2.3MB

JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT
林 泰
Vol.035
先生 (独立行政法人 労働者健康福祉機構 和歌山ろうさい病院 循環器内科部長)
LAD 起始部高度狭窄病変に対して
ATHLETE JOKER が有用であった 1 例
年齢:84 歳 性別:男性 主訴:労作時胸部圧迫感 診断名:労作性狭心症
Fig. 1
Fig. 2
ターゲット病変
# 6 99% (Fig1, Fig2)
使用デバイス
Guiding Catheter: Heartrail II 6Fr IL3.5 (TERUMO)
Guide Wire:
ATHLETE JOKER(Japan Lifeline), Neo's Rinato (ASAHI INTEC), TGV Next (Good man)
Balloon Catheter: Sprinter Legend 1.5x15mm (Medtronic), LAXA 3.5x15mm (Good man), RAIDEN 3.75x13mm (KANEKA)
Stent:
Nobori 3.5x24mm (TERUMO)
IVUS:
Eagle Eye Platinum (Volcano)
Fig. 3
Others:
Crusade (kaneka)
手技手順・方法
右橈骨動脈アプローチにて手技開始。左前下行枝は入口部からの高度狭窄であり、
分岐角も急峻であった。ガイディングカテーテルは Heartrail II 6Fr IL3.5 を使用
し LCA に Engage したが、腕頭動脈の屈曲が著しく、バックアップの取りづら
い状況であった。まず Neo's Rinato をセカンドカーブを大きくつけ 2 段階にシェ
イプし、LAD にクロスを試みた。LMT から LCX にかけては血管径が大きく、ま
た LAD の分岐角度が急峻なため、ワイヤーの先端は LAD を捉えるものの、押し
ても、トルクをかけても LCX 方向に逸脱してしまい、LAD にクロスすることが
できなかった。ワイヤーを ATHLETE JOKER に交換し、1本目と同様に 2 段階
にシェイプして操作を行った。ワイヤー先端が入口部を捉えた後、ゆっくりとト
ルクをかけ軽く押したところ容易に病変をクロスすることができた(Fig. 3)
。
LAXA 3.5x15mm は病変を通過しなかったため、Sprinter Legend 1.5x15mm
でまず拡張したのち、IVUS で観察を行った。病変は LMT からの連続病変であっ
たため、LMT から LAD にかけてステント留置を行う方針とした。LCX を Neo's
Rinato でプロテクトした後、Sprinter Legend 3.5 x 15mm で LMT から LAD
にかけて前拡張し Nobori 3.5x24mm を留置した。Crusade を用いて LCX に
TGV Next を再クロスし LAD に RAIDEN 3.75x13mm、LCX に LAXA 3.5x15mm
を用いて KBT を行った (Fig. 4)。
Fig. 4
JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT
若干のカリーナシフトが LCX 方向に認められたが、IVUS 上内径が十分に確保されており、また LMT 部のステントも十分に
圧着されていたため手技を終了した (Fig. 5, Fig. 6)。
Fig. 5
Fig. 6
症例のポイント
LAD 入口部の高度狭窄病変で LMT から急峻な角度で分岐している。LCX の血管径が大きいことも相まって、ワイヤーを
LAD に通過させようとしても容易に LCX 方向に逸脱してしまい、ワイヤリングの困難な症例であった。
評価・コメント
従来型のコイルワイヤーでは急峻に分岐した入口部狭窄をクロスすることは困難であったが、ATHLETE JOKER はトルク性
能に優れており、また親水性コーティングによる滑り性能とのバランスが良いため、今回のような病変でも全くストレスを
感じることなくクロスすることができた。また先端荷重が 0.6g と軽く作られているため、滑り性能が良くても、末梢でのワ
イヤー穿孔や病変部での解離形成などを発生しにくいと考えられる。複雑病変でワイヤークロスの困難が予想される病変で
は、ATHLETE JOKER をファーストワイヤーとして使用することにより、手技時間の短縮、使用ワイヤー本数の低減が可能
であると考えられた。
ATHLETE JOKER 構造図
ガイドワイヤー後端側識別マーカー
術者紹介
独立行政法人
労働者健康福祉機構
和歌山ろうさい病院
循環器内科部長
林 泰 先生
1994 年
1996 年
1998 年
2002 年
2006 年
2008 年
2011 年
和歌山県立医大卒 和歌山県立医大循環器内科 臨床研修
和歌山県立医大救急集中治療部(CCU) 国立南和歌山病院(現国立病院機構 南和歌山医療センター)
循環器科勤務
和歌山県立医大 循環器内科 救急集中治療部(CCU)助手
社会保険紀南病院 循環器科 医長
和歌山労災病院 循環器内科 副部長
同 部長
2014-03-00-01