≪演題 1≫ 当院における腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術 兵庫県立加古川医療センター 外科 阿部紘一郎 腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術が保険適応となったことに伴い同術式を導入する施設が増えている。当院でも昨年から同術式を導入し現 在のところ腹壁瘢痕ヘルニア6例、傍ストマヘルニア1例に行っている。ヘルニア門を 0 v-loc™を用いて閉鎖した後 PCO メッシュをエン ドクローズを用いて4針筋膜に縫合固定し、absorb tack で腹壁固定を行っている。ヘルニア門の閉鎖は手技的には難しい場合もあるが 再発・mesh bulging を予防する目的で行っている。現在のところ再発・bulging は認めていない。傍ストマヘルニアに対しては Sugarbaker 法を導入し良好な経過を得ている。若干の文献的考察を加え、実際の手術手技を動画で供覧する。 ≪演題 2≫ 膨潤麻酔を併用した TAPP の経験 兵庫県立加古川医療センター 外科 永田真知子 当院では鼡径ヘルニアに対し腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術(TAPP)を第一選択としている。2014 年からは①術中手技の簡易化、②術後疼 痛の軽減の 2 つを目指し膨潤麻酔併用の TAPP を行っている。体表面より麻酔薬を注入し、ヘルニア門周囲の腹膜前腔を膨化する。膨化 後は層の確認や腹膜の剥離が容易となり、剥離時の出血も抑制できるので良好な視野が保てる。当院では本手技を計 6 例経験し、膨潤麻 酔なしの TAPP と比べて手術時間の短縮と術後疼痛の減少を認めた。今後更なる症例の検討が必要であるが膨潤麻酔併用の TAPP は手術 手技、術後疼痛の面からも有用な方法であると考えられる。実際の手技についてビデオ供覧を交えて報告する。 ≪演題 3≫ 腹腔鏡下胃全摘術 ―これまでの取り組みと現状― 神戸大学医学部附属病院 富永正寛 中村毅 食道胃腸外科 ○金治新悟 鈴木知志 安田貴志 山本将士 今西達也 中村哲 川崎健太郎 田中 賢一 掛地吉弘 胃癌に対する腹腔鏡手術は腹腔鏡下幽門側胃切除(LDG)を中心に普及したが、腹腔鏡下胃全摘(LTG)に関しては根治性や安全性の問 題より、未だ一般的とは言い難い。LTG 導入に際しては、深部リンパ節である No.11p 郭清が早期癌であっても必須となること、また小 開腹からの再建が困難な食道空腸吻合を体腔内で行うことが障壁となる。このため、まずは LDG において深部リンパ節に対する郭清手 技を確立し、さらに Linear Stapler を用いた体腔内再建の標準化を行うことで、現行の LTG を円滑に導入可能であった。LTG の標準化 に向けた取り組みと手術成績について報告し、実際の手技について供覧する。 ≪演題 4≫ 当施設における腹腔鏡下肝切除の定型化 神戸大学医学部附属病院 肝胆膵外科 木戸正浩 腹腔鏡下肝切除術(LSH)で保険収載されているのは肝部分切除および肝外側区域切除のみである。開腹手術と比較し、LSH は腫瘍学的観 点からも差が無く、周術期合併症も少ないと報告されてきたが、適応拡大による重度の合併症も報告されている。一般的には左葉系と比 較し、右葉系の手術の方が困難と考えるが、我々の検討では術式における有意差を認めなかった。つまり外科医の「判断」というバイア スが非常に強くかかるため、統計学的数値では手術の難易度を表せないことが言える。自験例から言えることはまずは左葉系の切除から 導入し、最終的に後区域の部分切除へと積み重ねていくことが肝要である。当施設の LSH の定型化についてビデオを交えて供覧する。 ≪演題 5≫ 当院におけるエンド GIA reinforce の使用経験 神戸大学医学部附属病院 呼吸器外科 ○田根慎也 大隈宏通 小川裕行 法華大助 田中雄悟 眞庭謙昌 胸腔鏡手術においては、部分切除、葉間形成の際にステープルを使用しているが、気腫性変化が高度な症例では、ステープル面からの肺 瘻に難渋することが多い。エンド GIAreinforce は、従来のステープルに予めネオベールシートが装着されており、従来のものと比較し て、出血防止、エアリーク防止、耐圧性向上の点で優れている。今回、エンド GIAreinforce の使用が効果的であった2症例について、 手術ビデオを供覧する。 ≪演題 6≫ 原発性自然気胸患者の負担軽減を目指して-胸壁滑車法による単孔式 VATS の実際- 高砂市民病院 呼吸器外科 ○坪島顕司 的場保巳 近年、原発性自然気胸に対する single incision thoracoscopic surgery:SITS の報告が散見される。当科でも簡易な症例に限定し独自に考 案した胸壁滑車法を用いた SITS を 2011 年 11 月から採用している。2009 年 1 月より 2015 年 1 月までに初回原発性自然気胸症例に対し VATS を施行した 120 症例(SITS:46 症例、3 ポート:76 症例)を対象に手術成績を比較検討した。胸壁滑車法は 18mm 前後の皮膚切 開を第 6 肋間中腋窩線上に行い、ブラ近傍に牽引糸、第 3 肋間前腋窩線上に胸壁支持糸をかけ、この部分で滑車を形成する方法である。 手術ビデオを供覧し、本法の実際と工夫を報告する。 ≪演題 7≫ 小児外科領域における鏡視下手術 姫路赤十字病院 小児外科 ○畠山理、中谷太一、宮内玄徳 近年小児外科領域においても鏡視下手術の適応疾患が拡大しつつあり、主要疾患の大部分において鏡視下手術が可能であるといっても過 言ではない。症例数としては日常疾患である鼠径ヘルニアや急性虫垂炎が鏡視下手術の大多数を占める。胸部領域では漏斗胸に対する胸 腔鏡下胸骨挙上術が多いが、近年肺切除も鏡視下に行われるようになっている。また高難度の技術を必要とするが、新生児の食道閉鎖症 や横隔膜ヘルニアも胸腔鏡下に施行する施設がみられるようになった。腹部領域では胃食道逆流症に対する腹腔鏡下逆流防止手術が主要 疾患であり、この手術は小児外科領域の日本内視鏡外科学会技術認定医を取得するうえで必須の手術となっている。それ以外には脾臓摘 出術、ヒルシュスプルング病根治手術、鎖肛根治手術が鏡視下手術の対象疾患としてあげられる。小児外科領域における鏡視下手術の現 状と課題について報告する。 ≪演題 8≫ 当院における婦人科腹腔鏡手術の現状 愛仁会千船病院 産婦人科 ○村越誉 吉田茂樹 大木規義 稲垣美恵子 安田立子 岡田十三 本山覚 近年当院では、子宮筋腫・子宮内膜症等婦人科良性疾患に対する腹腔鏡手術を積極的に導入しており、2010 年には 143 件であった鏡視 下手術件数が 2014 年には 310 件と急増している。2014 年の同手術の内訳は、腹腔鏡 232 件(全腹腔鏡下子宮全摘術 63 件、腹腔鏡下子 宮筋腫核出術 45 件、腹腔鏡下子宮附属器腫瘍手術 99 件、腹腔鏡下子宮外妊娠手術 25 件)、子宮鏡 78 件であった。婦人科腹腔鏡手術に おいては開腹術と同等の腹腔内縫合操作の習得が必須である。近年の当科における鏡視下手術成績と、子宮内操作や子宮筋腫核出後の回 収操作など、婦人科固有の手術操作、腹腔内縫合操作を要する全腹腔鏡下子宮全摘術、腹腔鏡下子宮筋腫核出術の実際の手術手技を動画 で供覧する。
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