平成1 9年度~平成22年度 科学研究費補助金(基盤研究(C

若年性神経難病患者の"社会との接点''と
"SEIQoL-DW"との関連に関する研究
(課題番号1 9592546)
平成1 9年度~平成22年度
科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究成果中間報告書
平成22年3月
代表研究者 秋 山 智
広島国際大学看護学部教授
は じ め に
広島国際大学 教授 秋山 智
我が国のパーキンソン病患者さんの人数は年々増加傾向にあり、特定疾患受給者だけで
も全国に約10万人近く、それ以外の人も含めるとその約2倍ともいわれています。難病(特
定疾患)の中では最も数が多く、一般的に見てももはや稀な病気とはいえないのかもしれ
ません。
この病気は、一般には、初老期以降、特に老人に多い病気と認識されています。しかし
実際にはそのうち約5 %が40歳未満発症の若年性といわれています。若年者のみに注目す
ると、まだあまり社会には知られておらず、比較的稀な存在といえると思います。
若年発症者には、高齢発症者とは違う状況や問題があります。例えば、疾患自体の進行
の仕方、薬の効き方や副作用の出方、あるいは遺伝の問題など、身体的に見てもいくつか
の特徴がありあます.しかし、それ以上に重要なのが、心理・社会的な問題です。
その最たるものが就業問題と、それに関連した経済的問題です。病気を隠して働いてい
る人もたくさんいます。しかしそれも限界に達して、やむなく退職した人も多くいます。
職を失った男性は、経済的問題のみならず、自尊心の問題にも悩まされます。一方、特に
若い女性には、育児・子育ての問題があります。さらには、あまり知られていませんが、
この病気になってから結婚・出産している人もいます。また、中には親の介護を担ってい
る人もいます。
いずれにしても、これら若年性の問題は世間にはほとんど知られていません。世間どこ
ろか、我々医療者の間でもあまり認識されていません。したがって、若年患者が入院して
もあまり個々の問題がしっかりと捉えられていないのです。入院してつらい目にあったと
いう若年者の声も多くあります。老人のパーキンソン病患者と同じように扱われたり、OFF
状態の辛さをわかってもらえなかったりなど、本当に申し訳ないことです。
私は、看護学の専門家として、そのような状況をできるだけ改善したいと思っています。
そのために、現在、全国の若年者の皆様に直接お会いして、お話を伺っているところです。
そして、その結果を、医療・看護系の学会活動や厚労省の研究班、大学・大学院での教育
などに生かしています。この活動は、微力ながら私のライフワークと認識しています。
私は、早いもので医療・看護の世界に入って、 30年近くになろうとしております。元々
は、国立精神・神経センター国府台病院(千葉県)の神経内科病棟の看護師でした。パーキ
ンソン病をはじめ、様々な神経難病患者さんのケアに携わってきました。
そして、この10数年は大学で看護教育に携わっております。愛媛大学(医学部)、産業医
科大学(産業保健学部)を経て、平成1 8年4月より広島国際大学(看護学部)に勤務してお
ります。一方で、日本難病看護学会の理事も勤めさせていただいております。
私は現在、国(文科省と厚労省)より2つの科学研究費補助金をいただいております。
1.文部科学省:若年性神経難病患者の社会との接点とSEIQoL-DWとの関連に関する
研究
2.厚生労働省:特定疾患患者のQOLの向上に関する研究
~若年性パーキンソン病患者の生活の現状に関する研究~
(厚労省のQOL研究班のメンバーとして)
どちらも、主に若年性パーキンソン病患者さんを対象にした研究であり、その成果を医
療や看護の学会等に発表したり、大学・大学院で講義したりすることにより、広くこれら
の問題を医療従事者に理解してもらおうと努めているところです。
これまでの研究のまとめ(冊子)としては、主に以下の3点に集約されます。そして、こ
の中で、特に若年性患者さん方の手記を多く紹介してきました。
1 ) 2007年発行: 「神経難病患者の発病から退職に至るまでの就業中の経験に関する質的
研究」 (文科省科学研究費補助金:基盤研究(c))
2) 2008年発行: 「若年性パーキンソン病患者の生活の現状に関する研究」 (厚労省科学
研究補助金:難治性疾患克服事業:特定疾患患者のQOL研究班)
3) 2008年~連載中: 「難病患者から見た医療・看護」 (臨床老年看護,日総研出版)
そして今回、第二部「若年性パーキンソン病を持つ人々の世界」で、上記1) 2)の報
告書に掲載した患者さんの主な手記を再掲すると共に、さらにその後に集まった新しい手
記を加えて再編集いたしました。以前の原稿も、時が経っているので新たに手直ししてい
るものもあります。そういう意味では、現時点での私の集大成とも言えるでしょう。
これらの原稿の中には、すでに上記3)で出版(連載)されているものもあります。ま
た、中には自費出版で本を出された患者さんもおられます。いずれにしてもどれもとても
力作であり、心にしみいるものばかりです。是非とも、多くの方々に読んでいただきたい
ものばかりです。
ところで、現在、若年性パーキンソン病患者の患者組織は、全国にあまり多くはありま
せん。少なくとも、全国パーキンソン病友の会にはあまり若年者は入会していないようで
す。しかし、実は全国には、多くの問題を抱える数千人もの若年者がいるはずなのです。
おそらく、その多くは人知れず、一人悶々と悩んでいるのでしょう。その状況も、何とか
改善したいと思っています。特に、この冊子の第3章で紹介した「患者をつなぐ輪」の情
報が何かしらの役に立っことを期待しております。
私の出来ることは限られておりますが、そのようなどこかで悩んでいる患者さん
にこの冊子が目にとまり、何らかの得るところがあればとても嬉しく思います。
もちろん、医療従事者の皆さんにも、ここに掲載された論文や手記が、今後の医療・看
護に役立ち、しいては患者さんたち-のより良い看護に繋がれば、本当に嬉しく思います。
なお、巻末に以前調査した「患者から看護師への要望」の結果について掲載しましたので、
参考にしてください。
今回の私の企画にご協力くださった患者の皆様、本当にありがとうございました。
(2010年3月)
若年性神経難病患者の"社会との接点"と``SEIQoLDW"との関連に関する研究
~特に若年性パーキンソン病患者に焦点を当てて~
はじめに
目次
第-部 研究成果のまとめ
1.若年性パーキンソン病患者のQOLに関する研究・---一一----‥------1
-SEIQo工」・DWによる評価~
2.難病患者の就労支援と経済問題一・・一・一--一一・--------・--・-----12
-自己に出来ることを理解し社会貢献を~
3.若年性パーキンソン病患者の生活の現状と諸問題に関する研究-----‥----‥-・ 19
-遺伝看護の視点から~
4.若年性パーキンソン病患者のQOL評価-一一---・一一一-------・----・25
-SEIQoL-DWによる経時的変化の分析を通して~
第二部 若年性パーキンソン病を持つ人々の世界
1章:病と共に生きる
1.若年性パーキンソン病と結婚・出産・子育て(*)
2.親として(*)
3.私が私らしく生きるために(*)
ん)----31
ん)-----40
ん)-‥---45
4.パーキンソン病と子育て(*)
ん)-----50
5.病気が私を覆っていても(*)
一・一- 54
6.これまでの人生を振り返って(*)
)---‥58
7.男性若年性患者の苦悩(*)
--・・・---・67
8.頑張ればきっと出来る(*)
ん)-----70
ん)---‥-75
)-‥-・-79
9.白衣をパジャマに着替えて(*)
10.負けない理由
ll.今を生きる喜びとオルゴールとつながる粋
14.私の迷走期
一一・--・82
ん)----88
ん)-----94
)----・‥-・98
15.病気と向き合うということは
-・・・---- 102
12.今を精一杯生きたい
13.出会いに感謝
2章:就業問題と挑戦
1.パーキンソン病に負けてたまるか、仕事への執念(*)
)・--- 107
2.就職困難者とも自覚せず~ある就職奮闘記'(*)
)一一-- 119
3.私の職歴は病歴と共にあり
4.福祉住環境コーディネーターに思いをよせて
5.難病患者の失業防止と就労支援
-・-- 124
ん)---- 132
)一・一--- 138
3章:患者をつなぐ輪
1. APPLE(*)
2. HOPEの会(*)
3.リラの会(*)
4. MAG仲間の会
5.若年性パーキンソン病女性の会
6.特定非営利活動法人オズ
7.弥生会
)- 155
ん)---- 157
)--‥- 159
) --)一一-)-・-ん)----
161
163
166
169
4章:若年性パーキンソン病の基礎知識
1.若年性パーキンソン病とは (*)
)---‥ 171
2.若年性パーキンソン病とDBS(*)
)--‥- 178
3.若年性パーキンソン病と社会保障(*)
)-‥-- 182
5章:日本難病看護学会公開セミナー
若年性パーキンソン病を持つ人たちと語る-------‖‥…--‥-------- 187
6章:若年者-のメッセージ
1.人生の先輩からのメッセージ(*)
2.専門医の立場から(*)
--一一 201
- 206
資料-一・一一-・--一一一一一----------・-----・-----一一211
おわりに一・・一・一一・-------------・-------一一----一一一--214
注: (*)印は前回の報告書に掲載スミ
第一部
研究成果のまとめ
若年性パーキンソン病患者のQOLに関する研究
SEIQoL-DWによる評価~
秋山 智 岡本裕子(広島国際大学)
要
_芦司
日
本研究の目的は、若年性パーキンソン病者のQOLの特徴を明らかにし、 QOLを高める
支援を検討することである。
研究方法はライフヒストリー法を基礎とした面接調査に、 SEIQoL-DWを用いた個人生
活の質的評価を加え、 18名の対象者に個別の生活背景を考慮した質的分析を行った。
SEIQoL-DWによる個々が重要とする事柄(キュー)は、 「家族」 「健康」 「余暇活動」 「患
者交流」が多く示され、さらに個人がキューに重みづけをしたindex値では、 「仕事」 「患
者交流」が高値を示し、 「友人関係」 「経済面」 「健康」は低値であった。 SEIQoL-DWの
評価だけでなく、ライフヒストリー法を基礎とした面接調査であったので、この面接調査
の質的分析結果から、キューの抽出および重みづけが適切になされ、若年性パーキンソン
病患者の療養生活の特徴を見出すことができた。
また、面接により人生を語ってもらうことは、ナラティブアプローチとして重要であり、
対象の内的な体験に語りを通して意味を持たせることができ、QOLを高める支援であると
考える SEIQoL-DWを継続的に用いながら、そのキューの内容や値に注意しつつ、人坐
の物語の再構築ともいえる「ナラテイブの書き換え」をしていくことが非常に重要である。
キーワード:若年性パーキンソン病、 QOL、 SEIQoL-DW、ナラティブアプローチ
Abstract : Patient's Quality of Life Assessment in juvenile Parkinson's disease
using the SEIQolJ-DW
The Quality of Life (QOL) of patients with juvenile Parkinson's disease was
investigated and methods of supporting them to improve their QOL were examined.
Interviews based on the life history approach were conducted with participants (n=18).
The results were evaluated qualitatively using SEIQoL-DW. Qualitative analysis was
conducted by considering the backgrounds of their individual lives into consideration.
Among the factors that were often indicated as being significant for the participants
(i.e.,SEIQoL-DW cues), included "family," "health," "leisure activities," and "association
with other patients. "Work" and "association with other patients" scored high and
"friends, "finances, and "health" scored low in the significance of each cue in the
participants lives. Interviews based on the life history approach and evaluation using
SEIQoL-DW were conducted, there丘>re, the qualitative analysis of the interviews were
useful for the selection and evaluation of appropriate cues, facilitating the
identi丘cation of characteristics related to patients with juvenile Parkinson's disease.
Listening to the life histories of patients during interviews is important in the
-1-
narrative based approach. It gives meaning to the inner experiences of the patients
and helps the QOL to improve. It is essential to conduct "narrative re-storing, or, the
reconstruction of the life story, by intermittently using SEIQoL-DW, at the same
paying attention to the contents and the values of the cues.
Key Words : juvenile Parkinson's disease , QOL , SEIQoL-DW, narrative based
approach
I.はじめに
筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、パーキンソン病をはじめとする神経難病は、完
治困難な慢性疾患であり、生涯にわたる療養生活の中で患者はさまざまな制限や苦痛を強
いられる。こうした完治困難な疾患を持って行きていくためには、健常者とは異なった価
値観や生き甲斐が必要とされ、社会保障・福祉政策の推進だけでなく、患者のQOLを向
上させるための支援が必要である QOLについて杉江は「QOLに関する研究が進められ
てきた背景の一つに医療行為、保健・福祉対策の結果(アウトカム)の評価における、患者
の主観的な評価指標の重要性の高まりがある」 1)ことを指摘している。こうして、行った
支援が個人にとって適正なものであるか評価するために、人それぞれの主観そのものであ
るQOLが評価指標としてとり扱われてきたが、専門家にとっても他者のQOL評価は容易
なことではない。
よく用いられるパーキンソン病特異的QOL尺度には、 PDQ-39 (the 39-item Parkinson's
Disease Questionnaire) 2) 、 PDQL (the Parkinson's Disease Quality of Life) 3)などがある。他に
も、国際的にはSF-36やEQ-5Dなどの包括的尺度4)、本邦でも川南や星野らが開発した「難
病患者に共通の主観的QOL尺度」などがある5)6)7)これらの方法は、患者のQOLを評価
するのに有用な方法ではあるが、質問領域・項目は対象者全体を想定したうえでのものと
なっており、個別の背景等に関心を寄せているものではない。すなわち、患者個々人の状
況を鑑みたときに、患者自らがその時大切にしている事柄を出す方法ではない。
これまで、 QOLは生活の質、人生の質、生命の質というように、多義的な用語として取
り扱われてきた。しかし、長期療養が必要な慢性疾患の場合、人生の時間軸に注目し、状
況の変化に応じた疾患や生活にまつわる要件との関係を個人の主観からとらえることが必
要であると考える。
若年性パーキンソン病患者は、その発症時期により仕事、出産・育児、介護など多くの
生活に直結する問題に遭遇する。しかし、若年患者の家族を対象にした研究8)、壮年期患
者の自己概念、病の体験に注目した研究9) 10)はあるが、若年患者の主観をそのまま捉える
QOL評価の研究は見当たらないO
大生はQOLを「疾患や治療の影響についての本人の自覚であり,身体と精神の健康,
自立の程度,社会生活に関する,本人の希望と現実の解離の反映」 ll)と述べている。すな
わち、慢性疾患を患う人のQOLは理想と現実との境界で揺れ動き変容するものであり、
QOLをとらえるためには常に現実の生活の中で本人が自覚し、希望していることから目を
離さないでおくことが重要であると考える。そこで活用できるのが、最近注目されている
-2-
SEIQoL-DW(The Schedule for the Evaluation of Individual Quality of Life- Direct Weighting,個
人の生活の質評価法-直接的重み付け法:以下SEIQoL-DWと略す)である12)13)14)15)
SEIQoL-DWは、次の3段階のステップを踏み、最後に全体のインデックス値を総和す
ることで客観的な数値として計算できる。
1.・生活の中で5つの最も大切な側面を引き出す
現在の患者自身にとって重要・大切と思われる物事や人(鏡域:これをキューと呼ぶ)
を5つあげてもらう。それは、私たち一人一人にとって、人生や生活の喜びや満足感とい
うのは、自分のあげた額域が何であるかによってそのQOLの基本的な部分に大きな影響
を与えているためである。これが、キューの選択であるが、その人にとって具体的なもの
をあげてもらう。
2.それぞれのキューのレベルを決定する
次に、各キューがどのような状態かの水準(これをレベルと呼ぶ)を患者自身に100点
満点で評価してもらう。具体的には、棒グラフでその満足度を図示してみて、あげられた
項目がどのくらいの点数かを描いてもらうとわかりやすい。満足度を主観的にVAS評価す
ることで、その人にとって大切なものの現在の満足度を簡潔に捉えることができる。
3.キューの重み付けを決定する
次に、各キューの生活の中での重要性について、各々どれくらいの割合(%)になるか(こ
れを重み付けという)を患者自身で割り振り、円グラフとして表示してもらう。全周で
100%となるので、全体の中でそれぞれのキューが、現在の自分にとってどのくらい重要
なのか、相対的に比較していくことになる。
4・それぞれを掛け算し足して、総和を算出し、 SEIQoL- indexを算出する
最後に、表1に例を示すが、レベルと重み付けを掛け合わせ、その総和を算出した値が
SEIQoL- indexである。重み付けの高いキューのレベル値が低いとインデックス値は相対
的に低くなり、逆に重み付けの高いキューのレベル値が高いと全体も高くなるという特徴
を持つ。全てのレベルが100点なら重み付けの割合を問わず100点満点になる仕組みであ
る。
表1 : SEIQoL-DWの例
キ ュー (分 野 )
レベ ル
重み
レベ ル × 重 み
家族
80
30 %
2 4 .0
仕事
75
25 %
1 8 .8
友人
50
15 %
7.5
パ ソコン
85
20%
7 .0
友の会
10
10 %
1.0
S E IQ o L インデ ックス
6 8 .3
このように個人個人のSEIQoLを出してゆき、その上で多くの人のキューの種類、レベ
ル、重み付け、全体のインデックス値などを検討することから、若年性パーキンソン病な
らではのqOLの特徴が兄いだされると思われる。
本研究の目的は、 SEIQoL-DWを用いて若年性パーキンソン病患者のQOLの特徴を明ら
-3-
かにし、 QOLを高めるための支援について検討することである。
Ⅲ.研究方法
1.研究デザイン
本研究は、ライフヒストリー法を基礎とした面接調査16)17)18)に、 SEIQoLDWを用いた
QOL評価を併用したものである0
2.対象者
患者間のスノーボールサンプリング(Snowball Sampling)により情報の得られた全国の若
年性パーキンソン病患者22名に研究依頼を行い、研究参加に同意が得られた人を対象とし
た。対象者は原則として40歳代までに発症し、かつ調査時に50歳代以下であることを条
件とした。
3データ収集方法
データ収集の条件を均一にするため聞き手(面接者)を限定し、基礎データ(性別、発症時
年齢、調査時年齢、職業歴、患者活動など)の聴取、病気や生活の状況を含んだライフヒ
ストリーの聴取、及びSEIQoL-DWを実施した SEIQoLDW実施時の面接は、半構造化面
接法により基礎データについて確認しながらすすめた。かなり深い部分の心の内面を語っ
てもらうために、 SEK∋OL-DWの実施前には最低一人あたり1-2回の面接を1回につき
60分~90分程度行った。なお、データ収集の期間は平成18年4月から平成19年7月まで
である。
4.分析方法
1 )対象者の個人的背景は、基礎データより単純集計および基本的統計を行った。
2)SEK〕OL-DWの分析は、各対象者のキューの内容、レベル、重み付けという過程に沿っ
てindex値としてとらえた。さらに、個人別のキューを全体でカテゴリー化し、キュー
のカテゴリーごとにレベル、重み付け、レベル×重み付けについて平均値を出した。な
お、カテゴリー化する際には、キューは個人により表現等も様々であるため、研究者間
で検討し同内容を表すものを整理してカテゴリー化した。
5.倫理的配慮
以下の2項目を説明し、同意書をとって研究を行った。
1 )研究参加に関する対象者の自己決定の権利保障
研究の参加に際しては、最初の段階で全くの自由意志であることを説明した。また突
然の状態変化(off状態-の移行など)で研究協力ができないことも考えられるので、
その際は無理せずに自身の要件を優先して構わないことを説明した0
2)対象者-の具体的配慮とプライバシーの厳守
面接においてもし不快な思いをすることがある場合は無理に答える必要はないこと、
研究結果の公表には個人が特定できないように配慮すること、研究目的以外には使用し
-4-
ないこと等を遵守するものとした。患者団体名の公表については、対象者と団体代表者
の了解を得た。
Ⅲ.結果
1.対象者に関する基本的な事項(属性)
1 )対象者の年齢
対象者は男性6名、女性12名の計18名である。発症時年齢(平均±sD)は33.2±9.4歳で
あり、調査時年齢(平均±sD)は48.3±7.2歳である。
2)職業歴(表2)
対象者の職業歴を発症との関連で聞き、その転帰を、継続(発症前と同じ職業を継続し
ている人) ・転職(発症を契機に違う職業に転職した人) ・退職(病気が原因または誘因
で仕事を退職し現在無職の人)に分けて整理した。
男性では継続・転職・退職がそれぞれ2名ずつで、現在も就業している人が計4名であ
った。女性では継続1名、転職o名、退職が8名で最も多く、はじめから無職が3名であ
った。このように現在も就業している女性は1名のみであった。
表2 :職業歴 n=18 人)
男 女 計
同じ仕事を継続 2 1 3
違う仕事に転職 2 0 2
病気のため退職 10
はじめから無職 0 3 3
計 12 18
3)患者会等-の参加(表3)
社会的活動として最も多かったのは、この疾患の患者会である「全国パーキンソン病友
の会」 -の参加であり、 18名中14名が入会していた.また、この疾患のインターネット・
コミュニティの代表格である「Apple」には、 4名が運営等に参加していた。本疾患を代表
するメーリングリストである「Hisaoメール」には7名が参加していた。女性だけの年一
度の親睦旅行を主体とする会である「弥生会」には、 5名の女性患者が参加していた。
なお、これらの会には、人間関係や経済的理由などで、以前は所属していたが今は辞め
ている者も数名いた。
表3 :患者会等-の参加 n=18 複数所属あり(人)
所属患者団体 合計
パーキンソン病友の会 14
Hisa。-メー・ルグリスト 7
弥生会 5
-5-
2. SEIQoL-DWの結果
1)個別のSEIQoL-DW (表4)
SEK〕oLDWを18名の対象者に実施した。その結果を男女別および全体として示したも
のが表3である。男性の平均は72.0、女性の平均は82.88、全体の平均は73.8±19.4であっ
た。最低は17.5で、他に平均を大きく下回ったものは40.0、 56.25であった。 90点以上の
ハイスコアも3名みられた。
男女間のSEK〕oLindex値に有意差は認められなかった。ただし、男性1名が極端に低い
値を示し、男性の平均値の低下をもたらしていた。
表4 :個人別SEIQoL-index n=18
男
女
1
17.5
1
40 .0
7
83.8
2
64.0
2
56.2 5
8
84.5
3
86.0
3
64 .0
9
84 .5
4
86.5
4
6 5.0
10
89 .0
5
87.5
5
71.5
ll
90.13
6
90.5
6
76 .25
12
9 1.1
平均
82 .8 8
平均
72 .0
合 計 平 均 ±S D
7 3.8 ±19 .4
2)カテゴリー別のSEKコoLindex (表5、図1)
18名の対象者が取り上げたキューの数は全部で90あった。それらを同内容でカテゴリ
ー化したところ、 「家族」に関連するものが22で最も多く、以下「健康」15、 「余暇活動(趣
咲)」14、 「患者交流」13、 「経済面」10、 「友人関係」7、 「仕事」4、 「家事」2と続いた。
この中で、対象者の社会活動を含む個別の特徴を反映しているのが「仕事」 「患者交流」
表5 :カテゴリ一別SEIQoLindex
カテゴリー キューの数 レベル 重み レベル×重み
家族 22 73.4±26.7 22.2±13.9 16.8±12.7
健康 15 66.0±18.3 17.0±12.0 11.3±9.4
余暇活動(趣味 14 79.3±15.8 18.4±17.3 14.9±13.3
患者交流 13 85.8±13.4 25.6±14.3 23.3±15.3
経済面 10 41.5±20.3 15.6±11.3 6.1 ±5.5
友人関係 71.4±15.7 12.5±5.6 8.6±3.3
仕事 82.5±12.6 31.3±16.5 26.5±17.1
家事 55.0±7.1 25.0±7.1 13.5±2.1
その他 46.7±25.2 20.0±13.2 8.7±7.8
(レベル、重み、レベル×重みは平均値)
-6-
及び「余暇活動」である。 「患者交流」の内容としては、 「同病の友人」、 「友の会」、 「患者
会」、 「患者交流」といったキューが個々の対象者から出された。また「余暇活動(趣味)」とし
ては、 「パソコン」、 「好きな活動」、 「クレイアート」、 「ペット」、 「歌と音楽」、 「釣り」とい
った個人の具体的な余暇活動や趣味を反映した内容があげられた。
また、カテゴリーごとのレベル、重み付け、レベル×重み付けの各値については、キュ
ーの総和の平均値をそれぞれ算出した。その結果、レベルでは、 ①「患者交流」、 ②「仕事」、
③「余暇活動(趣味)」の順で高かった。逆に① 「経済面」、 ②「家事」、 ③「健康」が低かった。
重み付けでは、 ①「仕事」、 ②「患者交流」、 ③「家族」が高かった。逆に①「友人関係」、 ②「経
済面」、 ③「健康」が低かった。
そして、最も重要なのはレベル×重み付けであるが、これは、 ①「仕事」、 ②「患者交流」
③「家族」が高かった。逆に①「経済面」、 ②「友人関係」、 ③「健康」は低かった。
図1 :カテゴリ一別SEIQoL-index レベル×重みは平均値)
Ⅳ.考察
1. SEIC〕OL-DWからみた若年患者の特徴
今回の対象者のSEIC〕OL-indexの全体的な傾向として、各カテゴリーを構成するキューの
数は、 「家族」 ・ 「健康」 ・ 「余暇活動(趣味)」 ・ 「患者交流」が多く、これらの項目は、対象者
が特に大切にしているものであるといえる。中でも「家族」や「健康」という項目は、ほと
んど全ての人において挙げられていた。
しかし、本研究で最も着目するのは、挙げられた数の多さよりも、レベル、重み付け、
あるいはレベル×重み付けであり、これらは個人にとっての満足度を示す数量的な各デー
タである。これらが共通して高いのは、 「仕事」、 「患者交流」という社会的な活動であっ
た。仕事や社会的な活動に対する意識の高さは筆者の先行研究19)とも一致する。本研究の
対象者は若年性の患者であり、その多くは現在30歳代から50歳代の壮年期である。これ
-7-
ら社会的な活動が大切な要素として高値で抽出されたことは、この年代の人々の発達課題
と結びつく大きな特徴である。
今回のSEK〕oLDWの調査において、 「仕事」を挙げた人は有職者5名中の4名である。
この4名については、現在のところ全員たまたま仕事がうまくいっており、 "レベル"は
高い。一方で「仕事」は生活に占める"重み付げ'もとても大きく、今後、万一仕事に支
障が生じた場合のQOL上の影響は非常に大きいと考えられる。
そして残りの13名はすでに仕事をしていない(うち3名ははじめから無職)ので、キュー
に「仕事」は入っていない。この疾患と就業に関する問題については、筆者や春名らの研
究20)21)に詳しいが、疾患を持ちながら仕事を継続することは並大抵のことではない。
また、仕事に従事していない人々は、 「仕事」とは異なる別のキュー、例えば「患者交
流」や「余暇活動(趣味)」などを持って人生を充実させているのである。このように対象者
自身が意識や関心、情熱を注ぐことができるものの有無が、 QOLに影響を与える大きな要
因であると思われる。
「患者交流」は、 「仕事」に続いて対象者全体におけるSEK〕OL-index値が高く、ほとん
どの患者は何らかの患者会やその活動に生活との折り合いをつけながら積極的に参加して
いる。若年者の人々にとって、特に「患者交流」、具体的には患者会や患者会での友人関係、
その他のコミュニティは、 index平均値の高さからもわかる様に、多くの対象者の生き甲斐
にもなっており、対象者にとって無くてはならないもののように思われる。対象者らは患
者交流を通じて日々の生活に必要な情報や支持を受け、共有の問題に対峠していると考え
られる。
一方、対象者らは逆に患者ではない一般の人との交流がかなり少なくなっていると話し
ており、それは同病者以外の「友人関係」のSEK∋OL-index平均値の低さにも顕著に現れて
いる。もちろん、現在でも以前の交友関係を保っている人も少なくはないが、 「友人関係」
の重み付けの割合は低く、それによりindex平均値も低くなっている。これは、患者の交
友関係が病気により、それまでの友人関係から患者同士の交流にシフトしていることを示
していると考えられ、これも若年患者の特徴の一つといえるだろう。
同様のことは「余暇活動(趣味)」にもいえる。この領域のレベル×重み付けの値は、 「患
者交流」よりは高くなかったが、趣味に関するキューで高値を示している人は個人別の
SEIQoLindex値も高く、 QOLが高い傾向にあった。このように、交友関係や趣味はQOL
に大きな関連性をもつ事柄であることがわかった。
以上のように、今回、最も重要なレベル×重みのSEIQoLindex平均値では「仕事」 ・ 「患
者交流」が群を抜いて高く、今回の対象都ま現在のところ、 QOLを構成する要素としてこ
れらが比較的充実しているといえる。しかし、 「仕事」や「患者交流」に何らかの問題が
生じた際、個人のindex値の急降下が予測される。したがって、この2点は若年性パーキ
ンソン病患者にとって特にQOLに直結する重要な事柄であると考えられる。
また、反対に「経済面」、 「健康」という項目は平均値が低い。基本的背景から、病気を
持ち、仕事を継続することが難しくなっている対象者が多いので(18名中13名が無職:表
1参照)、 「経済面」 ・ 「健康」が低いのは予測されたことであったが、今回SEKコoLDWの
使用により他の傾向と同様に、データとしてそれを明確に把握できた0
特に経済面は切実な問題である。病気のために就労が困難となり、経済的には困窮する
-8-
人が多い。それだけに、はじめに述べたように生活の糧としての「仕事」は対象者らにと
って重要な問題といえるのである。
2. QOL向上-の看護ケアの視点
SEK〕oLDWの値が高くない場合、それがなぜなのか、検査終了後に患者自らに考え、
語ってもらうことが重要である。筆者の経験では、たいていの場合、その理由は対象者自
身で気づくことができる。そこから改めて対話をはじめることができる。
qoLを高める原則としては、まず低いキューに焦点をあてることが必要である。そのキ
ューがなぜ値が低いのか、対象者の考えを良く聞くことが必要である。筆者は数年に及び、
縦断的に対象者たちの話を聞いてきた。慢性の疾患、とりわけ難病を抱える人の背景には、
我々の計り知れない悲しみや怒り、また壮絶な努力などがあり、疾患や病状の理解だけで
は見えない個人の経験を感じとってきた。疾患や病状を理解するのは症状やデータを科学
的に分析して見ていくことであるが、対象者がどう病んでいるのかということの理解は、
語られたことを聞き取っていくことにかかってくる。
もちろん、ただ聞いていればいいというわけではなく、例えば、臨床面接法の達人であ
る土居の言葉を借りれば、聞くことと物語の関係性は「患者の話を、あたかもストーリー
を読むごとく聴かなければならぬ」 22)ということに集約されるであろう。そして、さらに
重要と思われることは注意深く聴きながら、患者と共同してストーリーをつくっていくこ
とである。患者の物語を聞き、どう体験されているのか、その変化や思いについて言語化
することは患者に安心を与え、 「また話を聞いてくださいね」といった反応や、時に感動
すら引き起こすものである23)すなわち、ストーリーを患者と共につくるということは、
患者の内的な体験の意味を変更し、支持や強いポジティブな感情を患者に引き起こすケア
にもなりうると思われる。
中島は、 「ナラテイブの書き換え」が難病ケアの方向性である24)25)と指摘している。対
象者にとっての負の体験はそれ自体を変更することは不可能であるが、その人の体験、す
なわち語られたナラテイブをもとに考えを書き換えることは可能である。治らない病気で
あるからこそ、また、これから長い人生を歩んでいかねばならない若年者であればこそ、
患者が病気を体験し認識してつくられる物語の再構築を行うことが、若年性パーキンソン
病患者の看護においては重要なことと思われる。
SEIQoL-DWという方法は、今回のように多くの対象者のキューのデータを平均したり
計算したりすることによって、対象者を集団としてとらえ、全体的な傾向を把握すること
が可能ではある。しかし、このような多くの対象者の集約的なデータは、その結果を個人
のケアに生かすためにはあまり意味はない。
それ以上に大切なことは、一人の対象者を定期的に縦断的にフォローし、その時々に
SEIQoL-DWを実施して、その対象者のキューの種類や値の変化を捉えていくことにある
と思われる。すなわち、対象者の経過を迫ってキューの変化に焦点をあて、時間経過の中
で、その瞬間、その人が何をどのように感じ、生活そのものや生きることをどう捉えてい
るのかを考えていくことが重要なのである。それがすでにケア-と繋がる行為なのである。
この一連のプロセスがナラテイブ・アプローチの基本26)であり、常にこの立場で対象者を
理解していくことが必要であると考える。
-9-
神経難病は、生涯にわたりその病気をつきあっていかねばならず、若年であればあるほ
ど、その期間は長い。したがって、ケアする側も決して急ぐことなく、じっくりとその時
その時の対象者の話に耳を傾け、その中で少しでも中島の言う「ナラテイブの書き換え」
に協力することが望まれる。それがすなわち、対象者の主観的QOLを向上させることに
繋がるプロセスであり、若年性パーキンソン病患者に対する看護ケアの方向性であると思
われる。
Ⅴ.本研究の限界と今後の課題
今回の調査対象者の多くは、若年性パーキンソン病患者の中では比較的社会参加の活発
な人である。これは、そのような活動をしている者同士の紹介(Snowball Sampling)で行っ
ているためである。しかし、実際には、若年患者は患者会など表には出ず、ひっそりと一
人悩みながら生活している人が多いという。今後、そのように自らを隠蔽した状況下に置
く対象者にもインタビューを計画することが次の課題である。
Ⅵ.結論
1.若年性パーキンソン病患者のSEIQoLのキューの数として多かったのは「家族」 ・ 「健
康」 ・ 「余暇活動(趣味)」 ・ 「患者交流」であり、これらは多くの患者が日常生活において大
切にしているものである。
2. SEK〕OL-index値を総括すると、高かったのは「仕事」 ・ 「患者交流」であり、これらの
充実感が患者のQOL-強く影響すると考えられる。反対に低かったものは「友人関係」 ・
「経済面」 ・ 「健康」で、これらは患者の生活背景と密接に関連している。
3. SEK〕oLDWを用いながら、そのキューの内容や値に注意しつつ、人生の物語の再構
築ともいえる「ナラテイブの書き換え」をしていくことが非常に重要である。そして、
看護者は対象者の内面的変化に気づき、その過程に支持的に関わり支援していく姿勢が
重要である。
文献
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26)野口祐二:物語としてのケア~ナラテイブ・アプローチの世界- -,pp.152-156,医学書
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(日本難病看護学会誌, 14(3), 2010)
-ill-
難病患者の就労支援と経済問題
~ある若年性パーキンソン病患者の事例を通して~
広島国際大学看護学部教授 **蝣*智
はじめに
パーキンソン病は、一般には、初老期以降、特に老人に多い病気と認識されているが、
実際には全体の5%強が40歳未満発症の若年性といわれている。若年者には、高齢者と
は全く違う問題がある。その最たるものが就業問題と、それに関連した経済的問題である。
病気を隠して働いている人もたくさんいる。しかし、それも限界に達して、やむなく退職
した人も多くいる。職を失った男性は、経済的問題のみならず、家族の中での自尊心の問
題に悩まされることもある。中には、離婚に追い込まれる人もいる。
筆者は、最近全国の42名の若年性患者(40歳未満の発症、現在50歳代以下の人)に対
して様々な調査を実施した。そのうち就業に関する現状として、現在でも発病前と同じ仕
事を継続できている人は、男性13名のうちわずか3名、女性29名のうちわずか2名に過
ぎなかった(表1参照)。その他の人は、自分が出来る範囲内での職種-の転職か、もしく
はやむなく退職をしていた。退職後は、女性はほとんどが専業主婦になっていたが、男性
は生活保護や貯金の切り崩しなどによる生活で、経済的に困窮している人が多かった。
しかし、頑張って職業を継続している人もいる。ただし、それにはそれなりの努力が必
要である。言うまでもなく、就労の問題は経済的問題に直結する。今回、現在でも発病前
と同じ職場で仕事を継続している男性患者さん(奥田太氏:以下Aさん)の協力を得て、
その事例をもとに、難病患者の就労支援と経済問題について考えてみたい。
Aさんの紹介
Aさんは、大手メーカーに勤務する勤続25年の中堅社員、現在40歳代前半の男性であ
る。病名は若年性パーキンソン病、 38歳頃の発症である。家族は、妻と中学生から小学生
までの3人の子供と愛犬1頭。発症の頃に35年住宅ローンを組んだばかりという、まさに
一家の大黒柱である。発病当初の2年間の休職を経て、現在、安全衛生・労働管理に関連
する多くの資格を取得しながら、これまで以上に前向きに働いている会社員である。
Aさんの勤務する会社は我が国を代表するいわゆる大手企業の一つであり、先に結論を
言えば、職場に大変恵まれていると言っても過言ではない。難病患者の就労を考えるに当
たり、中小企業や自営業などではまた条件が違ってくるだろう。今回、あくまでも大手企
業の場合ということを前提にしながら、 Aさんの事例を参考にしていただきたい。
1.職場の健康相談室の活用
筆者の調査によると、職業を持つ患者の約50%程度の人が、職場に病気を隠して仕事を
継続している。それは、病気がわかってしまうとリストラされるかもしれないという不安
が最も大きい理由である。リストラされるということは、すなわち明日からの収入の道を
絶たれるということであり、それだけは何とか避けたいと、必死に隠すのである。しかし、
数年経つうちに徐々に症状は進行し、それも限度となる。ついには隠しきれずに、病気を
公表することになり、その後、そのまま仕事を続ける人もいれば、様々な理由により退職
-12-
する人もいる。中には、最後まで病気を隠したままで退職してしまう人もいる。
しかし、 Aさんは体調を崩した時に、まずは職場の健康相談室を利用した。 Aさんの勤
務する会社では、健康相談などの申込みは管理者が行う場合と自身で行う場合があり、そ
の制度は多くの社員に利用されているという(図1参照)。そして、そこでは特に健康支援
スタッフの資質が重要視されているという。
Aさん談:私の相談事を担当の産業保健師が受け付け、産業医へ伝えます。結果、面談が行われ、現状を確
認した上で留意点や起因性を探るといったプロセスを経ていくことになりますが、往々にしてその症状や当時の
傾向から面談必要なしと判断されかねない状況が誤判断を誘発させてしまいます。そのようなことがないよう産
業保健師は常に最新の情報を外部研修等により入手しており、また産業医も地区産業医学会において関連情
報の入手に努めています。特に産業医は過去の経験値や独自の研究等により公衆衛生面での知識は豊富です。
当事業所専属の医師であり、本社から交代で勤務しているものではありません。よって追跡調査など、継続的な
データが必要となるものを他者に引き継ぐことなく観察できるのは大きな強みではないかと思います。
専属の産業医や産業保健師が常駐する職場は、そう多くはないかもしれないが、 Aさん
の場合、まだ病気が診断される前から積極的に社内健康相談を利用していたことが、後に
病気が確定した後も、大変重要な意味を持つことになる。
2. 2年間の休職:傷病手当金と傷病手当付加金支給
発症からしばらく経った頃、病状が重くなり、また診断確定のために入院を余儀なくさ
れたが、以下、その頃のAさんの思いである
Aさん談:妻と子ども3人、愛犬1頭。家のローンはあとこの時点で32年。入院して私が働けないということはすなわ
ち家族が路頭に迷うことにもなりかねない・日。非常事態です。どうやって生活をする、どうやって入院費を払う?
私の頭の中でぐるぐる回るのはお金のことばかりでした。これでは治療に専念などできるはずもありません。そして、
「欠勤1ケ月以上で医師により就労が不能と診断されたものは休職扱いとなる」、というのが通常の会社で決められ
ている休職の基準ではないでしょうか。私が入院して2週間が経ったころ、会社から休職に関する内容の手紙が届
きました。最も心配なのは、もちろんお金の問題です。そこで、休職中の手当について調べました。
休職に入った場合には一体どのように手順を踏んでいくのか、 Aさんの経験を基に以下
に「傷病手当金と傷病手当付加金支給」について紹介する。
休職中は労働力の提供は行われないため給与は発生しない。正確に言えば6 0%カットさ
れた額が支給されるのと、二つの手当金を受け取ることができる。これには政府管掌のもの、
そして企業の健康管理組合管掌のものがあるが、 Aさんに支給されていたのは企業健康保険
組合管掌のものであった。ただし、この手当金は一種の公的年金に当たるもので、厚生障害
年金等が支給されている人はこの支給額が調整される。標準月額の限度を越えて支給される
ことはないので、越えないように支給調整が行われる。
支給額(標準月額×0.85)-(厚生障害年金1か月分)+(傷病手当金)+(傷病手当附加金)
この制度は法的にもすでにずいぶん前に確立されているにもかかわらず、各人にあまり関
-13-
係ないことから(当事者にならないと関係性が生まれない) 、意外に知られていない。給与
を保証するという意味では民間保険会社で所得保障などがあるので、そちらを流用すること
もよい(ただし加入して1年は過ぎていないといけないが) 0
結局、働けないといった状態に陥った時にどう生活していくか、そのためにはどこからお
金を得るか(支援してもらえるか)ということを普段から知っておく必要があるということ
である。預貯金があったとしてもそれはすでに将来設計が立てられているお金であって、今
を乗り切るためのものではない。 Aさんによると「仮にそれをあてがったとしても、いつか
はその補填をしなければならない。そう考えると公的支援、企業支援というものはどんな時
に、何が支給されるのかは調べておくことが大切だと痛感した」とのことである。
なお、これ以外に、障害が重度で介護が必要な場合には「特別障害者手当」、 18歳以下
の児童がいる場合には「児童扶養手当」がある。
3.就業先とのコンタクト
Aさんは休職中に、 「せめてこの書類を出せばお金がおりるとか、こうしておけば会社に
席を置いておけるといったアドバイスができる人がいてくれれば、精神的に楽になるだろう」、
「どうして患者がここまで現実的に追い込まれるのだろう」などと思いながら、つくづく治
療に専念することの難しさを思い知らされたとのことである。そして、
と強く思ったとのことである。
そしてもうーっ重要なのは、求職中の職場とのコンタクトの取り方である。
Aさん談:休職中に心配に思ったのは、
ということです。これは恐らく、
この病気を患っていらっしゃる方々の誰しもが感じるテーマではないでしょうか。
私の場合、やがて先の見えない自宅療養が始まりましたが、
うに心がけまし
た。職場は現場の忙しさから、長期療養者への情報伝達や近況報告がなかなか難しいケースが多く、こちら側か
らの問いかけのほうがより伝えたいことが伝わるからですo電話がだめな時はメールで連絡しましたO頻度的には
1ケ月に1回程度。あまり毎週かけていると、受けるほうも言舌題がなく大変だからです。これはかなり効果的で、現
在、社内でどのようなことが起こっているのか情報を得るのにとても役に立ちました。
また「私は休職中であっても会社のことは忘れていません。早く復帰して自分の仕事に戻りたい」という意思表
示も忘れずに行うべきです。たとえ、実際にそこまで考えていなくても、改めて声にして相手に伝えることで無意識
に自分の中に復職に向けた働きかけができると考えているからです。長期にわたり自宅療養をしていると、今まで
身につけてきたビジネススタイルがあっという間に自宅モードとなり、ついには戻れなくなってしまう危険性があるこ
とから、自ら行う意識付けは重要なリハビリだと私は思っています。
4.身体障害者認定
パーキンソン病に対する社会資源としては、その中心となるものは、 ①特定疾患(難病
指定)と②身体障害者手帳、及び③介護保険(40歳以上)である。この中で、案外知られて
いないのが、 ②の身体障害者手帳である。パーキンソン病は内部疾患であることがから、
医師の中でさえこの病気で身障者手帳が取得できることを知らない人も少なくない。
-14-
Aさん談:市役所には、お世話になっていながらこのようなことを書いてしまうのは甚だ心苦しいのですが、 「公的
と感じました。
ひねく
れた見方をすれば、 「身体障害者として面倒を見てやっているのだから自分で調べるのは当然だ」的な行政側の
姿勢が見え隠れしているようでなりません。
身体障害者手帳についてもインターネットでかなり調べ上げ、市役所の担当者に聞き取りや説明を求めてやっ
と申請にこぎつけました。私のレベルでここまで労力をかけなければ申請できないとなると、 pcができない方など
は一体どうするだろうと心配になりました。ただ単純に「専用診断書を認定医に記入してもらい、申請する、そして
県で認定審査を行い等級相当か判断し、認められれば交付する」といった簡単な申請事務だけに、ここまでわかり
にくいのはいかがなものでしょうか。
Aさんは、申請してから2ケ月弱、ようやく申請どおり下肢障害3級が認められ、表2の
ごとくの支援措置が利用できるようになったとのことである。ただし、この内容はあくまで
もAさんの居住する自治体(市)の場合であり、市町村によっては、異なる場合があるので注
意されたい。
5.公的支援
公的支援の代表格は障害年金であるが、いずれも年金制度に加入していることが前提であ
る。この中には、障害基礎年金、障害厚生年金があるが、前者は市町村が窓口、後者は社会
保険事務局、または職場の共済組合が窓口となる。障害を負ったレベルに応じて、受けられ
る支援も変わってくる。
Aさん談:私の場合、症状が進行し、障害等級が3級から1級に上がってしまいました。車椅子を常用することにな
ったのです。これにより「障害厚生年金」「重度障害者医療費補助」 「重度障害者給付金」を受給することが可能とな
りました。ただでさえ薬剤費が数万円単位での出費となるので、どうなることやらと思っていたところでした。 「重度障
害者医療費補助」 「重度障害者給付金」は市役所で手続きができますが、 「障害厚生年金」だけは社会保険事務所
に出向かなければいけませんoしかし、申請自体は全くといって難しくありませんO証明をくださるドクター次第ともい
えます。ふだんからコミュニケーションをとり、有効的な関係を築いておくことがポイントですO
Aさんは、このような手続きは可能な限り自分でやられたほうがよいという。ちょっとし
た手続きでもややこしいが、全部済むと少しばかりの達成感が生まれくる。そんな少しのこ
との積み重ねが、後々に大きなものとなって返ってくると述べてくれた。
なお、他に税の控除制度があり、障害のレベルによって内容も変わってくるが、いずれも
身障者手帳の取得が前提である。
6.高額医療として立替払いの後戻し
難病患者の場合、治療の内容によっては高額医療費も心配になる。 Aさんは、はじめか
ら若年性パーキンソン病が確定していたわけでなく、これも良くあることだが、かなり長
い期間、病気が確定しなかった。その間、高額医療費を支払う時期もあったが、その経験
を以下のように述べていただいた。
-15-
Aさん談:神経難病では時に高醸な薬剤を使用しなければなりません。私の場合、入院当初は「慢性進行性炎症
性神経根炎:CIDP」の疑いもあったので、そちらの治療も行いました。その際に「献血グロブリン」という血液製剤
を投与することになりましたが、これが1本2万円もする薬剤で、体重に合わせて投与することから、合計60本必
要となりました。私の所得の場合、月6万5千円を超える治療費は「高額医療として立替払いの後戻し」が受けら
れました。
しかし、一時的には50-60万円の医療費を支払うことになりました。とてもですが入院費用とあわせると70
万円を払わなければならず、途方にくれました。でも、何か策はあるはずです。再度、会社の保険組合冊子を調
べなおしてみると、健康保険から貸付可能と書いてありました。早速手続きを行い、事なきを得ました。
ここで思ったのは、 「健康な時ほど会社の福利厚生を把握しておくこと」です。前にも述べましたが、何がいつ、ど
のタイミングで支給可能かを知っているのと知らないのとでは雲泥の差です。また、医療従事者の方々はそのような
情報をアドバイスできる知識を持ち合わせると、違ったケアもできるのではないでしょうか。
7.職場復帰システム
やがて長い休職期間を経て、 Aさんが職場に復帰する時が来た。もちろん、いきなり元の
仕事が出来ようはずはない。その頃のAさんは杖歩行だったが、前述したごとく休職中から
会社と様々なコンタクトを取っていたため、会社側の配慮が素晴らしい。
Aさん談:こうして翌週から新しい職場に勤務することとなり、気忙しくなってきました。まず通勤方法。これは車でし
か行きようがないというので自家用車通勤可。次に、駐車場。事業者は「配慮の必要な従業員へは必要な対応を取
らなければならない」ということから、事務所前に設定していただきました。
続いて通退勤時の服装。わが社ではoN-OFFにメリハリをつけるため、作業服での通勤は禁じられています0
しかし、ロッカーでも着替え等に支障が出ることから、作業服での通勤を許可していただきました。
そして最後は勤務形態です。休職者が復職する際に"ならし期間"を設け、できるだけ負荷を少なくして職場に慣
れてもらおうという考えから、一週間から二週間程度、半日勤務、 6時間勤務といった時間割とし、体とリズムを作っ
ていく= ・。私はこの支援サポートを受けながら、復職しました。
これらの会社側による配慮、サポートは復職時に大変大きな働きをしますo復職者から見ればいきなり行かなくて
よいのですから、気持ち的にも気楽です。おまけに歩行ということからしても、物理的な配慮を受けることで負担も少
なく、体力温存t回復ができ、翌日へつなげることができました。二週間後の終業前、無事に一日を終え、誘拐に参
加している私がいました。そして、いよいよ定時勤務が始まりました0
8.忘れない気持ちと前を見る努力
順調に復帰できるかに見えたAさんではあるが、この病気の特徴は「進行性」であるという
ところにある。間もなく歩行が困難になり、再び車椅子生活になる。多少の粁余曲折と心の葛
藤の末、 Aさんが言うには「気持ちの切り替え」で何とか精神的難局を乗り切る。
Aさん談:やがて車椅子も板につき、体力的にも落ち着くのにはやはり数ヶ月を要したと思います。落ち着いたとい
っても日々の中での変動や、薬の副作用などは続いています。ひどい時は会社までたどり着けないなんてこともあり
ました。
私の上司はかつての先輩でもあり、また、大変尊敬している方でもあります。まめに声をかけてくださリ、大変感謝
しています。私の現状に見合った業務をあてがい、かといって過保護にしない。私はそれをありがたく感じていました。
こまめに業務進捗の確認がされ、その都度状況を見ながら指示が出されるため、業務も滞ることなく進められました。
16-
このことが私に自信をもたらしていると気がついたのは、しばらくしてからでした。そう、どんな簡単な仕事でもいいか
ら、まずはやり遂げられることが第一だと思います。
そしてもっとそれを求めるようになる。この繰り返しが、自分が何を求めてこの仕事に就い
たかを思い出させてくれました。
そして日.、ある日のこと、久々に杖を持ち腕にはめてみました。 「いける! 」一気に立ち上がれないのは歯がゆい
ですが、徐々に・ =・。気がつけば立ち上がることができていました。
たとえ病状は進行していても、自
ま、現状を維持する最良の方法ではないかと考えています。
自己の再生について、イメージを描くと図2のような感じでしょうか。それぞれはそもそもつながっていて、それ
が病によって断ち切られ、あるいはやせ細っていたがために機能しなかった。しかし、個々の焦らない反復体験
とモチベーションの再構築(再生)で再び強固なルートを作る= ・。これが機能を維持させ、自己を再生させるもの
となる。ここでいう「これ」とは例えば私でいえば「安全衛生という仕事」であったり、 「家族のつながり」であったりと
自分の思い入れが強かったものをいっています。
このイメージは一人では決してできません。本人の気持ちはもとより、家族、職場、上司、同僚、そして健康支
援スタッフの想いと、仕組み化されたサポートプログラムの運用により成し得るものだと考えています。また、それ
以外の周囲の人たちが私たち患者を、パーキンソン病という病の実状を、もっと知ってもらえることで、もう少しち
がう結果が生じるかもしれません。
終わりに
以上、就労支援と経済問題について、会社員であるAさんの事例を通して当事者の視点
から見てきた。最後にAさんが述べたごとく、難病患者の「自己の再生」に関して大切な
のは、本人の気持ちはもとより、家族、職場、上司、同僚、そして健康支援スタッフの想
いと、仕組み化されたサポートプログラムの運用であろう。実はAさんがいま目指してい
るのは、社内におけるそのプログラムの組織化である。 Aさんなら出来るかもしれない、
と筆者は密かに思っている。
最後に、 Aさんの考えをもとに以下をまとめの言葉とする。若年性パーキンソン病のよ
うな中途障害者は、己の身に生じた不自由についてなかなか受け入れることができない傾
向がある。また、障害を負ってしまったがために希望を捨てざるを得なかった人たちもい
る。果たしてそれが正解なのだろうか。体は不自由であるけれど、デスクワークや管理業
務は問題ない、いや、動かなくなった分だけ感覚は研ぎ澄まされたこともありえる。
支援を受け、ハンディキャップとして受身で生きることに満足してはいけない。障害を
ひとつの個性として自分の状態を受け入れ、自分にできることは何なのかを理解し、社会
に貢献することも必要である。
Aさんは「せっかくこの世に生を受け、ましてや人と違う個性を新たに持った、これを
どう生かしていくか検証していくことは、多くの仲間達に大きな贈り物となるのでは」と
考えている。今、この瞬間も悩み続けている人たちが、一日も早く普通の生活ができるよ
う、 Aさんも筆者もそれを願ってやまない。
参考文献
1 )秋山智:神経難病患者の発病から退職に至るまでの就業中の経験に関する質的研究、
平成16-18年度科学研究費補助金(基盤研究(O)研究成果報告書、 2007
-17-
2)秋山智:特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究;若年性パーキンソン病
患者の生活の現状に関する研究、平成17・19年度厚労省科学研究費補助金(難治性疾
患克服研究事業)分担研究報告書、 2008
3)秋山智:難病患者からみた医療・看護;白衣をパジャマに着替えて、臨床老年看護15(4)、
120-125、 2008
4)秋山智:難病患者からみた医療・看護;頑張ればきっと出来る、臨床老年看護15(6)、
116-124、 2008
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図1.社内健康相談の仕組み
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図2.自己の再生のイメージ
(難病と在宅ケア,14(10),2009)
-18-
平成20年度
若年性パーキンソン病患者の生活の現状と諸問題に関する研究
一遺伝看護の視点から-
秋山 智 広島国際大学看護学部教授
研究要旨
若年性パーキンソン病患者の生活の現状と諸問題に関する一連の研究の中で、今回は遺
伝に関する認識や思いについて明らかにし、看護上の示唆を得ることを目的とした。調査対象
は、概ね40歳代以下で発症し、かつ現在50歳代以下のパーキンソン病患者であり、全国の
40名に対して調査を行った。
若年性パーキンソン病患者における遺伝に関する不安や心配についての記述からは、子供の
結婚や子供-の遺伝を心配する声が多かった。また優性思想的な現状も明らかになった。さらに、
対象者は、遺伝に対してまだまだ多くの不安を抱えているが、必ずしも医師には十分に話せ
ていない現状が伺えた。他の遺伝疾患に比べて必ずしも重大性は大きくないが、この病気の
場合も遺伝は非常に重要な問題であることに変わりはなく、遺伝看護・遺伝カウンセリングの
視点が必要であることが示唆された。
共同研究者
例えば「就業に関連する問題」、 「出産・育児に対する思
岡本裕子(広島国際大学)
い」、 「SEIQoL-DW」などについては、筆者が特に力を入
れている項目であり、これまでも紹介してきた。
A.研究目的
特に「SEIQoL-DW」については、この3年間、継続的に
パーキンソン病は、初老期以降、特に老人に多い病気
取り組んでおり、 3年間で、40名中の29名に実施し、原
と認識されている。しかし中には40歳未満で発症する若
則として1年ごとに再検査するようにしている。基本的に、
年性パーキンソン病の人も全体の5-10%の割合で存
初めて面接する人には行わず、ある程度ラポールが出来
在する。筆者は、ここ数年、若年性患者の生活の状況や
てから実施するので、現在までに1回の実施が17名、 2
諸問題に関しての一連の調査をしてきた。そして、若年
回の実施が10名、 3回の実施が2名である。これまでの
者ならではの問題の特徴について明らかにし、そのQOL
全平均値は74.0±18.7、最低値は17.5、最高値は96.5
や看護上の示唆について考えてきた。
であった。
調査対象は、概ね40歳代以下で発症し、かつ現在50
図1は、 2年間で2回実施した10名のデータであるが、
歳代以下のパーキンソン病患者であり、これまでに北海
前年度と比較して±10程度を仮に変化なしと考えると、
道から沖縄までの40名に対して調査を行った(スノーボ
上昇した人が4名、下降した人が2名、変化なしが4名で
ールサンプリング).対象者の発症時平均年齢は、 33.1 ±
あった。経時的な調査の結果、その人にとって大切にし
9.0歳、一番若い患者は15歳で、高校生での発症が4名
ているものに何らかの変化があった場合や、危機的な状
いた。調査方法としては、事前のアンケート調査を元に、
況-の対処の仕方、受容の仕方なども含め、インデックス
ライフヒストリーの聴取、半構造化面接(SEIQoL-DWを含
値の上昇や下降の原因がはっきりと把握できた。例えば、
む)を併用しながら-人当たり数回の面接を行ったQ
家族関係や仕事などがその最たるものである。
図2は、 3年間で3回実施した2名のデータである。この
若年者には、高齢者とは全く違う問題がある。その最た
るものが就業問題と、それに関連した経済的問題である。
事例のA氏は昨年は値が下がったが、今年は再び上昇
また、あまり知られていないが、特に若い女性には、結婚、
している。この方はある壮年期の男性患者であるが、 1年
出産・育児の問題がある.ここ数年の一連の調査として、
目は、なんとか仕事も順調であった。ところが、昨年は残
-19-
念ながら退職に追い込まれる直前で、大変落ち込まれて
が9名、いない者が31名であった。前者のうち5名が遺伝性
いた。しかし、今年、仕事に変わる新たなやりがい・目標
(AR-JP)と確定しており、 4名が現時点では不明とのことであ
を見つけ、今それに向けて準備しているところで、大変充
った(表1)0
この4名(A群②)のプロフィールを紹介する。 A氏は兄・
実しているとのことであった。
SEIQoL-DWについては、 3年前、 1回目の実施でわか
弟も同病である。 B氏は母の姉が同病、父親も同病だっ
ったこととして、 「必ずしも研究者の予測とは一致しないこ
た可能性があり、さらに夫の一族も自分の一族も同郷の
と」、 「ライフヒストリーでは聞き出せないことが把握できる
狭い離島出身でとても血が濃い可能性があるので心配、
こと」など、それなりのメリットを感じていたが、 2年、 3年と
それで遺伝子検査の結果待ちとのことである。 C氏は現
経年の実施により、インデックス値の上昇・下降の原因が
在10代の娘にも症状が出始めており、これから遺伝子検
はっきりとわかり、その人の生活の質、いわゆる主観的
査を受けようか考えているとのこと。 D氏は、両親がいとこ
QOLがかなり正確に把握できることがわかった。
婚で母方の祖父が同病とのことであった。
さて、筆者は、最近、対象者-のインタビューを重ねる
中で、しばしば患者の「遺伝」に関する心配や疑問につ
いて耳にするようになっている。遺伝に関しては難しい問
題でもあり、筆者としてはあまり焦点を当てたくなかったの
で、これまで患者との対話の中でこちらから話題にするこ
とは無かったことである。
しかし、このところの面接の中で遺伝の話題がどうして
も避けて通れなくなってきているように思い、本研究では
改めて、これまでの全インタビュー記録を見直し、その中
から遺伝についての対象者の認識や思いについて整
理・分析し、そこから看護上の示唆を得ることを目的とし
次に、対象者たちが語った、遺伝に関する不安や心配に
ついての記述である。全部で16名が語っていたが、それは
必ずしも親族に同病者がいる人ばかりでなく、親族にいない
人からも多く聞かれた。また、本人からだけではなく、家族か
ら聞かれることも少なくなかった。
16名の語りの内容をカテゴリーに分類すると、 4つに分
けることが出来た(表2).まず、一番多かったのが「子供の
結婚に影響がないか」ということである。これは主に、相手方
からそのような病気の家系であると見られやしないかという
不安である。自分が病気であるがために、子どもの結婚に影
が出ることを非常に恐れていた。また、相手にどう説明したら
た。
よいのかという声もあった。
次が「この病気が子供に遺伝しないか」という心配である。
B.研究方法
【調査対象】概ね40歳代以下で発症し、かつ現在50歳代
例えば、自分は遺伝なのだろうか? 、それに関連して、子供
以下のパーキンソン病患者。北海道から沖縄までの40名、
に遺伝する確率は? 、などと聞いてくることが多かった。
3つめが「田舎なので隠すしかなかった」というものであ
発症時平均年齢は33.1±9.O哉O
【調査方法】事前のアンケート調査を元に、ライフヒストリ
る。とにかく田舎なのでずっと病気を隠し続けた、あるい
ーの聴取、半構造化面接を併用しながら-人当たり数回
はひどいものになると、田舎なのでそこにいられず一族と
の面接を実施。
縁を切り地元を捨てた、という人もいた。
【分析方法】これまでの全インタビュー記録の中から、遺
伝についての対象者の認識や思いについて記載してあ
る部分を抜き出し、質的に整理・分析する。
また、一人だけだが遺伝する可能性があるので「子供
は作れなかった」という人もいたO
さらに、筆者-の質問内容として「主治医の先生には
【倫理面への配慮】
開けなくて・-」、と前置きした上で、様々なものがあった
調査内容が個人情報そのものであるため、データにつ
(表3)。 「遺伝の確率は?」というのが最も多かったが、
いては、個人情報管理を厳重に行うこと、研究以外には
「主治医の先生は心配ないって言うけれど本当に大丈夫
使用しないこと、集計して公表するが一部質的に検討す
なのか? 」、 「先生にAR-JPという言葉を聞いたけれどよく
ることなど、文書と口頭により十分な説明と倫理的配慮を
わからない」など、様々であった。
行った。
D_考察
C_研究結果
パーキンソン病は、ほとんどの症例が孤発性(非遺伝性)
今回の40名の対象者のうち、親族内に同病者がいる者
-20
である。しかし、中には遺伝による発症もあり、最近10年
大学神経内科教授の吉良先生が難病医療専門員の仕
で13個の遺伝子座が同定され、実際に8個の遺伝子が
事の蓄積からまとめた「難病相談ガイドブック」という素晴
発見されている。特に多いのがパーキン(Parkin)タンパ
らしい著書が出版され、筆者はそれを参考に患者の話を
クをコードする遺伝子の突然変異によって起こるPARK2
聞き、何とか対処しているところである。今後、この病気に
皇4ZのものであるOこの変異は若年性パーキンソン病の
おいても遺伝性の患者が存在すること、また相応の不安
最も一般的な原因のひとつになっており、遺伝形式として
や悩みを抱えていることを看護界にも啓蒙していく必要が
は常染色体劣性遺伝(いわゆるAR-JP)を呈する。
ある。そして、さらに遺伝看護・遺伝カウンセリングの視点
従来、一般には遺伝性疾患とは捉えられてこなかった
でのより深い検討が必要であると思われる。
パーキンソン病であるが、若年発症者には実際遺伝性の
人が多いこと、遺伝性パーキンソン病の遺伝子研究が進
E.結論
んでいること、遺伝子診断や遺伝子治療がマスコミ等で
若年性パーキンソン病患者における遺伝に関する不安や
取り上げられることが増えてきたことなどにより、患者の遺
心配についての記述からは、子供の結婚や子供-の遺伝
伝に対する認識が深まっていることが感じられる。また、友
を心配する声が多かった。また優性思想的な現状も明らか
の会や市民講座などの講演会等で、初めて一部遺伝する
になった。さらに、対象者は、遺伝に対してまだまだ多くの
可能性のある病気と知って驚いたという人も多かった。
不安を抱えているが、必ずしも医師には十分に話せてい
遺伝に関する不安や心配についての記述からは、子供の
ない現状が伺えた。
結婚や子供-の遺伝を心配する声が多かった。特に対象
他の遺伝疾患に比べて必ずしも重大性は大きくないが、
者が「田舎」という地域においては、いわゆる優勢思想がま
この病気の場合も遺伝は非常に重要な問題であることに
だ根強くあり、ひどい場合はそこにいられなくなってしまった
変わりはなく、遺伝看護・遺伝カウンセリングの視点が必
という。別の調査で、病気をひたすら隠すという現状もあり、
要であることが示唆された。
まだまだ地方においてはこの疾患に対する偏見も大きいこ
F_健康危険情報
とが伺えた。
なし
また、筆者への質問内容からは、一応主治医からの説
明は聞いてはいるもののやはり不安が払拭し切れていな
い人や、主治医から十分に説明を受けていない人、ある
G.研究発表
いは主治医-の遠慮などが感じられた。対象者は、遺伝
1.論文発表
に対してまだまだ多くの不安を抱えているが、必ずしも医
1)秋山智(2009).難病患者の就労支援と経済問題:自
己に出来ることを理解し社会貢献を,難病と在宅ケ
師には十分に話せていない現状が伺えた。
ア, 14(10), 8-13.
最近、各地の大学病院などで、遺伝相談外来や遺伝
カウンセリングなどが行われるようになってきている。神経
2)秋山智(2008).難病患者から見た医療・看護(1) :若
疾患領域においては、筋ジス、パンチントン、 SCDなどが
年性パーキンソン病をもつ人々の世界,臨床老年看
対象の多くを占め、パーキンソン病についてはそれら常
I, 15(1), 118-123.
染色体優性遺伝の病気に比べると、相談の人数・重大性
3)丞辿畳,木下広子(2008).難病患者から見た医療・看
共に大きいものではないと思われる。しかし、いろいろな
護(2) :私が私らしく生きるために,臨床老年看護,
話を聞く中で、当事者一人ひとりにとっては、この病気の
15(2), 120-125.
場合も遺伝は非常に重要な問題であることに変わりはな
4)塾由登,岡田行美(2008).難病患者から見た医療・看
護(3) :親として,臨床老年看護, 15(3), 118-123.
いことが理解できた。
しかし、こと看護の世界においては、パーキンソン病に
5)塾也登,橋爪鈴男(2008).難病患者から見た医療・看
遺伝性のタイプがあることを認識している人は多くないと
護(4) :白衣をパジャマに着替えて,臨床老年看護,
思われる。現在のところこの病気は「遺伝看護」という教科
15(4), 120-125.
書の中でもほとんど触れられていない。ただ、最近九州
6)秋山智,藤木五月(2008).難病患者から見た医療・看
-21-
護(5) :若年性パーキンソン病と結婚・出産・子育て,
臨床老年看護, 15(5), 116-126.
7)塾由畳,野上輝明(2008).難病患者から見た医療・看
護(6) :頑張ればきっとできる,臨床老年看護, 15(6),
113-118.
8)秋山智(2008).多発性硬化症患者の看護,井上智
子,佐藤千史(編),病期・病態・重症度からみた疾患
別看護過程, 1143-1156,医学書院,東京.
9)塾由畳(2008).パーキンソン病患者の看護,井上智
子,佐藤千史(編),病期・病態・重症度からみた疾
患別看護過程, 1165-1176,医学書院,東京.
2.学会発表
1)粗壁,岡本裕子(2008).若年性パーキンソン病患
者の出産と育児に対する思い,第13回日本難病看
護学会学術集会,東京都.
2)岡本裕子,塾由萱(2008). SEIQoL-DWを用いた若
年性パーキンソン病患者の理解一失業状態の2例
の男性患者の比較,第13回日本難病看護学会学
術集会,東京都.
3)秋山智(2008).充実した療養生活を送るためのケア
の技術一若年性パーキンソン病患者と語る,第13回
日本難病看護学会学術集会公開セミナー,東京都.
4)塾由登(2008).パーキンソン病と取り巻く社会的問題
点一若年性パーキンソン病を中心として,第5回
HOPE& PDSO研究会,京都市.
H.知的財産権の出鼻・登録状況
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-22-
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表1.対象者の遺伝性(n-40)
表4.家族性パーキンソン病の遺伝子(抜粋)
表2.遺伝に関する不安・心配
表3.遺伝関連の質問内容
-24-
平成21年度
若年性パーキンソン病患者のQOL評価
-SEIQoL-DWによる経時的な変化の分析を通して-
秋山 智 広島国際大学看護学部教授
研究要旨
本年度の研究目的は、数年閉経時的に同じ患者にSEIQoL-DWを実施することにより、明
らかになったインデックス値の変化の様相とその意味について考察し、若年性パーキンソン病
患者のQOLの特徴について検討することである。
大きく下降したケースでは、その原因は①自分自身の喪失体験(仕事、お金、健康、離婚
など)、 ②家族の問題(失業、病気など)、 ③自分と家族、双方の関係性の問題、の3つに分類
することができた。大きく上昇したケースでは、その原因は①家族との関係性の向上、 ②失っ
たものに代わる何かを得る、 ③考え方の枠組みの変容(気の持ち方) 、の3つに集約することが
できた。以上のことから、特に若年者の場合、生活に直結する様々な喪失体験等にどう対処
し、そこにどう援助するかの示唆を得ることが出来た。
共同研究者
筆者が特に力を入れている項目であるO 中でも
岡本裕子(広島国際大学)
SEIQoL-DWについては、既に4年以上継続して取り
組んでおり、いくつかの所見が明らかになってきた。
本年度の研究の目的は、数年閉経時的に同じ患者に
A.研究目的
パーキンソン病は、初老期以降、特に老人に多い病気
SEIQoL-DWを実施することにより、明らかになった
と認識されている。しかし中には40歳未満で発症する若
インデックス値の変化の様相とその意味に?いて考
年性パーキンソン病の人も全体の5-10%の割合で存
察し、若年性パーキンソン病患者のQOLの特徴につ
在する。筆者は、ここ数年、若年性患者の生活の状況や
いて検討することである。
諸問題に関しての一連の調査をしてきた.そして、若年
者ならではの問題の特徴について明らかにし、そのQOL
B_研究方法
や看護上の示唆について考えてきた。
【調査対象】概ね40歳代以下で発症し、かつ現在50歳代
調査対象は、概ね40歳代以下で発症し、かつ現在50
以下のパーキンソン病患者。北海道から沖縄までの51名、
歳代以下のパーキンソン病患者であり、これまでに北海
発症時平均年齢は34.0±8.9歳。
道から沖縄までの51名に対して調査を行った(スノーボ
【調査方法】事前のアンケート調査を元に、ライフヒストリ
ールサンプリング)。対象者の発症時平均年齢は、 34.0±
ーの聴取、半構造化面接を併用しながら-人当たり数回
8.9歳、一番若い患者は15歳で、高校生での発症が4名
の面接を実施。そしてSEIQoL-DWを1年ごとに毎年
いた。調査方法としては、事前のアンケート調査を元に、
実施する。
ライフヒストリーの聴取、半構造化面接(SEIQoL-DWを含
【分析方法】SEIQoL-DWを1年ごとに毎年実施し、イ
む)を併用しながら-人当たり数回の面接を行った。
ンデックス値やキューの変化を整理する。さらにその
若年者には、高齢者とは全く違う問題がある。その最た
結果を元に対象者との対話の中で原因分析を行なう。
また、値の上下動の変化については、統計的に処理し、
るものが就業問題と、それに関連した経済的問題である。
また、あまり知られていないが、特に若い女性には、結婚、
特に変化の大きいものについて、その理由を質的に検討
出産・育児の問題があるOここ数年の一連の調査として、
し、若年性パーキンソン病患者のQOLの特徴につい
例えば「就業に関連する問題」、 「出産・育児に対する思
て明らかにする。
い」、 「遺伝の問題」、 「SEIQoL-DW 」などについては、
【倫理面への配慮】
調査内容が個人情報そのものであるため、データにつ
-25-
いては、個人情報管理を厳重に行うこと、研究以外には
2年目で上昇するが3年目で再び下降という人もい
使用しないこと、集計して公表するが一部質的に検討す
る。
表1. SEIQoL-DW 3年間の変化
ることなど、文書と口頭により十分な説明と倫理的配慮を
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行う。
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1.実施の概要
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原則として毎年1回ずつ再検査した。基本的に、初め
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から実施するので、現在までに1回のみの実施が18
名、 2回の実施が12名、 3回の実施が11名、 4回の
実施が1名である。
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その結果、最も多かったのが80点台、次が70点
台で、平均値は72.69±17.52であった(図1)。最低
値は17.5、最高値は100.0であった。
表2は、 2年間で2回実施した12名のデータであ
る。 15以上、大きく上昇したのが1人、下降したの
が7人である。中でも、 Q氏のマイナス50.1、 S氏
のプラス56.1は、最も大きな変化である。
表2. SEIQoL-DW 2年間の変化
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2.経年ごとの変化の概要
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次に経年ごとの変化について述べる。まず、 4年間
で4回実施した1名のデータであるが、その方(A氏)
図2は、以上の全てのデータの変動の幅を集計した
の場合は4年間とても安定しており、ほとんど変動は
ものである。全37のデータのうち、下降していたの
なかったので省略する。
が20,上昇していたのが17であった。グラフは、ほ
表1は、 3年間で3回実施した11名のデータであ
ぼ正規分布を示しており、変動の平均値を計算すると
る。白△が前年度に比べて上昇、黒逆さ▼が下降を示
絶対値で15.3であった。前述のごとく便宜上、プラ
している。この中で、便宜上、インデックス値のプラ
スマイナス15を基準として「大きく変化した」と考
スマイナス15を「大きく変化した」と考えてみるこ
えたことには、そのような裏付けがある。
とにする。この中で大きく上昇したのがのべ6人、下
降したのが4人である。中にはB氏のように2年目に
下降して3年目で再び上昇という人や、 L氏のように
-26-
のの、前の夫との子どもたちと自由に会えなくなって
しまったとのことである。
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3.変化の原因(下降の場合)
次にデータが大きく変化した人を中心に、その変化
図3. Q氏のSEIQoL-DW
の原因の分析結果である。
表3は、 2年間と3年間をあわせて、マイナス15
図3の円グラフが示すように、この方にとって子ど
以上の下降があった11ケースの原因分析である。例
もたちの存在が重み付けとして非常に大きいのであ
えば、 B氏は仕事を失うことになり、家族・パチンコ
るが、自由に会えないということで、レベルの点数が
に依存するようになった、F氏は、病気の進行により、
とても低い。そのことが全体の値を下げる大きな原因
夫や娘との関係が中心の生活になったが、それがうま
となっているのがわかる。
くいっているとは言えない、などである。
衷4.下降の原因:まとめ
表3.下降1 1ケースの原因分析
表4は、これら11ケースの下降の原因をまとめた
中でもマイナス値50.1と最も大きかったQ氏につ
ものである。大きく下降したケースでは、その原因は、
いて、具体的に紹介する(図3)。 Q氏は、 30代前
①自分自身の喪失体験(仕事、お金、健康、離婚など)、
半の女性である。 1回目の時は、子どもが3人おり、
②家族の問題(失業、病気など)、 ③自分と家族、双
インデックス値も91.1と非常に高値を示していた。
方の関係性の問題、の3つに分類することができた。
ただし、この頃から夫とはうまくいっていなかったと
いう。そして2年後、事情によりその夫と離婚し、別
4.変化の原因(上昇の場合)
の男性と再婚、さらにもう1人の子宝にも恵まれたも
-27-
表5は、 2年間と3年間をあわせて、プラス15以
上の上昇があった7ケースの原因の分析結果である。
しかし約1年後、 2回目の時には、夫との関係が持
例えば、先にも紹介したB氏であるが、前回下がっ
ち直し、経済的な支援も受けられ、同時に仕事もうま
ていたが、今回再び値が上昇し復活している。この方
く行き始めたとのことであった。それで図4のごとく
は壮年期の男性患者であるが、 1年目は、仕事も順調
インデックス値が56.1も上昇している。
であったという。ところが、前回は、退職に追い込ま
表6は、これら7ケースの上昇の原因をまとめたも
れる直前で、大変落ち込んでいたという。しかし、今
のである。大きく上昇したケースでは、その原因は、
回、仕事に変わる新たなやりがい・目標を見つけ、今
①家族との関係性の向上、 ②失ったものに代わる何か
それに向けて準備しているところで、大変充実してい
を得る(例えば、友の会や友人関係、外の世界といっ
るとのことであった。
たものや、夢や目標を持つこと、趣味の充実など)、
表5.上昇7ケースの原因分析
③考え方の枠組みの変容(気の持ち方)、の3つに集
約することができた。
表6.上昇の原因:まとめ
他にも、 C氏やJ氏なども大きく上昇しているが、
中でもプラス値56.1と最も大きかったS氏について、
具体的に紹介する(図4)。 S氏は、 30代後半の女
性である。 1回目の時は夫と離婚の危機を迎えており、
D.考察
キューのなかに夫は存在すらせず、仕事も経済面もう
SEIQoL-DWについては、 3-4年程前、 1回目の
まくいっていなかった。しかしその割に仕事とお金に
実施でわかったこととして、 「必ずしも研究者の予測
対する重み付けが大きかったので、必然的にインデッ
とは一致しないこと」、「ライフヒストリーでは聞き出
クス値は19.0と非常に低いものであった。
せないことが把握できる」ことなど、それなりのメリ
ットを感じていた。しかしさらに3年、 4年とこのよ
うに経時的に計測を続けると、その人にとって大切に
しているものに何らかの変化があった場合や、危機的
な状沢-の対処の仕方、受容の仕方なども含め、上昇
や下降の原因からQOL全体の様相がはっきりと把握
できることがわかった。
そして、特に若年者の場合、生活に直結する様々な
喪失体験にどう対処し、そこにどう援助するかが大き
な課題となると思われる。
すなわち、喪失体験は避けられない場合が多いが、
それに変わる何かを見つけること、及び考え方の枠組
図4. S氏のSEIQoL-DW
みの変容(気の持ち方)が大切であること、すなわち
-28-
「ナラテイブの書き換え」が重要であるということで
看護(7) :若年発症のパーキンソン病,臨床老年看
護, 16(1), 107-114.
ある。さらに、家族間の関係を良くすることも大きな
支援のポイントであるといえるだろう。
3)教由畳,舟波真美(2009).難病患者から見た医療・看
最後に、今後の課題である。パーキンソン病は、ゆ
護(8) :パーキンソン病と子育て,臨床老年看護,
っくりではあるが確実に進行する病気であり、それに
16(2), 114-118.
伴いADLも少しずつ低下せざるを得ない。しかし、
4)塾由登,舟波真美,橋爪鈴男,清徳保雄(2009).難病
時間が経つにつれ症状が進行したとしても、インデッ
患者から見た医療・看護(9) :若年性パーキンソン病
クス値全体が必ずしも下がるわけではない。したがっ
の患者組織,臨床老年看護, 16(3), 112-119.
て、今後は、例えばUPDRSやMASAC-PD31など
5)塾辿_壁,根本和浩,他(2009).難病患者から見た医
の尺度と比較して、それを数値として証明する必要が
療・看護(10) :男性若年性患者の苦悩・負けない理
あると考える。現在そちらの調査も進行中であるが、
由,臨床老年看護, 16(4), 114-119.
その結果はまた別の機会にしたい。
6)塾由登,阿刀田俊子(2009).難病患者から見た医療・
看護(ll) :病気が私を覆っていても,臨床老年看護,
E.結論
16(5), 112-116.
SEIQoL-DWを1年ごとに毎年実施し、特に変化の
7)敏也畳,徳永武重(2009).難病患者から見た医療・看
大きいものについて、その原因について検討し、若年性
護(12) :人生の先輩からのメッセージ,臨床老年看
パーキンソン病患者のQOLの特徴について明らかに
護, 16(6), 112-117.
した。
8)塾辿登,武藤香織,柊中智恵子(2009).難病看護と遺
大きく下降したケースでは、その原因は、 ①自分自
伝一看護職としてできること,日本難病看護学会誌,
身の喪失体験(仕事、お金、健康、離婚など)、 ②家
14(2), 135-136.
族の問題(失業、病気など)、 ③自分と家族、双方の
2.学会発表
関係性の問題、の3つに分類することができた。
大きく上昇したケースでは、その原因は、 ①家族
1)数由畳,岡本裕子(2009).若年性パーキンソン病患
との関係性の向上、 ②失ったものに代わる何かを得る
者の遺伝に関連する問題,第14回日本難病看護学
会学術集会,前橋市.
(例えば、友の会や友人関係、外の世界といったもの
や、夢や目標を持つこと、趣味の充実など)、 ③考え
2)丞出生,岡本裕子(2009). SEIQoL-DWによる経時的
方の枠組みの変容(気の持ち方)、の3つに集約する
な変化の意味に関する研究-若年性パーキンソン
ことができた。
病患者のQOLについて,第14回日本難病看護学
会学術集会,前橋市.
以上のことから、特に若年者の場合、生活に直結す
る様々な喪失体験等にどう対処し、そこにどう援助す
3)秋山智,武藤香織,柊中智恵子(2009).難病看護と遺
るかの示唆を得ることが出来た。
伝一看護職としてできること,第14回日本難病看護
学会学術集会公開セミナー,前橋市.
F.健康危険情報
なし
H.知的財産権の出鼻・登録状況
なし
G_研究発表
1.論文発表
1)秋山智(2009).難病患者の就労支援と経済問題:自
己に出来ることを理解し社会貢献を,難病と在宅ケ
ア, 14(10), 8-13.
2)教由畳,岡田芳子(2009).難病患者から見た医療・
-29-
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この報告書は、平成19年~22年度科学研究費補助金(基盤研究(c))による「若年性
神経難病患者の"社会との接点"と"SEIQoL-DW"との関連に関する研究~特に
若年性パーキンソン病患者に焦点を当てて~」の研究成果の途中経過(前半3年分)を
まとめたものの一部である。なお、本研究は、以下の研究組織、研究経費により実施され
たものである。
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研究代表者 秋山 智 (広島国際大学看護学部教授)
研究協力者 岡本 裕子 (広島国際大学看護学部准教授)
秋山 智(あきやまさとる)
広島国際大学 看護学部 教授
〒737-0112
広島県呉市広古新開5- 1 - 1
電話 0823-73-8392
アドレス [email protected]
(発行: 2010年4月)
-214-