第1学年3組 1 単元名 数学科学習指導案 比例と反比例 2 目 標 (1)具体的な事象の中にある二つの数量の変化や対応を調べることを通して,比例・反比例の関 係を見いだし,その見方や考え方を意欲的に問題解決に活用しようとする。 【数学への関心・意欲・態度】 (2)事象の中にある比例・反比例の関係やきまりをとらえたり,見通しをもって筋道を立てて考 えたりすることができる。 【数学的な見方や考え方】 (3)二つの数量の変化を比例・反比例の関係としてとらえ,表,式,グラフを用いて表現したり, その特徴を読み取ったりすることができる。 【数学的な技能】 (4)比例・反比例の関係や座標,比例定数の意味,比例・反比例の関係を表す表,式,グラフの 特徴を理解することができる。 【数量や図形などについての知識・理解】 3 生徒と単元 (1)生徒について < 略 > (2)単元について 小学校算数科では,第4学年から第6学年にかけて,比例と反比例の関係について以下 の内容を学習してきている。 ・数量の関係を□,△,a , x などを用いて式に表し,それらに具体的な数を当てはめて 変化を調べる ・変化の様子を折れ線グラフで表して,その変化の特徴を読み取る ・比例の関係を理解して,それを用いて問題解決をする ・比例の理解を一層深めることをねらいとして,反比例の関係を理解する このように,表の変化や対応を調べたり,式に表したりする学習は小学校算数科でも学 習してきたので,小学校の学習と中学校の学習を比較すると,考えられる値の変域が正の 数・0・負の数へと拡張されること以外にはほとんど違いがないように見える。しかし, 中学校ではより一層関数的な見方や考え方をすることを意識して深めていく。自分がとら えようとする事象を,すでに分かっている事象,あるいはよりとらえやすい事象に置き換 えて考え,「 y は x の関数である 」と整理していく。そして,具体的な数量だけでなく, そこから予測される数量を表にして変化(横の関係)や対応(縦の関係)を見たり,一般 a 式「 比例 yx ax 」「反比例 yx x 」( a:比例定数 )に代入して未知の数量を求めたり, 座標平面上に点を示して,その点の集合としてグラフに表したりする。 特に,式とグラフの関係については比例定数 a の値に注目して,その変化を意識させる。 反比例のグラフである双曲線の詳細については,中学校で学習する。小学校では,表や式か ら求められた点は直線には並ばないことは確認している。さらに中学校では点の位置をたく さん調べ,原点 O(0,0)は通らないこと,直線ではなく並んだ点をなめらかに結ぶこと, 座標平面上で対角に2組の曲線で表されることを学習する。理科の学習で,実験結果を折れ 線グラフで表すことはあるが,点をなめらかに結ぶというグラフは,これまでの学習におい て経験がなく,新しい指導内容であると言える。 (3)指導にあたって 本単元では,伴って変わる二つの数量について,小学校から培ってきたことを土台として, それらの関係を考察する能力をさらに伸ばしていく。つまり,伴って変わる二つの数量を変 数 x , y で表すときに, x の値を決めると,それに伴って y の値もただ1つに決まることを, 表や式,グラフを用いて繰り返し確認していく。そして,表や式,グラフの相互の関連を大 切にし,表から式,表からグラフ,式から表・・・というようにいつでも思考が往復できる ように指導していく。ただし,比例と反比例は関数の一例であって,比例と反比例だけが関 数であるような誤解に陥らないよう,関数概念の広がりを実感することができるように指導 する。そして,今後,第2学年で学習する「一次関数」や第3学年で学習する「2乗に比例 する関数」につなげていくこともねらいであると考えて指導していく。 ①自らの思考を整理し,明確に示すための工夫(記述を生かした授業づくりの工夫) 問題解決のためには,必ず自力思考の場を設け,自分なりの考えをノートにかく時間を確 保している。中には,記述となるとどうかいたらいいのか悩んでしまう生徒もいるが,その 際には考えていることをそのまま素直に,図や表,式等の表現も用いてかくように助言して いる。まずは一度かき出すことで,自分自身の頭の中も整理され,次第に簡潔で分かりやす くまとめられると考えるからだ。また,毎時間振り返りカードを記入しており,その活動を 通して,文章表現力も徐々に身に付いてきていると感じられる。 ②考えを伝え合い,共有・深化し合う場の設定(思考力・判断力・表現力等の評価の工夫) 生徒の思考過程は人それぞれであり,それらの様々な考えに触れることは数学的活動の楽 しさのひとつと考えられる。そのため,隣同士やグループ,全体での話合い・情報交換の場 を効果的に設定するよう心がけている。他者の意見を理解したり,自分の疑問が解決された り,新たにひらめいたりと,学習問題を解決するまでに多くの考えに触れながら試行錯誤す ることで,一人一人の学びがさらに高められると考える。その際,ノートや学習シートに記 述した内容や話合いの様子,評価問題から思考力・判断力・表現力を評価していく。また, 教師による評価だけでなく,生徒の推薦によって分かりやすい説明などを全体に紹介するな ど,生徒同士で認め合う活動も取り入れている。 4 指導計画 (1)全体計画(総時間数18時間 節 小 単 元 本時 9/18) 時 ね ら い 学 習 活 動 評 価 規 準 と 評 価 方 法 1 1 待ち時間の予想はできるかな? 関 数 1 ・身近な場面において,行列の待ち時間などを比例の考 ・行列の待ち時間を,比例の考えを使って予想する。 え方を使って予想できる事象があることを,知ること ができる。 2 2 関数 時 間 2 ・変数や関数の意味を理解し,事象の中にある関数関係 ・変数や関数の意味を理解する。 ・関数の関係を見いだし,表や式やことばで表す ことがで を見いだすことができる。 ・事象の中のことがらが,関数であるかどうかを判断する。 きる。 【技能】(ノート・評価問題) ・関数であることがらを「~は…の関数である」と表す。 ・変数や関数の意味,事象の中には関数関係が存 在するこ とを理解している。 【知識・理解】(ノート・発言) 3 ・比例の意味を理解し,身近な事象において比例するこ ・比例,定数,比例定数の意味を理解する。 とがらの変化の特徴を表を用いて調べたり,その関係 ・比例することがらの変化の特徴を調べ,表にする。 を式に表して考察したりすることができる。 ・比例する二つの数量の関係を式 yx ax で表す。 4 ・変域の意味を理解し,変数や比例定数が正負それぞれ ・変域の意味を理解し,不等号を使って表す。 ・変域の意味,値の変化や対応のようすについて, 比例の の場合において,値の変化を調べたり,その変域を不 ・ x の変域や比例定数が負になる比例について,値の変化 特徴を理解している。 【知識・理解】 (ノー ト) 等号を用いて表したりすることができる。 のようすを調べる。 5 ・負の数も範囲に入れた点の位置の決め方を理解し,平 ・座標に関する 用語の意味を理解する。 ・平面上の点の座標を求めたり,二つの数の組を 座標平面 面上の点の座標を読み取ったり,座標が与えられた点 ・平面上の点の表し方を理解し,点の座標を読み取ったり, 上に点で示したりすることができる。 を平面上に示したりすることができる。 座標が与えられた点を平面上に示したりする。 【技 能】 (ノート・評価問題) 6 7 ・比例 yx ax の表をもとに,平面上で通る点の座標を ・多くの点をとって調べ, yx ax の グラフをかく。 ・比例のグラフをかくことができる。 調べて,多くの点の集まりがグラフになることを理解 ・グラフの特徴を,比例定数の正負の場合を比較しながら 【技能】(ノート・評価問題) し,グラフをかいたり,その特徴を比例定数の正負の 調べる。 ・比例の特徴をグラフを利用して見いだすことが できる。 場合も比較しながら調べたりすることができる。 ・グラフから,x ,y の値の変化や増加量の関係を調べる。 【見方や考え方】(ノート・発言) 8 ・表,式,グラフの相互関係を意識しながら,言葉や表 ・1組の x , y の値から比例の式を求める。 の一部,座標として示された1組の x , y の値やグラ ・比例を表すグラフから,比例の式を求める。 フから比例の式を求めることができる。 1 比例する量 2 2 比例のグラフ 比 例 9 時 3 間 比例の式を求めること 4 比例の利用 ・行列の待ち時間の求め方を考えようとしている。 【関心・意欲・態度】(ノート・発言) ・行列の待ち時間を,比例の考えをもとに予想できること を知ることができる。 【知識・理解】(ノート・発言) ・比例の関係を表や式に表すことができる。 【技能】(ノート) ・身近な事象において比例することがらの変化や対応の特 徴を,表や式を利用して見いだすことができる。 【見方や考え方】(ノート・発言) ・1組の x , y の値やグラフから比例の式を求めることが できる。 【技能】(ノート・評価問題) 9 ・伴って変わる二つの数量の特徴を調べ,自分なりの理 ・シュレッダーのゴミとコピー用紙の関係において,比例 ・日常生活における二つの数量が比例するかどうかを,自 【本時】 由をはっきりさせて比例するかどうかを判断すること するかどうかを調べ,その理由を明らかにして判断する。 分な りの理由を明らかにして判断することができる。 ができる。 【見方や考え方】(ノート・評価問題) 10 11 ・比例することを式で判断したり,比例の見方や考え方, ・比例することを式を用いて判断する。 ・比例することを式を用いて判断することができる。 グラフを利用して具体的な場面の問題を解いたりする ・具体的な問題を,比例の見方や考え方を利用して解決す 【見方や考え方】(ノート) ことができる。 る。 ・比例の見方や考え方を利用したり,グラフを読み取った ・比例のグラフを読み取って,具体的な問題を解決する。 りして具体的な場面の問題を解くことができる。 【技能】(ノート・評価問題) 12 ・反比例の意味を理解し,身近な事象において反比例す ・長方形の2辺と面積や周の長さの関係や変化の特徴を調 ・反比例の関係を表や式に表すことができる。 ることがらの変化の特徴を表を用いて調べたり,その べることを通して,反比例の意味を理解する。 【技能】(ノート) 関係を式に表して考察したりすることができる。 ・反比例の比例定数の意味を具体的な事象と関連付けたり, ・身近な事象において反比例することがらの変化や対応の 表を調べたりして考える。 特徴を,表や式を利用して見いだすことができる。 ・反比例する二つの量の関係を式で表す。 【見方や考え方】(ノート・発言) 13 ・変数や比例定数が正負それぞれの場合において,値の ・ x の変域や比例定数が負になる反比例について,値の変 ・値の変化や対応のようすについて,反比例の特 徴を理解 変化を調べることができる。 化のようすを調べる。 している。 【知識・理解】(ノート) 14 ・反比例 yx x のグラフをかくことができ,その特徴を ・反比例 yx x のグラフがどんなグラフになるかを,多く ・反比例のグラフをかくことができる。 【技能】(ノート・評価問題) 比例定数の正負の場合も比較しながら調 べることがで の点をとって調べ,グラフをかく。 ・反比例の特徴をグラフを利用して見いだすこと ができる。 a きる。 ・反比例 yx x のグラフの特徴を調べる。 【見方や考え方】(ノート・発言) 15 ・表,式,グラフの相互関係を意識しながら,言葉や表 ・1組の x , y の値から反比例の式を求める。 の一部,座標として示された1組の x , y の値やグラ ・反比例を表すグラフから,反比例の式を求める。 フから比例の式を求めることができる。 3 比例と反比例の利用 16 17 ・比例や反比例の見方や考え方,グラフを利用して,具 ・具体的な問題を,比例や反比例の見方や考え方を利用し ・比例や反比例の見方や考え方を利用したり,グラフを読 体的な場面の問題を解くことができる。 て解決する。 み取ったりして具体的な場面の問題を解くことができる。 ・比例や反比例のグラフを読み取って,具体的な問題を解 【技能】 (ノート・評価問題) 決する。 章の問題 18 ・章の問題に取り組み,自己の学習のふり返りをするこ ・章の問題に取り組む。 とができる。 1 反比例する量 3 反 比 例 2 反比例のグラフ 6 時 間 a a ・1組の x , y の値やグラフから反比例の式を求めること ができる。 【技能】(ノート・評価問題) ・既習事項を活用して,問題を解くことができる。 【知識・理解】【技能】(ノート) (2)本時の提案 〔提案〕自分の考える理由を記述して整理し,相手に伝える活動を通した思考力・判断力・表現力等を高めるための場の工夫 (3)本時の学習(9/18) ①ねらい 伴って変わる二つの数量の特徴を調べ,自分なりの理由をはっきりさせて比例するかどうかを判断することができる。 ②展開 学 習 活 動 形態 1.学習問題を把握する。 予 想 さ れ (1) 「たまったのゴミの重さとコピー用紙の枚数は比例している」 y A4コピー用紙の枚数 (枚) めあて 生 徒 の 反 応 一斉 シュレッダーで細かくしたコピー用紙について, 次のことは,正しい(○)でしょうか,正しくない(×)でしょうか。 x たまったゴミの重さ (kg) る 2 3 4 5 6 500 教 師 の 支 援 ☆努力を要する生徒に対する手立て ◎評価規準と評価方法 ・実際にシュレッダーで細かくしたコピー用紙を見せ, いくら分あるのかを予想させることを通して,枚数や 重さという数量を意識させる。 ・2㎏で 500 枚だから, ・A4コピー用紙の束の実物を見せ,1束500枚で, 4㎏のときは 1000 枚だと その重さが2㎏であることを紹介する。 わかる。さらに,6㎏の ・生徒の発言から作った表を見て,ゴミの重さとコピー ときは 1500 枚だとわかる。 用紙の枚数が比例していることに気付かせたい。 比例するかどうかを理由を明らかにして,判断しよう。 2.学習問題(1)に取り組み,比例すると判 断できる理由を確認し合う。 〔 提 案 〕 3.学習問題(2)に取り組む。 個・一斉 ・重さが2㎏から4㎏に2倍になると,枚数は 500 枚から ・なぜ比例すると判断できたかを考え,その理由を自分 1000 枚に2倍になり,2㎏から6㎏に3倍になると,500 なりの表現で発言するように助言する。 枚から 1500 枚に3倍になっているから。 ・(コピー用紙の枚数)÷(ゴミの重さ)は 250 で一定だから。 ・グラフで考える生徒のために,グラフ用紙を準備して おく。 ・表で,一方の値を2倍,3倍,…と変化させると, もう一方の値も2倍,3倍,…と変化するとき, その2つの数量は比例するといえる。 ・二つの数量が比例関係であるときの表や式,グラフな ☆二つの数量が比例関係であるときの どの特徴を全体で確認し,学習問題(2)に取り組む 表や式,グラフの特徴を,具体的な 際に活用できるよう,黒板にまとめる。 値を通してさらに詳しく確かめられ y x ・ が に比例するとき,式は yx ax 。 ・表の中のどの値に注目して考えたのかをはっきりさせ るようなヒントカードを準備する。 ・比例のグラフは,原点を通る直線。 て,理由を述べるように促す。 個 ・比例はしないと思う。 (2)「 月曜日から経過した日数とたまったのゴミの重さは比例している」 曜 日 月 火 水 木 金 x 月曜から経過した日数 (日) 0 1 2 3 4 たまったゴミの重さ y (㎏) 1 3 5 7 9 ・自分の考えた理由を伝えるために,書いてまとめるよ うに指示する。 ・解決できた生徒は,表や式,グラフなどいろいろな見 方の異なる理由からも判断してみるように促す。 4.4人グループで記述を基に情報交換をし, グループ いろいろな見方からいえる理由を確認し合い, シートに記入する。 ・日数が2日から4日に2倍になるとき,ゴミの重さは5㎏ ・グループで理由を紹介し合うことを通して,いろいろ ◎比例するかどうかを判断するために, から9㎏で2倍になっていない。 な見方からの理由に触れたり,友達のつまずきを共に 自分と友達の理由を比較しながら比 ・(ゴミの重さ)÷(日数)が一定にならない。 解決したりできるように時間を確保する。 例の特徴について話し合うことがで ・ x 日経過したときのゴミの重さ y ㎏として式に表すと, ・グループで出された考え方を,静電気シートにまとめ きる。 y =2 x +1となって, yx ax の形ではない。 るように促す。 【関心・意欲・態度】 (ノート・行動観察) 5.正しくない(比例しない)ことの理由を全 体で確認する。 ・比例かどうかを判断するための理由は,一つだけではない ・各グループの考えを見て,聞いて比較しやすいように, んだな。 静電気シートを並べて掲示する。 ・グループ活動でも解決できなかったところがある場合 は全体で取り上げ,学び合う場を設定する。 ・発表者に注目して,書きながら聞くことのないように 指示する。 6.評価問題を解き,自己評価をする。 一斉 個 ・理由の書き方で悩んでいる生徒には,各グループのシ ートを参考にするように助言する。 ◎伴って変化する二つの数量において, 自分なりの理由をもって比例するか どうかを判断することができる。 【見方や考え方】(評価問題)
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