物理基本演習シリーズ elementary case 01 点電荷起源の電場と電位 点 A ,B および P が図 1 のような配置にあり,線分 AB と線分 AP の長さはそれぞれ 2r , r である.点 A と点 B にはそれぞれ電気量 4Q と 9Q の点電荷がある.ただし, AP と BP のなす角は直角であり, Q > 0 である.クーロンの法則の比例定数を k ,無限遠方にお ける電位を 0 として以下の問いに答えよ. (1) 点 A と点 B にある点電荷が互いに及ぼす力の大きさを求めよ.また,それは引力か 斥力か答えよ. (2) 点 P の電位を求めよ. (3) 点 P の電場の強さを求めよ. (4) 点 P の電場の AB 方向の成分を求めよ. (5) 線分 AB 上にあり,電場の強さが 0 になる点を S とする.点 A と点 S の距離を求めよ. (6) 電気量が −Q の電荷を無限遠方から(5)の点 S まで運ぶ場合に外力がする仕事を求め よ. 1 §3 電磁気学基本演習 (7) 線分 AB 上にあり,点 A からの距離が x である点の電位 V (x) を表すグラフの概形と して適当なものを図 2 の(a)~(d)から選べ. 2 物理基本演習シリーズ elementary case 02 複数のコンデンサの充電:回路方程式と電荷保存 半径 a の 3 枚の薄い金属円板 D1 ,D 2 ,D 3 がある.D1 と D 2 の間に誘電率 ε 1 ,半径 a , 厚さ d の絶縁体の円板をはさみ, D 2 と D 3 の間に誘電率 ε 2 ,半径 a ,厚さ d の絶縁体の 円板をはさんで重ねた. d は a にくらべて十分小さいとして次の問いに答えよ.答は問 題に与えられた a , d , ε 1 , ε 2 , V1 , V 2 , V を用いて表せ. (1) 次図のように D 2 に対し D1 , D 3 にそれぞれ電圧 V1 , V 2 を与えたとき D 2 にたまる 全電荷 Q2 をもとめよ. V2 (2) (1)の操作のあと電源をはずし D1 と D 3 を短絡する.この時 D1 , D 3 それぞれにた まっている電荷 Q1′ , Q3 ′ をもとめよ. (3) (2)の操作のあと D1 と D 3 のあいだに次図のように電源をつなぎ, D1 に対して D 3 に 電圧 V を与えたとき,電源から D 3 に Q , D1 に −Q の電荷が新たに加わる. Q をも とめよ. 3 §3 電磁気学基本演習 4 物理基本演習シリーズ elementary case 03 誘電体挿入コンデンサの拡張におけるエネルギー収支 誘電率 ε [F/m],厚さ d [m],面積 S [m2]の誘電体円板を,それと同じ面積をもつ 2 枚 の金属円板ではさんだ平行板コンデンサが真空中に置かれている.以下の問に答えよ. ただし,真空の誘電率を ε 0 [F/m]とせよ.厚さ d は円板の直径に比べきわめて小さく, また,金属円板と誘電体円板の表面は滑らかで摩擦は無視できるものとする. Ⅰ この平行板コンデンサの電気容量[F]を ε , d , S で表せ. Ⅱ この平行板コンデンサを図1に示すように配線し,スイッチを閉じ,コンデンサを 起電力 V [V]の電池で充電した.十分に時間がたった後,コンデンサに蓄えられてい る電荷[C]と静電エネルギー[J]を ε , d , S , V で表せ. Ⅲ Ⅱの状態でスイッチを開き,その後,図2に示すように,2 枚の金属円板の間隔を ∆ d [m]だけ広げた. (1) コンデンサの電気容量を ε , ε 0 , d , ∆ d , S で表せ.また,コンデンサに蓄えら れている静電エネルギーを ε , ε 0 , d , ∆ d , S , V で表せ. (2) 2 枚の金属円板の間隔を ∆ d だけ広げるのに必要な仕事[J]を ε ,ε 0 ,d ,∆ d ,S , V で表せ. (3) 2 枚の金属円板が引き合う力[N]を ε , ε 0 , d , S , V で表せ. 5 §3 電磁気学基本演習 (4) 図2の状態で誘電体円板を 2 枚の金属円板からゆっくり抜き去った.このとき, コンデンサに蓄えられている静電エネルギーを ε ,ε 0 , d , ∆ d , S ,V で表せ. また,誘電体円板を抜き去るのに必要な仕事を ε , ε 0 , d , S , V で表せ. 6 物理基本演習シリーズ 回路方程式とダイオードの整流作用 elementary case 04 内部抵抗を無視できる起電力 E1 [V],E 2 [V]の電池,抵抗値 R1 [Ω],R2 [Ω]の抵抗, およびダイオード D ,スイッチ S を図のように接続した. D は順方向に電圧をかけると いつも電流が流れ,逆には流れないものとする.このとき,次の問いについて答えなさ い. 図 Ⅰ スイッチ S が開いているとき, (1) 回路に流れる電流の大きさを E1 , E 2 , R1 , R2 を用いて表しなさい. (2) A に対する B の電位を E1 , E 2 , R1 , R2 を用いて表しなさい. Ⅱ スイッチ S が閉じているとき, (1) ダイオード D に電流が流れるのは A , B のどちらの電位が高いときか. (2) ダイオード D に電流が流れていないとき, E1 , E 2 , R1 , R2 が満たす不等式を求 めなさい. (3) Ⅱ(2)の条件を満たすとき, E 2 , R1 , R2 を変化させずに E1 のみを変化させて, 7 §3 電磁気学基本演習 回路で消費される電力を最小にする.このとき回路の消費電力を求めなさい. 8 物理基本演習シリーズ elementary case 05 電場・磁場中の荷電粒子の運動 図のように点 P Q S T を頂点とする長方形の領域(a)と点 OP T U を頂点とする長方形の 領域(b)を考える.領域(a)では紙面に垂直に裏から表に向かって磁束密度 B の一様な磁 場が存在し,領域(b)では辺 P O に平行に右から左に向かって大きさ E の一様な電場が存 在 す る . た だ し , 長 方 形 の 各 辺 の 長 さ を P O = Q P = S T = TU = L , OU = P T = Q S = nL とする.辺 OU の中央の点 X ( OX = XU )に質量 m ,正の電荷 q の 点電荷を静かに置くと,この点電荷は電場の影響を受けて運動を始める.領域(a)と領域 (b)の外では,点電荷にはいかなる力も働かないものとし,領域(a)の境界では磁場が作 用し,領域(b)の境界では電場が作用するものとする. (1) 点電荷が領域(a)に進入する速さ v を求めよ. (2) n = 2 のとき,点電荷が領域(a)を通って再び領域(b)に戻るために,磁束密度 B が 満たさなければならない条件を求めよ. 以下では,磁束密度 B の大きさは(2)で求めた条件を満足すると仮定する. 9 §3 電磁気学基本演習 (3) n = 2 の場合に点 X に置かれた点電荷が再び辺 OU 上の点に戻るまでの時間 T を求 めよ. (4) n が十分に大きい場合,時間の経過とともに点電荷がどのような運動をするかを簡 単な図を用いて説明せよ. 10 物理基本演習シリーズ elementary case 06 電流定義と電流間の磁場による相互作用 図 1 のように,電流の流れている導線について考える. (1) 電流は電荷 − e [C]をもつ自由電子の流れである.導線の単位体積当たりの自由電 子の数は n [1/m3]である.電圧がかかると,電子は平均の速さ v [m/s]で移動す る.このとき,図 1 の導線内の断面積 S [m2]の面を 1 秒間に通過する電子の総数 N を求めよ.また,このときの電流の大きさ I [ A = C/s ]を求めよ. (2) 導線に電流 I が流れているとき,導線から距離 r [m]の点にできる磁場の大きさ H [A/m]を,距離 r と電流の大きさ I を用いて表せ. 図 2 に示すように,無限に長い 2 本の導線 1,2 が,距離 r だけ離れて平行に置かれて いる.これら 2 本の導線には,同じ向きに電流が流れている.導線間に働く力について 考える.以下の問いに答えよ.ただし,磁場 H と磁束密度 B [Wb/m2]の関係は,周囲 の物質の透磁率を µ [ H /m = N / A2 ]とすると, B = µ H である.なお,導線の太さ に比較して距離 r は十分に大きい値とする. (3) 導線 1 に流れる電流 I1 [A]により導線 2 内に生じた磁束密度 B によって,導線 2 内の個々の電子にはローレンツ力が働く.導線 2 内部を流れる各電子の速さは v で 11 §3 電磁気学基本演習 あるとしたとき,1 個の電子が受けるローレンツ力の大きさ f [N]はいくらか. (4) 導線 1 のつくる磁場が,導線 2 のどの部分でも一様に H であるとする.導線 2 内の 電子密度は n ,その断面積は S ,各電子の速さは v であるとする.導線 1 がつくる 磁場によって,導線 2 の長さ 1m 内に存在する全電子に,はたらくローレンツ力の総 和の大きさ F [N]はいくらか.ただし,解答には必ず問題(3)の f を用いること. (5) (4)で求めた F を,導線 2 を流れる電流 I 2 [A]と,導線 1 が導線 2 に対しつくる磁 場 H で表せ.ただし,必要であれば,他の記号も用いてよい. (6) 各導線の長さ 1m 当たりに働く力 F t [N]を µ , I1 , I 2 , r を用いて表せ. 12 物理基本演習シリーズ elementary case 07 ホール効果と導体の電荷密度 図のように,幅が w [m],厚さが d [m]の板状の固体に大きさ I [A]の電流を x 軸の正 の向きに流し, z 軸の正の向きに磁束密度 B [T]の一様な磁場を加える.また,板を流 れる電流と平行な側面 P , Q の間の電位差を測定するために電圧計が接続されている. 板の幅方向に y 軸をとるものとして,以下の各問いに答えなさい. (1) 磁場を加えない状態では,板中に電荷 q [C]の荷電粒子が単位体積(1m3)あたり n 個 の密度で均一に分布し,すべての荷電粒子が速さ v [m/s]で移動して電流 I を担って いるものとする. I を w , d , q , n , v を用いて表しなさい. (2) 磁場を加えたとき,電流を担う荷電粒子が磁場から受ける力 F [N]の大きさを q ,v , B を用いて表しなさい.また,力 F の向きは x , y , z 軸のうち,いずれの軸の正 または負の向きになるか答えなさい. (3) 荷電粒子は力 F の向きに移動して側面の一方に集まり電場が発生する.荷電粒子は この電場から上記の力 F と逆方向の力を受けることになり,磁場から受ける力と電 場から受ける力がつりあって,最終的に荷電粒子は x 軸方向に移動し続ける.この ときの電場の大きさ E [N/C]を v , B を用いて表しなさい. (4) 電場 E により側面 P Q 間には電位差が生じ,その大きさは図の電圧計で測定できる. このとき,側面 P , Q のいずれが高電位か.電荷 q の符号が正の場合と負の場合の 13 §3 電磁気学基本演習 それぞれについて答えなさい. (5) P Q 間の電位差 V [V]は上記(1)~(4)から, n , q , I , B , d を用いた式で表現で きる. I , B , d , V を測定により求め,電荷 q は既知の値を使用すれば,式から 荷電粒子の単位体積当たりの数 n が決定できることになる.V を n , q , I , B , d を用いて表現する式を求めなさい. 14 物理基本演習シリーズ elementary case 08 磁場領域中に侵入するコイル 図のように,境界 C D よりも右側の領域に紙面に垂直で裏から表に向かう向きに磁束 密度の大きさ B の一様な磁場をかけ,境界 C D よりも左側の紙面上に抵抗値が R で一辺 の長さが d の正方形のコイル E F G H を置いた.コイルの辺 EF を境界 C D と平行に保ちな がら,コイルを一定の速さ v で図の矢印の向きに動かす.コイルの辺 EF が境界 C D に重 なったときを時刻 t = 0 とし,辺 G H が境界 C D に達するまでを考える.以下の問いに答 えよ. (1) 時刻 t のとき,コイルを貫く磁束はいくらか. (2) 時刻 t から微小時間 ∆ t だけ経過する間に,コイルを貫く磁束はいくら変化するか. (3) コイルに生じる誘導起電力の大きさはいくらか. (4) コイルを流れる電流の大きさはいくらか.また,電流の流れる向きは,紙面の上か らコイルを見て時計回りか,反時計回りか. (5) コイルが磁場から受ける力の大きさはいくらか. (6) コイルの辺 G H が境界 C D に達するまでの間に,コイルを動かすために外力がした 仕事はいくらか. (7) コイルの辺 G H が境界 C D に達するまでの間に,コイルで発生するジュール熱はい 15 §3 電磁気学基本演習 くらか. 16 物理基本演習シリーズ elementary case 09 一様磁場中の導体棒の斜面滑走による電磁誘導 図のように,鉛直上向きで磁束密度が B [T]の一様な磁場中に,抵抗の無視できる 2 本の導線 XOY , X ′ O ′ Y ′ を ℓ [m]の間隔で平行に固定する.導線の XO , X ′ O ′ 部分は同 一水平面上に置き,OY ,O ′ Y ′ 部分は水平面から角 θ [rad]だけ傾けておく.質量 m [kg], 長さ ℓ ,抵抗 R [Ω]の 2 本の金属棒を OO′ 間の滑車をへて糸でつなぎ,金属棒 C D およ び EF をそれぞれ水平な導線部分および傾いた導線部分に導線と垂直にのせる.このとき, CD FE は閉じた回路を作っている.はじめ,棒 C D をおさえておいて,糸が張った状態 から棒を静かにはなすと,2 本の金属棒はすべり出した.金属棒と導線の摩擦や接触部 分の抵抗は無視でき,また金属棒はつねに導線に垂直に接したまま導線上を運動するも のとして,以下の問いに答えよ.重力加速度の大きさを g [m/s2]とする.また,この閉回 路を流れる電流がつくる磁場の影響は無視できるものとする. ℓ (1) 金属棒の速さが v [m/s]である瞬間に,棒 C D , EF それぞれに生じる誘導起電力の 大きさ V C D [V], V EF [V]およびそれらの向きを求めよ. (2) このとき,回路を流れる電流 I [A]を求めよ.ただし, C → D → F → E → C の向 きの電流を正とする. 17 §3 電磁気学基本演習 (3) 金属棒の加速度の大きさを a [m/s2],糸の張力を T [N],電流を I として,棒 C D , EF それぞれの運動方程式を立て, a と T を求めよ. (4) 棒 C D が OO′ に到達する前に,棒の速度はほぼ一定になった.このとき,回路を流 れる電流 I f [A]を求めよ. 18 物理基本演習シリーズ 交流基本回路の原理的アプローチ elementary case 10 交流回路の電流や電圧の時間変化が y = y 0 s i n ω t ( y 0 と ω は一定)と表されるとき,微 ∆y 小時間 ∆ t の間に y が ∆ y だけ変化したとして, y の時間変化率は = ω y 0 co s ω t と表 ∆t ∆y される.一方, y = y 0 c os ω t のときは = −ω y 0 si n ω t である.交流回路の電流,電 ∆t 圧について考察する. (1) 図 1 のような交流回路がある.交流電源の電圧を V S ,コイルの自己インダクタンス を L ,抵抗を R とし, V S が角周波数ω で振動している.点 a から点 b に流れる電流 を i と し , ∆ t の 間 に 電 流 が ∆ i だ け 変 化 し た と す る と , 誘 導 起 電 力 Vi は Vi = − ① なので,オームの法則から V S − = R i が成り立つ.この式は ① コイルの両端間電位差 V L (点 b の点 c に対する電位)が ① に等しいことを表し ている. i の時間変化を i = I 0 co s ω t とすると, V L の時間変化は, V L = ② と なる. (2) 図 2 のように,コイルの代わりに電気容量 C のコンデンサがつながれているとする. 点 b 側の極板にたくわえられた電荷を q とすると, コンデンサの両端間電位差 V C (点 b の点 c に対する電位)は V C = ③ と表せる.微小時間 ∆ t の間に q が ∆ q だけ変 化したとすると,コンデンサに流れ込む電流は i = ④ と表せる.いま q の時間 変化が q = q 0 s i n ω t (q 0 > 0) のとき,電流 i は時間 t の関数として,i = される.電流 i の最大値を I 0 とすると, I 0 = 19 ⑥ ⑤ と表 が成り立つ.したがって V C の §3 時間変化を I 0 を用いて表すと, V C = I 0 ⋅ ⑦ 電磁気学基本演習 となる. (3) 図 3 のようにコイルとコンデンサの両方を含む交流回路を考える. i の時間変化を i = I 0 co s ω t と表すとき,上の(1),(2)の結果を用いると,電源電圧 V S は次のよう に表される. V S = ⑧ cos ω t − ⑨ sin ω t .これを V S = V 0 c o s (ω t + θ ) の 形に書きなおすと, V 0 および t anθ は I 0 , ω , R , C , L の中から適切なものを用 いて V 0 = ⑩ , tanθ = ⑪ と表される. (4) 図 3 の回路において,交流電源の角周波数ω を変化させると共振という現象が起き る.共振とはどういう現象なのか,上の(3)で導いた式を使って説明せよ. 20 物理基本演習シリーズ elementary case 01 (5) 求める距離を x とすると, 4Q からの電場と, 2 9kQ Q kQ (2) (4 + 3 3 )k (3) 5 2 r r2 r (4 − 3 3 )kQ 4 25kQ 2 (5) (4) r (6) − 5 2r 2r 2 (1) 9Q からの電場が点 S で打ち消しあうから A (7) (a) 解 (1) 共に正電荷だから斥力(反発力)である.その 大きさはクーロンの法則より, f AB = k 4Q ⋅ 9Q 9kQ 2 = 2 ( 2r ) r2 (2) 点 P に 4Q が作る電位は V A B 9Q x= ⇔ 4 r 5 エネルギーと仕事の関係より,外力のなした仕 事は静電エネルギーとなるから,その仕事 W は 9Q 3 3 kQ = . r 3r よって求める点 P の電位は V A + V B = ( 4 + 3 3 )k 2r − x (6) 点 S の電位は 4Q 9Q 15 kQ 25kQ ) VS = k +k = (5 + = x 2r − x 2 r 2r 4Q kQ =k =4 . r r 点 P に 9Q が作る電位は V B = k S 4Q 9Q 2 = k ( 2r − x ) 2 x k 説 x 4Q W = −QV S = − 25kQ 2 2r (7) 共に正電荷であるため,双方の作る電位は負に なりえない.よって,その重ね合わせも負になり えない.この時点でグラフは(a)に定まる.厳密 Q r には下図のように, 4Q 起源の電位 V A , 9Q 起源 の電位 V B のグラフを描き,V (x) 方向に足し合わ (3) 点 P に 4Q が作る電場の強さは 4Q kQ EA = k 2 = 4 2 r r せればいい. V (x) 点 P に 9Q が作る電場の強さは 9Q kQ EB = k 2 = 3 2 ( 3 r) r VA + VB 電場 E A と E B は直交しているから,三平方の定 VA 理より,求める点 P の VB EA 電場の強さは x EA 2 + EB2 = 4 2 + 32 k 0 EB P Q r2 kQ =5 2 r elementary case 02 60° A 4Q B 9Q (4) 4Q が作る電場 E A の AB 方向成分は 1 2kQ E A cos60° = E A = 2 r2 9Q が作る電場 E B の AB 方向成分は 3 3 3 kQ EB = − 2 2r 2 これらの合計が,求める合成電場の AB 方向成分 −E B sin 60° = − 2r π a2 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) d π a 2ε 1 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) (2) Q1′ = d (ε 1 + ε 2 ) (1) Q2 = − Q3 ′ = (3) Q = 解 π a 2ε 2 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) d (ε 1 + ε 2 ) ε 1ε 2π a 2V (ε 1 + ε 2 )d 説 であり, (4 − 3 3 )kQ 2kQ 3 3 kQ − = r2 2r 2 2r 2 21 (1) 金属円板 D1 D 2 間は容量 C1 = ε 1π a 2 のコンデ d §3 ε 2π a 2 のコンデンサ d ンサ,D 2 D 3 間は容量 C 2 = (3) 金属円板 D 2 の総電気量を変えないように電荷 の移動が起こる.題意通り D1 から D 3 へ移動した とみなせる. 電気量を Q とおけば, V2 V1 V2 V1 +Q1′ − Q D1 −Q1′ + Q C2 C1 D1 電磁気学基本演習(解答) D3 D2 C1 C2 +q1 −q1 −q 2 +q 2 C2 +Q3 ′ + Q −Q3 ′ − Q D 2 (Q2 ) 回路方程式より Q1′ − Q 容量 C1 のコンデンサには電圧 V1 ,容量 C 2 のコ C1 ンデンサには電圧 V 2 がかかっている.それぞれ +V = Q3 ′ + Q C2 これに,前問(2)の等電位の条件 のコンデンサの電気量を q1 , q 2 とおくならば, コンデンサの基本公式より, 利用すれば簡潔な式となり, Q Q − +V = … C1 C2 q1 = C1V1 , q 2 = C 2V 2 ゆえに,金属円板 D 2 の電気量は Q2 = ( − q1 ) + ( − q 2 ) = − D3 C1 π a2 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) d ⇔ Q= Q1′ Q3 ′ = を C1 C2 (*) C1C 2V ε 1ε 2π a 2V = (ε 1 + ε 2 )d C1 + C 2 (2) 金属円板 D 2 に蓄えられた Q2 を一定に保ちな [参考] 式(*)は移動電気量のみの回路方程式で がら,容量 C1 , C 2 のコンデンサの端子間電圧は ある.この結果は,はじめにどれだけの電気 等しくなる(電圧が等しくなるように,金属円板 量が蓄えられているかに依らず,平衡状態か D1 D 3 間で電気量の移動が起こる). らの変化は,その変化分だけで考えられるこ +Q1′ D1 −Q1′ D3 C1 C2 −Q3 ′ D 2 (Q2 ) 電圧が等しいことから, とを示している( Q = CV の線形性). +Q3 ′ Q1′ Q3 ′ = . C1 C2 また,D 2 の電荷保存から,( −Q1′ ) + ( −Q3 ′ ) = Q2 . 以上を連立して, C1 C2 Q1′ = − Q2 , Q3 ′ = − Q2 C1 + C 2 C1 + C 2 elementary case 03 Ⅰ ε ε SV ε SV 2 [C],静電エネルギー: [J] d 2d ε 0ε S Ⅲ(1) 電気容量: [F], ε 0d + ε∆ d Ⅱ 電荷: 静電エネルギー: これまでの結果を用いて整理すれば, π a2 ε1 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) Q1′ = − × − ε 1 + ε 2 d (2) ε 2SV 2 ∆d [J] 2ε 0d 2 (4) 静電エネルギー: 2 π a ε 1 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) d (ε 1 + ε 2 ) π a2 ε2 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) Q3 ′ = − × − ε 1 + ε 2 d S [F] d = π a 2ε 2 (ε 1V1 + ε 2V 2 ) = d (ε 1 + ε 2 ) 仕事: 解 Ⅰ (ε 0d + ε∆d )ε SV 2 [J] 2ε 0d 2 (3) ε 2SV 2 [N] 2ε 0d 2 (d + ∆d )ε 2SV 2 2ε 0d 2 [J] (ε − ε 0 )ε SV 2 [J] 2ε 0d 説 平行平板コンデンサの容量定義から 22 物理基本演習シリーズ C = Ⅱ εS d ε SV 2 d (d + ∆ d )ε 2SV 2 Q U ′′ = = = ε 0S 2C ′′ 2ε 0d 2 2 d + ∆d 2 コンデンサの基本公式から, ε SV Q = CV = d ここでもスイッチは開いたままだから,外界と 静電エネルギーの定義から, コンデンサは遮断されており,静電エネルギー 1 ε SV 2 U = CV 2 = 2 2d Ⅲ(1) 誘電体部分と真空部分に分けて評価する. ε 0S 真空部分の容量は, c = . ∆d の変化は外力のなす仕事に等しい.よって求め る仕事 W ′ は W ′ = U ′′ − U ′ = εS 誘電体部分の容量は前述のとおり, C = . d = 求めるコンデンサの容量は,この 2 つのコンデン サの直列合成容量だから, ε 0S ε S cC ε 0ε S ∆d d C′ = = = ε 0S εS c+C ε 0d + ε∆ d + ∆d d スイッチが開いているので,電気量は変化しな 2ε 0d 2 − (ε 0d + ε∆ d )ε SV 2 2ε 0d 2 (ε − ε 0 )ε SV 2 2ε 0d elementary case 04 Ⅰ(1) E1 + E 2 R1E 2 − R2E1 [A] (2) [V] R1 + R2 R1 + R2 Ⅱ(1) B (3) (2) R1E 2 ≤ R2E1 (R1 + R2 )E 2 2 R2 2 い.電圧は極板間隔の変動に伴い,変化しうる. このことに注意し,静電エネルギーを求めれば, ε SV 2 2 (ε 0d + ε∆ d )ε SV 2 Q d U′ = = = ε 0ε S 2C ′ 2ε 0d 2 2 ε 0d + ε∆ d (d + ∆ d )ε 2SV 2 解 [W] 説 Ⅰ(1) 流れる電流を i とすれば,回路方程式より, E + E2 (R1 + R2 )i = E1 + E 2 ⇔ i = 1 R1 + R2 E1 (2) スイッチを開いているから,コンデンサは外界 から遮断されており,静電エネルギーが変化した R1 i のなら,その原因は間隔を広げるのに外力が為し た仕事に他ならない.よって求める仕事 W は (ε 0d + ε∆ d )ε SV 2 ε SV 2 W = U′ − U = − 2 2d 2ε 0d ε 2SV 2 = ∆d 2ε 0d 2 為す仕事は f∆ d だから,前問(2)より ⇔ f = ε 2SV 2 2ε 0d 2 (4) 電気量が変わらず,容量が ε 0S C ′′ = d + ∆d へと変化した.これに伴い,静電エネルギーは 23 R2 (2) 求める電位 V AB は E1 と R1 の端子間電圧の合計 として, (3) 仕事の定義より,外力の大きさを f とすると, W = f∆ d E2 R1 (E1 + E 2 ) − E1 R1 + R2 R1E 2 − R2E1 = R1 + R2 V AB = R1i − E1 = Ⅱ(1) ダイオードに順方向の電圧がかからないと いけないから, S が開いている段階で A より B の電位が高く無いといけない. (2) ダイオード D に電流が流れていないなら,設 問Ⅰ(2)で求めた電位が負である. §3 V AB ≤ 0 ⇔ ⇔ R1E 2 − R2E1 ≤ 0 R1E 2 ≤ R2E1 (3) 回路での消費電力は供給電力と等しいから, (E1 + E 2 ) 2 P = i(E1 + E 2 ) = R1 + R2 よって E1 が小さいほど消費電力は低い. しかしながら,前問Ⅱ(2)より,あまり小さすぎ るとダイオードに電流が流れてしまう. R1 R1E 2 ≤ R2E1 ⇔ E1 ≥ E2 R2 電磁気学基本演習(解答) 1 mv 2 = qEL 2 ⇔ 道を描く.この際,軌道直径が L を超えていると, 点電荷は境界 ST から飛び出す. 軌道半径を r とすれば,円運動の方程式より, m v2 = qvB r ⇔ ≥ 2r ≤ L ⇔r≤ (3) T = 2 L 2 た B に代入して, R1 + R2 2qEL m mv qr 軌道直径が L 以下だから, 2 = (R1 + R2 )E 2 2 R2 2 (2) B ≥ 2 mv B= ≥ qr m 2qEL m L q 2 =2 2mE qL (3) 求める時間 T は領域(a)での半円軌道の時間 t1 elementary case 05 (1) v = B= これと前問(1)の結果を,円運動の方程式から得 (E1 + E 2 ) 2 R1 + R2 R1 E 2 + E 2 R2 2qEL m (2) 正の電荷であるから領域(a)で時計回りの円軌 より, P = v= 2mE qL 2mL πm + qE qB と,領域(b)での等加速度往復運動の時間 t2 の足 しあわせ. 領域(a)の等速円運動について,円軌道の半周期 が t1 だから, (4) 点 X から動き出した粒子は,領域(b)から領域 (a)に入って円運動をした後,再び領域(b)に戻り, 2mv 辺 OU 上で点 X から辺 TU 側に だけの点で qB t1 = 1 2π r πm = 2 v qB 領域(b)の等加速度運動について,復路の時間の 2 倍が t2 だから, 静止する.以下同様の運動を繰り返すので,粒子 の軌跡は図のようになる. v t2 = 2 = 2 a 2qEL m qE m =2 2mL qE 以上より, T = t1 + t2 = πm 2mL +2 qB qE (4) 領域(a)での軌道は必ず半円となるから,領域 (b)への侵入で,境界 PT 方向の速度成分は持たな い.よって,領域(b)では毎回直線的な往復の等 加速度運動. elementary case 06 解 説 (1) 境界 PT に対する OU の電位は EL .点電荷の (1) N = nSv [1/s], I = enSv [A] I (2) H = [A/m] 2π r エネルギー保存則より, 24 物理基本演習シリーズ (4) F = nSf [N] µ I1I 2 (6) F t = [N] 2π r 解 elementary case 07 µ evI1 [N]) 2π r (3) f = evB [N] ( f = (5) F = µ I 2H [N] (1) I = | q | ndwv [A] (2) 大きさ F = | q | vB [N], y 軸方向負の向き (3) vB [N/C] (4) 正電荷… P が高電位,負電荷… Q が高電位 IB (5) V = [V] | q | nd 説 (1) 断面を単位時間に通過する電子 v が存在する領域は,断面から先に 幅 v の 領域 .よ って その 体 積は 解 S (1) 板中を移動する荷電粒子の Sv [m3].電子数密度が n [1/m3]だ d 進行方向に垂直な断面をとる. から,この領域に存在する電子数は この断面を単位時間に通過す N = nSv [個] 電流とは単位時間に断面を通過する電気量のこ る荷電粒子の存在領域体積は v n × dwv .荷電粒子 1 つの電荷の大きさが | q | だ I . 2π r (3) 導線 1 に流れる電流 I1 が導線 2 の位置に作る I1 磁場の強さは H = .対応する磁束密度の大 2π r µ I1 きさは B = µ H = .よって 2π r µ I1 f = evB = ev 2π r (4) 導線 2 の 1 m 内に存在する電子数は nS 個. すべての電子に同じ大きさの力 f が作用するか ら,それらの合力は, F = nSf (5) 設問(3)と(4)より, F = nSf = nS × evµ H から,単位時間に断面を通過する電気量(電荷), すなわち電流 I は I = | q | ndwv (2) 荷電粒子の進行方向と磁場の向きは直交して いるから,ローレンツ力の大きさは F = | q | vB sin 90° = | q | vB 荷電粒子が正電荷であれば, x 軸正の向きに速 さ v で進んでおり,負電荷であれば,x 軸負の向 きに速さ v で進んでいることになる. いずれにせよ,ローレンツ力の向きは右ねじの 法則(フレミングの左手の法則)から y 軸方向負 の向きとなる. (3) 互いに逆向きのクーロン力 qE とローレンツ力 qvB のつり合いから, 電流定義より, I 2 = enSv だから, F = µ I 2H (6) H = w dwv . よ っ て そ の 総 数 は , とだから,その大きさは I = | − e | N = enSv (2) 無限直線電流の作る磁場公式より,H = 説 I1 より前問(5)の結果は, 2π r I1 µ I1I 2 F = µI2 = 2π r 2π r qE = qvB qE qE B B E v v E と書き直せる.これは導線 1 が導線 2 の 1 m に及 ぼす力であるが,導線 2 が導線 1 の 1 m に及ぼす E = vB ⇔ qvB 正電荷のとき qvB 負電荷のとき 力も同様である.これは作用反作用の法則から も保証される.したがって求める力は µ I1I 2 Ft = 2π r 25 (4) 荷電粒子の電荷の正負によらず,ローレンツ力 は y 軸負の向きとなるから,符号によって電位の 高低は異なる. §3 電磁気学基本演習(解答) q が正の場合,P 側には正の電荷が蓄えられ,正 束の変化を妨げる向き,すなわち紙面の上から 極となるから P 側が高電位となる. コイルを見て時計回りである. q が負の場合,P 側には負の電荷が蓄えられ,負 (5) 辺 HE および FG を流れる電流が磁場から受け 極となるから Q 側が高電位となる. る力は上下に相殺し,辺 EF が受ける力だけが残 (5) 電場は電位の勾配であるから, V ⇔ V = Ew E = w る.この力の向きは右ねじの法則(またはフレミ ング左手の法則)から定まり,紙面向かって左向 きとなる.大きさ f は, 設問(3)より, E = vB だから, V = Ew = vBw 設問(1)の電流定義より, I = | q | ndwv だから, I IB V = vBw = Bw = | q | ndw | q | nd [参考] 電荷 q の正負により,考察を変える問題 であったから,大きさに関する問いについて は絶対値記号を用いて表現したが,そこを丁 寧に考えることは重要でない.どちらかと言 えば,現象の大局を捉えることに終始された い.ホール効果実験の目的は,半導体キャリ アの判別,キャリア数密度の間接測定にある. (2) Bdv∆ t (4) 大きさ: B 2d 2 (5) v R 解 B 2d 2 v R (6) 前述の磁場から受ける力は速さ v が変わらない 限り一定力であるから,コイルを一定の速度で動 かすために必要な外力も一定力.定められた過程 でこの外力のなした仕事 W は B 2 d 3v R d (7) 消費電力は RI 2 ,時間は だから,求める v W = fd = ジュール熱 Q は Q = RI 2 × Bdv 2 d d B 2 d 3v × = R = R v v R [参考] (6)(7)の結果が一致したのは偶然ではな elementary case 08 (1) Bdvt f = dIB = (3) Bdv Bdv ,向き:時計回り R B 2 d 3v (6) R B 2 d 3v (7) R 説 い.エネルギーと仕事の関係より,コイルを 押しこむ外力のなした仕事は,電磁誘導を介 して回路へ流れ,抵抗でジュール熱としてす べて消費されている(コイルの速さが一定で あることからコイルの運動エネルギーは変化 しない). (1) 時間 t で,コイルは vt だけ磁場に侵入し,面積 にして dvt だけ磁場と重なる.よって求める磁束 φは elementary case 09 (1) V CD = Bℓv [V],向き C → D φ = Bdvt (2) 微小時間 ∆ t で変化する磁束を ∆φ とすると, ∆φ = Bdv (t + ∆ t) − Bdvt = Bdv∆ t (3) ファラデーの電磁誘導の法則から, ∆φ Bdv∆ t V = = = Bdv ∆t ∆t (4) オームの法則よりコイルを流れる電流の大き さ I は, RI = Bdv ⇔ I = Bdv R レンツの法則より,誘導電流の流れる方向は磁 V EF = Bℓv cos θ [V],向き E → F Bℓv (1 − cosθ ) (2) I = [A] 2R (3) CD : ma = T − ℓIB , EF : ma = mg sin θ + ℓIB cos θ − T 1 B 2ℓ 2 (1 − cos θ ) 2 g sin θ − v [m/s2] 2 4mR 1 B 2 ℓ 2 (1 − cos 2 θ ) T = mg sin θ + v [N] 2 4R mg sin θ (4) I f = [A] Bℓ (1 − cosθ ) a= 26 物理基本演習シリーズ 解 elementary case 10 説 (1) 磁場に垂直な掃過領域面積はそれぞれ, 棒 CD : ℓv , 棒 EF : ℓv cosθ であるから,ファラデーの電磁誘導の法則より, ∆i ∆t (1) ① L q C (2) ③ V CD = Bℓv , V EF = Bℓv cos θ ④ ⑥ ω q0 向きはレンツの法則より,それぞれ, V CD :電流を C → D へ流す向き ② −ω LI 0 sin ω t ∆q ∆t ⑦ V EF :電流を E → F へ流す向き 2RI = V CD − V EF = Bℓv(1 − cosθ ) Bℓv (1 − cosθ ) ⇔ I = 2R (3) 2 つの棒に対する力の図示は下図の通り a ℓIB θ ⑪ 1 R ω L − 1 ωC (4) 共振とは角周波数を変化させることで電流が 解 v a mg 棒 CD の運動方程式は ma = T − ℓIB 棒 EF の運動方程式は ma = mg sin θ + ℓIB cos θ − T 以上を連立して, 1 ℓIB (1 − cosθ ) a = g sin θ − ⋯ (A ) 2 2m 1 B 2 ℓ 2 (1 − cosθ ) 2 = g sin θ − v 2 4mR 1 ℓIB (1 + cosθ ) T = mg sin θ + 2 2 1 B 2 ℓ 2 (1 − cos 2 θ ) = mg sin θ + v 2 4R (4) I = I f のとき a = 0 であるから,前問(3)の解 答内式 ( A ) より 1 ℓI f B (1 − cosθ ) 0 = g sin θ − 2 2m mg sin θ ⇔ If = Bℓ (1 − cosθ ) 説 (1) コイルは自身を流れる電流の変化を妨げる向 ∆i の大きさの自己誘導起電力を発揮す きに L ∆t る.起電力の符号は正の電流を流そうとする向き を正に選ぶのが慣例であるから,コイルの自己誘 ∆i 導起電力は負で表現( V i = − L )される. ∆t 図1の回路の起電力は交流電源の起電力 V S と コイルの自己誘導起電力 V i の重ね合わせで, ∆i VS + Vi = VS − L ∆t となり,これが抵抗での電圧降下と等しいから 回路方程式(抵抗しか無いので呼び方はオーム の法則でも良い)は VS − L ∆i = Ri ∆t と表せる. i = I 0 cos ω t とすれば,コイルの両端 ∆i 間電位差 V L = L は, ∆t di d (I 0 cos ω t) = LI 0ω ( − sin ω t) =L dt dt = −ω LI 0 sin ω t VL = L [参考] 求めた V L の瞬時値を回路方程式に戻し てやれば, 27 2 I 0 N′ ℓIB mg 1 R 2 + ω L − ωC 最大となる現象であり,(3)より,この回路では 1 ω= とすれば実現する. LC T T ⑩ I 0 B N v 1 sin ω t ωC 1 ⑨ ω L − ωC (3) ⑧ RI 0 (2) 回路方程式より, ⑤ ω q 0 cos ω t §3 VS − L ⇔ ∆i = Ri ∆t である. (3) 設 問 (1) で も (2) で も 回 路 を 流 れ る 電 流 は V S = ωLI 0 sin ω t + RI 0 cos ω t 三角関数の合成公式から i = I 0 cos ω t で表されていた.したがって,導い たコイルとコンデンサの端子間電圧 V L ,V C は矛 V S = R 2 + (ωL) 2 I 0 sin(ω t + α ) R (ただし α は tan α = で定まる鋭角) ωL ゆえにこの回路において,交流電源の最大電 盾なく利用できる.図 3 の回路の回路方程式より V S = RI 0 cos ω t + V L + V C = RI 0 cos ω t − ωLI 0 sin ω t + R 2 + (ωL) 2 I 0 を守る.電源の供給した最大電圧 V 0 と最大電 V0 = R 2 + (ωL) 2 をこの回 流 I 0 の比,Z = I0 路のインピーダンスと呼ぶ. 三角関数の合成公式から 2 1 I 0 cos(ω t + θ ) V S = R 2 + ωL − ωC (ただし θ は tan θ = (2) 容量 C ,電気量 q のコンデンサの端子間電圧は q コンデンサの基本公式から V C = .電流定義 C から,微小時間 ∆ t でのコンデンサの電気量増加 V0 = この電流の最大値は I 0 = ωq 0 .ここでコンデン サの基本公式に立ち返れば q q0 VC = = sin ω t C C だから, q 0 を消去し I 0 を用いて表せば, I0 VC = sin ω t ωC [参考] さらに回路方程式から, V S = Ri + V C で あり, i = I 0 cos ω t だから, I0 V S = RI 0 cos ω t + sin ω t ωC 1 を満たす角) ω L − ωC 2 1 I 0 R 2 + ω L − ωC であり,回路のインピーダンスは ∆q と表せ ∆t る. q = q 0 sin ω t ならば, dq i= = q 0ω cos ω t = ω q 0 cos ω t dt 1 R 電源電圧の最大値を V 0 とすれば, から電流とは単位時間に流入する電気量である が ∆ q ならば,この瞬間の電流は i = I0 sin ω t ωC 1 I 0 sin ω t = RI 0 cos ω t − ωL − ωC 圧 V0 は V0 = 電磁気学基本演習(解答) Z = 2 1 R 2 + ωL − ωC となる. [参考] V 0 と θ は加法定理と sin , cos の係数比 較から導くこともできる. (4) 交流電源の供給電流 I 0 は,電源の各周波数を 1 V0 ω= に調節したとき, I 0 = で最大と R LC なる.インピーダンスの値も R に等しくなり, すなわち,実質上,コイルとコンデンサは意味を 為さず,この回路で電源の電流供給を妨げるのは 抵抗のみとなる.この現象を電源と回路の共振と 1 呼ぶ.また,ω = を共振角周波数という. LC 三角関数の合成公式から 1 V S = R 2 + ωC 2 I 0 sin(ω t + α ) (ただし α は tan α = ωCR を満たす鋭角) ゆえにこの回路のインピーダンスは Z = 1 R 2 + ωC 2 28
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