2015.1.30 今週の日米株式ストラテジー ∼米国の経済指標及び企業決算の下振れや、原油価格の動向に注意∼ 図表① 日経平均とNYダウ 先週月曜日(1/26)の東京市場では日経平均が 43 ∼1/28 の日経平均は年初来高値を付けた∼ 1/28 の NY ダウは年初来安値を付けた 円安と 3 日ぶりに反落した。前週末(1/23)の米国 市場で NY ダウが 141 ドル安と 5 日ぶりに反落した ことに加えて、前日(1/25)に実施されたギリシャ の総選挙で急進左派連合が圧勝したことを背景に ユーロ安・円高が進んだことも嫌気された。一方、 月曜日の欧州の主要な株式相場が上昇し、米国市場 でも NY ダウが 6 ドル高と小反発すると、翌火曜日 (1/27)の東京市場では日経平均が 299 円高と大幅 に反発した。その後、火曜日の米国市場では主要企 業の低調な決算発表などが嫌気され、NY ダウが 291 ドル安と大幅に反落したが、アップルが市場予 想を上回る好決算を発表すると、時間外取引で米株 価指数先物が上昇し、翌水曜日(1/28)の日経平均 は 27 円高と続伸した。しかし、水曜日の米国市場 で企業業績に対する警戒感が続き、NY ダウが 195 ドル安と大幅に続落すると、翌木曜日(1/29)の日 経平均は 189 円安と 3 日ぶりに反落した。 米国の経済指標や企業決算の下振れに注意 本稿執筆時点では 1/30 に発表される米 10-12 月 期の GDP 統計は明らかになっていない。実質 GDP は前期比年率 3.0%増と 7-9 月期の 5.0%増から大幅 に減速すると予想されている。先週の米国市場では 12 月の耐久財受注が前月比で予想外に減少し、「エ コノミストが 10-12 月期の GDP 予想を引き下げる 可能性がある」とも伝えられた。1/30 に発表される 10-12 月期の実質 GDP 成長率はエコノミスト予想 を下回り、株式市場で嫌気される可能性があろう。 また、今週月曜日(2/2)に発表される 12 月の個人 消費支出や 1 月の ISM 製造業景況感指数も前月比 で減少または低下すると予想されており、これらも 株式市場で嫌気される可能性があろう。さらに、水 曜日(2/4)に発表される1月の ADP 雇用統計では 非農業部門雇用者数が前月比 22 万人増と 12 月の 24.1 万人増から減速し、1 月の ISM 非製造業景況 感指数は前月比変わらずと予想されており、いずれ にも多くを期待できないと見ている。 先週の米国市場ではドル高や原油安を背景にグ ローバル企業を中心に低調な決算発表や業績見通 しが目立ち、株式市場で嫌気される場面があった。 S&P500 社中先週木曜日(1/29)までに決算発表を 18200 20200 (円) (ドル) 16800 19200 1/29まで (左軸)日経平均と200日移動平均→ 15400 18200 14000 17200 16200 12600 ←NYダウと200日移動平均(右軸) 11200 14/1/30 3/28 出所 15200 5/27 7/23 9/18 11/13 15/1/13 大和証券投資戦略部で取りまとめ 図表② 日米欧のエコノミック・サプライズ・インデックス ∼米国のエコノミック・サプライズ・インデック スは一時マイナスに転じた∼ 75 50 過去3カ月間に発表された経済指標がエコノミスト予想を上(下)回 れば、エコノミック・サプライズ・インデックスが上昇(低下)する。 1/29まで 25 米国 0 ←ユーロ ▲25 ←日本 ▲50 ▲75 ▲100 14/1/29 3/26 出所 5/22 7/18 9/12 11/7 15/1/6 大和証券投資戦略部で取りまとめ 図表③ 米国の GDP 成長率と ISM 製造業指数 ∼14/10-12 の GDP 成長率や 15/1 の ISM 製造業指 数は減速または低下すると予想されている∼ 9 (前期比年率:%) 6 14/10-12のGDPは 米国の実質GDP成長率(左軸) 1/30(金)発表 米ISM製造業景況感指数(右軸) 65 60 15/1予想 3 55 0 50 ▲3 14/10-12以降のGDP成長率は 大和総研ニューヨークリサーチセンター予想 ▲6 15/1のISM製造業景況感指数は 2/2(月)発表 ▲9 2005 06 出所 45 40 35 07 08 09 10 11 12 13 14 15 米商務省、ISM、大和総研 本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼 できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予 測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。 -1/3- 終えた 209 社のポジティブ・サプライズ比率(EPS がアナリスト予想を上回った社数の比率)は 71.3% と 7-9 月期の 74.5%から低下し、増益率も鈍化して いる。今週も主要企業の低調な決算発表や業績見通 しが続き、株式市場で嫌気される可能性に注意が必 要だろう。今週は東京市場でも企業の決算発表が続 く。ドル高・円安は(米国のグローバル企業とは対 照的に)輸出企業の収益を押し上げる可能性が高い が、原油安がエネルギー関連企業の収益を圧迫する 可能性に注意が必要だろう。 図表④ 米 S&P500 社の EPS と決算発表サプライズ ∼ドル高や原油安を背景にグローバル企業を中 心に低調な決算発表が目立つ∼ 75 176% (%) (%) 米S&P500社のEPS前年同期比(左軸) 50 ポジティブ・サプライズ比率(右軸) 米格付け会社は先週、原油安の影響で経済成長の 見通しが弱くなったとしてロシアの外貨建て長期 債の格付けを 1 段階引き下げると発表し、ロシアの 同格付けは 10 年ぶりに投資適格級を失った。一方、 米エネルギー情報局(EIA)が先週発表した週間の 石油在庫統計では原油在庫が市場予想以上に上昇 して 4 億バレル台に乗せ、EIA によるデータが取得 可能な 1982 年 8 月以降で最高となった。これを受 けて、先週の NY 原油先物市場では WTI 期近物が 一時 44.08 ドル/バレルと 2009 年4月以来の安値を 付けた。また、先週のクレジット・デフォルト・ス ワップ(CDS)市場では、ロシア国債の保証料率(5 年物)が心理的な節目である 6%台に再び乗せ、2009 年 3 月以来の高水準となった。国債保証料率の 6% は、欧州債務危機の際にギリシャ、アイルランド、 ポルトガルなどが対外支援を受ける目安になった 水準だという。 ロシアの外貨準備高(金を含む)は 1/23 時点で 3781 億ドルと世界有数の規模であり、対外債務は ロシアが 1998 年に債務不履行(デフォルト)に陥 った当時と比べて減少していることから、ロシアの デフォルトリスクは大幅に低下しているとも指摘 されている。しかし、原油安やルーブル安が続けば デフォルトの可能性は徐々に高まることになる。米 商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX) で投機筋(非商業部門)は原油先物を引き続き買い 越しており、含み損を抱えている可能性が高い。し たがって、投機筋が含み損の拡大を避けるためのロ スカット(損失確定)に動いた場合は原油安が加速 する可能性に注意が必要だろう。(野間口 1/30 記) 14/10-12は 80 1/29までに決算を発表した209社ベース 75 25 14/10-12 0 70 ▲25 65 ▲50 原油価格の動向にも引き続き注意が必要 85 ポジティブ・サプライズ比率とは EPSがアナリスト予想を上回った社数の比率 ▲75 2005 06 出所 60 55 07 08 09 10 11 12 13 14 大和証券投資戦略部で取りまとめ 図表⑤ 原油価格と米国の原油在庫 ∼米国の原油在庫は 1982 年 8 月以降で最高に∼ 117 (ドル/バレル) (億バレル) 106 ←WTI先物価格(左軸) ←1/23 4.2 4.1 95 4.0 84 3.9 73 3.8 62 3.7 米国の原油在庫(右軸)→ 51 3.6 ←1/29 40 14/1/30 3/28 出所 3.5 5/27 7/23 9/18 11/13 15/1/13 NYMEX、米エネルギー情報局(EIA) 図表⑥ 投機筋の原油先物ポジションと原油価格 ∼投機筋は原油先物を引き続き買い越しており、 含み損を抱えている可能性が高い∼ 50 (買いー売り:万枚) 1枚=1000バレル ($/bbl) 120 110 40 100 1/20 ↓ 30 90 80 20 70 NYMEX投機筋の原油先物ポジション(左軸) 60 10 WTI先物価格(右軸) 50 ←1/29 0 14/2/18 4/15 出所 40 6/10 8/5 9/30 11/25 15/1/20 CFTC、NYMEX 本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼 できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予 測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。 -2/3- お取引にあたっての手数料等およびリスクについて 手数料等およびリスクについて z 株式等の売買等にあたっては、 「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で 国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大 1.24200%(但し、最低 2,700 円)の委託手数料 (税込)が必要となります。また、外国株式等の外国取引にあたっては、現地諸費用等を別途い ただくことがあります。 z 株式等の売買等にあたっては、価格等の変動による損失が生じるおそれがあります。また、外国 株式等の売買等にあたっては価格変動のほかに為替相場の変動等による損失が生じるおそれがあ ります。 z 信用取引を行うにあたっては、売買代金の 30%以上で、かつ 30 万円以上の委託保証金が事前に必 要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、損失の額が 差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。 z 債券を募集・売出し等により、又は当社との相対取引により売買する場合は、その対価(購入対 価・売却対価)のみを受払いいただきます。円貨建て債券は、金利水準の変動等により価格が上 下し、損失を生じるおそれがあります。外貨建て債券は、金利水準の変動に加え、為替相場の変 動等により損失が生じるおそれがあります。また、債券の発行者または元利金の支払いを保証す る者の財務状況等の変化、およびそれらに関する外部評価の変化等により、損失を生じるおそれ があります。 z 投資信託をお取引していただく際に、銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸経 費、等をご負担いただきます。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあ ります。 ご投資にあたっての留意点 z 取引コースや商品毎に手数料等およびリスクは異なりますので、上場有価証券等書面、契約締結 前交付書面、目論見書、等をよくお読みください。 z 外国株式、外国債券の銘柄には、我が国の金融商品取引法に基づく企業内容の開示が行われてい ないものもあります。 商号等 :大和証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第108号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、 一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会 【保有株式等について】 大和証券は、このレポートに記載された会社が発行する株券等を保有し、売買し、または今後売買することがあります。大和証券グループ が、株式等を合計 5%超保有しているとして大量保有報告を行っている会社は以下の通りです。(平成 27 年 1 月 15 日現在) 日本水産(1332) 第一カッター興業(1716) 北弘電社(1734) 大豊建設(1822) テノックス(1905) アコーディア・ゴルフ(2131) フルス ピード(2159) エイジア(2352) ブロッコリー(2706) アルコニックス(3036) ソリトンシステムズ(3040) サンセイランディック (3277) 星野リゾート・リート投資法人(3287) 日本ヘルスケア投資(3308) クリヤマホールディングス(3355) ケー・エフ・シー(3420) サンコーテクノ(3435) トーセイ・リート投資法人(3451) パピレス(3641) モブキャスト(3664) アバント(3836) 第一稀元素化学工業 (4082) セプテーニ・ホールディングス (4293) ラクオリア創薬(4579) メック(4971) MORESCO(5018) 相模ゴム工業(5194) 有沢製作 所(5208) ノザワ(5237) 中山製鋼所(5408) 東京鐵鋼(5445) 新報国製鉄(5542) オーナンバ(5816) ジャパンマテリアル(6055) ラ イドオン・エクスプレス(6082) 日進工具(6157) レオン自動機(6272) 日精エー・エス・ビー機械(6284) オカダアイヨン(6294) 加藤 製作所(6390) 兼松エンジニアリング(6402) 福島工業(6420) JUKI(6440) 三相電機(6518) 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