ディスカッション in 見附

開催レポート
ディスカッションを振り返って
住宅地の使い方を想像するきっかけに
久住 時男氏
ならない。
今回の 4.5ha も、議論の中で使い方
今回の開発地はもともと多目的広場
を少しずつ想像するきっかけをいただ
だった。空間の中にパブリックのスペー
いた。周辺部の人たちも含めて、
「見附
スを作りつつ、住宅地に出来るという
にあって良かった」と思われ、他の自治
贅沢な空間だ。ハードを担当する人に
体にもつながっていく空間になればあ
涌井先生から、
「街残し」という言葉
繰り返し言っているのは、利用する人
りがたい。それには、基礎データが足
をいただいた。まさに自治体間競争の時
の行動を想像できない人はものをつく
りないように思う。周辺とどうつなげる
代に入っている。やる気のある自治体
るなということだ。視察で見ていただい
か、もう少し示して議論していきたい。
はすでに多くのことをやっている。私
た「ネーブルみつけ」は、年間 50 万人
ブランディングも、今まさにやろうと
どもも仲間を作った。
「交流しないと死
以上が集う場所になった。空間を、誰
思っている。先進的なお知恵をいただ
に絶えてしまう」
。見附もこういう危機
がどのように使うかをみんなで想像し
きながら、情報発信していきたい。
感の中で、街づくり経営をしなければ
てつくった結果だ。
見附市長
リアルな街づくりに向けて始動
プロジェクト エコー・シティ
ディスカッション in 見附
(談)
専門特化した分野だからこそ貢献できそう
伊東 洋一氏
専門とする地盤については、水田に盛り土
したい。
して15年がたっているというが、災害履歴
建築と地盤の関係でいうと、地盤は後回
や地理的な条件を綿密に調査する必要はあ
しになりがちで、コスト面で問題が起こる
できないことはない、何でも日本一を目
る。エコで災害に強い基礎としては直接基
ことも多い。必要な技術をきちんと提供す
指すという市長のエネルギーをもってすれ
礎で提案できればと思う。治水や液状化へ
るのが当社の使命だと思っている。専門特
ば、街づくりの障害、課題を克服できるの
の対策がポイントになる。初期コストを抑
化した分野だが、逆にその分野で貢献でき
ではないかと思う。全体構想が固まって、
え、たとえ災害が起こっても、できるだけ
ると思う。
今年度に実施設計がされるという。当社の
低コストで復旧できるような柔軟な提案を
地盤ネット 業務本部技術部長
新潟県見附市
(談)
自治体と民間を結びつける機会が大事
ちにも会えた。自治体もそれに期待してい
る。一辺倒になりがちだと言ってもいい。
るのだろう。自治体と民間がこうした機会を
今回の議論では
“健幸”
が前面に出ていた。住
通じて、結びつくことが大事だと感じた。特
む人にとっては当たり前だが、新鮮だった。
昨年12月のような全体的な会合はよくあ
に、首長の感性が大事で、民間との結びつ
自治体が健康、安全、防災に力を入れてい
るが、自治体の実際の計画について議論が
きを求めていた。その点で今回の企画は日
るのも理解できた。OMソーラーは省エネ
繰り広げられるのは初めてで非常に面白かっ
経BP社にしかできないもので、こんな機会
ばかりに焦点が当たるが、今後は、こうし
た。IBM、JTBといった異業種が参画するこ
であれば、日本中、どこにでも行きたい。
とが成功の秘訣だろうし、普段会えない人た
いまの建築は省エネがテーマになってい
村田 昌樹氏
OMソーラー 取締役
情報企画部部長
日経BP社の建設系媒体が連携し、新しい街づ
場所は新潟県の見附市。市が造成計画中の住
くりに向けて様々な情報を発信してきた「プロ
宅地4.5haを魅力ある住宅地とするため、
「プロ
ジェクト エコー・シティ」は、プロジェクトを開
ジェクト エコー・シティ」に賛同いただいている
始して1年半が経ちました。本プロジェクトは、
産学官のトップリーダーの方々と議論が開始さ
“環境と人が響きあう街づくり”をコンセプトに、
れました。本レポートでは4月24日∼ 25日にか
た観点が新しい切り口になると発見できた。
エネルギーや安心・安全といった多岐にわたる
けて行われた、そのディスカッションの模様を
(談)
テーマでの特別編集版の発行や、産学官のトッ
お伝えします。
プリーダーの方々と一緒に勉強会を開催などを
本プロジェクトは今後も、情報発信だけにと
実施してきています。
どまらず、様々な切り口で新しい街づくりに向
そして今春、リアルな街づくりに向けたプロ
けて活動して参ります。ご注目ください。
ジェクトも新たに動き出しました。
Tel :
PECレポート.indd 1-2
03-6811-8835 Fax : 03-5421-9094
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13/06/13 10:37
テーマ
1
4 月 24 日(水) 1 日目
開会挨拶:久住時男(見附市長)
趣旨説明:真部保良(日経BPインフラ総合研究所)
「健幸」
プロジェクト エコー・シティ
自己紹介
②快適な環境
∼美しい空(無電柱化)、水辺、緑、地区
計画・建築協定 など
13:30
∼
17:10
「社会参加しないと、健幸とは言わない」「人
が社会と関わっていく仕組みが必要」「次の世
③再生可能エネルギー・省エネルギー
∼太陽光発電、HEMS、省CO2 など
代も見据えた街づくりを」
「エンドユーザーは誰なのか」
「周辺の街との
関係をどのように考えるのか」
「コンセプト
を明確に」
④安心・安全
∼防災、防犯、地域コミュニティ、子育て・
孫育て など
新潟県見附市が造成計画中の住宅地
●討議内容
◇街のあり方に関する提案
◇街を構成する具体的要素に関する提案
◇具体的要素を実現するうえでの課題
◇課題をクリアするには
4.5haを、先進性を備えながらも、地方都
市ならではの魅力ある住宅地とするため、
波潟氏
JTB 総合研究所
産学官の有識者が当地に集い、2日(4月
山田氏
英国園芸研究家
「行ってよし、住んでよし 「イングリッシュガーデン
の家並みが魅力に」
を歩くことで健幸に」
24 ∼ 25日)
にわたって議論を繰り広げた。
見附市と日経BPインフラ総合研究所が共
催した「プロジェクト エコー・シティ 街づ
テーマ
プロジェクト エコー・シティ 街づくりディスカッション in 見附の全景。
業種・業態を越えて、有識者が参加した(以下の写真:岩船雄一)
お 伝えする。
4万2000人の街。市内に信濃川水系の刈谷田川が流れる。豊かな
テーマ
田園地帯を有しているが、中越地震や大水害に見舞われたことも
あり、安全・安心が大きな課題になっている。
見附市は、
「住みたい 行きたい 帰りた
るまち」実現のために独自の施策を次々
ロジェクト エコー・シティのコンセプト
い やさしい絆のまち みつけ」を街づくり
と展開している。その方針の象徴として、
を具体的に落とし込む事例の第一号とし
の基本理念としている。全市民が行動を
市内で開発を計画している住宅街区を、
て両者が手を組み、街づくりディスカッ
起こすことによって高齢社会の課題を乗
先例のない魅力を持つ街として整備する
ションを開催することになった。
り切るとの考えのもと、
“健幸”を標榜し
意向を持っている。
今回のディスカッションを初回として、
た「スマートウエルネスみつけ(SWM)
」
一方、日経BP社は、
「プロジェクト エ
産・学・官が業種・業態を越えて「つなが
を重点プロジェクトに定め、
「歩きたくな
コー・シティ(環境と人が響きあう街)
」
る」ことにより、この街区、さらには見附
と銘打ち、より良い街づくりに挑戦する
という街に、ほかにはない新たな価値を
意欲のある各界のキーパーソンをつなげ
もたらすことを支援する。街づくりを現
る媒介となり、新たな街づくりの可能性
実のものとしていく
を追求する多角的な活動を行っている。
ための突破口はなに
2012年12月、日経BP社が開催した「プ
か̶̶。熱い議論が
ロジェクト エコー・シティ」の大討論
樋口氏
竹中工務店
「水の大切さを実感」
交流・懇親会
「本当の快適とは何か」
4
加茂氏
日本 IBM
奥地氏
奥地建産
伊東氏
地盤ネット
中村氏
地盤安心住宅整備支援機構
「電力の見える化に加え 「健康、エネルギー、独 「治水、液状化対策を街 「被災しても修復できる
て情報の 双方向性 を」 居対策を情報センサで」 づくりに組み込む」
地盤に」
4 月 25 日(木) 2 日目
まとめ
上野氏
9:30
∼
11:30
長岡造形大学
10:40
∼
12:30
「懐かしさ、思い出を取り戻したい」「街並み
開会挨拶:久住時男
1 日目のまとめ:真部保良
ディスカッション
現地視察
・住宅開発予定地
・みつけイングリッシュガーデン(快適な
環境)
・パティオにいがた(健幸、安全・安心)
・ネーブルみつけ(健幸、安全・安心)
会食 → 終了
が大事。先導モデル住宅を」「ギブ・アンド・
テイクでコミュニティを活性化」
現地視察
2日目の最後に、バスで現地を視察し
た。左上、民間が開発した住宅地に隣接
する開発予定地、右上、観光客が増えて
いるイングリッシュガーデン、左下、今
年(2013年)8月のオープンを目指す道
の駅「パティオにいがた」の建設現場、右
下、市民サービス施設が集積する「ネーブ
ルみつけ」
。久住市長が案内役を務めた。
繰り広げられた。
山口氏
清水建設
会に久住時男・見附市長が出席した。
この度、開発計画中の街区にプ
山下氏
長岡造形大学
3
「安心・安全」
見附市と日経BP社が
「街づくり」でタイアップ
まとめ
18:00
∼
「再生可能エネルギー・
省エネルギー」
市の中央部に位置する4.5haの開発予定地。民間が開発した20ha
の住宅地が隣接している。見附市は新潟県の中央に位置する人口
4.5haに80戸を配する計画として製作した模型
東京都市大学
いを感じ、豊かな生活を送れる)
∼運動、食、脳の活性化、住宅(CASBEE)、
観光 など
主催:見附市、日経BPインフラ総合研究所
くりディス カッション i n 見 附」の 模 様 を
涌井氏
●テーマ
①「健幸」(身体面の健康とともに、人々が生きが
筑波大学
2
「快適な環境」
ディスカッション
(ファシリテーター:真部保良)
久野氏
ディスカッション in 見附
テーマ
三藤氏
三藤都市開発
村田氏
OM ソーラー
「世代ミックスは市全体 「20 ∼ 30 区画で、残りはパ 「いろいろな世代が区画
で考えるべき」
ブリックスペースにしては」 の中で循環」
開会の挨拶をする久住時男市長
参加者(氏名五十音順、敬称略)
地盤ネット 業務本部技術部長
筑波大学 人間総合科学研究科教授
久野請也
英国園芸研究家
ケイ山田
高田建築事務所 代表取締役社長
高田清太郎
上野裕治
地盤安心住宅整備支援機構 技術顧問
奥地誠
JTB 総合研究所 企画調査部部長
伊東洋一
NPO 法人電線のない街づくり支援ネットワーク 事務局長兼理事
井上利一
長岡造形大学 建築・環境デザイン学科教授
奥地建産 代表取締役社長
日本 IBM スマーター・シティ事業
第二社会インフラ事業開発部長
加茂義哉
帝人 マーケティング戦略部課長
川嶋孝宣
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アイリスオーヤマ LED 事業本部
環境事業部事業部長
竹中工務店 環境エンジニアリング本部
本部長
樋口祥明
中村裕昭
新潟県建築士会 長岡支部見附・中之島ブロック会会長
星光章三藤都市開発 代表取締役
三藤良行
波潟郁代
OM ソーラー 取締役情報企画部部長
村田昌樹
清水建設 プロポーザル本部首席
山口信逸
野田俊昭
長岡造形大学 建築・環境デザイン学科教授
山下秀之
東京都市大学 環境情報学部教授
涌井史郎
川嶋氏
帝人
高田氏
高田建築事務所
井上氏
NPO 法人電線のない街づくり
支援ネットワーク
「全市公園化で快適・防 「地区計画、建築協定は
「無電柱化はメリットが
災・雇用のベースに」
程度が大事」
大きい」
13/06/13 10:37