アベノミクス 長谷川 俊也 Hasegawa, TosHiya Co-CEO, NOMURA HOLDING AMERICA, INC. ESSAY FROM BOARD MEMBER 新年明けましてお るジャパンパッシングは私の想像をは 選手などの活躍がこちらのメディアに めでとうございま るかに超えるレベルだったのです。 大きく取り上げられる年でもありまし た。米国の様々な分野で、ジャパンマ す 。 2015年 が 皆 様にとって素晴ら 特に後者は、我々のビジネスにも直結 ネーがウォール街を席巻した四半世紀 しい年であります する事象でありながら既に修復不可能 前のものより格段に洗練された輝きを よう、心よりお祈 な領域に入っているような感覚もあり、 日本が放ちつつあるように思います。 り申し上げます。 当時はその深刻さに茫然とするばかり でした。 壮大な社会実験と評されるアベノミク スがどのような帰結を迎えるのかは誰 早いもので2012年秋にニューヨークへ 着任して2年が過ぎました。1991年か ところがその年の瀬、混迷する野田政 にもわかりませんが、私のニューヨー ら10年間ヨーロッパに駐在してはいま 権に代って安倍政権が誕生しこの状況 ク赴任とほぼ時を同じくして世に登場 したが、その後日本に帰国してから更 が一変していきます。世に言う「アベ したこの大胆な試みが、米国における に10年以上が経過しており、突然命じ ノミクス」が人々の間で認知されるに ジャパンパッシングを終息させたのは られた米国駐在は本人はもとより家族 つれ、米国の日本に対する関心度合い 間違いありません。そしてその結果と にとっても信じられない驚愕の一大事 も急騰する日経平均同様高まっていき して、互いをリスペクトし合う本当の でした。48歳にして初めてのウォール ました。2020年東京オリンピック開催 信頼関係が今まさに醸成されつつある 街は悪戦苦闘の連続でしたが、ようや という吉報までもたらされたその後の ような気がします。おかげで私自身も く街の喧騒にも慣れ、マンハッタンと 展開は皆さんも良くご存知の通りで、 ビジネス上ずいぶん助けられましたし、 ウエストチェスターの素晴らしいニュ 安倍総理がニューヨーク証券取引所に 日本人の誇りを異国で再認識する多く ーヨークライフをゆっくりと実感し始 多くの機関投資家を集めて「バイ・マ の機会にも恵まれました。本当に良い めています。 イ・アベノミクス」と高らかに謳った タイミングでこの地にやってきたもの スピーチは辛辣さで鳴らす彼らからも です。 私のニューヨークライフは2つのネガ 絶賛されました。 日本では相変わらず悲観的な論調も散 ティブな驚きでスタートしました。一 つは世界経済の中心であるマンハッタ 一方で、震災の復興過程で見られた民 見されますが、今こそ米国ダイナミズ ンの老朽化したインフラの脆弱さです。 度の高さ、訪日外国人が一様に驚く高 ムの源泉の一つと私が確信する「Think 赴任直後に見舞われたハリケーン・サ いホスピタリティーと安全性、世界文 Positive」を日本人も見習うべき時だと ンディで弊社オフィスビルも被災し、 化遺産に登録された和食、製造業の高 信じます。元々自他ともに認める楽観 2週間もの間代替オフィスでの業務を 度な技術力など、改めて日本の良さを 主義者である私も、米国流によりバー 強いられた時の混乱は今でも忘れられ 評価する機運が広がっていると感じま ジョンアップした「Think Positive」で ません。もう一つは米国の日本に対す す。まさにアベノミクスとの相乗効果 日本の明るい未来を信じ、よき友人で る関心の低さです。「失われた20年」 です。昨年は、日本企業による大型の あるアメリカにその価値と可能性を伝 は確実にこの国における日本のプレゼ 米国企業買収や、ヤンキースの田中選 えていこうと思います。 ンスを著しく低下させており、いわゆ 手、テニスの錦織選手、ゴルフの松山 04 イベ ント の お 問 い 合 わ せ・お 申し 込 み は 、日 本 ク ラ ブ T E L 2 1 2 - 5 8 1 - 2 2 2 3 ま たは E - m a i l [email protected]
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