トールフェスク ・ シロクローバー混播草地 に対する焼酎

愛 媛 大学 農 学 部農 場 報 告
(BuH Exp Farm Col Agr,Ehime Univ)15:23-25(1994)
トー ル フ ェスク ・シ ロク ローバ ー混播草 地
に対 す る焼酎粕廃液 の施用効果
堀
内
服 部
悦
育
・
夫 ・負患 井 清 雄 福 見 良 平
一
郎 ・大 久 保 直 樹
男 ・井 日 幸
目
的
酒造業界 では、焼酎醸造時 に排出 される焼酎粕廃液 ( 以下廃液) の 処 分 が大 きな問題 とな ってい
る。廃液 の投案 は河川 の汚染や環境 の悪化 を招来するが、 これを草地 に施用すれ ば肥効 が期待 で き
る。そ こで廃液 の施用量 と施用時期 が草地 の生産力に及ぼす影響 について検討 した。
試験 方 法
に
試験地 は愛媛 大学附属農場 の八竹山草地 (標高約50m草 地造成後 18年経過)を 供試 した。造成時
ー
ー ー
トールフェスク、 オ ーチ ャー ドグラス、 シ ロクロ バ の 3種 を混播 したが、現在 は ト ル フ ェス
ク、 ラジノ クローバ ーの草地 とな り、秋 にイタ リア ンライグラスを追播 したので早春か ら3∼ 5月 の
バ
の
期間はイタ リア ンライグラスが優 占 し、他 に野草 のチカラシ が混生 してい る。試験区 構成 (廃液
の施用量、施用時期)を 第 1表 に示 した。廃液は桜 うず まき酒造株式会社 か ら提供を うけ、分析 の結
果、 N O.7%、 P205 0・ 2%、 K20 0・ 1%を 含有 し、pHは 3.9で酸性 を示 した。
第 1表 試 験 区 の構成
試験 区
施
肥
施
量
15)
巴化
成
月
百
1岳
品堪ラ
B
用
時
施
分
19::雷
猪
昆
[1:見
本
C
廃
液 2t/10a
5月19日
D
廃
液 2t/10a
6 月2 1 日
E
廃
液 4t/10a
F
廃
期
施
5 月1 9 日1 / 2 分
/
2
分
施
8 月1 9 日1
施
5 月1 9 日1 / 3 分
/
3
分
施
6 月2 1 日1
施
1 0 月2 2 日1 / 3 分
液 6t/10a
混ぜ よ く攪拌 して施用 した。
備 考 …廃液 l t に 対 して炭 カル 5 k g を
‐
(3m× 4m)と
試験 法 は 1 プ ロ ッ トの面積 を1 2 1i■
は例年 にな い 長雨、低温 が続 き天候不順 で あ った。
-23-
し3 区 制乱塊法 で実 施 した。試験期間中 の気象
試験 結 果
生草収 量 及 び 乾物 収量 を 第 2 表 に示 した。
試験 区
第 2表 試 験期間中の生草収量及び乾物収量 (kg/10a)
刈取期 (月/日 )
12///15
10///22
8/19
6///21
M
730
189
201
147
986
911
205
1,819
241
1,243
253
1,753
231
961
870
2,025
1,047
0 4 2 5 4 5
3 8 6 5 5 2
2
2
2
2
1,589
891
170
187
181
275
209
1,265
1,864
1,169
235
257
220
1,275
2,150
1,168
254
290
212
計
3,356a
572a
4,004b
677b
4,207bC
729b
4,145bC
713b
4,520C
782bC
4,742C
812C
一
備 考 … 上段 一生草収量、下段 乾物収量、
第 2 表 の結果 か ら廃液 の施用量 が増加す るにつ れ て、生草収量、乾物収量 ともに増大 したが 、増収
ある。一
部分 は牧草 よ りは雑草 が増 える傾 向が観察 された。なお、B 区 のN 施 用量 はN 成 分 で 9 k g で
方 C 区 とD 区 のN 施 用量 は廃液中 に0 , 7 % の N を 含有す るので、計算 上1 4 k g のN 施 用量 とな った。収
量 を比較す るとC 区 とD 区 はB 区 よ りやや高 い収量水準を示 してお り、肥効 の面 か らは、廃液 は化学
肥料 と同等 と見微 された。
第 3 表 に牧草収量 を示 した。
第 3表 試 験期間中の牧草収量 (kg/10a)
試験 区
6/21
10///22
946
1,128
619
1,168
1,227
577
827
1,174
1,139
1,025
1,160
1,140
61
nフ
314
12/15
計
2,174(100)
2,889(133)
183
3,155(145)
120
2,675(123)
つ0
926
873
2,786(128)
9 “
F
8///19
2,938(135)
雑草 を収量 か ら除 い た牧草 のみの収量 ( 牧草収量) は C 区 が廃液倍量 のE 区 、3 倍 量 区 の F よ り高
い収量 を示 した。 廃液 2 t 区 内では 、施用時期 が 5 月 施用 の C 区 が 6 月 施用 のD 区 よ り高 い牧草収量
を示 した。 この こ とは、6 月 か ら 8 月 の廃液施用 は雑草 ( チカラシバ) の 生育を助長 して 、牧草 の 生
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が
い
育 を競争的 に抑制 し、収量は高 くて も、牧草化率 が低下 した こ とに起 因 して る。供試草地 夏枯れ
バ ヒアグラス主体 あ
を生 じる寒地型牧草 主体 の混播 草地 で あ った ので この ような結果 に終 わ ったが、
るいは シバ型草地 では、廃液施用 量 に応 じて牧 車収量 が増収す るもの と考 え られ る。
第 4 表 に生育時期別 の車種告J 合を示 した。
第 4表 生 育時期別 の草種割合
区
別
IRG
WC
TF
Weed
WC
TF
TF
42
●乙
10
45
40
43
10
47
35
10
21
36
26
27
31
41
(59)
54
29
9
62
(36)
55
(45)
F
ヽ ノ
率
ラ
ン/
く
ア
り草
夕雑
T
(53)
(91)
47
ワ 0
、
ス
ラ
グ
岬
イ
つ0
9
6
56
(73)
(46)
(55)
(90)
55
40
(53)
12
43
10
14
(64)
ワ ︼
4 2 43
(58)
(93)
32
(60)
16
42
12
Weed
(42)
方生
′4
力4
7
28
(68)
3 0 48
(70)
(94)
47
力4
刀4
13
38
12
58
WC
TF
(53)
14
48
12)弓15日
Weed
10
(62)
6
36
備 考 …lRG;イ
Weed i
WC
(58)
4
(96)
E
15
43
(98)
43
D
Weed
10ナ
ヨ22日
つ0
9
25
(%)
合
種 割
8月 19日
事
6月 21日
VC;シ
;ト ー ル フ ェ ス ク 、 ヽ
13
66
(34)
ロ ク ローバ ー、
ーバ の混生率 は 5 ∼ 1 0 % で あ った ので 、 これ
ー
牧車 の主体 は ト ル フ ェス クで 占め られ、 ラジノク ロ
らを一 括 して牧 草率 で表示 した。牧草率 は廃液 を多量 に施用 した 回、 F 区 の 8 月 1 9 日、1 0 月2 2 日、1 2
バ
の
バ
月 1 5 日で低下 した。 この理 由は廃液 の施用 に よって チ カラシ 、 メヒシ 等 の夏 に生 育す る雑草 生
育を助長 したか らで あ る。 C 区 の牧草率 がD 区 よ り高 か ったが、 これ も同様 の理 由でD 区 は 6 月 施用
で あ り、 チ カラシバ 、 メヒシバ の生育を助長 し、牧草 の生育を被圧 したか らで あ る。 したが って、寒
地型牧草地 に廃液 を施用す る時期 は、牧草 の萌芽時 の 3 月 か ら 5 月 が 適期 と考 え られ、夏 に施用す る
一
す る必要がある。 方、9 月 以降は
場合には施用水準を下げて 1 ∼1 . 5 t 、N 成 分で 7 ∼1 0 k g / 1 0 a と
チカラシバ等の雑草は生育を停止するので、9 月 から1 1 月の廃液施用 は支障がない もの と考えられ
る。
摘
要
草地 に対す る廃液 の施用水準 と施用時期 について検討 した結果、廃液 を夏季 に多量遠元すれ ば、雑
る。 施 用
草 の生育を促進 して牧草 が被圧 され るので 、 1 0 a 当 た り1 . 5 t 以 内の施用 が適当 と考 え られ
時期 については、6 月 の施用 は雑草 の生育を促進 し、5 月 の施用 は牧草 の生育を促進 した。寒地 型牧
草 に対す る廃液 の施用時期 は 6 ∼ 7 月 の夏 は避 け 3 ∼ 5 月 、9 ∼ 1 1 月が適切 と考 え られ る。なお、年
間の廃液施用水準は養分含有率からみて 3 ∼ 4 t / 1 0 a が 適当と考えられ、2 ∼ 3 回 に分施す る必要
がある。
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