「第一回 質量分析の定量セミナー」報告 日時:2014年6月3日(火)14:00~15:30 場所:生物科学研究棟 3階大セミナー室(S311) 講師:(株)島津製作所 山田 真希 先生 内容: 「高速トリプル四重極型質量分析計(LCMS-8040)による脂質メディエーターおよびリン脂質の一 斉分析手法の開発 ) ・脂質メディエーターについて ・脂質メディエーター一斉分析方法の開発 ・高速 MS/MS スキャンによるリン脂質分析 ・LCMS-8050 のご紹介 セミナー参加者:21名(島津関係者:2名) 主任研究員室:4室 環境資源科学研究センター:1チーム 脳科学総合研究センター:1ユニット グローバル研究クラスタ:1チーム、1ユニット グローバル研究クラスタの教育セミナー第 2 弾として、3 回シリーズで質量分析の定量測定方法を中 心に講演を行った。第 1 回は LCMS-8040 を用いた脂質メディエーターの一斉分析方法の開発を中心に 興味深いお話があった。また、参加者から、多くの質問があり、質疑応答も 20 分程度にわたり行われ た。質問は、試料はどのくらいあればよいかとか、回収率やイオンサプレッション、トランジションの 汲み方など実際の実験に即したものが多かった。講師からは、重水素ラベルした内部標準の回収率と、 前処理後に標準品を加えた回収率から、前処理の回収率とイオンサプレッションを区別して原因を解明 していると言った、ノウハウについてもご回答いただいた。 終了予定時間が30分伸び、15:30に終了しました。 アンケート結果(回答者:16名) 教育セミナーの内容は? 難しかった:7名、 適切であった:9名、 易しかった:0名 感想は?(複数回答有) ・MRM の原理、実際の応用・測定について理解ができた。 ・LC-MS による脂質メディエーターの分析について、基礎的なことから応用的な内容まで分かり易 く説明されており、大変参考になった。 ・初めの方の装置の原理、スペックの意味をもう少し説明して欲しかった。 ・質量分析法による定量の有用性と問題点について触れることができた。 ・LCMS-8040/8050 の他のアプリケーションも紹介して欲しかった。 ・Triple-Q の原理について良く分かった。 ・紹介された装置で QI を Scan に使うという発想が面白い。 ・脂質以外にも問題無く測定可能か知りたい。 ・脂質メディエーターについても学べて良かった。 ・極性の切替が早い所が良いと思った。 ・重水素体を内部標準として用いることが分かり勉強になった。 ・定量が一般的な時代が来た事がうれしい。 ・専門用語が多く、話の内容がほぼ分からなかった。 ・基礎的な知識が乏しく、分からない用語が多かった。 ・毛色が違って良かった。 ・質疑応答が後ろの方で聞き取り辛かった。 以上 グローバル研究クラスタ セミナー 3回シリーズ 第一回 質量分析の定量セミナー 今回の3回シリーズのセミナーでは、生体分子の質量分析による定 量測定の方法を講演いたします。 生物系の質量分析では、どのような成分があるかを調べる定性的な 分析から、どのくらいあるかを調べる定量的な分析へと興味が移りつつ あります。また、それに合わせて、装置や手法も日進月歩で進んでおり、 今まで調べることが出来なかったような微量成分や、多種類の成分の 一斉分析なども行うことが出来るようになってきています。今回、第一 回では講師に島津製作所の山田真希先生をお迎えして、リピドミクスを 例に高速MRMを中心に定量の質量分析法についてご講演いただきま す。ご興味のある方、お時間の許す方は是非ご参加ください。 なお、事前に人数把握のため、下記の渡辺まで、ご連絡ください。 日時 場所 講師 題名 2014年6月3日(火)14:00~15:00 生物科学研究棟 3階大セミナー室(S311) 株式会社島津製作所 山田真希 先生 「高速トリプル四重極型質量分析計(LCMS-8040)による脂質 メディエーターおよびリン脂質の一斉分析手法の開発」 (日本語での講演: Japanese only ) 主催 連絡先 グローバル研究クラスタ 連携支援ユニット 連携支援ユニット 渡辺 ([email protected]) 今後の予定 6月24日(火):第二回 Thermo Fisher Scientific (株) 7月10日(木):第三回 (株) AB SCIEX 高速トリプル四重極型質量分析計 LCMS-8040による脂質メディエーター およびリン脂質の一斉分析法の開発 2014年6月3日(火) (株)島津製作所 分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター 山田真希(やまだまさき) 脂質メディエーター • 生理活性を示す生体内脂質代謝物の総称 ・脂肪酸代謝物 ・リン脂質代謝物 ・スフィンゴ脂質 ・コレステロール代謝物 ・…etc. • 脂質代謝酵素により産生 ・一つの前駆体から異なる生理活性を示す代謝物群が生じる • 受容体のリガンドとして機能する ・1リガンド(の機能)⇔1受容体(の機能) アラキドン酸カスケード Shimizu et.al., Annu. Rev. Pharm. Toxic. 2009 トリプル四重極型質量分析計(Triple-Q) MRM (multiple reaction monitoring) 法 or SRM (selected reaction monitoring) 法 ・トリプル四重極型MSを用いた高感度定量用の検出モード ・クロマトグラフィーと組み合わせて使用 例)12(S)-HETE(分子量320)を検出する場合 Inert gas HPLC ESI MS1 Collision Cell (イオン化) (m/z = 319 を選択する (衝突誘起解離) フィルタとして固定) Detector MS2 (m/z = 179 を選択する フィルタとして固定) 5 MRMの利点 PDA (UV) SPD-M20A Single-Q LCMS-2020 20 ppm UV Triple-Q LCMS-8030 10 ppb SIM 感度低く,バックグラウンドも高い 低 高感度だが,バックグラウンドが高い 選択性・感度 10 ppb MRM バックグラウンドを取り除き,高い S/Nで微量定量が可能 高 トリプル四重極型LC/MS/MS: LCMS-8040 スキャンスピード: 極性切替速度: Pause time (minimum): 最大SRM数: 高速 15,000 u/sec 15 msec 1 msec 555 ch/sec MRMモードの動作 4種の化合物をPositiveモードとNegativeモードで検出する場合 Positive Dwell time: データ取り込み時間 Pause time: ⇒A モード切替時間 Negative Positive Dwell Dwell Dwell Dwell Dwell A B C D A Pause A⇒B 極性切替時間 B⇒C C⇒D Pause Pause Pause A⇒B Pause 351.10>271.10(-) 250000 200000 cps 1ミリ秒で電圧を切り替え、 15ミリ秒で極性を切り替え 安定に電圧を供給 Pause 8-iso PGE2 300000 LCMS-8040では、 極性切替時間 D⇒A PGE2 150000 4秒 100000 50000 0 10.50 10.55 10.60 10.65 10.70 10.75 10.80 10.85 10.90 10.95 min Time (min) ピーク半値幅4秒のクロマトグラムでプロット Ultra-High Speed UFsweeper® がイオンを効率よく sweeping(一掃) q2 (コリジョンセル) 検出部 Q3 q2 コリジョンセル( 衝突セル / 衝突室) Q1とQ3の四重極ロッド間に配置された高周波イオンガイドのことでq2 を指す。加速したイオンを不活性ガスと衝突させると、その衝突エネル ギーによってイオンが壊れるためにイオンの解離が起きるが、これを衝 突誘起解離(CID:collision-induced dissociation)という。 Q1 15分間サイクルでの一斉分析 2005 ver. 標準品5pgずつの 混合物の検出例 内部標準として 6-ketoPGF1a, TxB2, PGF2a, PGE2, PGD2, PGB2, LTB4, 5-HETE, 12-HETE, 15-HETE, PAF の重水素標 識化合物が利用可能 Kita et.al., Anal. Biochem. 2005 130成分の一斉分析 2013 ver. LCMS-8040により脂質メディエーター標準品130成分を一斉分析 Int. (x 100000) 15-oxoEDE OEA 8.0 7.0 PEA PGJ2 6.0 Cys-LTs 20-HETE HETEs 15-HEPE HEPEs EET-EAs HDoHEs AEA EETs HODEs DiHETEs DHETs PAF & LTB4 PGA2 5.0 8-iso-PGE2 4.0 3.0 2.0 tetranor tetranor PGEM PGFM tetranor PGDM 6-keto-PGF1a 20-OH-PGE2 PGF2a PGE2 PGD2 Isoprostanes AA EPA DHA 20-OH-PGF2a 1.0 0.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0 19.0 20.0 min 150 50 0 6ketoPGF1a 13-14dh 15k tetnol PGF1b 13-14 dh15k tetnol PGF1a 13-14 dh15k tetnol PGE2 6-15 dk 13-14 dh PGF1a 8i15rPGF2a 8iPGF2a TXB2 PGE3 8iPGF2b 8iPGF1b 5iPF2a PGD3 PGF2a 8iPGE2 PGE2 15k PGF2a PGD2 PGE1 PGD1 15k PGE2 1314dh-15k-PGF2a 5S6R15S-LXA4 1314dh-15k-PGE2 LTD4 pos 13-14dh 15k PGD2 LTC4 pos LTE4 pos 11 trans LTC4 pos 11-trans LTE4 pos PGA2 PGJ2 PGB2 17-18 DiHETE 5-15 DiHETE 6trans LTB4 LTB4 12epi LTB4 13-14 dh15k PGJ2 pos 14-15 DiHETE 56-DiHETE 14-15 DHET 12S-HHTrE 11-12 DHET 8-9 DHET 20 carboxy AA 13 HOTrE 18 HEPE 15deoxy-d1214-PGJ2 20 HETE 15 HEPE 18 HETE 17 HETE 12 HEPE 5 HEPE 16 HETE 9 HODE 13S HODE 15 HETE 13 oxoODE 16 HDoHE 11 HETE 9 oxoODE 13 HDoHE 8 HETE 10 HDoHE 14 HDoHE 15 HpETE 12 HETE PAF 17 HDoHE 7 HDoHE 11 HDoHE 5 HETE 8 HDoHE 15 HETrE 12 HpETE 12 oxoETE 4 HDoHE 5 HpETE 5 oxoETE 15 HEDE AEA pos1 5-6 EET pos 8-9 EET PEA pos1 15-oxoEDE pos Oleoyl EA pos1 pg/mg tissue マウス脳の脂質メディエータープロフィル brain brain 250 PGD2 200 PGF2a 100 PGE2 メソッドパッケージ LC/MS/MS Rapid Toxicology Screening System LC/MS/MS Method Package for Lipid Mediators LC/MS/MS Method Package for Primary Metabolites 12 高速スキャン時のピーク形状 • MS1の高速スキャン ・15000 u/sec (Q3MS) ・最高速でもピーク形状保っていて美しい LCMS-8040によるMS/MSスキャンの例 Precursor ion scan (m/z 184 for PC) 1.25 1.00 0.75 Inten.(x100,000) 760.5 Speed: 0.4 sec/scan 3750 unit/sec m/z 150 – 1500 1.75 Inten.(x10,000) 782.4 1.50 1.25 786.5 約4倍高速 1.00 0.75 0.50 0.50 0.25 0.25 834.5 0.00 250 500 750 0.00 780.0 785.0 1000 790.0 m/z 1250 m/z Neutral loss scan (141 for PE) 2.5 2.0 Inten.(x10,000) Inten.(x10,000) 716.6 792.6 0.12 sec/scan 10000 u/sec m/z 400 - 1400 1.00 0.75 1.5 716.6 717.6 約10倍高速 0.50 1.0 0.25 0.5 0.00 840.5 638.7 715.0 0.0 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 720.0 1300 m/z m/z LCMS-8050: Speed and Sensitivity Beyond Comparison 1. Best in Class Sensitivity 2. World Fastest Scanning Speed: 30,000 u /sec 3. World Fastest Polarity Switching Rate: 5 msec
© Copyright 2024 ExpyDoc