5 「ヒノヒカリ」の全量基肥栽培における生育特性 浦 広幸・内川修・緒方

「ヒノヒカリ」の全量基肥栽培における生育特性
「ヒノヒカリ」の全量基肥栽培における生育特性
「ヒノヒカリ」の全量基肥栽培における生育特性
1)
2)
1) 1)
2) 2)
・宮崎真行
・宮崎真行
○浦
○浦 広幸・内川修・緒方大輔・森田茂樹・平田朋也
広幸・内川修・緒方大輔・森田茂樹・平田朋也
・宮崎真行
○浦
広幸・内川修・緒方大輔・森田茂樹・平田朋也
1)
2)
1) 1)
2) 2)
(福岡農林試・
(福岡農林試・田川普指セ・
田川普指セ・福岡県農林水産部)
福岡県農林水産部)
(福岡農林試・
田川普指セ・
福岡県農林水産部)
より
より
11
日早く,出穂期前まで記録的な高温で経
日早く,出穂期前まで記録的な高温で経
より
1111
日早く,出穂期前まで記録的な高温で経
【目的】
【目的】
【目的】
近年,温暖化により水稲,特に主要品種「ヒノ
近年,温暖化により水稲,特に主要品種「ヒノ
近年,温暖化により水稲,特に主要品種「ヒノ
過した(データ略)。分施栽培に比べ全量基肥栽
過した(データ略)。分施栽培に比べ全量基肥栽
過した(データ略)。分施栽培に比べ全量基肥栽
ヒカリ」の収量および玄米外観品質の低下が問題
ヒカリ」の収量および玄米外観品質の低下が問題
ヒカリ」の収量および玄米外観品質の低下が問題
培では,2
培では,2
か年とも幼穂形成期および穂揃期の窒
か年とも幼穂形成期および穂揃期の窒
培では,2
か年とも幼穂形成期および穂揃期の窒
となっている。福岡県では緩効性肥料を活用した
となっている。福岡県では緩効性肥料を活用した
となっている。福岡県では緩効性肥料を活用した
素吸収量がやや少なかった。平年並の気温で推移
素吸収量がやや少なかった。平年並の気温で推移
素吸収量がやや少なかった。平年並の気温で推移
全量基肥栽培が水稲全面積の
全量基肥栽培が水稲全面積の
66割まで普及してお
6割まで普及してお
割まで普及してお
全量基肥栽培が水稲全面積の
した
した
2012
2012
年は,玄米重に差は見られなかった。
年は,玄米重に差は見られなかった。
した
2012
年は,玄米重に差は見られなかった。
り,この面積拡大が収量および品質低下に影響し
り,この面積拡大が収量および品質低下に影響し
り,この面積拡大が収量および品質低下に影響し
一方,梅雨明けが早く高温条件で経過した
一方,梅雨明けが早く高温条件で経過した2013
2013
一方,梅雨明けが早く高温条件で経過した
2013
ているとの指摘もある。そこで,全量基肥栽培と
ているとの指摘もある。そこで,全量基肥栽培と
ているとの指摘もある。そこで,全量基肥栽培と
年では幼穂形成期の葉色および玄米重が低下した
年では幼穂形成期の葉色および玄米重が低下した
年では幼穂形成期の葉色および玄米重が低下した
分施栽培との窒素吸収量,収量,外観品質,食味
分施栽培との窒素吸収量,収量,外観品質,食味
分施栽培との窒素吸収量,収量,外観品質,食味
が,追肥を加えることで,分施区と同程度の玄米
が,追肥を加えることで,分施区と同程度の玄米
が,追肥を加えることで,分施区と同程度の玄米
の違いを検討するとともに,全量基肥栽培に追肥
の違いを検討するとともに,全量基肥栽培に追肥
の違いを検討するとともに,全量基肥栽培に追肥
重となった。
重となった。
重となった。
全量基肥栽培では,玄米タンパク質含有率が高
全量基肥栽培では,玄米タンパク質含有率が高
全量基肥栽培では,玄米タンパク質含有率が高
を加えた場合の収量および品質改善効果を検討し
を加えた場合の収量および品質改善効果を検討し
を加えた場合の収量および品質改善効果を検討し
た。
た。
た。
くなったが,外観品質および食味に差は認められ
くなったが,外観品質および食味に差は認められ
くなったが,外観品質および食味に差は認められ
【材料および方法】
【材料および方法】
【材料および方法】
なかった。しかし,全量基肥+追肥区においては
なかった。しかし,全量基肥+追肥区においては
なかった。しかし,全量基肥+追肥区においては
玄米タンパク質含有率が高くなり,食味がやや低
玄米タンパク質含有率が高くなり,食味がやや低
玄米タンパク質含有率が高くなり,食味がやや低
試験は
試験は
2012
2012
年と
年と
2013
2013
年の
年の
22 か年,福岡県筑紫
2か年,福岡県筑紫
か年,福岡県筑紫
試験は
2012
年と
2013
年の
下する傾向がみられた。
下する傾向がみられた。
下する傾向がみられた。
野市の砂壌土水田で「ヒノヒカリ」を用いて実施
野市の砂壌土水田で「ヒノヒカリ」を用いて実施
野市の砂壌土水田で「ヒノヒカリ」を用いて実施
した。表
した。表
11 に示した窒素施肥法で,全量基肥栽培
1に示した窒素施肥法で,全量基肥栽培
に示した窒素施肥法で,全量基肥栽培
した。表
以上のことから,「ヒノヒカリ」の全量基肥栽
以上のことから,「ヒノヒカリ」の全量基肥栽
以上のことから,「ヒノヒカリ」の全量基肥栽
には,速効性:LP
には,速効性:LP
コート
コート
SS シグモイド
Sシグモイド
シグモイド
100
100
日型
日型
には,速効性:LP
コート
100
日型
培では,分施栽培に比べて窒素吸収量がやや少な
培では,分施栽培に比べて窒素吸収量がやや少な
培では,分施栽培に比べて窒素吸収量がやや少な
:LP
:LP
コートシグモイド
コートシグモイド
120
120
日型=50:35:15
日型=50:35:15
で
:LP
コートシグモイド
120
日型=50:35:15
でで
いが,外観品質や食味が低下することはなかった。
いが,外観品質や食味が低下することはなかった。
いが,外観品質や食味が低下することはなかった。
配合した肥料を用いた。
配合した肥料を用いた。
配合した肥料を用いた。
年次により収量が低下したが,その軽減策として
年次により収量が低下したが,その軽減策として
年次により収量が低下したが,その軽減策として
【結果および考察】
【結果および考察】
【結果および考察】
追肥施用が有効と考えられる。しかし,追肥によ
追肥施用が有効と考えられる。しかし,追肥によ
追肥施用が有効と考えられる。しかし,追肥によ
2012
2012
年は,梅雨明けが平年より
年は,梅雨明けが平年より
44 日遅く,水
4日遅く,水
日遅く,水
2012
年は,梅雨明けが平年より
り玄米タンパク質含有率が高くなり,食味がやや
り玄米タンパク質含有率が高くなり,食味がやや
り玄米タンパク質含有率が高くなり,食味がやや
稲の生育期間中は総じて平年に近い気温で推移し
稲の生育期間中は総じて平年に近い気温で推移し
稲の生育期間中は総じて平年に近い気温で推移し
低下するため,食味に悪影響を及ぼさない施肥時
低下するため,食味に悪影響を及ぼさない施肥時
低下するため,食味に悪影響を及ぼさない施肥時
た。一方
た。一方
2013
2013
年は,梅雨明けが
年は,梅雨明けが
77 月
7月月
88日と平年
8日と平年
日と平年
た。一方
2013
年は,梅雨明けが
期を検討する必要がある。
期を検討する必要がある。
期を検討する必要がある。
表
11 1 全
量
基
肥
栽
培
に
お
け
る
「
ヒ
ノ
ヒ
カ
リ
」
の
幼
穂
形
成
期
の
葉
色
と
玄
米
収
量
お
よ
び
品
質
表表
全全
量量
基基
肥肥
栽栽
培培
にに
おお
けけ
るる
「「
ヒヒ
ノノ
ヒヒ
カカ
リリ
」」
のの
幼幼
穂穂
形形
成成
期期
のの
葉葉
色色
とと
玄玄
米米
収収
量量
おお
よよ
びび
品品
質質
年
年
試
験
年次
次次 試
試験
験区
区区
幼
幼
穂
形
成
幼穂
穂形
形成
成期
期期
窒
窒
窒素
素素
玄
玄
米
収
検
整
白
未
玄
食
玄米
米重
重重 収
収量
量量 検
検査
査査 整
整粒
粒粒 白
白未
未熟
熟熟 玄
玄米
米米 食
食味
味味
対
対
等
歩
粒
割
タ
総
対比
比比 等
等級
級級 歩
歩合
合合 粒
粒割
割合
合合 タ
タン
ンン 総
総合
合合
葉
葉
葉色
色色
パ
パ
パク
クク
吸
吸
収
吸収
収量
量量
g/㎡
g/㎡
g/㎡
全
全
量
基
7kg
7kg
全量
量基
基肥
肥肥
7kg
2012
2012 全
全
量
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
-18)
2012
全量
量基
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(-18)
-18)
6.6
6.6
6.6
37.3
37.3
37.3
kg/a
kg/a
kg/a
%
%%
59.5
59.5
59.5
99
9999
4.5
4.5
4.5
%
%%
%
%%
%
%%
75.2
75.2
75.2
10.8
10.8
10.8
6.7
6.7
6.7
0.08
0.08
0.08
6.6
6.6
6.6
37.3
37.3
37.3
61.0
61.0
61.0
101
101
101
5.0
5.0
5.0
74.1
74.1
74.1
14.5
14.5
14.5
6.7
6.7 -0.10
-0.10
6.7
-0.10
全
全
量
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
-6)
全量
量基
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(-6)
-6)
6.6
6.6
6.6
37.3
37.3
37.3
58.2
58.2
58.2
97
9797
3.5
3.5
3.5
76.5
76.5
76.5
10.1
10.1
10.1
6.8
6.8
6.8
全
全
量
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
+1)
全量
量基
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(+1)
+1)
6.6
6.6
6.6
37.3
37.3
37.3
59.9
59.9
59.9
100
100
100
5.0
5.0
5.0
72.9
72.9
72.9
13.9
13.9
13.9
7.0
7.0 -0.03
-0.03
7.0
-0.03
基
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
分
施
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(分
分施
施)
))
6.8
6.8
6.8
37.1
37.1
37.1
60.1
60.1
60.1
100
100
100
4.5
4.5
4.5
73.6
73.6
73.6
13.5
13.5
13.5
6.4
6.4
6.4
0.03
0.03
0.03
全
全
量
基
7kg
7kg
全量
量基
基肥
肥肥
7kg
5.9
5.9
5.9
36.0
36.0
36.0
50.3
50.3
50.3
94
9494
3.0
3.0
3.0
88.4
88.4
88.4
2.1
2.1
2.1
6.9
6.9
6.9
0.10
0.10
0.10
肥
11回
-18)
2013
2013 全
全
量
基
肥
+追
1(
回
(
2013
全量
量基
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(-18)
-18)
0.00
0.00
0.00
5.9
5.9
5.9
36.0
36.0
36.0
54.4
54.4
54.4
101
101
101
3.0
3.0
3.0
89.8
89.8
89.8
2.1
2.1
2.1
7.0
7.0 -0.04
-0.04
7.0
-0.04
全
全
量
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
-6)
全量
量基
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(-6)
-6)
5.9
5.9
5.9
36.0
36.0
36.0
54.7
54.7
54.7
102
102
102
3.0
3.0
3.0
90.5
90.5
90.5
2.9
2.9
2.9
7.0
7.0 -0.12
-0.12
7.0
-0.12
全
全
量
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
+1)
全量
量基
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(+1)
+1)
5.9
5.9
5.9
36.0
36.0
36.0
53.3
53.3
53.3
99
9999
3.0
3.0
3.0
88.2
88.2
88.2
3.4
3.4
3.4
7.2
7.2 -0.11
-0.11
7.2
-0.11
基
基
肥
+追
肥
11回
1(
回
(
分
施
基肥
肥+追
+追
肥肥
回
(分
分施
施)
))
7.2
7.2
7.2
39.3
39.3
39.3
53.7
53.7
53.7
100
100
100
3.0
3.0
3.0
90.3
90.3
90.3
1.8
1.8
1.8
6.4
6.4
6.4
0.04
0.04
0.04
1)6
1)6
月
20
日
日
移
植
。
出
穂
期
88月
8月月
27
日
日
(2012
年
年
)お
よ
よ
88月
8月月
25
日
日
(2013
年
年
)で
,
,
出
穂
期
20
日
日
間
の
平
均
1)6
月月
2020
日移
移植
植。
。出
出穂
穂期
期は
はは
2727
日(2012
(2012
年)お
)お
よび
びび
2525
日(2013
(2013
年)で
)で
,出
出穂
穂期
期後
後後
2020
日間
間の
の平
平均
均気
気気
温
温
2012
2012
年
年
26.0℃
26.0℃
,
,
2013
年
年
25.2℃
25.2℃
(
(
太
宰
府
ア
メ
ダ
ス
)
。
幼
穂
形
成
期
88月
8月月
8~
8~
99日
9日に
日
に
調
査
温は
はは
2012
年で
でで
26.0℃
,2013
2013
年で
でで
25.2℃
(太
太宰
宰府
府ア
アメ
メダ
ダス
ス)
)。
。幼
幼穂
穂形
形成
成期
期は
はは
8~
に調
調査
査。
。。
2)全
2)全
量
量
基
肥
+追
肥
肥
1
回
区
は
,
追
肥
(
窒
1.5kg/10a)
1.5kg/10a)
の
の
時
期
33水
3水準
水
準
(
出
穂
期
-18,
-6,
-6,
+1
日
日
)
設
定
2)全
量基
基肥
肥+追
+追
肥1
1回
回区
区は
は,
,追
追肥
肥(
(窒
窒素
素素
1.5kg/10a)
の時
時期
期を
をを
準(
(出
出穂
穂期
期-18,
-18,
-6,
+1+1
日)
)設
設定
定。
。。
3)分
3)分
施
施
栽
培
の
窒
素
施
肥
量
は
基
5kg/10a,
5kg/10a,
追
追
22㎏
2㎏/10a
㎏
/10a
の
の
合
7kg/10a
7kg/10a
と
と
し
た
3)分
施栽
栽培
培の
の窒
窒素
素施
施肥
肥量
量は
は基
基肥
肥肥
5kg/10a,
追肥
肥肥
/10a
の合
合計
計計
7kg/10a
とし
した
た。
。。
4)検
4)検
査
査
等
級
1(
1(
11等
1等上
等
上
)
~
9(
33等
3等下
等
下
)
で
示
し
た
4)検
査等
等級
級は
はは
1(
上)
)~
~9(
9(
下)
)で
で示
示し
した
た。
。。
─ 5 ─
p001-017cs6.indd
5
2014/07/31
8:46:12