て い る こ とが わ か る.また,同
Japan
Soc.
Fig.
5
Hydrol.
&
Water
Resour.
Vol.
8, No.2
(1995)
じ
光 量 子 量 で も冬 よ り夏 の ほ う が 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス
が 大 き くな っ て い る の は,気
温 が 影 響 し て い る と考
え られ る.
次 に,拡
散 型 ポ ロ メ ー タ ー を用 い て 土 壌 の 水 分 条
件 を変 え た ハ ナ ミズ キ の ポ ッ ト苗 を 用 い て 行 っ た 測
定 の結 果 をFig.
4に 示 す.気
孔 コ ンダク タ ンス は土
壌 の乾 燥 した ポ ッ トほ ど小 さ くな り,気 孔 を 閉 じて
過 剰 な 蒸 散 を 防 い で い る こ とが わ か る.気 孔 コ ン ダ
ク タ ンス は 土 壌 の 水 分 条 件 に も大 き く影 響 を 受 け る.
ま た,Fig.
5に 野 外 に お け る ア ラ カ シ お よ び プ ラ
タ ナ ス の 測 定 か ら得 ら れ た 飽 差 と気 孔 コ ン ダ ク タ ン
ス の 関 係 の 一 例 を示 す.飽
差 が 大 き くな りす ぎ る と
気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス が 低 下 す る こ とが わ か る.
こ の よ う に ポ ロ メ ー タ ー 法 に よ る個 葉 上 で の 気 孔
コ ン ダ ク タ ン ス の 測 定 結 果 に よ っ て,気
孔 コ ンダク
vapor
ク ス の 測 定 に は 傾 度 法,ボ
ー エ ン比 法,乱
(渦相 関 法)な どが あ る が,こ
data
tedb from
流変 動 法
of
the
1994/6/22
れ らの 方 法 に よ っ て 実
and
Quercus
stomatal
glauca
and
orientalis
(Only
ラッ
leaf-to-air
deference
of
Platanus
冠 上 の フ ラ ッ ク ス 測 定 か ら群 落 抵 抗 を
算 出 した 観 測 例 もい くつ か 報 告 され て い る.フ
between
pressure
conductance
タ ン ス に 関 す る様 々 な 情 報 が 蓄 積 さ れ つ つ あ る.
一 方 で,樹
Relationships
lished
PAR>500μmol/m2/s
results
using
of
field
LI-1600,
are
plot
observation
Li-Cor.
on
Unpub
data)
測 ま た は算 出 され た 潜 熱 お よ び 顕 熱 フ ラ ッ ク ス か ら,
式(2)また は 式(3)を 用 い て 群 落 抵 抗 を 算 出 す る.こ
の
方 法 で 森 林 に お け る群 落 抵 抗 を 算 定 した 先 駆 的 な例
と し て はStewart
Stewart
(1975),
and
Thom
Mcneil
(1975),服 部 ら(1981)な
(1973), Gash
and
and
Shuttleworth
どが 挙 げ ら れ る.そ
の 後,
Fig.
6
Diurnal
γγc
changes
and
(a) an
ed
alfalfa
s hima
Fig.
4
Diuranl
changes
duetance
of
of
different
soil moisture
Cornus
stomatal
florida
(Observed using LI-1600,
lished data)
con
under
the
conditions
Li-Cor.
Unpub
Shuttleworth
(1993ab),中
resistance,
resistance, γa
field
with
Redrawn
K.
canopy
and
over
(b) a young
plant
woods
(Observed
and
of
aerodynamic
eddy
correlation
from
(a) K.
Kosugi
and
(1994),
(b) Y.
Kosugi
et
unpblished
data
from
A.
method.
Y.
al
Nakamura
Huku
(1994b)
and
Tanaka)
(1985),大
谷 ・山 野 井(1992),中
村ら
島 ら(1994)な ど に よ っ て 乱 流 変 動 法 に
よ る フ ラ ッ ク ス 測 定 結 果 を も とに 算 定 さ れ た 森 林 に
水 文 ・水 資 源 学 会 誌 第8巻2号(1995) 解
説 225
お け る群 落 抵 抗 は いず れ も100s/mか ら300s/m程 度
の値 を とり,朝 方 ひ く く夕 方高 い とい う 日変化 を示
してい る.一 般 に,森 林 と草地 や農 作地 との違 い は
群落 抵抗 と空 気力 学的 抵抗 の配 分 の違 い に大 き く現
れ る. Fig. 6は カ ザ フ ス タ ン共 和 国 の ア ル フ ァル
フ ァ畑 お よび 日本 の幼 齢人口 樹 林帯 で の群落 抵抗 お
よび空気 力学 的抵 抗 の 日変 化 を示 して い るが,農 作
地 は林地 に くらべて群 落抵 抗 が小 さ く,空 気 力学 的
抵抗 が大 きい とい う傾 向 が読 み取 れ る.
Ⅳ. 気 孔 開 閉 の 植 物 生 理 学 的 仕 組 み
また以 上述 べ た よ うな観 測 とは別 に,植 物 生理 学
の分野 で は気孔 開閉 の生理 学 的仕組 みにつ いて の研
究 が進 め られ て きた.こ の分 野 での知 見 を ま とめ て
み る.
気孔 開度 を決 め る孔辺細 胞 の膨 圧 は,今 日で は主
に次 の6つ の要 因 で変化 す る こ とが知 られ て い る.
① 光合 成有 効放 射(PAR)
② 温度
③ 湿度 また は飽 差
Fig.
7
Conceptional
④ 土壌 水 ポ テ ンシャル
mechanism
⑤ 葉 内水 ポ テ ンシャル
closing
⑥ 細胞 間 隙CO2濃 度
(Qp:
PAR,
relative
Fig. 7に 孔辺細 胞 の膨圧 を調 節 す る仕 組 み を概 念
的 に示す.現 在 で は,孔 辺細 胞 の膨圧 増加 つ ま り気
孔 を開 く反応 は主 に光 に ドラ イブ されて起 こ る とさ
of
physiological
stomatal
D:
vapor
opening
pressure
humidity,Ti:
A:
conductance,
Ci: intercellular
れ てい る.孔 辺細胞 には葉 緑体 が存在 し,光 を受 け
water
てATPを
(1992))
ψi: leaf
potential.
and
deficit,
h:
leaf temperature,
transpiration,
tration,
生 成 す る.孔 辺細胞 で は炭 酸同 化 は行 わ れ
figure
of
assimilation,
water
gs: stomatal
CO2
concen
potential,
Redrawn
from
E:
ψs: soil
Y.
Shimada
ないの で,こ の エネル ギ ー はカ リウム イオ ン を孔 辺
細胞 内 に取 り込 むの に使 わ れ る と考 え られ てい る.
て 孔 辺 細 胞 の 膨 圧 が 変 化 し 気 孔 が 閉 じ る.ま
その結果 と して膨 圧が増 加 す る と気 孔が 開 く.
壌 の 乾 燥 は ア ブ シ ジ ン 酸 を媒 介 とす る 直 接 の 信 号 で
しか しな が ら,② か ら⑥ の 要因 が信号 とな って こ
の反 応 を調整 す る こ とが知 られて い る.温 度 は① の
た,土
孔 辺 細 胞 の 膨 圧 低 下 を 引 き 起 こ す と さ れ て い る.(詳
細 はKetellapper
反応 に関 わ る酵素 群 の活性 な どに大 きな影響 を与 え
(1983),
てい る と考 え られ る.ま た,植 物 は過度 の大 気 お よ
(1990),島
Schulze
(1963),
(1986),
田(1992)な
Raschke
Zeiger
(1975),
et al (1987),
Zeiger
Mansfield
ど を 参 照.)
び土壌 の乾燥 に対 して敏感 に反応 す る.飽 差 が増 大
す る と過 度 の蒸散 に よって葉 内水 ポ テ ンシャル が低
下 し,あ るい は土壌水 ポテ ン シャルが低 下 す る と給
V. 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の モ デ リン グ
気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の モ デ リ ン グ は,観
測 結果 お
水 に制 限が かか るた め,蒸 散 によ って葉 内水 ポテ ン
よ び 植 物 生 理 学 的 知 見 を踏 ま えて 様 々 な 方 面 か ら行
シ ャルが低 下 し,こ れ らが信 号 とな って膨圧 低下 が
わ れ て き て い る.モ
お こるた め 気孔 が 閉 鎖 す る.こ れ らの反 応 はfeed
の ど の レ ベ ル で 用 い る の か,ま
back反 応 で あるが,飽 差 の増 大 お よび土壌水 ポテ ン
の拡散 につい ての気 孔 コ ンダ クタ ンスを問題 にす る
シャル の 低 下 が 直 接 信 号 と な って 気 孔 が 閉 じ る
feedforward反 応 も知 られて い る.例 えば,飽 差 の増
大 は表皮細 胞 の膨圧 を変 化 させ,こ れが信 号 となっ
デ ル を 気 孔,個
たH20,
葉,群
の か に よ っ て モ デ リ ン グ の 手 法 は 異 な る.分
法 も色 々 考 え ら れ る が,以
① 概 念 モ デ ル
下 で は,
落,広
CO2の
域
どち ら
類 の方
226 解
説
J. Japan
Soc . Hydrol.
&
Water
② 光 合 成 サ ブ モ デ ル
この 種 の モ デ ル は,葉
③ 時 間 関 数 モ デ ル
二 酸 化 炭 素 濃 度,光
④ 環 境 変 数 モ デ ル
Vol.8,
No.2
(1995)
内 水 ポ テ ン シ ャル や細 胞 間 隙
合 成 速 度 とい っ た 植 物 の 要 因 を
入 力変 数 として気孔 コ ンダク タ ンスを経験 的 な関数
とい う分 類 を試 み た.①
を 扱 っ て い る.②
Resour.
は概念 的 な気 孔 また は個葉
は個 葉 上 で の 光 合 成 モ デ ル と リ ン
ク し た 形 で 用 い られ る.③
は群 落 や 地 域 とい っ た 大
きな 領 域 で の 予 測 に 用 い られ る.④
で 表 現 す る も の が 多 く,出 力 さ れ る気 孔 コ ン ダ ク タ
ン ス はCO2拡
散 に つ い て の コ ン ダ ク タ ンス で あ る.
一 例 と し て, Takakura
et al (1975)で
は気 孔 抵
は個 葉 で も群 落
抗 を 細 胞 間 隙CO2濃
度Ciの 関 数 と し て 表 し た. Fi
で も用 い ら れ る.2つ の 性 質 を併 せ 持 つ モ デ ル もあ る
sher et al (1981)は
葉 内水 ポ テ ンシャル の関数 とし
が,以
下 に代 表 的 と思 わ れ る もの を紹 介 す る.
て 気 孔 コ ン ダ ク タ ンス を 表 現 し て い る.最 近 で は,
J.T.
Ball and J.A.
Berryら が 光 合 成 速 度 と気 孔 コ
ン ダ ク タ ン ス の 直 線 関 係 に湿 度 お よ び 大 気CO2濃
度
概 念 モ デ ル は,式(2)(4)の よ うな 群 落 抵 抗 や 気 孔 コ
の影 響 を 加 味 した モ デ ル を提 示 して い る(Collatz
et
ン ダ ク タ ン ス の 概 念 を 用 い ず に,蒸
al, 1991).
1. 概 念 モ デ ル
散 を円 筒 や 散 在
す る 水 面 群 か ら の 蒸 発 に近 似 し て,蒸
散 にかか る全
抵 抗 も し くは コ ン ダ ク タ ン ス を 蒸 発 面 の 形 状(気
の直 径,開 口幅 や 密 度)か
も の で,厳
孔
ら解 析 的 に 求 め よ う と す る
密 には気孔 コンダ クタ ンス のモ デル で は
な い.
H.
3. 時 間 関 数 モ デ ル
時 間 関 数 モ デ ル は 時 間 を主 な 入 力 変 数 と して,群
落 抵 抗 の 日変 化 あ る い は季 節 変 化 を 推 定 す る モ デル
で あ る.そ
Brown
and
F.
Escombe
(1900)を
は じめ と
の関数 型 は樹冠 上 での潜 熱 フ ラ ックスの
観 測 か ら算 出 さ れ た 群 落:抵抗 を も と に経 験 的 に 導 か
す る 古 典 拡 散 抵 抗 理 論 に よ る 拡 散 抵 抗 モ デ ル で は,
れ た も の で,群
気 孔 を直 径d,長
推 定 す る 目 的 で 使 わ れ る こ と が 多 い.
さ1の 円 筒 と考 え,こ の 筒 か らの 拡 散
落 上 で の 潜 熱 フ ラ ッ ク ス を長 期 的 に
を抵 抗 の ア ナ ロ ジ ー を 用 い て 数 式 化 し て い る.
例 え ば, Stewart
ま た,近
Gash
藤(1982)は
葉 面 を 部 分 的 に孔 の あ る面 と
考 え,こ
の 面 か ら の 蒸 発 を 層 流 低 層 内 の 現 象 と して
扱 い,気
孔 の 長 さ,開
口 幅,風
速,葉
長 な どか ら蒸
(1988), Dolman
et al (1989),な
et al (1991),
ど一 連 の研 究 で は,群 落 コ ン
ダ ク タ ン ス の 日変 化 を 観 測 に基 づ い て 時 間 の 関 数 と
し て 表 現 し,イ ギ リス のThetford
Forest,ア
散 コ ン ダ ク タ ン ス を算 出 す る 物 理 式 を提 示 し て い る.
熱 帯 雨 林,フ ラ ン ス のLes Landes
Forestな
こ の 式 で は,蒸 散 に 関 す る 全 コ ン ダ ク タ ン ス(式(3)で
て そ れ ぞ れ 関 係 式 を 提 示 し て い る.例
はra+rcに あ た る)は,風 速 の1/2乗,気
Landes
孔 開 度 の2/3乗
に比 例 す る こ とが 示 さ れ て い る.
Forestで
え ばLes
は 日 中 の 群 落 コ ン ダ ク タ ン ス を次
式 で 表 し て い る.
気 孔 開 口 幅 の 変 化 は各 種 環 境 お よ び 植 物 要 因 に
よ っ て 制 御 さ れ て い る が,そ
マ ゾン
どにつ い
の複 雑 な生化 学 的反応
(10)
tは 時 刻 を 表 して お り,0<t<24で
あ る.
を 正 確 に数 式 化 す る こ と は現 在 で は不 可 能 に近 い と
さ ら に,モ
考 え ら れ る.近
環 境 要 因 を 入 力 変 数 とす る こ とが 行 わ れ て い る.
藤(1982)を
も と に し た 神 田 ・日野
(1990)モ デ ル で も,気 孔 開 口 幅 を 日射,葉
水 分 の 関 数 と して 後 述 のJarvis(1976)型
温,葉
内
の経験 式 で
表 し て い る.
Stewart
デ ル の 精 度 を 高 め るた め 時 間 に加 えて
(1988)は
る. Shuttleworth
一 方 観 測 結 果 か ら経 験 的 に 気 孔 コ ンダ ク タ ンス を
測 に基 づ き,群
関 数 表 現 し た モ デ ル が 各 種 提 示 さ れ て き た が,以
関 数 で,年
下
モ デ ル に 年 変 化 を与 え る た め,
葉 面 積 指 数 の 季 節 変 化 を 関 数 と して 掛 け合 わ せ て い
(1988)は ア マ ゾ ン熱 帯 雨 林 で の観
落 コ ン ダ ク タ ン ス の 日 変 化 を時 間 の
変 化 を土 壌 水 ポ テ ン シ ャ ル の 関 数 で 表 現
に 扱 うモ デ ル は す べ て この 経 験 式 モ デ ル の 系 統 に属
し,掛
して い る.
Rampisela
et al (1990),鈴
の 日変 化,年
変 化 を 時 間 の 関 数 で 表 し,こ
2. 光 合 成 サ ブ モ デ ル
光 合 成 サ ブ モ デ ル は,光
け合 わ せ て い る.
木(1991)は
群 落抵抗
れ に飽 差
の影 響 を 考 慮 した モ デ ル を提 示 し,潜 熱 フ ラ ッ ク ス
合成 速度 推 定 モデル の一
の経 時 変 化 を算 出 して 樹 液 流 速 度 お よ び 短 期 水 収 支
部 と して 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス を 推 定 す る モ デ ル で,
法 で 求 め た 流 域 蒸 散 量 と比 較 し て い る.
光 合 成 研 究 の 一 環 と して 考 案 され た モ デ ル で あ る.
これ ら の推 定 式 は 植 物 に よ る気 孔 開 閉 の 現 象 を十
水 文 ・水 資 源 学 会 誌 第8巻2号(1995) 分 に 説 明 す る も の で は な い が,流
推 定 に は 十 分 な精 度 を 持 ち,か
域 単位 で の蒸散 量
つ 簡 便 な 点 に利 点 が
あ る.
et al (1985)は
and Carlson
Rambal
環 境 変 数 モ デ ル は 日射,温
ン シ ャ ル,大
気CO2濃
度,飽
差,土
壌 水 ポテ
度 とい っ た 環 境 変 数 を入 力 し,
説 227
日射 ・葉 温 ・飽 差 ・大 気CO2濃
度 ・土
壌 水 分, Stewart
水 分, Dolman
4. 環 境 変 数 モ デ ル
解
(1988)は
and Burg
(1990)は
日射 ・
葉 内 水 分, Winkel
(1990)はPAR・
林(1993)はPAR・
日射 ・気 温 ・飽 差 ・土 壌
(1988)は 日射 ・
飽 差, Lynn
and
飽 差 ・気 温 ・葉 内 水 分,小
飽 差,小
気 温 な ど の 関 数 と し て,そ
杉 ら(1994b)はPAR・
れ ぞれ気孔 コ ンダク タン
ス を モ デ ル 化 し,最 適 パ ラ メ ー タ を 算 出 し て 観 測
気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス を出 力 す るモ デ ル で あ る.
こ の 種 の モ デ ル で は 先 駆 的 な 研 究 で あ るSzeicz
デ ー タ と の適 合 を 調 べ て い る.
et al (1973)は,個
個 葉 上 で の 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス に 葉 面 積 指 数
葉 上 で の観 測 結 果 を も と に気 孔
コ ン ダ ク タ ン ス を 日射 お よ び 土 壌 水 ポ テ ン シ ャ ル の
関 数 と し て 表 現 て い る.
Jarvis
(1976)が 提 示 した モ デ ル は,気
タ ン ス(gs)を 日 射,温
ル,大
気CO2濃
度,飽
差,葉
孔 コンダ ク
内水 ポテ ンシ ャ
度 の そ れ ぞ れ 独 立 した 関 数 と し て 経
験 式 で 表 現 し掛 け合 わ せ た もの で,現
在 最 も広 く使
わ れ て い る モ デ ル の 原 型 と な っ て い る.そ
れ ぞれ の
(LAI)を
(1985), Dol
man
and Carlson
et al(1988), Stewart(1988),
(1990), Dolman
et al
(1991)な
Lynn
どは 群 落 全 体 を一
枚 の 葉 と み な すbig leafモ デ ル の 考 え 方 に 基 づ い て,
Lindroth
and Halldin
(1986)やRochette
(1991)な
ど は 群 落 を数 層 に 分 け た 積 分 モ デ ル で,そ
LAIを
関 数 型 を以 下 に 示 す.
乗 じ て群 落 全 体 で の コ ンダ ク タ ン ス を推
定 す る こ と も行 わ れ て い る. Lindroth
れぞれ
導 入 して 群 落 コ ン ダ ク タ ン ス の 推 定 を試 み て
い る. Sellers (1985)お
よ びSellers et al
(1986)は
(11)
葉 の 角 度 を 考 慮 し た モ デ ル を 提 示 し て い る. Ro
(12)
chette (1991)は 各 種 ス ケ ー ル ア ッ プ の 方 法 に つ い て
結 果 を 比 較 し て い る.
(14)
(15)
VI. 今 後 の 課 題
気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の計 測 お よ び モ デ リ ング の 経
緯 を概 説 した が,最
(16)
後 に 今 後 の 課 題 を整 理 して み る.
ま ず 最 初 に,植 物 生 理 学 的 な 研 究 が さ ら に 進 展 し,
か つ これ を基 礎 と した モ デ リ ン グ が 行 わ れ る こ とが
こ こで,Qp:日
射, T:温
水 ポ テ ン シ ャ ル, Ca:大
界 温 度, Tl:最
度, se:飽
気CO2濃
低 限 界 温 度, To:最
差, ψl:葉 内
度 で, Th:最
高限
適 温 度, ψm:気
望 ま れ る.気 孔 開 閉 の メ カ ニ ズ ム は 未 知 の 部 分 が 多
く残 され て い る.
ま た,個
葉 単 位 お よ び 樹 冠 全 体 で の 計 測,お
よび
孔 が 完 全 に閉 じ る葉 内 水 ポ テ ン シ ャル, b1∼b8お
よ
モ デ リン グ を どの よ う に リ ン ク さ せ て い くか は非 常
びqは 決 定 さ れ るべ きパ ラ メ ー タ で あ る. gs(T),
gs
に 重 要 な 問 題 点 で あ る. Grantz
(se), gs (ψl), gs (Ca)は0か
(1990), Baldocchi
ら1の 値 を と る.
観 測 デ ー タ の 蓄 積 と と も に,そ の 後 の 研 究 は一 つ
に はLindroth
(1985), Farquhar
(1978)な
ど飽 差 と
Jarvis
(1991), Rochette
et al (1991)な
また,植
適 合 す る形 に 改 良 す る 方 向 に進 ん だ. Massman
の 連 動 を 解 明 す る こ とは,大
Kaufmann
(1991)は そ れ ぞ れ の 式 に よ る適 合 結 果 を
and
ど は,こ の
物 体 内 の 水 移 動 と気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス と
気― 植 物 ― 土 壌 系 モ デ
ル を 考 え る上 で 重 要 で あ る が,課
比 較 し て い る.
る.
また,観
最 後 に,光
測 に 基 づ き,デ ー タ の 範 囲 内 で 気 孔 コ ン
Meinzer
際 の 問 題 点 に つ い て 論 じて い る.
気 孔 コ ン ダ ク タ ンス との 関 係 式(14)をよ り観 測 結 果 に
and
and
et al (1991), Mcnaughton
題 を 多 く残 し て い
合 成 と の連 動 を ど う説 明 す るか とい う
ダ ク タ ン ス を再 現 す る の に よ り重 要 な 環 境 要 因 の み
問 題 が あ る.植 物 は 最 小 の 水 利 用 で,か
を と りあ げ,関
度 に保 ち つ つ,最 適 の 光 合 成 速 度 を得 る よ う に 気 孔
数 型 を提 示 し,最 適 パ ラ メ ー タ を 算
出 す る 一 連 の 研 究 が 行 わ れ て きた.例
Choudhury
(1985)は
え ばIdso and
日射 ・
飽 差 ・葉 内水 分, Avissar
つ 葉 温 を適
開 閉 に よ る制 御 を行 う と さ れ て い る.蒸 散 と光 合 成
が ど の様 に,ま
た ど の 程 度 連 動 す る の か と い う観 点
228 解
説 J.
Japan
か ら気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス を 解 析 す る こ とが 望 ま れ る.
光 合 成 活 動 は,気
孔 の 開 き具 合 だ け で は な く葉 の光
合 成 活 性 た も影 響 を う け る の で,同
現 象 で あ る に もか か わ らず,蒸
を示 す が, Farquhar
and King
じ気 孔 を 介 し た
散 活 動 と異 な る挙 動
and Sharkey
(1989), Whitfield
(1982), Fuentes
(1990),小
杉 ら(1994a)
な どで この 問 題 を と り あ げ て い る.
な お,本
稿 は1993年10月29日
4回IGBP/GAIM研
に仙 台で行 わ れ た第
究 会 にお ける発 表 の一 部 を ま
Soc.
Hydrol.
&
Water
laminar boundary
Resour.
Vol.
8, No.
2
(1995)
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For. Meteorol., 43, pp. 99-108
Dolman,
A.J.,
J.B.
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稿 の執筆 お よびデ ータ
pp. 339-353
Do man, A.J., J.H. Gash, J. Roberts and W.J.
の 収 集 に あ た っ て は筑 波 大 学 生 物 化 学 系 及 川 武 久 教
Shuttleworth (1991): Stomatal and surface con
授,東
ductance
と め た もの で あ る.発
表,本
京 大 学 農 学 部 鈴 木 雅 一 助 教 授,名
気 水 圏 科 学 研 究 所 福嶌 義 宏 教 授,京
橋 澄 治 教 授,大
手 信 人 助 手,小
古屋大 学大
都 大学 農学 部小
杉 賢 一 朗 助 手,院
生
of tropical rainforest, Agric.
Farquhar,
G.D.
(1978): Feedforward
の田 中克典 君 お よび大 阪府立 大学 農学 部 中村彰 宏助
of stomata
手 か ら援 助 お よび 有 益 な 助 言 を賜 り ま し た.こ
Physiol., 5, pp. 787-800
こに
Farquhar,
深 く感 謝 の 意 を 表 し ま す.
Ann.
Avissar, R., P. Avissar, Y. Mahrer
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and B.A.
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Sharkey
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D.A.C.
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Edwards
and M.M.
Lud
analysis of the effects of
short-term
soil water
deficits on
to carbon
dioxide and
stomatal conductance
leaf photosynthesis by the legume Macroptilium
atropurpureum
cv. Siratro, Aust.
J. Plant
Phisiol., 8, pp. 347-357
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and
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Static
average
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derived
from
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Escombe(1900):
T.D.
conductance
repeated
Gash,
H.T.
and
responses
Aust.
Rev. Plant Phisiol., 33, pp. 317-345
Fisher, M.J.,
low
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G.D.
Fuentes,
Baldocchi,
to
Stomatal
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For.
Meteorol., 54, pp. 303-318
and
Roy.
S. von and G.D.
translocation in
Soc.
B 193, pp.
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photosynthesis and the gas exchange
Planta, 153, pp. 376-387
Collatz, G.J.,
J.T.
Gash, J.H.C.,
J. -C. Andre,
Farquhar
of leaves,
ratio measurements,
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Shuttleworth, C.R. Lloyd,
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porometric
and
mi
Plant, Cell
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ネ ルギ ー
収 支 に よ る ヒ ノ キ 林 の 蒸 発 散 量 の 推 定,日
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of
the
interpretation
in leaf water
conductance
Phil.
The
found
Trans.
potential
in
R.
and
canopies
Soc.
in
Lond.
stomatal
the
B.,
41,
pp.
593-610
pp.
a
in
ル(NEO
SPAM)に
気 ― 植 生― 土 壌 系 モ デ
よ る 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン(1)
植 生 効 果 の モ デ リ ン グ,水
・水 学 会 誌,
3,
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法,共
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京 堂 出 版,
219pp
農 場(ア
ル フ ァ ル フ ァ畑)に
定,水
・水 学 会 誌,
7,
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燥 地 の 大 規 模 灌漑
お け る蒸 発 散 量 の推
420-429
Meteorol.,
い て,日
種 常緑広
・蒸 散 速 度 の 日 変 化 と 季 節 変 化 に つ
本 緑 化 工 学 会 誌,
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D.D.
and
W.J.
Shuttleworth
measurements
over
a
pine
9, pp.
J.L.
forest,
(1975)
the
Lindroth,
A
erous
(1985):
forests
Res.,
21,
Lindroth,
pp.
A
analysis
conductance
to climate,
Water
60-61
Boundary-layer
Principles
Edward
of environmen
Arnord
Press
(London),
異 な る 土 壌 水 分 条 件 下 で の 森 林 の 顕 熱,潜
要 旨 集,
pp.
・水 学 会1993年
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S.
Halldin
forest
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stomatal
external
Meteorol.,
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resistance
control
52,
model
(1990):
Numerical
surface
38,
Carlson
illustrating
of transpiration,
pp.
5-43
65,
pp
125-137
研 究 発 表 会 要 旨 集,
D.A.,
pp.
tion
rate
pp.
1-10
Plant
A
plant
vs.
pp.
・
68-69
流 変動 法 を用 い た
For.
and
of
Penman-Monteith
of a forested
K
(1975):
J.,
the
pp.
林 誌,
Cabral
in
Amazonian
J. Applied
P.,
E.
evapotranspira
林 誌,
action,
Ann.
72,
Rev.
and L.F.
de Aguiar
boundary-layer
terra
Ecology,
Pattey,
Hukushima
309-340
and
an
Y.
watershed,日
Stomatal
26,
O.M.R.
of the
Stomatal
ductances
Rochette,
Suzuki
estimation
Phisiol.,
(1990):
forest,
M.
Application
to the
Raschke,
(1990):
Agric.
央 ア ジ
221-228
Rampisela,
model
and
Meteorol.
水 学 会1994年
Roberts,
B.H.
様 な地 被
ア 乾 燥 地 に お け る 自 然 植 生 の 群 落 抵 抗 測 定,水
Resour.
59-79
Lynn,
熱, CO2
研 究 発表 会
形 態 上 で の エ ネ ル ギ ー 収 支 と 空 気 力 学 的 特 性,京
of conif
297-304
of pine
resistance,
Canopy
related
energy
ヒ ノ キ 林 の エ ネ ル ギ ー 収 支 と 蒸 発 散 特 性,日
幼 齢 人口 樹 林 帯 に お け る 気 孔 コ ン ダ ク タ ン ス の 推
研 究 発 表 会 要 旨 集, pp.
pp.
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Physics,
of
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小 杉 緑 子 ・中 村 彰 宏 ・田 中 克 典 ・小 橋 澄 治(1994b):
・水 学 会1994年
of
54,
中 島 北 夫 ・小 杉 賢 一 朗 ・福 鳥 義 宏(1994):中
小 杉 緑 子 ・小 橋 澄 治 ・柴 田 昌 三(1994a):数
葉 樹 の光 合 成
(1991)
control
中 村 彰 宏 ・福嶌 義 宏 ・小 橋 澄 治(1993b):多
小 杉 賢 一 朗 ・福嶌 義 宏(1994):乾
For.
Jarvis
stomatal
For.
フ ラ ッ ク ス の 特 性,水
79-87
気 境 界 層 の 化 学,東
subalpine
Agric.
中 村 彰 宏 ・田 中 克 典 ・小 橋 澄 治 ・福 嶌 義 宏(1993a):
葉 面 コンダ クタ ンス
75,
for
241pp
小 林 達 明 ・小 橋 澄 治 ・増 田 拓 朗 ・吉 川 賢(1993):ハ
ン リ ュ ウ(Salix
and
scale
Agric.
Meteorol.,
tal
249-270
models
279-301
Mcneil,
Monteith,
512pp.
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environmental
155-167
of spatial
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of
Plant
Kaufmann
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Effects
Rev.
certain
of
Rocky
Comparative
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M.R.
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C.J.
aspects
55-75
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trees
and
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定,水
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of field
65-82
加 藤栄
Mansfield,
説 229
27,
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rain
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Desjardins,
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230 解
説 M.
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B
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Modeling
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Agricul.
stomatal
Zeiger,
Thom
Bavel
J.
A
carbon
from
Soc.
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T.,
ductance
Proc.
van
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12,
Takakura,
Whitfeild,
505-531
の 統 合 的 理 解
Evaporation
Vol.
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production
Meteorol.,
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Stewart,
17,
W.J.
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合 成
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Shuttleworth,
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9-22
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Y.C.
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Meteorol.,
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photo
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島 田 緑 子(1992):光
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