<13>iSeries Site 販売管理 C/S版、WebRevolution 販売管理

<13>iSeries Site 販売管理 C/S版、WebRevolution 販売管理
今回は、iSeries Site ファミリーの中で、販売管理のソリューション・テンプレートであ
る、「iSeries Site 販売管理 C/S版」と「WebRevolution 販売管理」について説明します。
第8回で「iSeries Site 販売管理」をご説明させていただきましたが、今回ご説明します
「iSeries Site 販売管理 C/S版」は、
名前の通り「iSeries Site 販売管理」を Client Server(C/S)
型のソリューションに再構築したもの、「WebRevolution 販売管理」は Web 型のソリューシ
ョンに再構築したものと言えます。
(実際には、
「iSeries Site 販売管理(プレミア)生産
財」の機能を継承して再構築しています。「iSeries Site 販売管理(プレミア)生産財」とは
簡単には、特に生産財を主要な取り扱い商品としている卸売業の販売物流業務に必要な機
能を汎用化したソリューションでした。かつては消費財卸売業向けの「iSeries Site 販売管理
(プレミア)消費財」と2種類のソリューションがあったのですが、現在はそれぞれの機
能を統合して、iSeries Site 販売管理(プレミア)というソリューションに一本化されて
います。「iSeries Site 販売管理 C/S版」は、
「iSeries Site 販売管理(プレミア)生
産財」の機能を継承しました。)
「iSeries Site 販売管理(プレミア)」は、JWalk というツールを使用し、CUI 画面を基
にして GUI 画面を生成しているのですが、CUI 画面における設計上の影響を受けてしまう
弱点がありました。CUI 画面は縦 24 行、横 80 桁の範囲内でしか設計できないことがその
例になります。しかし、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」の画面は Microsoft 社の VB.NET
にて、「WebRevolution 販売管理」の画面は Java にてそれぞれ構築されていますので、CUI
画面の影響を受けることなく自由な設計が可能です。しかし、画面は Visual な美しいもの
になったとして、肝心要の機能の方はどうでしょうか。
「iSeries Site 販売管理 C/S版」と
「WebRevolution 販売管理」は、「iSeries Site 販売管理(プレミア)生産財」の豊富な機能
をそのまま引き継いでいます。では、これらの豊富な機能も VB.NET や Java で実現した
のでしょうか。「iSeries Site 販売管理(プレミア)生産財」では、画面制御やビジネス・ロ
ジック、DB アクセスなどは RPG/400 で書かれています。実は「iSeries Site 販売管理 C/
S版」と「WebRevolution 販売管理」もビジネス・ロジック、DB アクセスなどは ILE RPG
で書かれています。(画面制御部分は前述した VB.NET や Java で記述しています。
)画面
は VB.NET や Java、ロジックは RPG、なぜこのようなことが可能なのでしょうか。そこ
には、
「C/S Bridge」というソリューションが深くかかわっています。
「C/S Bridge」とは、
DB は IBM i に構築、ビジネス・ロジックや DB アクセスは ILE RPG または ILE COBOL
にてやはり IBM i に構築し、VB や Java で作成した画面プログラムと RPG/COBOL の間
を Socket 通信にてやりとりすることにより、高速な C/S 型システム、Web 型システム構築
を支援するためのミドルウェアです。(図1参照)
(図1)
クライアント
サーバー
クライアント・モジュール
サーバー・モジュール
C/S Bridge(C/S版)
(ミドルウェア)
データ入力
結果表示
送信用
パラ
メータ
受信用
パラ
メータ
ユーザーインターフェース
Borland 社 Delphi
または
Microsoft 社 VB.net
受信
用
PGM
送受信
用PGM
受信用
パラ
メータ
電文
送信
用
PGM
送信用
パラ
メータ
Socket
通信
基幹システム
販売管理
生産管理
経理
給与
人事
ビジネスロジック
IBM i の性能を
LOG
収集
管理ツール
LOG
収集
最大限に引出す
ILE RPG/ILE COBOL
にて構築
長くなりましたが、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」と「WebRevolution 販売管理」に
ついて簡単にご説明しなおしますと、「iSeries Site 販売管理(プレミア)生産財」の、①機
能および DB を変更することなく、②画面のみ VB.NET や Java で再構築し、③ビジネス・
ロジックは RPG の画面制御部分を除き、バッチ型に変換した ILE RPG で記述し、④C/S
Bridge を使用して高速な C/S 型、Web 型のシステムに再構築したサービス、と言うことが
できます。
(図2)
それでは、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」の特徴からご説明いたします。前ページの
図2をご覧下さい。
これが、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」のメインメニューです。ボタンにより機能を
選択したり、タブにより他のメニューに推移することができるようになっています。メニ
ュー画面における「iSeries Site 販売管理(プレミア)」との最大の相違点は、メニュー機
能の DB 化にあります。
「iSeries Site 販売管理(プレミア)
」では、メニューの構成や配
置変更、機能の追加を行なうには、CL プログラムの修正が必要でした。それに対して
「iSeries Site 販売管理 C/S版」では、メニュー・ファイルに機能名・呼び出すプログ
ラム ID などを登録することにより、自動的にメニュー変更ができるようになっています。
また、図3をご覧下さい。
(図3)
これは、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」の受注入力画面です。ここでは「iSeries Site
販売管理(プレミア)」では実現が難しかった、縦 24 行、横 80 桁の画面の制限が解消され
ていることがわかります。すなわち、
「iSeries Site 販売管理(プレミア)」では、POPUP
WINDOW で表示されていました HEADER 詳細画面はタブによる切り替え、また、明細
POP 画面は、右スクロールにそれぞれ変更されていることがわかります。さらに、ROLL
UP/DOWN キーによる行明細のページ送りは、縦スクロールバーが使えるように変更され
ました。
また、この画面だけではわかりにくいのですが、キーボードの TAB キーを押すことに
より、該当するコードの名称を画面に表示する機能が追加されています。受注入力画面で
説明しますと、例えば得意先コードを入力した後、TAB キーでフォーカスを得意先コード
から移動すると、自動的に得意先名を表示します。それだけでなく、HEADER 画面に初期
値である、出荷先コードや倉庫コード・担当者コードとそれぞれの名称も表示します。商
品コード入力時も同様に、名称を表示しますし、数量を打鍵して TAB キーで移動すると、
今度は金額を計算して表示します。
「iSeries Site 販売管理 C/S版」ではこれらの機能を実
現するためには、クライアント側のこれらのイベントごとに RPG を起動して DB へアクセ
スしたり、ロジックを実行する必要があるのですが、これを高速処理させることができる
のは、「C/S Bridge」ならでは、と言えるでしょう。
他の特徴としては、C/S 型アプリケーションでありながら、極力キーボード操作を重視
していることがあげられます。図3では、各コードの右隣にある虫眼鏡ボタン(コード検
索ボタン)や、ヘッダー確定・明細確定などの確定ボタン、画面下段にはファンクション
キーに対応するボタンが配置されています。マウスにてこれらのボタンを押せば、もちろ
ん該当する機能が実行されるのですが、キーボードによる操作でも同様の機能が実行され
るようになっています。虫眼鏡ボタン(コード検索ボタン)に該当するキーはF4キーで
す。検索したいコードにカーソルを置きF4キーを押せばコード検索画面が表示されます。
ファンクションキーに対応するボタンは、当然キーボード上のファンクションキーに対応
しています。ヘッダー確定・明細確定ボタンに対応するキーは Enter キーです。データ更
新を行なうための更新(F9)ボタンは、Enter キーにも割り当てています。F4キーによ
るコード検索、Enter キーによるヘッダーおよび明細の確定、明細画面における2回目の
Enter キーによるデータ更新。これらはまさに「iSeries Site 販売管理(プレミア)
」におけ
るオペレーションです。基幹業務である販売管理のオペレーション効率を考慮しているこ
とも「iSeries Site 販売管理 C/S版」の特徴であると言えます。
「iSeries Site 販売管理 C/S版」の最後の特徴としては、EXCEL 帳票のサポート
があげられます。「iSeries Site 販売管理 C/S版」は、「iSeries Site 販売管理(プレ
ミア)」の機能をそのまま引き継いだ関係で、帳票系については RPG からスプールファイ
ルを出力する形態を踏襲しています。そのため、帳票出力に関しては 5250 セッションが必
要となります。しかし、C/S 型アプリケーションに変身したことにより、画面の 5250 セッ
ションを不要とした訳ですから、なんとか帳票出力に関する 5250 セッションもなくせない
かという観点から、一部帳票については、CSV 形式でデータを出力し、EXCEL にて帳票
を表示するテンプレートを用意しています。EXCEL 帳票については、受注残管理表や売掛
元帳をはじめとする9帳票に対応しています。その他にも EXCEL 化が必要な帳票につい
ては、これらの機能を参考にしてカストマイズにてご対応いただくようにしております。
(図4参照)
(図4)
次に、
「WebRevolution 販売管理」の特徴をご説明いたします。次ページの図5をご覧
下さい。
左側の画面が「WebRevolution 販売管理」のメインメニューです。Web 型のアプリケ
ーションですので、ブラウザーにてオペレーションする運用になります。タブによるメニ
ューの切り替えやメニュー機能の DB 化という観点では、「iSeries Site 販売管理 C/S版」
と同様です。しかし、
「WebRevolution 販売管理」の大きな特徴は、従来の Web アプリケー
ション開発では非常に困難であった、Web ブラウザー・インターフェースでのリッチクラ
イント化を実現していることにあります。図5の右側の入力画面をご覧下さい。画面下段
にファンクションキーのボタンが配置されていますが、これらはキーボード上のファンク
ションキーを押すことによっても同じ機能が実行されるようになっています。また画面右
側に表示されているカレンダー機能を実現することも容易です。
「iSeries Site 販売管理 C/
S版」と比較すると、マウスによるオペレーションが多くなっていることは事実ですが、
それでも、なるべく容易な入力オペレーションが実現できるように設計されています。
(図5)
さらに、「WebRevolution 販売管理」における「iSeries Site 販売管理 C/S版」に
はない最大の特徴は、帳票の PDF 化を実現したことにあります。図6をご覧下さい。
(図6)
・APWに対応し、罫線の出力も可能
・クライアントで利用可能な汎用プリンターで帳票出力可能
②
Web
Revolution
PDF変換
プログラム
③スプール
帳票出力PGM
呼び出し
①
帳票出力
ボタンの押下
帳票出力PGM
ファイル作成
④
スプール
ファイル
スプールデータ取得
⑤
Webブラウザー
Webアプリケーションサーバー
ブラウザーに
表示
PDFでの出力イメージ
5250での出力イメージ
iSeries
「WebRevolution 販売管理」では、ユーザーが帳票作成機能を選択して実行すると、該
当する RPG が起動され、サーバー上にスプールファイルが作成されます。(ここまでは、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」と同じです。)その後、このスプールファイルが自動的に
PDF ファイルに変換され、帳票作成を要求したブラウザーに帳票の出力イメージが表示さ
れます。この機能により帳票を紙に印刷する前にプレビューを表示したり、帳票を PC に保
存 し た り す る こ と が で き る よ う に な り ま す 。 ス プ ー ル フ ァ イ ル の PDF 化 機 能 は
「WebRevolution 販売管理」の一部の専用帳票や更新エラーリストを除くほぼ全ての帳票
に適用されています。なお、「WebRevolution 販売管理」のリッチクライント化やスプール
ファイルの PDF 化機能は、
「C/S Bridge」の「WebRevolution Framework for Java」の機
能を使用して実現しています。また、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」も「WebRevolution 販
売管理」も IBM i 側の RPG は全く同じものを使用しています。これも「C/S Bridge」を使
用しているからこその大きな特徴と言えるでしょう。
以上、
「iSeries Site 販売管理 C/S版」と「WebRevolution 販売管理」についてご説明しま
した。