タンパク質- 磁性粒子複合体の生合成と 創薬探索ツール

「東京農工大学 新技術説明会」
2014.6.17
JST東京本部別館ホール
(東京・市ヶ谷)
タンパク質- 磁性粒子複合体の生合成と
創薬探索ツールとしての活用
国立大学法人 東京農工大学
大学院工学研究院 生命機能科学部門
吉野 知子
磁性粒子のバイオ分野への応用
ハイパーサーミア
バイオセンシング
DNA、タンパク質、
細胞等の磁気分離
免疫測定における磁性担体
Magntic beads
M
MRIの造影剤
Si3N4
B
+
-
H
電磁石
磁気プローブ
タンパク質-磁性粒子複合体
タンパク質
磁性粒子
NS
磁石をつくる微生物:磁性細菌とナノ磁性粒子
磁性細菌
磁性細菌
生体内にマグネタイト(Fe3O4)を生
合成する微生物
50~100 nmのマグネタイト(磁性粒
子)をチェーン状に保持
20 nm
タンパク質
脂質膜
ナノ磁性粒子
脂質膜
マグネタイト(Fe3O4)
タンパク質-磁性粒子複合体の調製工程の比較
従来技術
細胞破砕
精製
タンパク質
タンパク質
精製
宿主
表面修飾
 複数の工程、煩雑な操作が
必要
 タンパク質精製や化学架橋
がコストの多くを占める
化学架橋
磁性粒子
タンパク質-磁性粒子
複合体
磁性細菌を宿主として用いた発現系
細胞破砕
宿主(磁性細菌)
磁気分離に
よる精製
 1ステップで複合体の調製
が可能
 低コスト
磁性細菌を用いたタンパク質-磁性粒子複合体の調製
Mms13
 表面が脂質二重膜で覆われる
 Mms13が主要タンパク質として局在
形質転換
標的
遺伝子
マグネタイト
プラスミド
標的タンパク質
同一の手法による様々なタ
ンパク質と磁性粒子の複合
体が調製可能
タンパク質-磁性粒子複合体の大量生産技術
細胞培養
Controller
pH electrode
Sampling
細胞破砕
磁気回収
Pump
培養容量: 8L
ナノ磁性粒子
(100 mg /culture)
タンパク質-磁性粒子複合体の生合成
高発現1)・発現誘導2)
プロモーター/オペレーター
ペリプラズム発現(in vitro docking法)3)
シグナル配列
アンカー
安定・高効率発現4,5)
リンカー
自由度向上/非特異吸着の抑制6)
標的遺伝子
標的タンパク質
遺伝子欠損株7,8)
リンカー
アンカー
発現ベクター
Ampr
pBR332
ori
1) Yoshino, T., et al Biochem Biophys Res Commun (2005)
2) Yoshino, T., et al Appl Environ Microbiol (2010)
3) Sugamata, Y., et al Biochem Biophys Res Commun (2014)
pMGT
ori
4,5) Yoshino, T., et al Appl Environ Microbiol (2004, 2006) 7) Kanetsuki, Y., et al Biochem Biophys Res Commun (2012)
6) Takahashi, M., et al Biomaterials (2010)
8) Kanetsuki, Y., et al J. Biosci. Bioeng. (2013)
in vitro docking法
Magnetotactic
bacteria
Cell
disruption
Magnetic
separation
Expression vector
mms13 ZZ
Fc
scFv
Signal peptide
ZZ
Mms13
Fc
Cytoplasm
Folding
S-S bonds formation
Inner membrane
Periplasm
Outer membrane
磁性粒子上の抗原結合能評価
ビオチン標識β-galactosidaseとアルカリホスファターゼ
標識ストレプトアビジンで検出
Luminsecence intensity
(kcounts/sec)
300
250
β‐gal‐biotin (‐)
β‐gal‐biotin (+)
200
150
100
50
0
Mms13‐ZZ

Mms13‐scFv
scFv‐Fc + Mms13‐ZZ
in vitro docking法により活性のあるscFvと磁性粒子複合体の創製が可能
非特異的な吸着を抑制した磁性粒子の創製
リンカー
アンカー
機能性分子
アミノ酸の組み合わせ
非特異的吸着を
抑制する分子
O
O
n
H
PEG
タンパク質-磁
性粒子複合体
(Asn4Ser)n:
NS ポリペプチド
-Asn-Asn-Asn-Asn-Ser-AAT AAC AAT AAC TCC-
R
R
O
+H N
3
R
O- O
P
O
O
O O
Phosphatidylcholine
N+
O
HO
O
OH
Dextran
O
(n=10, 20)
C COOH
O
発現ホスト:磁性細菌
N
OH
H
N
4
O
O
HO
HO
合成遺伝子
HO
H
特徴:親水性分子
非荷電分子
非特異的吸着を抑制
するポリペプチド:NSポ
リペプチドの開発
OH
OH
O
n
NH2
O
標的タンパク質
n
NSポリペプチドによる非特異的吸着の低減
細胞
5
Nonspecifically-separated
RAW 264.7 cells (%)
Nonspecific adsorption of magnetic
particles to BSA-coated surfaces (%)
タンパク質
(1)
(2)
(3)
4
3
2
1
0
0
10
20
30
Magnetic particles (μg)
BacMPs (mg)
(1)
Protein G-NS0-磁性粒子
(○)
(2)
Protein G-NS50-磁性粒子
(×)
(3)
Protein G-NS100-磁性粒子
(△)
 NSポリペプチドの導入により、磁性粒子上へのタンパク質(BSA) 及び細胞(RAW
264.7 cells) に対する非特異的吸着を低減可能
タンパク質-磁性粒子複合体の応用
標識タンパク質
用途
プロテインA/G (抗体)
ビオチン(受容ペプチド)
免疫測定
細胞の磁気分離
核内受容体
Gタンパク質共役受容体
化学物質スクリーニング
ドーパミンや甲状腺ホルモンの検出
主要組織適合複合体(MHC) 抗原特異的キラーT細胞の濃縮
がん抗原ペプチドのスクリーニング
参考文献
Anal. Chem. (2000, 2006)
Biotechnol. Bioeng. (2008)
Biomaterials (2010)
J. Mater. Chem. (2010)
Appl. Environ. Microbiol. (2010)
Anal. Chim. Acta (2005, 2008)
Appl. Environ. Microbiol. (2004, 2010)
Int. J. Mol. Sci. (2013)
Bioconj. Chem. (2009)
Biochem. Biophys. Res. Commun.(2012)
企業への期待/想定される用途
• イムノアッセイ(マーカー検出)、受容体解析
(医薬品候補物質の探索)等を行っている企業
との連携
• 新しい検出ターゲットをもつ企業との共同研究
• 磁性粒子はラベル化剤としても利用できるため、
磁気検出装置を開発中の企業との連携
本技術に関する知的財産権
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発明の名称:タンパク質-磁性粒子複合体及びその製造方法
出願番号 :特許出願中 未公開
出願人
:東京農工大学
発明者
:吉野知子、田中 剛、松永 是、菅又泰博、本多 亨
•
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発明の名称:磁性細菌内でのタンパク質の効率的な発現方法
登録番号 :特許第4599597号
出願人
:農工大ティー・エル・オー株式会社
発明者
:松永 是,竹山 春子, 田中 剛, 吉野 知子
お問い合わせ先
東京農工大学
先端産学連携研究推進センター
TEL 042-388-7550
FAX 042-388-7553
e-mail [email protected]