UA 610-B Tube Preamp Universal Audio の歴史的なモダン・チューブプリアンプ Universal Audio 610 モジュラー・アンプリファイアーは、オーディオの革命者で、UA の創設者である M.T. “Bill” Putnam によって設計され、コンソールデザインの大きな 節目となりました。フィードバックスタイルの EQ を搭載、オールチューブとトランスに よるクラス A 設計された 610 は、エコーセンドを持ち、レコーディングセッション中で もチャンネルを交換できる最初のプリアンプでした。 Universal Audio 610 マイクプリアンプは、過去の数々の素晴らしいレコーディングに 使用された輝かしい歴史があり、今日の現代的なハードウェアにも広く使用されてい ます (Universal Audio 2-610, 6176, LA-610mkII, SOLO/610, and M-610)。 UA 610 はブティック・プリアンプの市場でもっとも売れたプリアンプの 1 つでもあります。 新旧の 610 によって行われたレコーディングは膨大な数に登ります。Coldplay から Cold War Kids まで、または Duke Ellington から The Doors まで、610 は 1958 年の 発売以来、現代のレコーディングの一部となっています。 UA 610-B Tube Preamp プラグインは 1 年以上の間、研究と設計に時間を費やし、 Universal Audio の 610 やすべてのプリアンプのさらなる進化における重要なマイル ストーンを意味します。610-B Tube Preamp はこれまでで初めて、デジタルオーディ オワークステーションの環境に完全なチューブプリアンプのサウンドと動作、機能を 提供します。 UAD パワードプラグインマニュアル -1- UA 610-B Tube Preamp UA 610-B スクリーンショット UA 610-B Tube Preamp プラグイン・ウィンドウ UAD パワードプラグインマニュアル -2- UA 610-B Tube Preamp UA 610-B に つ い て チューブアンプやトランスのコンポーネント、さらには位相特性、スループット、歪み特性とい ったハードウェア固有の特性とともに完全なシグナルパスが UA 610-B プラグインでモデリ ングされています。 モダン 610-B 610-B は、2-610、LA-610mkII、6176 と同様の Universal Audio ハードウェアで使用されて いる Universal Audio のプリアンプと同一の設計です。 UA 610-B プラグインは、最新の使用法に最適化するために、すべてのエクスパンデッド機 能を含む、新しい設計を忠実にモデリングしています。 使用方法 610-B の主な用途はカラフルな真空管のキャラクターと幅広い EQ のストロークが必要なボ ーカルや楽器のトラックへの使用です。610-B は、ボーカルやベース等のチャンネルに広く 使用し、それぞれのソースシグナルに素晴らしいサウンドを与えることができます。 トーンレンジ UA610-B は、クリーンからクリップまで、幅広いスウィートスポットを持ち、非常にカラフルでフ レキシビリティのあるサウンドを提供可能です。入出力回路はそれぞれに独自の真空管駆動 ステージを持ち、各ステージがそれぞれにカラーを加えるので、I/O のゲインを調整すること によって多くのサウンドバリエーションを得ることができます。 610-B イコライザーも、フィードバックスタイルの EQ を採用しているので、アウトプットステー ジのディストーション特性に多くのフレーバーを加える事ができます。 プリセット UA 610-B には、ホストアプリケーションのプリセットメニューを介してアクセス可能な内部フ ァクトリープリセットバンクが含まれています。それらは、UAD インストーラーによってディス クにコピーされるので、Apollo のコンソール・アプリケーション内でも使用することができます。 プリセットは、UAD ツールバーの“Setting”メニューを使用してロードすることもできます。(詳 細は、UAD システムマニュアルの“UAD パワードプラグインの使用方法”を参照してください) UA 610-B レイテンシー UA 610-B は目的のサウンドを再現するために内部アップサンプリング技術を採用して います。このため、アップサンプリングを行わないプラグインよりも若干多いレイテンシー (176.4kHz で 55 サンプル / 192kHz で 85 サンプル)を伴います。これらの追加されるサ ンプル数は、現代の DAW によって補正されます。詳細については、UAD システムマニ ュアルの“遅延補正”を参照してください。 Unison™ 機能について UA 610-B プラグインは、新機能“Unison”マイクプリアンプ・テクノロジーを使用して Universal Audio の Apollo オーディオインターフェイスに搭載されているハードウェアの マイクプリアンプと統合して使用できる特徴を持ちます。 UAD パワードプラグインマニュアル -3- UA 610-B Tube Preamp Unison がアクティブになっている場合、プラグインと Apollo ハードウェアの関連したコント ロールは連動します。Apollo のフロントパネル上のコントロールを変更するとプラグイン の設定も変更されます。また、その反対も同様です。 注: Unison は、プラグインが Apollo のコンソール・アプリケーション内のプリアンプ・インサ ートスロットに使用されている時のみアクティブになります。詳細な Unison の情報について は、Apollo ソフトウェアマニュアルを参照してください。 インプットレベル・コントロール UA610-B プラグインのインプットレベルは、プラグイン内で使用可能なインプットセレクト、 パッド、ゲイン・コントロールの全体的な組み合わせによってコントロールします。 これらのパラメーターは、プラグインの最初の真空管ゲイン・ステージをコントロールしま す。一般的には、より高いインプットゲインにより多くのカラーをシグナルに加えます。 インプットセレクト 610 ハードウェアには、マイクとラインレベルのインプットがあります。インプットセレクトに よって“バーチャルインプット・ジャック”がエミュレートするモデルの切替えをコントロール します。 (610 を含む)ほとんどのマイクプリアンプでマイクとラインインプットの違いは、ラインイン プットはプリアンプ回路に入る前にアッテネーションしているだけのことがあります。;ゲイ ン回路は、一般的にはマイクとラインインプットでの違いはありません。 LINE LINE に設定すると、DAW のシグナルが、エミュレートした 610 ハードウェアのラインレベ ル・インプットに差し込まれているようになります。少なめな真空管のゲインが加えられ、 クリーンなサウンドが得られます。 マイク マイク(500、または 2.0K に設定)されると DAW のシグナルが、エミュレートした 610 ハー ドウェアのマイク入力に接続されたようになり、さらに(非アッテネーションの)真空管ゲイ ンが 30dB 程度加えられます。DAW からの信号はラインレベルですでにカラーが付いて おり、このモードでは、より簡単にインプットをオーバードライブさせたような真空管のカラ ー、サチュレーションやクリッピングなどのテイストを加える事ができます。 重要: LINE からマイク(500、または 2.0K)に切替えた時、ハードウェアのプリアンプと 同様にシグナルのアウトプットレベルが大幅に大きくなることに注意してください。 UAD パワードプラグインマニュアル -4- UA 610-B Tube Preamp インピーダンス インピーダンス選択は、マイク・インプットに使用可能です。マイク入力には、 500Ω 、または 2.0KΩ に設定することができます。異なるインプット・インピ ーダンスに設定することで音色やレスポンスに微妙な効果を与えることが 可能です。 Unison インピーダンス プラグインが、Apollo コンソールの中のプリアンプスロットにインサートされると、Apollo のマイクプリアンプのハードウェアインプット・インピーダンスは、かつてなかったようなリ アリズムを表現するためにプラグインで設定した値と一致するように変更されます。 通常、マイクを最も近いインピーダンス値と合わせることが推奨されますが、このパラメ ーターはクリエイティブな目的のために使用することができ、値を変更しても Apollo マイ クプリアンプに接続している機材に害を与えることはありません。 注:Unison の詳細な説明については、Unison マニュアルを参照してください。 インプット・パッド/ゲイン プラグインには、インプットセレクト・スイッチに加え、チューブのインプット・ステージのシ グナルレベルをコントロールするためのパッドとゲイン・パラメーターがあります。 パッド・コントロールは、より少なめな着色にするためにインプット・シグナルを減衰させ、 ゲイン・コントロールは、チューブのカラーをより強く与えるためにシグナルレベルを増加 させます。 注: オリジナルハードウェアと同様にコントロールのラベル上にある値は実測値と一致し ない場合があります。 インプット GAIN ロータリーゲインスイッチ(プラグイン上部の電源スイッチの下)は、 チューブのインプット・ステージのレベルをコントロールします。コント ロールは、-10、-5、0,+5、+10dB から選択可能です。 インプット・PAD マイク・インプットへの追加のアッテネーションとして 2 ポジションのパッド・スイッ チを使用することができます。(プラグイン中央部に 3 つ並ぶアップ/ダウン・ス イッチの中央)“-15”側(上向き)にスイッチを設定するとチューブインプット・ス テージでマイク・シグナルを -15dB アッテネーションします。下向きの位置では アッテネーションされません。 注: ハードウェアと同様に UA610-B のインプット・パッドは、マイク・インプットにのみ影 響を与えます。 UAD パワードプラグインマニュアル -5- UA 610-B Tube Preamp アウトプットレベル・コントロール LEVEL LEVEL (別名“ビッグノブ”)は、プリアンプのチューブ・アウトプット ステージのゲインをコントロールします。値が大きい程、より多くの カラーを加え、フィードバックスタイルの EQ 回路を増幅させます。 このコントロールを使用して使用可能なゲインの量は約 61dB です。 OUTPUT アウトプットは、シグナルのサウンド特性に影響を与えることなくプラグインのアウトプ ットのシグナルレベルを調整します。レンジは–∞ dB (off) ~ +12 dB の間で使用可能 です。 オリジナルのハードウェアに存在しないこのコントロールは、クリーンに全体的 なアウトプット・ボリュームを調節しながら、アウトプットステージの真空管のカ ラーを加えるためにレベル・コントロールを上げることができるようになります。 ヒント: ラベルテキストの“0”をクリックすると、アウトプットを 0dB に戻すことができ ます。 EQ 610-B の特長であるステップ式のゲイン・コントロールを使用して、高域、低域のブースト/カ ットを行うシェルビング・フィルターです。イコライザーは、アウトプットステージのディストーショ ン特性に影響を与えるフィードバックスタイル設計を採用しています。 LO EQ 様々な量でカット、ブーストができる周波数を選択可能な低周波数域(LO)シ ェルフ EQ LO EQ 周波数 低域シェルフ EQ のカットオフフリーケンシー(70、100、200Hz)を決定し ます。Lo EQ のゲイン値が“0”の場合、このスイッチは効果がありません。 注: ハードウェアと同様に低域周波数の値は連続可変ではありません。 UAD パワードプラグインマニュアル -6- UA 610-B Tube Preamp Lo EQ ゲイン 低域周波数のブースト/カットに適用する量を決定します。プラス、マイナス 9、6、4.5、3、 1.5dB の固定値から選択可能です。0dB に設定した場合、フィルターは無効になります。 HI EQ 様々な量でカット、ブーストができる周波数を選択可能な高周波数域(HI)シェルフ EQ HI EQ 周波数 高域シェルフ EQ のカットオフフリーケンシー(4.5 kHz、7 kHz、10 kHz)を 決定します。HI EQ のゲイン値が“0”の場合、このスイッチは効果があり ません。 注: ハードウェアと同様に高域周波数の値は連続可変ではありません。 HI EQ ゲイン 高域周波数のブースト/カットに適用する量を決定します。プラス、マイナス 9、6、4.5、3、 1.5dB の固定値から選択可能です。0dB に設定した場合、フィルターは無効になります。 極性 シグナルの極性(“位相”ともいう)を反転させます。スイッチが上向きに位置している 時は、極性が反転し、下向きの位置にある時は、極性が正相になります。極性の反転 は、複数のマイクを使用して 1 つのソースをレコーディングする際に起こる位相のず れを解消するために使用することができます。 パワー プラグインのバイパス・コントロールを行います。オフに設定するとエミ ュレーション処理は無効になり、DSP 使用量が減少します(DSP ロード ロック無効時)。パワーは、オリジナルのシグナルと処理を行った信号 との比較を行う場合に便利です。 610 の歴史 コンソールの既成品は商業的に販売されてはいなかったので、オリジナルの 610 デスク を作るということは、それぞれのモジュールを購入し、ゼロからコンソールを作ることを意 味しました。しかし、Bill Putnam は彼自身によって、フレーム、電源、メーター、バス/エフ ェクトルーティング・オプションが完備した少数の完成したデスクを作りました。 UAD パワードプラグインマニュアル -7- UA 610-B Tube Preamp 非常に少ない数のデスクが 610 モジュールから作られましたが、レコーディングした音楽 の歴史への貢献は偉大です。Ray Charles、Frank Sinatra、The Beach Boys は、それぞ れ“Sounds in Country and Western Music”、“Strangers In The Night”、“Pet Sounds”の ような画期的なレコーディングの一部として 610 を使用したアーティストの一部です。 これらの 610 デスクの 1 つは、有名な Wally Heider の“Green Board”です。このとても頑 丈なデスクは、60 年代前半に Wally Heider の リモートレコーディング・サービスのために Frank DeMedi によって作られました。Wally はもともと、Putnam の元で多くのライブレコー ディングを行っていました。このコンソールで、“Rat Pack”など時代を代表する多くのライ ブ・ショーや、Los Angeles で Igor Stravinsky の指揮による最後のコンサートのレコーディ ングやミックスを行いました。 Wally Heider の Green Board と共に 610 を使用したレコードのリストは膨大なものになり ます。ここにいくつかの Green Board を使用してレコーディングしたアーティストを紹介し ます。:Duke Ellington、Elvis Presley、Johnny Cash at Folsom Prison、Fats Domino、 Little Richard、Cream、The Beach Boys、The Doors、Janis Joplin with Big Brother & The Holding Company、The Who、The Grateful Dead、The Steve Miller Band、Moby Grape、The Byrds、Jefferson Airplane、Booker T. & the M.G.s、Otis Redding、Eric Burdon and The Animals、Simon and Garfunkel、The Jimi Hendrix Experience (live at the Monterey Pop Festival、彼がギターに火を放った最初のライブ) 70 年代初頭、この素晴らしいデスクの歴史的重要性が予想されるよりずっと前に Neil Young は Wally Heider から 12 チャンネルの Board を買いました。Young はそれをすぐに Broken Arrow Ranch に移動させました。彼はそれをレコーディングスタジオとして使用し ていた納屋に置き、彼の偉大なアルバム“Harvest”を始めとする多くのアルバムをレコー ディングしてきました。そして“Green Board”は、Broken Arrow Ranch で今も現役で使用 されています。 UAD Powered Plug-Ins Manual -8- Chapter 51: UA 610-B Tube Preamp オリジナルの Wally Heider “Green Board” Console は、12 チャンネル のビンテージ UA 610-A プリアンプ・モジュールを搭載しています。 モダン Universal Audio 2-610 デュアルチャンネル・チューブアンプ UAD Powered Plug-Ins Manual -9- Chapter 51: UA 610-B Tube Preamp
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